クロスアンジュ〜天使と竜と怪盗の円舞曲〜   作:かもめカメ

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アンジュの機体…遂に登場。


3ー5

そして脱出した一同。姿はもとの服装に戻っていた。

 

『インペリウムから帰還しました。またのご来場お待ちしております』

 

そう言うと√NET.はアプリを自ら終了させた。

それを聞いたジョーカー達。周りを見てみると演習場にいた。

天候を見る限り周りは雨が降っていた。

そしてジョーカーはおんぶしていたナオミを降ろす。

 

「有難う。ジョーカー君」

 

「無事で良かった」

 

「…」

 

そう言っているとジョーカーはヴァイオレットに気づいた。

ヴァイオレットはすぐに後ろに振り向く。が、顔からもろに分かっていたのだが、やはりと言うべきかかなり膨れっ面になっていた。

 

(良いもん!私だって…)

 

そう小声で呟きながら嫉妬しているヴァイオレットを見て、ジョーカーは困り果てながらも後ろから…

 

 

 

ギュッ

 

「はひ⁉︎////」

 

「良し良し」

 

そう言いながらジョーカーはヴァイオレットの健闘を称えるかのように彼女の頭を撫でた。

その行動を受けたヴァイオレットは茹で蛸になっていった。

頭から湯気が出る程に。

 

「なんというか…女誑しだね…」

 

そう言いながらナオミが言う。

 

「まぁ、あいつはそれでも大切な者には優しいんだからな。

まさに心の怪盗とも呼べるぜ」ミャー!

 

「へぇ〜…え?」

 

モルガナの返答に相槌を打つナオミ。

そしてナオミはふと足元を見てみるとそこにはジョーカーといつもいる黒猫がいた。

すると黒猫を見つめたナオミ。それに気づいたのかモルガナが言う。

 

「?如何したんだ?ナオミ」ミャ?

 

・ ・ ・

 

「猫が喋った〜⁉︎」

 

「ワガハイだよ‼︎モナだ‼︎

さっきまで一緒に居ただろうが‼︎」ミャ‼︎

 

まぁ、いつもの展開になっていたのである。

そりゃ黒猫がいきなり喋っていたら、誰でもびっくりするに決まっているのである。

 

「これで良いかい?」

 

「も、もう充分です…////」

 

そう言うヴァイオレットだが、顔がもはや完熟されたトマトよりも真っ赤に染まっていた。

 

「ちょちょちょっと、ジョーカー君!猫が喋ってるんだけど⁈」

 

「だからワガハイだよ!

モナだって言ってんだろうが‼︎」ミャ‼︎

 

「ああ〜…」「ああ〜…」

 

『モルガナは猫だけどあっちでは二足歩行になるぞ?』

 

「いやだけど…って?あれ?

さっきのはソフィーちゃん?

声はするけど何処から?」

 

モルガナの定番ネタに流石のジョーカーとヴァイオレットも逸らし目になる中、ソフィーもといソフィアの声がしたので探すのだが、何処にもいない事に気づくナオミ。

するとジョーカーはポケットに入れていたスマホの画面をナオミに向ける。

 

『よ、ナオミ』

 

「ソフィーちゃん⁉︎なんでそんなとこにいるの⁈」

 

『?なんでって…私はAIだからな。

現実には出られないぞ?』

 

「うぅ…頭が可笑しくなりそう。

…と言うより、さっきまでの出来事って本当だったのかも怪しいよ〜…」

 

「誰だって、最初はそんな風になりますよ。私もそうでしたし」

 

ナオミの頭がパニックになる前にフォローに入るヴァイオレット。先程まで大好きな先輩に良し良しされて、顔が真っ赤に染まっていた初心な女の子は何処へやら…

 

そうしていると、ジョーカーが話しかけてきた。

 

「これから如何する?」

 

「これから?…まだ、色々と分からない事もあるけど、出来る事ならジョーカー君と一緒に戦えていける様になりたいな。

あ、そうだ!提案があるんだけど!」

 

「て」『い』「あ」ニャ「ん?」

 

ナオミの発言にそれぞれ一字ずつ返す面々。

ナオミはその提案の内容を告げる。

 

「パラメイルとかの事は私が教えてあげる!

