クロスアンジュ〜天使と竜と怪盗の円舞曲〜   作:かもめカメ

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「(命令権のある)領域」
帝国(エンパイア)の語源とも言われている。
(Wikipedia参照)


3ー3 PLACE is IMPERIUM

ジョーカーが開いたアプリ「√Net.」が起動し、彼等の周りが大きく変化した。

そして目を見開いた一行。そこには…

 

「皆、無事か⁉︎」

 

「大丈夫か⁉︎」

 

ソフィアとモルガナが居た…怪盗時の姿である「ソフィー」と「モナ」の姿として。

その姿に気付いたすみれ=ヴァイオレットと蓮=ジョーカー。

彼等もまた怪盗団としての戦闘服に姿が変わっていた。

 

「モルガナ先輩とソフィアちゃんが怪盗服になってます!」

 

「2人も怪盗服になってるぞ⁉︎」

 

「此処まで来たら、最早確信的だ…」

 

ジルは此処の王だ。

▶︎ジルは此処の主だ。

 

「…そうとしか言いようがありません。

取り敢えず、部屋から出てみましょう。幸い、此処はセーフルームでしたっけ?そんな感じになってます」

 

そう言われ、此処からは4人で行動する事になった。

 

そして部屋から出たジョーカー達はすかさずカバーを用いて、安全か如何か確認する。

 

「先ずは何をするかだが…」

 

「安全な出入り口を探す」

 

「安全な出入り口…パレスの出発点の様なものですか?」

 

「大方それで合ってる。ソフィアなら分かる筈だ。『此処ならシャドウが来ないから自由に出入り出来る場所』が!」

 

「それなら任せろ…!」

 

そう言うと辺りをクンクンとまるで匂いを嗅ぐかの様に探し始めるソフィー。幸い、今はシャドウが徘徊していない。

にしても、ソフィーがまるで犬の様だ。

するとソフィーが見つけた様だ。

 

「ジョーカー!出入り口が分かったぞ!」

 

「流石だ」

 

「ナイスです!ソフィー!」

 

「役に立ってるか?」

 

「ああ!相変わらず役に立つぜ!」

 

「役に立った!♪〜」

 

「よし、行こう。ソフィー、案内を頼む」

 

「ガッテン・ショウチ!」

 

そう言うとソフィーをジョーカーの少し前を歩かせ、それを他の3人がついて行く。

4人がその場から離れた中、4人が居た部屋の近くから1人の女の子がひょっこりと顔を出した。

 

「此処…何処?」

 

桃色の髪の女の子…ナオミが辺りを彷徨き始めていた。

何故、彼女が此処に居るのか。

実は先程のアプリ起動時の前にジョーカー達を見かけ、そして彼らの話を盗み聞きしていた際にアプリが起動され、巻き込まれてしまったのである。

怪盗団メンバーの1人である杏=パンサーと同じ境遇の様に。

 

そうとは知らずに目的地へと急ぐメンバー。

場所はどんどんと上へと進んでいく。

 

「この先は確か演習場でしたよね」

 

「そうだな。そこは此処とは違って、広いと同時に奇襲がしにくい」

 

「だが、肝心のシャドウの反応は無いぞ」

 

「要するに此処からなら安全に出入りできると言う訳だな」

 

「そうと決まれば、今日は此処から退散しよう」

 

そうジョーカーが呟くと3人も頷く。

 

「そうですね。それに、先輩はお腹空いてそうですし」

 

「お昼時だな」

 

グー…!

 

「お?言ってる側からだな?」ニヤニヤ

 

「あはは…」

 

「病み上がりなんですから、無理も有りませんよ」

 

「さ、此処から出よう」

 

そう言うと一行は近くにあった出入り口に入ろうとした。

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きゃぁぁぁぁぁ⁉︎

 

 

 

『⁉︎』

 

 

突然、聞こえてきた悲鳴。

その声を聞いた一行は驚く。

 

「今の声…!」

 

「誰か、イセカイに来ているのか⁉︎」

 

「なぁ、ジョーカー!この声は…」

 

▶︎ナオミの声だ!

