此処はベルベットルーム。
人の心の海に住まう場所に存在すると言われる場所。
そしてそこは「ワイルド」に目覚めた者が立ち入る事が出来る場所でもあった。
そこで彼…ジョーカーは目覚めた…
「此処は…」
「ようこそ。ベルベットルームへ。
…と言うのはいつぶりだろうな?」
「⁈」
聞こえてきた声により覚醒し、立ち上がりと同時に檻の先を見る。
そこには椅子に座った長鼻の男がそこにいた。
その姿を見せ、そしてその声を聴いたジョーカーは座っている男に問いかけた。
イゴール…じゃないな。
▶︎何故、此処にいる!悪神!
「ははは…
そうだ。私は悪神 『ヤルダ バオト』。
大衆の怠惰により、生み出されし神なり」
それはかつて、蓮が怪盗団のメンバーと共に立ち向かった悪神…
人々…大衆が怠惰を起こし、その力により、神へと昇華した悪しき神。
『ヤルダ バオト』
そして、蓮=ジョーカーにとって因縁のある存在でもある。
彼に更生と言う名の誘惑を施そうとした奴でもあった。
すると悪神は語り出す。
「さて、お前にあげたプレゼント。…早速活用してくれた様だな」
「プレゼント…だと?」
悪神からジョーカーにプレゼントをあげたと言う。それは…
「お前は先程、"予知夢"を見た筈だ」
「予知夢?…‼︎」
その一言を聞いたジョーカーは思い出す。
それはココがドラゴンによって殺されると言うビジョンが見えたあの時だった。
「思い出した様だな。
そうだ。お前に対してペルソナの処刑の際にあげた力『サードアイ』の力を更に拡張させた力。
名は…『セブンスアイ』とでも名乗っておこう。
その力は不定期だが、予知夢を見る事が出来る。そこからお前が最善の策を練る事も出来るであろう。
お前の今後の更生を楽しみにしているぞ」
「お前にだけは期待されたく無い‼︎」
「ははは!威勢が前より高くなって結構だ。
だが、今の私はお前を相手にしている暇など無いのだよ」
そう言うとイゴールになりすましている悪神は椅子を90度回転させ、ジョーカーと対角線上にいる牢屋を見る。
それに釣られて、ジョーカーもその視線の先を見る。
そこには、囚人服を着用し、金髪の髪を生やした女の子がそこにいた。
ジョーカーは屈辱ながらも新生した力『セブンスアイ』を用いてその牢屋を見ると、その中の人物を見て驚いた…!
「アンジュ⁉︎」
そう、まさかのアンジュがベルベットルームに囚われていたのであった。
何故彼女が此処にいるのだろうか?
彼女もまたペルソナを使えると言う事なのか?
そしてワイルドに目覚める者なのだろうか?
動揺と思考が入り乱れていくジョーカー。
そんな中、彼女の名前を言ったジョーカーに対し、イゴールは興味を持つ。
「おや?知り合いかね?」
「彼女に何をするつもりだ⁉︎」
「貴様と同じ『更生』を施すまでだ。さて、お前にはもうこの場に居合わせる必要が無い。眠りにつき給え」
そう言うとイゴールは指を弾き鳴らす。
するとジョーカーの身体が徐々に脱力し、目蓋が重くなる…!
まるで眠気が急に襲われたかのように。
「ふざけ…る…な…!」
「此処はベルベットルームとはまた違った部屋なのだ。
私が指揮下にある内は私が絶対的中心なのだ。
彼女をどうやって『更生』しようか楽しみだな。ははは…!」
「ア…ン…ジュ…!」
そう言うとジョーカーは完全に目蓋を閉ざされ、眠りについた。
「…ふむ。今更ながらだが…
お前に新たな異世界へのパスポートを入れておこうでは無いか…
ふははは…!」
ーーーーーーSIDEtoジョーカー
はっ‼︎
…此処は…
『!ジョーカー!』
この声は…ソフィア?
「‼︎ジョーカー!無事か⁉︎」ニャ⁉︎
モルガナの声もする。此処は現実なんだな。
と言うより、この場所は何処だ?
ベットに寝かせられている…医療室か何かなのだろうか?
…痛っ‼︎
「無理するな。病み上がりは特に痛むからな」
?…この声は…ゾーラ隊長?