そのかわり、さっきのインペリウム?だったかな?そこの事に関しては教えて?」

 

「ん?それってつまり…」

 

『商談?』

 

「いや、この場合はお得意の《取引》と言う奴だ。

此方側としても、どちらにおいても生存する必要があるからな。

それにパラメイルを動かすんだ。

色々とレクチャーしてくれるのなら願ったり叶ったりだぜ」ミャ!

 

ナオミの提案にモナが掲示する。

確かにジョーカー達のいる場所は一言で言うなら「死と隣り合わせの場所」である。

なのに右も左も分からない状態になると、この先において命を落とす危険性も孕んでいる事には間違いなかった。

 

「(この提案…もとい取引は応じた方がこっちの方にも理に叶っている。

ナオミの方もインペリウムに侵入する際には仲間として共に攻略したりする事も出来るし、向こうとしてもイセカイの知識も得て、WIN-WINの関係が出来上がる。うん。良い案だ)」

 

そう考えたジョーカーはナオミに顔を向ける。

 

こちらこそお願いします。

▶︎取引成立だ。

 

「!有難う!これからバンバン教えていくね!

皆んなも教えてね!」

 

「はい!」

 

『任せろ!』

 

「ワガハイ達に出来る範囲でな」ミャ

 

これにより、ナオミとの取引が成立したジョーカー。

そしてジョーカーの心の中に新たな絆を持った感覚を得た!

 

 

我は汝 汝は

汝、ここにたなる契りを得たり

 

契りはち、

囚われをらんとする反逆の翼なり

 

我「信頼」のペルソナの誕に祝福の風を得たり

自由へと至る、更なるとならん…

 

 

アルカナ「信頼」

コープアビリティ 「操縦技法」

パラメイルの操縦熟練度が上昇する。

ナオミの成長速度が上昇する。

 

「さて、怪盗団の仲間になったんなら、コードネームが必要だな」ニャ!

 

「コードネーム?」

 

『怪盗としての自分の名前だ。ジョーカーやヴァイオレットが良い例だ。因みに私はソフィーで、こっちではソフィアって呼んでくれ』

 

「ワガハイはモナだな。本名はモルガナだ。間違えんなよ」ミャ!

 

「うん。…と言うより、ヴァイオレットもジョーカーも本名じゃ無かったんだ…」

 

「ジル司令から名前を取られそうになったから、咄嗟に怪盗としての名前を提示したんです」

 

「人の名前を取るのは()()()()()だ。

因みに俺の本名は雨宮蓮だ。雨宮はファミリーネーム。蓮が名前だ」

 

「私は芳澤すみれが本名です。

すみれが名前で芳澤がファミリーネームです!改めて宜しくお願いしますね。ナオミ隊長♪」

 

「うん。宜しくね すみれさん。蓮君」

 

▶︎いつも通りの方が良い。

他人行儀で嫌だ。

 

「え?」

 

「敵の目を誤魔化すにはいつも通り、コードネームで呼んで欲しい。ワガハイやソフィア共々頼んだぞ」ニャ

 

「成る程。うん。それなら宜しくね。ジョーカー。ヴァイオレット」

 

「はい」

 

「ああ」

 

『おーい!そろそろ本題に入ろう。話が逸れてるぞ』

 

「「「「「あ」」」」」ミャ

 

ソフィアの一言で思い出す一同。

怪盗団の仲間達は色々と話し出すが中々良い案が思い付かない。

そんな中ジョーカーはナオミを見て、そして先の戦闘で見せたナオミペルソナ《ラ・ピュセル》を見て閃いた様だ。

 

「"オルレアン"」

 

「オルレアン?」

 

「味方を鼓舞して、自分が戦線に立ち先導する1人の聖女の様に、みんなを引っ張っていけるから」

 

「オルレアン…うん!気に入っちゃった!