如何して彼女が此処に⁉︎

 

「なら、急ぎましょう!彼女は此処では戦える力がありません!」

 

「ソフィー!ナビの代わりと言ってはなんだが、さっきの女の子の声の発生源を調べられるか⁉︎」

 

「今、検索中だ!…見つけた!こっちだ‼︎」

 

「行くぞ!」

 

そう言うと一行は声の主であるナオミの元へと急行したのであった。

 

 

一方、その頃。

ナオミの方は大変な目に遭っていた。

 

黒く悍しい姿をした仮面を被った輩共に追われていたのだ。

それは「シャドウ」と呼ばれる「認知訶学」の世界に存在する化け物達であった。

普段なら護身用としてナイフや銃を携帯するのだが、この時…ナオミの手元には無かったのだ。

ジョーカーやヴァイオレットの様子を見る為だけなのに、銃やナイフを携帯する訳にもいかなかったのだ。

 

その為、ナオミはただ、自分に危害を加えようとした化け物から逃げる事しか出来なかったのだ。

 

しかし、そんなナオミも窮地に立たされてしまった。

そこはパラメイルが離着陸を行うメインデッキ。そのギリギリの所までナオミは追い詰められてしまったのだ。

するとシャドウが周りの仲間と話しかける。

 

 

(なぁ、この方は確かナオミ様では無いのか?)

 

(外見は確かに似てるな?)

 

(だが、何故俺達から逃げたんだ?)

 

(兎に角、このままだと我らが陛下(マジェスティ)・アレクトラ様がお怒りになる!)

 

(急いで連れて行くぞ)

 

そう言うとナオミの元へと歩み寄るシャドウ達。

 

「(この人達…怖い…!

恐怖で脚が動けない…‼︎

私…このまま…殺されちゃうの…?

嫌だ…死にたく無い!…生きていたいよ…!

生きて皆んなと楽しく過ごしたいよ…

 

助けて…皆んな…

 

助けて…ジョーカー君…!)」

 

シャドウが近づくに連れて恐怖に狩られるナオミ。

心の中ではそう発しながら足元が揺れ動き、思うように動けない。

 

(大丈夫ですよ、ナオミ様!我々が貴方の事を保護しますので!)

 

そう言いながらシャドウが近づいてくる…優しい言動とは裏腹に仮面を被っているので、説得力が欠けてくる。

そんな得体の知れない奴に身を任せるぐらいなら…

と、ナオミは後ろを振り返る。メインデッキにいる場所なので、その下は最早海同然。しかも、物凄く赤黒く波のように揺らいでいた。

一言で現すなら水のようにサラサラなのに、まるでゆっくりと沈み込まれそうな沼の様な感覚。

それが視認しただけで分かってしまう。

ナオミは海なのか沼なのか分からない場所へと飛び込もうとしていた。

 

(⁉︎そちらに行くのはおやめ下さい‼︎

そちらに行けば、もう二度と戻って来れません‼︎)

 

「え?」

 

(そちらは、このデッキから羽ばたき、帰って来なかった者達の血を啜り続ける血海です!

そちらに行けば、貴方はもう二度と帰って来れなくなります!

さぁ、私達が保護します!なのでこちらに手を出して下さい!)

 

「そんな…」

 

飛び降りようとしていたナオミの決意と判断が完全に振り出しにされてしまった瞬間であった。

 

「(この人達に保護されたら、何をされるか分からない…

けど、かと言ってこの下の海に飛び込めば戻って来れない…

こんな時、ジョーカー君は如何答えるんだろう…

 

あれ?そういえばなんで私…ジョーカー君の事を考えていたんだろう…?

なんと言うか…愛想を振りまいているだけで、何を考えているのか分からなくて、ちょっと無邪気な人なのに。

でも…心がすごく暖かく感じる…これは一体…)」

 

そうナオミが心の中でそう呟くと、声が聞こえた。

 

 

"それは人が持っている感情の一つが大きく作用しているのです"

 

 

「⁉︎誰⁉︎誰なの⁈」

 

そう言いながら周りに向かって叫ぶナオミ。

だが、周りにはシャドウ達だけ。海からも彼等からも応答は無い。

 

 

"大丈夫。貴方の願いはたった今、聞き届けられました"

 

「え?」

 

そうナオミが呟くと同時に、目の前にいたシャドウの肩に誰かが肩車をした。

そしてその者の言動とその正体に彼女は驚いた。

 

 

 

「暴いてやる!」

 

ザシュッ‼︎

 

(し、侵入者だと⁈警報もなっていないぞ⁉︎如何なっている⁉︎)

 

「⁉︎ジョ、ジョーカー君⁈」

 

「無事か!ナオミ‼︎」

 

「ワガハイ達が迎えに来てやったぜ!」

 

「大丈夫ですか!ナオミちゃん!」

 

「無事か?」

 

そう言うとジョーカーは武器であるナイフとハンドガンを手にし、

ヴァイオレットも得物であるソードブレイカーを待ち構え、

モナもパチンコを装備してシャドウに向けて狙いを定め、

ソフィーもヨーヨーを回転させて戦闘に入った!