右側から声が聞こえる…
そう思い、俺は右側を見ると、そこにはゾーラ隊長がベットに寝かされていた。
そして気づいてしまった…
「⁉︎…その身体…」
「ああ。…あの時の戦いで、左腕が使えなくなっちまった。
それで捨てた。今は義手待ち状態。
おまけにパラメイルもまともに扱えきれなくなってしまったからね。部隊から自ら降りたよ。
ま、お前さんのおかげで命に関わる事態にはならなかったよ。
…ありがとうな」
「…自分がもっと上手ければ…」
「そうやって卑下するのだけはやめろ。私が気に病む」
そう言いながらゾーラは自身の無くなった左腕が有った場所を探りながら話題を切り替えだした。
「それにあんたのおかげで、ココは無事だ。
まぁ、今は隊列違反で反省文と書き終えるまで独房の中だけどな」
「…生きていただけで充分です」
「まぁ、本来なら…
お前も隊列違反で独房と反省文を書かざるを得ないのだが、
ココや私を助けたからそれは免除になってる。
本当にありがとうな」
感謝の声が聞こえてきた…
なんか、それだけ聞いただけで心がほっとする。
…そういえば、アンジュはどうしてるんだろう。
「…アンジュは?」
「お姫様かい?あそこにいる」
そう言いながらゾーラの視線の先を見るとそこには包帯巻きのアンジュがベットに寝かされ、更にベルトで拘束されていた。
「脱走者だからな。厳重に拘束させてもらってる。
…それは良いが、皆が出て行ってから何も喋らないな」
…恐らく、魂はベルベットルームに似せた何かに囚われたんだろう。
何をしでかすか分からない。
そうしていると医療室のドアが開く。
そこから現れたのはなんとラヴェンツァだった!
「ラヴェンツァ…?」
「!」
ガサッ!
そう言うと俺に向かって抱きつくラヴェンツァ。
「だ、大胆だ…」ミャ…。
『?この子、誰なんだ?』
「何、この子?何処から現れやがった⁈」
三者三様の意見が飛び交う。
モルガナは周知の事実だから良いけど、
ソフィアとゾーラは全く知らない存在だから、迂闊に来て欲しく無いのだけど…
そうしているとギューと抱きつく力が強く感じる。
余程、心配させられてしまっているようだ。
「無事で良かった…マイ・トリックスター」
そう言いながら顔を向ける。そこには今にも泣き出しそうな彼女の素顔が俺の瞳に映る。
俺は大馬鹿野郎だ。俺の事を大事にしてくれている人の心を傷つけてしまった。
心の怪盗団が相手の心を傷付けるなんて、本末転倒だ。
「ごめん」
そう言って俺はラヴェンツァを撫でる。
それに気づいたラヴェンツァは最初、びっくりしたが、すぐに適応して、俺の胸に顔を預けた。
「無事で良かった…」
そう言いながら、俺の胸に顔を埋めるラヴェンツァ。
それを見たモルガナは尻尾を振りながら、「ミャフフフ〜!」と上機嫌になっている。
けど、スマホ越しに今の状況を見ているソフィアは『???』とチンプンカンプンな状態。
隣にいたゾーラは「…ブラックが飲みたい気分だよ」と呟いていた。
もし、コーヒーメーカー 一式があったら、飲ませてあげよう。
やがてジョーカーからたくさん愛でられたラヴェンツァは我に帰るが、それはもう顔が真っ赤…りんごのようになっていた。
「…今のは忘れて下さい////」
「それは無理」
「うぅ〜…貴方は何気に意地悪です…////」
そう言いながらも満更でも無さそうだったので、良かった。
そういえば、愛でていたら、やたら身体が軽くなったような気がする。
「とにかく無事でなによりです。
ではまた…」
そう言うと鼻歌をしながら、ラヴェンツァは医療室を後にした。
あそこまでウキウキな気分のラヴェンツァは珍しいと感じた。
…と、そう思っていたら、置いてけぼりな存在がいた事を忘れてた。
「…なぁ?あの子とお前はどう言う関係なんだ?」
そう言ってきたのは先程まで頭を抱え、やっと我に戻ったゾーラ隊長だった。
ラヴェンツァとの関係か…
▶︎見届け人です。
恋人です。