じゃあ今度からオルレアンが私のコードネームだね!宜しくね皆んな」

 

ナオミは大変ご満悦の様だ。

こうして怪盗団に新たな仲間が加わった瞬間である。

 

 

「さて、それじゃあこのあとは…」

 

グゥ〜

 

ナオミが発言しようとしていたらお腹が空いたと発する音が鳴った。

それに気づいた一行はジョーカーを見やる。

ジョーカーはちょっと恥ずかしかった。

 

「先輩…」

 

「締まらないなぁ…。

リュージじゃあるめ〜し…」ミャ…

 

『こう言うのをKYと双葉が言ってたぞ…』

 

「面目ない…」

 

「あはは…。まぁ病み上がりでいきなりあんな感じだったんだから仕方ないよね。

それじゃ食堂は… まだこの時間は空いて無かったんだ。

それじゃあ、ジャスミンモールに行こうか。あそこなら食べ物も少なからず有るからね」

 

そう言うと一行はジャスミンモールへと足を運ぶ事にしたのであった。

 

 

ーーーーー

足を運んだ一行はジャスミンモールを覗き込む。が、何処からどう見ても誰もいないのである。

いるのはただ1人…ではなく1匹。

ジャスミンと行動をしている犬のバルカンだけだった。

 

「あれ?バルカンだけ?困ったな…」

 

「?ワフッ?」

 

「ジャスミンさん何処に行ったんでしょう?」

 

肝心のジャスミンがいない事に困惑する一行。

するとモルガナの所にバルカンがやって来た。

 

「?何の様だ?」ミャ?

 

「ワフッ」

 

「何?墓場にいるだと?」ミャ?

 

「墓場?誰かのお参りでしょうか?」

 

『そもそもこんな辺境の場所に墓場なんてあるのか?』

 

「墓場…もしかしてあそこかな」

 

▶︎心当たりがあるのか?

何か知っている?

 

「うん。私達ノーマがドラゴンとの戦いに敗れた時に行く場所。ちょっと行ってみようか。

バルカン有難うね」

 

「ワフッ」

 

そう言うと一行は移動する直前。

 

「その前にお腹空いてたから食べ物が欲しいな」

 

ズッコケッ‼︎

 

完全に目的を忘れていた一行。ナオミの発言にヴァイオレットやモルガナ,ソフィーがズッコケる。

ジョーカー自身は流石にお腹が背中とくっつきそうになっていたので憶えていた様だ。

 

「ワフッ…」

 

そんな中、ナオミの発言を聞いて犬で有りながら、呆れているバルカン。

まぁ、それでも金さえ支払えば何も言わないのである。

そうしてナオミ達は軽めの食べ物を購入し、墓場へ移動しながら食事する事になった。

 

 

「墓場と言う事は此処にいるノーマの皆さんのお墓…と言う事で良いんでしょうか…」

 

「そうだね。…尤もその石の下に骨が埋められている訳では無いけど」

 

『?どう言う事だ?』

 

▶︎撃墜時に遺体が無い事があるから

ドラゴンに喰い殺されたから

 

「…確かにそれも一理有りますね。

初陣の時は誰も撃墜しなかったですし、

ドラゴンに喰い殺されたりしていませんでしたから」

 

「うん。だから名ばかりの墓が建てられているんだよ。

骨があるのはおおよそドラゴンの腹の中か、海底のどちらか。

それに骨があるのは戦闘向けではないノーマの子達。主に整備班とかのサポート面で活躍してくれている女の子達や教育中に病で倒れて死んじゃった子供達の骨しか埋めていないんだよ」

 

そう言いながら話を進めていくナオミ。

その言葉を聞いたジョーカーは1人の仲間の事を思い出す。

その者の名前は「長谷川善吉」公安所属のエリート警察官。

そして怪盗団の一員…コードネーム「ウルフ」の名を持つ男である。

彼は自分の妻を轢き殺された経緯がある。

そして自分達が「改心事件」の際に善吉の地元である京都にて善吉の奥さんの墓にて怪盗団の皆んなとお墓参りした事がある。

一連の事件後は、お盆の際に皆んなと一緒にお墓参りして、綺麗にした。その時に善吉や娘の茜と共に夏休みを過ごした事もあった。

 

「…ジョーカー君。少し良いかな」

 

「?」

 

と何やら思い出に履けているとナオミから話しかけられてジョーカーは顔を向ける。

 

「ジョーカー君やヴァイオレットの周りには大切な人が亡くなった人っているのかなって…」

 

