世界でもその名が知れ渡っており、よく貧相な女性がたった一つの出来事で人生が180度生まれ変わった事を言う際に掲げられる名前…
そしてあまりにも有名な童話の主人公の名前でもある。
CENDRILLON…又の名を シンデレラ。
『進路クリア、ナオミ隊発進どうぞ』
「ナオミ隊、発進します!」
ナオミの合図と共にナオミ隊がサリア隊よりも先に先行して出撃する。その中にはすみれことヴァイオレットもいた。だが、ヴァイオレットは浮かない顔をしていた。
それは出撃する数分前の事だった。
ーーーSIDEtoヴァイオレット
〜回想〜
私達が出撃する準備をし終えてデッキの端で部隊長であるナオミちゃんの話を聞いていた時でした。
因みにこの時にはココさんも漸く反省文を書き終えて部隊復帰していました。ただちゃっと寝不足気味でしたけど…
「おーい!ナオミ〜!ヴァイオレット〜!」ミャー‼︎
「!モルガナさん⁈」
そうしているとその場にモルガナ先輩がやってきたんです。
ですが、此処には私やナオミちゃん以外にもココさんやミランダさんも居たのです。
「わぁ〜!猫さんだ〜!」
「この猫、確かジョーカーの…」
そう言いながらココさんがモルガナ先輩を抱いて可愛いがられ、ミランダさんが興味深そうにしていました。
そんな中で可愛いがられているモルガナ先輩は…
「やめろ〜!離れろ〜‼︎
ワガハイは今はそんな気分じゃねぇ〜‼︎」ミャ〜‼︎
と、激しく抵抗していました。
私がなんとかココさんからモルガナ先輩を取り上げるとモルガナ先輩が感謝と共に重大な話をしたのです。それはアンジュに新しい機体が配備されるのだが、それは所謂欠陥機でアンジュはそれに乗って死に急ごうとしていると言う事でした。
何故、そんな事になったのか、私には一切分かりませんでした。
〜〜
何故、アンジュさんがそんな事態にまで陥っているのか正直分かりませんでした。
ピロンッ
『大丈夫か、ヴァイオレット』
するとそんな私を見ていたのか、先輩のスマホからソフィアちゃんが出てきました。スマホは出撃前にサリア部隊長から差し出されてきました。何かあればと先輩から手渡されてきたそうです。
「ソフィアちゃん。…大丈夫…とも言えないかな」
『?』
「アンジュさんがなんで死にたいと思っているのか、正直分からないんです。
此処が地獄だと思っているなら、それは違うと思いたいんです」
『人はやっぱり難しいな。私はAIだから、役に立てそうにない。すまない』
「ううん。相談に乗っただけでも嬉しいよ。ありがとう。そろそろ切るね」
『ああ。…ヴァイオレット』
「?なんですか?」
『…いや、今それを言ってしまうとナビから『それは死亡フラグだから言うな!』って言われそうだから、やっぱり言わない事にする。
とにかくジョーカーの元に…』
「皆さんの元に必ず帰ろうね」
『うん!』
そう言うと私はソフィアとの接続を切る。
すると何やら声が聞こえてきたので、後ろを振り向くとそこにはサリア隊のメンバー達の後方であまりにもぎこちない運転をしている機体があり、そこにはアンジュさんが搭乗していました。
何か聞こえてくるので、私は通信を傍受する事にし、黙って聞く事にしました。
『なんで彼奴が来てんだよ…⁉︎
お姉様を殺そうとした奴と一緒に出撃⁈』
『殺す殺す…ブチ殺す!』
『死に逝くそうだよ…彼奴『『っ!』』
見せて貰おうじゃ無いか…"痛姫様"の死にっぷりをね!』
『ほぉぁ〜…なんじゃ あの機体。
サリアサリア!あのパラメイル、ドキドキしない⁉︎ねぇサリア』
『作戦中よ、ヴィヴィアン』
『敵影確認』
「!」
『来るぞ‼︎』
そう言うと海から影が濃くなり、そしてドラゴンが海から浮上して、現れました…!
ーーーNO SIDE
現れたドラゴン。そこには先の戦闘にて受けた凍結バレットの痕が残っていた。
するとサリアに向けて副隊長のヒルダが応答する。
『如何する隊長さん?』
「奴は瀕死よ、一気にとどめを刺す。全機駆逐形態!
凍結バレット装填!」
『イエス、マム‼︎』
そう言うと各機のパラメイルがフライトモードからデストロイモードへと移行。それと同時に各機は凍結バレットを装填した。
勿論、ナオミ隊の皆も参加する。
当然のようにヴァイオレットが乗るパラメイルも変形し、凍結バレットを装填する。
だが、ヴァイオレットは見た。
それがアンジュがまだフライトモードでいる事を。
「アンジュさん?…まさか…」
そんな中、サリアが指示を出す。
「陣形 密集突撃。全機攻撃開始‼︎」
その宣言とも取れる発言と同時にサリアを筆頭に各機がドラゴンに向かって突き進む!