まぁ、嘘では無い。彼女自身もそう言っていたからな。
「み、見届け人?」
「ああ見えて、年は俺よりも上ですよ?」
「…マジかよ。とんだロリババアかよ…」
ロリババアじゃないと思う…。
「(ロリババア…それ、さっきまで居たラヴェンツァ殿に言わせたらチェーンソーで切断されてたぞ…)」ミャ…。
そう心の中で呟くモルガナ。
あの見た目でもどちらかと言うとジョーカーより少し年上なだけなのだ。ラヴェンツァは。
そうしていると医療室から何者かが入室する。
そしてカーテンが開かれた。
「無事なようだな、ゾーラ」
「柄にも無い事を言うね?司令」
その者の正体は此処、アルゼナルの司令であるジルであった。
ゾーラと痴話喧嘩を少しやるとジルはジョーカーを見やる。
それに気づいたジョーカーは視線を向ける。
「…ゾーラを助けてくれたのは感謝しよう。本来なら隊列違反ものだが、今回は不問にする」
「さて、お前にはこれからナオミが指示する部隊に入って貰う。勿論ヴァイオレットもそちらに配属だ。
同じ仲間としてココとミランダも配属になる。
そこでだ。お前にはナオミの部隊の副隊長に任命する」
…唐突すぎる。何か意図があるようにしか考えられない。
「本気なのか⁉︎司令!」
「本気さ。こいつの実力は先の戦闘を以って理解した。
なら、その実力を発揮するにはそのぐらいの地位に付けた方が効率が良いしな」
効率が良い…成る程、あんたから見れば俺は都合の良い「駒」と言う訳か。
そして副隊長になると言う事はそれだけ責任も問われる。
更なる足枷にもなるだろう…厄介な事をして来たな。
「どうだ?受けてくれるだろ?」
「ココやミランダがキャリアは上な筈」
「だが、場数を踏んではいない。お前と違ってな。
…心の怪盗団のリーダー殿とはな?」
「…」
「⁉︎…本当なのか、それ」
…これは…鎌を掛けて来たのか?
それとも確信を以って言っているのか。
「黙秘は肯定と捉えるぞ」
「お好きな様に」
「フッ。最初からそう言えば良いものを…」
そう言いながら、俺との話を終わらせたジル。
彼女から嫌な気配を感じた…
ランクアップ「杯」
アビリティ追加 ???
???へ進入できる様になる。
「さて、問題児のこいつだな」
そう言うとジルはアンジュに目を向ける。
そういえば聞いていなかった。
「…先程と話が変わるのですが」
「…如何した?」
「アンジュはナオミの部隊では無いんですか?」
俺は先程のジルの発言を紐解いた。
先程、ジルは俺とヴァイオレット,ココとミランダをナオミの部隊に編成すると言った。新兵の寄せ集めだと思う。
だが、その中に同じ新兵であるアンジュの名前が無かったのだ。
それが気掛かりだったから、俺は質問した。
するとジルはこう返した。
「アンジュはゾーラ部隊もとい、今はサリアが部隊長の再編部隊に配属する。アンジュには価値があるからな」
「価値…」
更に嫌な予感がジルから感じる…
まるで悪人が人をヒトとして見ていない何かを。
それはまるで『パレス』や『ジェイル』を彷彿とさせる何かが、
ジルの中にある様な感じしかしなかった…
ーーーーーSIDEtoアンジュ
「姫様!…姫様!…ひ・め・さ・ま!」
うぅ…此処は…お風呂?…それに…この声…
この声の主は…私は…知っている…
私は目を開けるとそこには…
私のお世話をしてくれている筆頭侍女…
モモカがそこにいた。
「"マナの光よ"」
このくらい、自分で出来るのに…
「陛下のお言葉をお忘れですか?」
"皇族たる者、自らマナを使う必要などない"
「全てこの筆頭侍女、モモカ・荻野目にお任せ下さいませ」
感じる…この安らぎ…
「ところで、お嬢様?」
?
何かしら?
モモカの声がだんだん…変わって来ている様な…
「背いた先に行き着いた夢は如何かな?」
⁉︎
だ、誰⁈
‼︎景色が…
‼︎私の服が…囚人服に⁉︎
「よく来たな、罪人よ」
突然聞こえた声…その音源の先に老人がいた。
「私が…罪人…
っ‼︎違います‼︎
私はミスルギ皇国の皇女!
アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギです‼︎」
「フフフ。その威勢の良さは嫌いでは無い。
私の名はイゴール。
此処は人の心の海に住まう監獄 ベルベットルームの一室だ。
お前が何者だろうと関係は無い。
その檻の中にいる時点で囚人なのには変わりは無いからな」
⁉︎
その姿を見て、私は感じました。
この者…人では無いと。
「っ!だったら、私を此処から出しなさい!」
「それは無理な事だな。生憎、私はお前の牢獄の鍵を
「そんな…!」
「私はお前を『更生』する為に監視と観察を請け負っただけに過ぎないからな」
「誰なのですか⁉︎私をこの檻に閉じ込めたのは!」
そう憤慨する私の言葉に、あの者は発言しました。
「大衆だよ」
「大…衆…?」
「そうだ。人々がお前をこの檻に閉じ込めさせたのだ。それは紛れもない事実。そして大衆は私に対してお前を監視と監察を実行しろと命じられただけに過ぎない」
「さて、お前があの時、あの過ちを犯した事で如何なっていたのかを少し見せてやろう」
そう言うとイゴールと名乗った者が指を鳴らすと、突然頭が痛く感じた。
それは紛れも無く、先程の出撃の時の様子…
だけど、結果は違った…
ココと呼ばれたノーマがドラゴンの光線で真っ二つにされ、
ミランダは私の後を着いて来たばかりにドラゴンに食い殺され、
私がゾーラに縋り付いた為にゾーラがあられも無い姿に…
嘘…嘘よ…こんな事がある筈無い‼︎
「事実だ。お前があのまま行けば間違い無くあの3人は死んでいた。
お前があの悲劇を生み出した元凶だ。
だが、それを阻止したのは誰だ?
少なくてもお前では無いはずだ」
そう言われ、私は思い出し始める。
ココのあの攻撃の直後に…彼がやって来た事…
彼のおかげで多くのドラゴンを倒していた事…
ゾーラと私の前に彼が来て、庇った事…
彼…ジョーカーがあの3人を助けていた事を…
「ほう…」
「⁉︎」
「警戒するのも無理は無いが、此処は心の海の中。
お前の心境など、見たく無くても見せられるのだからな」
やっぱり、私…こいつの事、大嫌い!
「さて、お前にはこれをくれてやろう」
そう言うと指を鳴らす。
何か、目が焼ける様な感覚がしたけど…一瞬で引いた…
何かしたの⁈
「お前にあげたのは『セブンスアイ』。集中する事で謎を解き明かしたり、敵の戦闘力が分かる物だ。さて、そろそろお前を呼ぶ者が来るな。
お前が『更生』を成す事を願っておる。ふははは…!」
待て!待ちなさい‼︎
助けて…ジョーカー…モモカ…
「いつまで寝ぼけているつもりだ?」
「!」
此処は…病室。
先ほどのは…夢?
「良い夢だったか」
ジル…
!そうだ、私は出撃前にアレを送った…!
「嘆願書…!あの嘆願書は⁉︎
各国からの返事は如何なったのですか⁈」
「これの事か?」
そう言うと私に向けて嘆願書を放り投げた。
そこには印が押されており、『INSPECTED』と押されていた。
「全て受け取りを拒否されたらしい。
『皇女アンジュリーゼも、ミスルギ皇国と言う国も知らん』とな」
「はい?」
「エマ・ブロンソン監察官曰く、もう無いそうだ。ミスルギ皇国と言う国は」
「…⁉︎」
「お前がノーマであると明らかになったからな。
大方、ブチ切れた国民が革命でも起こしたんだろう」
「そんな事「…やはりか」え?」
衝撃の発言で気が動転としている私。何か言おうとしたら、男の声に遮られてしまいました。
声の主…ジョーカーが呟いていました。
「ほう…お前は気付いていたのか。革命が起こる事に」
「あそこまで来ればもはや革命では無く、クーデターだ。
大方、あのジュリオ陛下が自らの野望の為にアンジュリーゼがノーマであったと言う事を切り札にして、現皇帝であるジュライ皇帝を鎮座させて、後は独裁政治でもやる算段だろう」
「ほう…お前の見解はそこまで見通していたのか。関心を通り越して、末恐ろしいな。お前は予見者か?」
「予測者の間違いだ」
そう言うとジョーカーは頭の包帯を解き、点滴を外しベットから降りた。
それを見たゾーラが驚愕する。
「あれほど受けていたダメージだろ⁉︎立つのがやっとの筈だ!」
「治験薬の実験台になった事がある。その際に副作用で自然治癒力が高まっている」
そう言うとジョーカーはベットの近くに置いてあったデスクの上に置いていたスマホを取ると、病室を後にしようとした。
「何処へ行く気だ?」
「武装が欲しい。ジャスミンさんはいろいろと取り扱っているんだろ?」
そう言うと病み上がりの身体で病室を後にしようとしたジョーカー。
そんな彼に対して、「待て」とジルが制止させる。
命令に従ったジョーカーが振り向くと同時に何か封筒が投げつけられた。
「それはお前の報酬だ。ジャスミンは金には煩い。
そいつで黙らせておけ」
「…イエス、マム」
そう言うとジョーカーは病室を後にした。その背後に黒猫が駆け上がり、彼の肩に乗っかって、この場所を後にした。
だけど、私は理解に苦しんでいた。
お母様は?お父様は?シルヴィアは?