「あ…」

『それは…』

 

ナオミの発言を聞いた一同。

ヴァイオレットは思いきり心当たりがあるのか少し躊躇い、

ソフィアは仲間達から色々と聞いていたので如何返せば良いのか分からない状態だった。

 

「…おい、如何する?」ミャ…

 

そんな中でモルガナだけがジョーカーに問いかける。

ジョーカーは…

 

▶︎本当の事を話す。

曖昧さを含めて話す。

 

「うん」

 

「ワガハイ達の仲間にフォックス,クイーン,ナビ,ノワール,ウルフと呼んでいる仲間がいるのだが…」ミャ…

 

『フォックスとナビは母親を…

クイーンとノワールは父親を…

そしてウルフは奥さんを亡くしている』

 

「私は双子のお姉ちゃんが居たんだけど…私の所為で死なせてしまったの…」

 

「…そっか。私ね…インペリウムの時にも言ったと思うんだけど、

2歳の頃に此処に連れてこられてね。兄弟姉妹とかもいなくて…

風の噂で聞いたんだけど、お父さんもお母さん…殺されたって言われて…」

 

「殺された⁉︎」

 

「うん。私がノーマであろうと育てたいと思っていたらしくて、取り返そうとしたんだけど、本物の銃で撃ち殺されたって…」

 

お互いの悲しい話をしていきながら墓場を目指す一同。

その雰囲気は外にて降りしきる雨と相まって更に重く感じた。

そんな中でジョーカーはナオミの頭を撫でた。

 

「はひぃ⁉︎////」

 

「我が子を見捨てる親なんてこの世には居ない」

 

「ジョーカー…「だけど…」?」

 

「我が子を道具としてしか見えていない大人がいる事も事実だ」

 

「…」

 

ジョーカーから言われた一言にナオミは優しさと悲しさに包まれた。

そしてそんなジョーカーの話を聞いたモルガナは呟いた。

 

「…シドウか」ミャ

 

「シドウ…?」

 

「詳しい話はまた今度な。それよりもあそこが墓場か?ナオミ」ミャ

 

モルガナの呟きに聞き返すナオミ。だが、モルガナはその話を今度するとはぐらかしながらも、目的地に着いたのであった。

するとその墓地の中央地点では右からジャスミン,ジル,アンジュが佇んでいた。それに気づいたジョーカーはナオミ達をその場に留まらせ、自分はカバーを行い、瞬時にジル達の近くにまで隠れた。

幸い此処には犬のバルカンが居ない為、気が鋭い奴以外は気づかれにくい。

そんな中でジョーカーは聴き耳を立てる。

 

「これから…これからどうなるのですか…

私は…どうすればいいのですか?」

 

「戦って、ドラゴンを倒す。以上だ」

 

「!…」「…」

 

ジルの一言でたじろぐアンジュ。

隠れながら聞いていたジョーカーは心の中で考えつつも、話を聴き続ける。

 

「なんなのですか、ドラゴンって…

如何して私があんなものと…!」

 

「授業を聞いていなかったのか?

ドラゴンを殺す兵器…それが私達ノーマに許されたたった一つの生き方だ」

 

「皇女様としては本望だろう?

世界を守る為に戦えるんだからね」

 

「世界を…?」

 

「此処でノーマの子供達がドラゴンを倒してくれているからマナの世界は平和を謳歌している」

 

「え…」「‼︎」

 

「平和ボケしたあんたの世界はね…

誰にも知られずに死んでいったノーマ達が守っていたんだよ」

 

「知りません…そんな事…何も」

 

「今度はお前の番だ」

 

「知りません!だって私はノーマでは無いのですから!」

 

そう言いながら頑なに今の現状を拒絶するアンジュ。

そんな会話の中でもジョーカーは静かに聴き耳を立て続ける。

そうしているとジルはアンジュにエマ監察官から拝借したマナで動かすペンを手渡される。

如何やら、それを用いてマナを使えるのかどうかを試そうと言うのだ。

 

そう言われてアンジュはマナを行使する為の呪文らしき言葉を唱える。だが、反応は無い。ノーマはマナを使う事が出来ず、それどころかマナを拒絶する性質を持つ。

遠回しに言えば、アンジュがノーマであると言うことへの確信だった。

そうしているとアンジュは語る…

 