 

挿入歌(『What You Wish For』)

 

 

「戦い方はジェイルに似てるな」

 

「ああ。ヴァイオレット!相手は機敏に動く!待ってはくれない!隙を見せたら瞬時に使え!」

 

「分かりました!」

 

「その前に…行くぞ‼︎」

 

「応!」

「はい!」

「ボコスカ・チャンス‼︎」

 

そう言うと彼等はすかさず気絶している敵を中心に周りの敵を巻き込み、一斉攻撃を放った。

怪盗団の代名詞の必殺技の一つ「総攻撃」が放たれたのだ!

 

その攻撃を食らった多くのシャドウが消え、

残ったシャドウ達も化けの皮を自ら剥ぎ悪魔の姿を顕現させる!

 

場に出たシャドウもとい悪魔達は「インキュバス」「サキュバス」「コッパテング」「オンモラキ」の4種類。

 

それを見たジョーカーはソフィーとヴァイオレットに視線を向ける。

 

「ヴァイオレット!バトンタッチだ!」

 

「了解です!」

 

そう言いながら手を合わせてパチンッ!とハイタッチする。

戦略の一つ…バトンタッチである。

そしてすかさずモナが状況判断した。

 

「此処にいる奴等は全員"祝福"が弱点だ!祝福属性を狙え!」

 

「なら!」

 

そう言うとヴァイオレットは仮面である黒のドミノマスクを剥いだ!

 

「魅せて!"サンドリヨン"!『マハコウガ』‼︎」

 

するとシャドウ達の周囲に光の棒が現れ、それぞれにヒットして行く!

 

「追い討ちだ!照らせ!"パンドラ"!『マハコウガ』‼︎ 」

 

そこへソフィーが更に自身のペルソナであるパンドラを顕現させて、追い討ちとばかりに弱点を突く!

 

すると今度はジョーカーとモナが動き出す!

 

「カハク!『アギ』!」

 

するとペルソナの火炎魔法で一部の敵の身体から火が出た!

状態異常の一つ「炎上」だ。この状態の相手に対して疾風属性の魔法を与えると「テクニカルヒット」し、敵が気絶する。

そしてその隙をモナが見逃さない!モナとジョーカーはすかさずバトンタッチをした…刹那‼︎

 

「来たれ、我が半身!"ゾロ"‼︎」

 

すると上半身がマッシブな黒ずくめの仮面剣士のペルソナ「ゾロ」が現れた!

するとゾロがZの軌跡を描くと同時に、敵に風が襲い掛かる!

 

「『マハガル』‼︎」

 

疾風属性の魔法「ガル」の広範囲版を敵にヒットさせ、見事「テクニカルヒット」を起こした!そしてそこに向けてジョーカーは突き進む!

 

「SHOWTIME!」

 

そう言うとジョーカーはすかさず上空へと舞い、仮面を剥ぐ!

 

アルセーヌ‼︎

 

すると彼の隣に自身のペルソナであるアルセーヌを顕現させ、呪怨の力を秘めた力で敵を一掃した!

 

そして最後のシャドウである一体が地面に這いつくばる。

 

(おの…れ…!

これで…済むと…思う…な…よ…!

我らが…陛下(マジェスティ)…アレク…トラ…様の…

前で…跪け…賊共…!

ナオミ様…ご無事で…ありますように…ガフッ)

 

そう言うと同時にシャドウは消え去った。

だが、怪盗団の皆は疑問を持ち始めた。

 

「なぁ、今さっき…彼奴は何て言った?」

 

「マジェスティ…って、言っていました」

 

「マジェスティは『陛下』と言う意味があるぞ?」

 

「マジェスティ=陛下か…。

それよりも、大丈夫か?ナオミ」

 

取り敢えず、今の疑問は置いておくとし、ジョーカー達はナオミの元へと歩み寄る。

ナオミも自分を助けてくれた人に感謝しようと顔を上げて見てみるとそこに映っていたのは…自分の部下であるジョーカーとヴァイオレット。それとあと見知らぬ女の子と…黒い狸っぽい存在だった。

 

「私は大丈夫…

 

…って、狸が喋ってる⁈」

 

「誰がタヌキだ‼︎

ってか、ワガハイ、タヌキじゃねぇー!

猫だ‼︎…って、猫でもねぇよ‼︎

と言うより、タヌキと呼ばれたのこれで2回目だぞ…」

 

「見た目はこれでも中身は猫だぞ?」

 

「おしいですね。先輩」

 

▶︎『僕はタヌキじゃない』?