皇国の民は?
そして彼の言った一言が気になった。
お兄様がこんな事をすると言うのか?
「ワフッ!ワフッ‼︎」
「出来たか。…行くぞ」
そう言うと私に取り付けられた拘束具を外し、私を何処かへと連れ出しました。
「あの場所かい…」
「ノーマの現実を知らしめるには丁度良いのさ」
そう言うとジルは私を連れ出し、この病室を後にした。
「何処へ連れて行くのですか⁈」
「黙って付いてこい。
お前の勝手な判断がこの先、如何なるのかを知らしめる場所へと連れて行くだけだ」
ーーーーーーNO SIDE
ジルとアンジュが病室を出た頃、ジョーカーとモルガナはと言うと、実はこっそりとアンジュ達の後を怪盗として磨き上げたスキル "カバー"で後を追っていた。
「何処へ行くつもりなんだろうな…」ミャ…
モルガナがそう呟くと近くから足音がした。それに気付いたジョーカーは警戒する。が、ソフィアが「それは必要無い」と言ってきた。
その理由は…
「‼︎…先輩!」
「すみれ!」
なんと芳澤すみれことヴァイオレットだった。
ヴァイオレットは先程までアンジュに見せた表情とは違い、泣きながら嬉しそうな表情を見せていた。
「生きてて良かったです…!」
「心配かけてごめん」
「本当ですよ⁈
もし、あのままだったら私…他の皆さんに顔向け出来ませんから…」
「アイツ等が居なくて正解だったな」ミャ〜
すっかり、この場の雰囲気が変わった。のだが、ジョーカーはジル達を見失ってしまったのだった。
「ジルはアンジュを連れて何処へ向かって行ったんだ…?」ミャ…?
『ジョーカー。少し良いか?』
「?」
この先、如何しようも出来ないと悟ったジョーカーは如何するか悩んでいたら、ジョーカーのスマホからソフィアが現れ、ジョーカーに話しかけてきた。
「如何したんだ?」
『あの女…ジル?だったか?
あいつから匂いがした。
"ジェイル"に似てるけど、違う匂いが』
「「「⁈」」」
ソフィアの発言に3人は驚愕した。
"ジェイル"
それは「牢獄」と言う名が込められている。
そして怪盗団達が活躍する異世界…「認知訶学の世界」の一つである。
そこでは多くの人々と表裏一体であるもう1人の自分である存在・シャドウから彼らの「ネガイ」を奪い、「改心」を行い、人々を洗脳じみた事をしていた場所。
そこには、「
そしてそのジェイルに入る為に必要だったもの…それは、当時流行っていた人工知能が人々を導くアプリ「EMMA」が必要だった。
だが、現在その「EMMA」はデータ事抹消され、アプリ運営していた会社「マディス社」は倒産。
当時の社長である「近衛明」は現在、自身の贖罪の為に、服役中。
おまけに開発者であった「一ノ瀬久音」の方もデータを完全にマディス社にやったので事実上「EMMA」は使用できないのである。
ソフィアの発言を聞いた3人は近くの開き部屋へと入り、作戦会議を開いた。
「一先ず、此処は空き部屋の様だから、安心だな。今後はジョーカーの部屋を仮アジトにした方が良いだろう」ミャ〜
「私もその方が良いです。先輩の部屋は相部屋じゃないと思いますので」
『私も賛成だ』
1人と1匹と1体が賛成の意志を見せるのだが、ジョーカー本人は気まずさを感じていた。
それもその筈、その部屋には今、ラヴェンツァや双子が密かに且つ一緒に居座っているのである。
取り敢えずジョーカーは選択した。
▶︎(自分の部屋に)相手がいる。
見届け人がいる。
女の子がいる。
「え?相手がいる?」
「あ、そうか。ラヴェンツァ殿の事か」ミャ〜
「ラヴェンツァ殿?」
「嗚呼。前に話したよな?ワガハイはペルソナの力を引き出す場所 ベルベットルームの支配人によって生まれた存在だって」
「え、ええ…。
あの時は本当に驚きました。
それとその人と如何言う関係ですか?」
自分の力を引き出してくれている。
▶︎ペルソナを強化してくれている。
「先輩のペルソナを⁉︎」
『初耳だぞ⁉︎』
「前に何度もあったんだ。ほら、
なんでもジョーカー曰く、あの時に自身の心はベルベットルームに入っているそうだ」ニャ〜
「ああ、前に何度か見た事あります。突っ立ったまま動かなくなっていた先輩を見た事があります」
『私もだ。でもまさかそんな事が起こっていたんだな』
「と言う事は今、先輩のお部屋にその相手が居るという事は、先輩の部屋で作戦会議は無理ですね…」
「いや、話せば理解してくれると思う」
「ラヴェンツァ殿の事だ。ジョーカーの事は期待してくれているからな」ミャ!