 

「今だけ…

ほんの少しマナが使えないだけではありませんか…

それだけで…それだけで!こんな地獄みたいな所に突き落とされるなんて…

あまりにも理不尽です‼︎」

 

そうアンジュは語るのだが、ジョーカーから見れば…

 

「(その言葉はもはや…ただの言い訳にしか過ぎない…)」

 

そう感じていた。

そしてそれはジルもそうだった。彼女の発した言葉をたった一言で片付ける。

 

「そう決めたのは、お前達だろ?」

 

「‼︎」

 

「お前は…お前達が、作ったルールに従って此処に来た」

 

その言葉を聞いたアンジュは此処に来る前に自身が言った言葉を思い返した。

そして同時に彼…ジョーカーの言葉も思い出した。

 

「(あの怪盗が言っていたのはこの事だった…と言うの…)」

 

自分達のルールに従った結果、自分が此処に来たと言う紛れもない事実に打ちひしがれるアンジュ。

 

「やはり理不尽だよ…

ココはいま、12だよ」

 

そう言いながらジャスミンが目を向けている場所の墓に刻まれている少女の名前の墓をジョーカーは見やる。

 

「12…シルヴィアと同じ年。

!違う!シルヴィアとは違います!だって…

 

「ノーマは「人間じゃない…だろ」?」

 

そうジルが言おうとしているとなんとジョーカーが聴き耳を立てるのをやめて歩み寄る。

そして近くの墓に手を合わせて冥福を祈る。

 

「お前さん…」

 

「人間でもノーマでも、俺の考えとしては、

どちらも生きとし生命に過ぎません。

化け物だから何もしないのはもはや人の身を被った化け物同然です」

 

「薄々気づいていたが…盗み聞きとは関心しないな」

 

「俺の私物の個人データを盗み見した人には言われたくありませんね。

履歴はきちんと消しておくべきでしたね」

 

「…」チッ

 

流石に気づかれていたのかジルに感づかれた様だ。

だが、ジョーカーは逆にスマホを取り出して揺する。

それを見たジルは舌打ちした。

こう言うハイテク機器の処理の仕方は流石に知らなかったようだ。

そう言うとジョーカーはアンジュに近寄る。

 

「アンジュ。君は何様なんだ?

皇女じゃなくなり、マナを使用できず、やらなければいけない義務を果たせず、目の前の敵から敵前逃亡して、

危うく殺されそうになった生命を無駄にしようとした君は何者なんだ‼︎」

 

「私は…私は…」

 

そう嘆きながら地に伏すアンジュ。

降り頻る雨が彼女を更に打ちひしがれる。

 

そんな中、レインコートを着たサリアが彼等の前にやって来る。

サリアはジョーカーを見て驚くもすぐに冷静に戻り、そしてジルに伝達する。

 

「司令。ドラゴンが見つかりました」

 

「立て、アンジュ。出撃だ。

 

…呆けている場合か!この世は不平等で理不尽だ。

だから殺すか死ぬか。そのどちらかしか無い。

死なそうとした仲間達の贖罪の為にドラゴンを殺せ!

それが出来なければ死ね‼︎」

 

そう言いながらジルはアンジュを立ち上がらせる。

そう言うとアンジュは泣き叫ぶ。

 

「なら、殺して下さい。こんなの…辛すぎる!」

 

だが、ジルはそれを拒否しようとアンジュの問いを返そうとしたその時だった。

 

「ッ‼︎」

 

 

 

パシィン‼︎

 

『⁉︎』

 

それを遠くから見ていたナオミやヴァイオレット,モルガナ。

近くにいたジャスミン,サリア,ジル。

そしてジョーカーのスマホの中にいたソフィアが驚愕した。

それはジョーカーがアンジュの頬をビンタしたためだった。

 

「!…嬲りました…家族ですらそんな事無かったのに!」

 

「自分の生命を軽はずみにするな‼︎」

 

そう言うとアンジュの襟を掴むジョーカー。

 

「そうやって甘い生活を生きて来たからこんな事が言えるんだ!

世界はそんな甘ったるい世界では出来て無いんだよ!