『化け猫じゃねぇ!』?

 

「おい、それは言っちゃダメな奴だと思うぞ⁉︎」

 

「俗に言うメタ発言だな!」

 

「ソフィーもソフィーでナビから余計な言葉を憶えてくるんじゃねえよ…。

と言うより、ワガハイのツッコミも疲れてきたんだが…」

 

▶︎まだ先がある。

此処で疲れるな。

 

「まだ先があるって…ああ〜…そうだった。

結局こうなるんだな…トホホ…」

 

「ドンマイ」

 

「少しはフォローしろよ‼︎」

 

「あはは…。

それはそうと…もしかして…ジョーカー君とヴァイオレット…なんだよね?」

 

「あ、えっと…」

 

 

モナのツッコミガトリングトークが終わったのを見たナオミはジョーカーとヴァイオレットの顔を見る。

ジョーカーはヴァイオレットを見やると、ヴァイオレットの方も困り果てていた。

 

「どうしましょう…」

 

▶︎正直に話そう。

嘘を話す。

誤魔化す。

 

「…そうですね。その方が後腐れが無くなりますしね」

 

 

そう言うとジョーカー達はナオミに今の現状を説明する事にした。

此処が異世界である事…

そこに住まう敵《シャドウ》の事…

そして自分達が心の怪盗団として活躍していると言う事も…

 

「…嘘…じゃないもんね。実際にあんな戦闘場面を見せられたら…」

 

「誰だって、最初から信じてはいないさ。でも、それでもワガハイ達はやり遂げてきたんだ」

 

「出来る事なら信じて欲しい」

 

ジョーカーの発言を聞き、ナオミは頷いた。

 

「うん。私も貴方達の事を信じないとね。

だって、皆んな私の部隊の仲間だもん!

仲間は信じないとね♪」

 

そう言いながらウィンクするナオミ。

それを見た一同は取り敢えずホッとした。

さて、話が纏まったので、一同はナオミと共にソフィーが見つけていた出入り口を目指すことにした。

 

「それにしても、どうしてナオミさんが此処へ?」

 

「実は、ジョーカーとヴァイオレットが部屋に入っていたのを見て、つい盗み聞きしちゃって…」

 

「成る程。…要はワガハイ達のせいで巻き込まれたのか」

 

「なんとも言えない空気感…」

 

「済まない…」

 

「ううん。大丈夫。それに私が盗み聞きしちゃったのがそもそもだしね。

それにしても、さっきの話を聞く限り、

この異世界…インペリウム?だったっけ?

そこにはマジェスティが存在すると言っていたけど、アレクトラって…誰?」

 

「アレクトラ?誰だそいつは?」

 

「え?皆も知らないの?」

 

ナオミの発言を聞いた一同。確かに此処へ来るときにそんな名前を使用した憶えが無いのである。

 

「嗚呼」

 

「ワガハイ達が此処に来る際には、『陛下の名前』『場所』『陛下がその場所をどう捉えているか』の3つのパスワードが必要だ。

だが、ワガハイ達が入った際に入れたパスワードは…」

 

「『ジル』『アルゼナル』『軍事施設』の3つだ」

 

「え?…2番目の場所は確かにアルゼナルで間違い無いし、

ドラゴンを駆逐するため…と言う名目なら3つ目の『軍事施設』でも強ち間違い無いけど…

でも、名前は完全に違うよ⁈

ジル司令の名前で入れるって…」

 

「どうなってるんだ?」

 

ナオミの発言に対して、考え込む一同。

2番目と3番目のパスワードは確かに間違いは無い。

なのに、何故シャドウ達はアレクトラと呼称していたのか。

ジルと入力して入った筈なのに、アレクトラと呼ばれている現状。

複雑になる中、ジョーカーは「……まさか…」と言った。どうやら仮説が出来た様だ。その仮説とは…?

 

 

「どうしたんですか?先輩」

 

 

 

本名がそもそも違う

コードネームでもヒットする

▶︎ジルもアレクトラも彼女の名前

 

 

 

「⁉︎どういう事ですか⁉︎」

 

「俺達が良い例だ」

 

「?どう言う事だ?ジョーカー」

 

「俺達には怪盗団のコードネームと現実のリアルネームの2つを持っている。

そしてそれは、ジルも同じなのかもしれない」

 

「…‼︎それって、つまり…

ジルさんのは私達のところで言うコードネームで、

アレクトラは彼女の本名と言う事ですか⁈」

 

「予測が正しければ」

 

 

 

 

 

 

 

「"私の名を語るとはな?"」

 

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