そう言う訳で、取り敢えずは保留と言う形でこの話は後にする事になり、ジョーカー達は本題に入った。
「まず、ソフィアの発言。これは強ち間違いじゃないと思う。
実を言うとワガハイもあの女が近づいた際にオタカラの様でそれとはまた違うニオイを感じた。
何かあるとしか考えられない。だが…」
『どうやって確かめるかと言う事になる』
「うーん。困りましたね…」
途方にくれる怪盗団。
そんな中、ジョーカーは思い返していた。
「(パレスとジェイル。この二つはいずれもパスワードが必要だった。
パレスでは『パレスの主』『主の拠点』『その拠点の歪んだ認知場所』。この3つが必要だった。
ジェイルは『ジェイルの王』『EMMAのトモダチ申請時に必要なパスワード』が必要だった。
だが、どちらも共通して言える事がある。
どちらも…スマホからアクセスしてパレスやジェイルに潜入していた。
もし、ソフィアやモルガナの発言が本当なら、俺が知らないアプリがインストールされている筈)」
そう言うとジョーカーはスマホを握り操作する。
それに気付いたソフィアは邪魔にならない様に身を隠す。
するとジョーカーはそれを発見した。
そこには…
『√Net.』
と、何故か英語等で書かれているアプリがインストールされていた。
だが、ジョーカーはこのアプリを知らない。
おまけに捕まる前までインストールした憶えすらないのである。
するとジョーカーはスマホ内にいるソフィアに話しかける。
「ソフィア」
『?如何した?』
「このアプリをインストールした憶えはあるか?」
そう言うとジョーカーのスマホ内にある先程のアプリをソフィアに見せる。だが、結果は…
『"√Net."?いや、私もインストールした憶えが全く無い。
それが如何かしたのか?』
ソフィアの回答の答えを聞いたジョーカーは確信した。
原因はこのアプリだ。と。
するとジョーカーはそのアプリをタップし、起動させる。
するとそこには
『NAME』
『PLACE』
『PiR(Place is Role)』
と書かれていた。
「「『⁉︎』」」
「ビンゴ」
そう言うとジョーカーはマイク入力する。
「ジル。アルゼナル。軍事施設」
そう言いながら発音入力する。
すると、
『検索完了。該当地点 1件。
現在地と合致。
マッピングフィーリング中。
フィーリングライズアップ。
"インペリウム"確認。
ナビゲートを開始します』
「まさか⁉︎」
「そのまさかだ!」ミャ‼︎
『ジョーカー!』
「行くぞ!」
そう言うと周りの景色が変化して行く…!
それは、かつて、彼等が体験した場所…パレスやジェイルと同じ感覚だった。
そう彼等は三度相見える事となる。
「認知訶学の世界」へ。
『ようこそ。インペリウムへ』
ナビゲートの歓迎と共に、その場所はジョーカー達の世界が一変する…!
ヤルダ バオト
かつて、雨宮蓮をベルベットルームへと誘わせ、牢獄に捕らえ、
『更生』と言う名の誘惑を施そうとした存在。
その正体は人々が怠惰を繰り返し、やがてその膨大な力が昇華した悪の神。
だが、それは3年前のクリスマスイヴにて終結した。
…筈だった。