君が感じている今、この状況が地獄だと?

俺から言わせればこれはまだ良い方だ!

本当の地獄は…誰からも知られずにただ死を待つばかりになっている時だけだ!」

 

「‼︎」

 

そう言うとジョーカーは襟を離した。

するとジルがジョーカーと対面する。

 

「それにしても人を焚きつけるとはお前も大したものだな」

 

「褒めているのか?生憎俺にはそんなものは必要無い。

俺の目的はただ一つ…

仲間達の元へ元気な姿で帰る事だ」

 

「一度、アルゼナルへと連行されたら最後。そう簡単に脱獄は出来ん。それでもか?」

 

「俺の中にある"(叛逆の)意志"がある限り」

 

そう言うとジョーカーはアンジュから離れる。

するとジョーカーの元にサリアが来た。

 

「…生き帰ったのね」

 

「あの程度でやられてたまるか」

 

「瀕死手前だったのに…。

…それと一つだけ言っておくわ」

「?」

 

「貴方の機体 ジューダス…いや、アルセーヌなんだけど、今日はもう出撃出来ないわ」

 

「何⁉︎」

 

「無理も無いわよ。あの攻撃をくらってこうやって生きている事自体が奇跡に近いのに、機体が小破程度だと思わないで。

貴方は此処で休んでいなさい。部隊長命令よ」

 

そう言いながら話を進めるサリア。

それを聞いたジョーカーは苦虫を噛んだかのような表情を見せる。

結局のところ、彼は今度の出撃はお休みと言う事であった。

 

「…イエス、マム」

 

「…あの子も連れて行くけど…必ず生きて帰らせるわ」

 

そう言うとサリアは屋内にいるヴァイオレット達の方を向けてジョーカーに話をする。

するとジョーカーはサリアに自身のスマホを手渡した。

 

「?これは確か、貴方の…」

 

「ヴァイオレットに持たせてくれ。お守り代わりとして」

 

「分かったわ。それよりも問題はアンジュの方ね」

 

そう言うとサリアは今度はアンジュの方を見る。

そうなのだ。彼女の機体は先の戦闘にてゾーラの機体と共に全壊寸前にまで陥っていたのだ。

それを見た整備長のメイ曰く「これはもう修理するより新しいのを配備した方が早い」とも言われてしまっていたからだった。

 

「司令。アンジュも連れて行くとなると現在、パラメイルがありませんが…」

 

「あるじゃないか…()()が」

 

ジルがそう言うとジャスミンは思い、そしてサリアは目を見開いた。その様子を見たジョーカーは何かがあると予想した。

 

「と言う訳だ。ジョーカー。お前は今回の出撃は許可しない。

その代わり、ヴァイオレットを必ず生還させよう。

アンジュ。お前は来い」

 

そう言うとジル,ジャスミン,サリア,アンジュの4人はとある場所へと向かって行った。

その道中でサリアはナオミ達に伝達と同時にヴァイオレットにスマホを手渡し、ナオミ達も急いで出撃しに向かって行った。

そんな中、ジョーカーの元へと走り寄るモルガナ。

 

「如何だったか?」ミャ?

 

「あれはクロだ。間違いない」

 

「やはりか…なら、悟られ無いように普通を装うしかなさそうだ」ミャ

 

そう言うとジョーカー達が墓場から去ろうとしたその時だった…

 

"反逆の意志を持つ者よ…"

 

「⁉︎」

 

突然聞こえた声に驚き、足を止めるジョーカー。

その声を聞いた彼は辺りを見回す。

ジョーカーが来ないことに気がついたモルガナは「ジョーカー?」と呟いた。

そしてジョーカーは悪神から手に入れた力「セブンスアイ」を用いた。

するとジョーカーは何かを発見したのか、その場所に向けて歩み寄る。

そこには先程、自分が手を合わせたお墓だった。

するとその墓から魂が現れて、なんと悪魔の姿へと変貌した。

 

「(貴方は…)」

 

"我が名はナイチンゲール"

 

「(ナイチンゲール⁉︎クリミアの天使か…⁈)」

 

"そう呼ばれていた。そしてこの墓は私の心の持ち主の墓だ"

 

そう言われてジョーカーはそこにあったお墓に目を向ける。

そこには"フェイリン"と言う名前が刻まれていた。

 

"私の心の持ち主は10年前に死んでしまった。心名残に妹の事を思っていた。妹の名はメイ"

 

「(メイ…あの整備班長か)」

 

"反逆の意志を持つ者よ"

 

ジョーカーが悲哀な中でも思考を巡らせていると、ナイチンゲールと呼ばれた魂はジョーカーに話しかける。

 

"私は彼女がこの地獄を乗り越えられるのかどうか見届けたい。

だが、今のこの姿ではとてもでは無いが動きそうにない。

幸いなことにお主の中には私と同じ存在がいくつも確認が取れる。

私が力を貸すかわりに彼女を…メイを見届けて欲しい"

 

その言葉を聞いたジョーカーは内心驚いていた。

今までは人同士で会話して取引を付けてきたが、まさかの魂もといペルソナからの取引と言う形に驚いていた。

そんな最中、自身の背後から何かを感じたのか、振り返るとそこには自身のペルソナであるアルセーヌが静かにその翼を折り畳んで密かに佇んでいた。

 

"我としても問題は無いだろう。決めるのは汝だ"

 

アルセーヌの一言が効いたのか、ジョーカーはナイチンゲールに対して首を縦に振って頷く。応じると言う事だった。

 

"有難う。これからは私も貴方の力になりましょう。

我は汝 汝は我。

我が名はナイチンゲール。貴方に優しさと慈悲の加護を"

 

そう言うとナイチンゲールは仮面になりて、ジョーカーへと吸収された。

こうしてジョーカーは新たなペルソナ ナイチンゲールを手に入れたのだった。

 

そうしてジョーカーは偶に此処へと足を運ぶ事にしようと去ろうをして思い出した…モルガナがいない事に。

 

「?…モルガナ?」

 

 

その頃、当のモルガナはというと、ひっそりとアンジュ達の後を追っていた。

するとジルがメイを呼び、とある場所のハッチを解放した。

その中へと進入する一行。その後を猫であるモルガナが後を追う。

 

「出すの?…本当に?」

 

「ああ」

 

「じゃあ…あれが?」

 

「さぁな…それより、起動出来るか?」

 

「余裕!20分も有れば!」

 

そう言いながらメイが目の前の機体の整備に入る。

そこには一機のパラメイルがあり、座席には埃を被らないようにシーツで覆っていた。

 

 

「こいつがアンジュ(おまえ)の機体だ」

 

その姿をみたモルガナは何かを感じた。

 

「(なんだ、あの機体…他の奴等が乗ってる機体と何か違う…どちらかと言うとこの前、蓮の乗っていた機体と何処となく似てる様な…)」

 

モルガナがそう感じているとジルが話を続ける。

 

「かなり古くてな。

老朽化したエンジン。滅茶苦茶なエネルギー制御。

いつ落ちても可笑しく無いポンコツだ。

死にたい奴にはうってつけだろ?

 

(機体)名は…ヴィルキス

 

そう言い終わるとアンジュがヴィルキスの方へと歩み寄る。

だが、まるで死と言う願望に捉われている姿を見せていた。

 

「死ねるのですね…これに乗れば。

戻れるのですね…『アンジュリーゼ』に…」

 

それを聞いた2人は見守る。だが、モルガナは違う。

 

「(彼奴…本当に死ぬ気か⁉︎このままじゃマズイ!)」

 

そう言うとモルガナはすぐさまにジョーカーの元へ行こうとするが、今度は出撃が許可されていないジョーカーでは今回ばかりは役に立てそうに無かった。なので、すぐに出撃するナオミやヴァイオレットの元へと急行した。

そんな中でサリアはジルと話をする。

 

「ジル如何して…」

 

「?」

 

「この機体は…」

 

「司令官の命令に従え無いなら…処分するよ」

 

「っ‼︎」

 

「さぁ、出撃だ。隊長としての初陣。期待している」

 

「イエス、マム…」

 

そう言うとジルはこの場を後にした。




ジョーカーまさかの出撃停止!
ヴァイオレットとアンジュは帰還出来るのか⁈
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