ヴァイオレットも参加しようとするとナオミから連絡が入る。
『私達はサリア隊の援護に入るよ』
『『イエス、マム!』』
「…イエス、マム」
そう言うとドラゴンとサリア隊の攻防が展開する…
だが、ドラゴンはそれを待っていたかのように咆哮と共に魔法陣が形成。それと全く同じで尚且つ大きい魔法陣が海面上に現れると同時に、なんとそこから数多の光鱗状の射出物が下から襲いかかって来たのだ!
「サリア、下‼︎」
「下?…‼︎」
気づいた時には既に遅く、敵の罠に引っかかってしまった。
それを見たナオミ隊は援護に入る為に、銃火器で支援する。
だが、それも空しくロザリーとクリスの機体が被弾してしまった。
「ロザリー!クリス!っく‼︎」
ヒルダがそう言い、2人の元へ行こうとするも光鱗に阻まれる。
そしてヴィヴィアンもまた光鱗に阻まれていた。
「罠仕掛けていたのか…小癪な‼︎」
「こんな攻撃仕掛けてくるなんて…過去のデータには無い…!」
「きゃあ!
…くっ!如何するのサリアちゃん!このままじゃ危険よ!」
「如何するのって…如何すれば…」
サリアが呆然とする中、なんとエルシャまでもが被弾してしまった。
おまけに思いもよらない戦法によりサリアの指揮系統が混乱してしまっていた。
それを見たナオミは自分の部隊の仲間に伝達を入れる。
「ココとミランダはロザリーとクリスを回収して!意地でも連れて帰って!私はエルシャさんを!ヴァイオレットはそのまま銃で支援!」
『イエス、マム!』
そう言うとココはロザリーを、ミランダはクリスを回収する。
だが、2人は激しく抵抗する。
「離せよ!」「賞金のチャンスを逃がさない!」
「それよりも今は!」「自分の命を大切にしてください!」
「怖気づいたのか⁉︎」「臆病者!」
「命無くしたら!」「何も無いですよ‼︎」
「「‼︎」」
ロザリーとクリスから罵言を浴びても、2人は止めにかかった。
自分の命が危機的になったからこそ言える2人の説得力にロザリーとクリスは大人しくなり、戦線を離脱する。
それを見たヒルダは内心ホッとし、光鱗の相手に専念する事が出来る様になった。
そんな中、サリア達はじわりじわりと追い詰められ、遂には周りを光鱗によって囲まれてしまった…!
「こんな時…ゾーラ隊長は如何していたの…」
「今は貴方が隊長よ、サリア」
サリアに示唆するエルシャ。
するとサリアの前方からドラゴンが急接近した!
「回避‼︎」
その場から宣言して回避行動に移る。だが、肝心の発言者であるサリアが回避に失敗し、ドラゴンの翼に引っ掛かってしまった…!
「サリアちゃん!」
「サリア‼︎」
サリアはなんとか体勢を持ち堪え、コクピットハッチを展開させると、
そこから立ち上がり、銃を使って白兵戦を仕掛ける。狙いは全てドラゴンの頭に集中砲火するが、ドラゴンにはびくともせず、それどころかドラゴンはサリアを睨みつけるとそのままスルーして飛行を続けた。
ヴァイオレットは銃で支援しようにもサリアが人質として捉えられているこの状況では迂闊に引き金を下ろせなかった。
「っく!…これじゃ撃てない…」
ピロンッ!
『ヴァイオレット!後ろから何か来る!』
「え?…⁉︎」
ソフィアの声が聞こえたと同時に見た先にいたのは、
なんとアンジュがフライトモードのままドラゴンへと特攻していこうとしていた!
「もうすぐ…もうすぐよ…」
そう呟きながらアンジュがドラゴンへと向かって行く!
それを見たソフィアはジョーカーの言っていた事を思い出す。
『(アンジュは死にに逝くつもりだ。だから、気を付けろ)』
『!ヴァイオレット!アンジュを止めよう!』
「勿論!私の目の前で…もう2度と死なせたりしない‼︎」
決意を固めるヴァイオレット。
すると周りの景色が薄暗くなり、同時に周りの時間が止まった…
「え?…これは…」
"貴方は本当に不器用な子。
だけど、それでも構わない"
「この声…!」
するとヴァイオレットの前に青い光が現れ、それがやがて人の姿へと変貌する。
そこに現れたのは…
青いリボンが頭に付き、白いマントを羽織らせて、
黒い身体を青いドレスが身を包む…
胸に付けているのはダイヤの形をした時計…
「サンドリヨン…!」
ヴァイオレットのペルソナ サンドリヨン であった。
サンドリヨンはヴァイオレットと対話する。
"貴方の不器用さは相変わらず。
だけどそれでも構わない。貴方を見守り続ける事が私の目的。
そして今度は貴方が誰かを見守り続ける番がきただけ"
「だけど…今の私には先輩のような力を…」
"心配する事は無いわ"
「え?」
"貴方が誰かを守ると言う決意さえ見せてくれば、私はそれだけでこの大空を飛べる。
貴方が乗るその機体…貴方には似つかわしくない。
私がその力を見せてあげる"
「!…それを聞けただけでも嬉しいです。
でもどうやって…」
"私は貴方。貴方は私。
この機体も貴方の身体の一部として考えてみなさい。
私は貴方と共にいるという事を"
「サンドリヨン!…ありがとう」
"では、始めましょう…
我は汝 汝は我。
今此処に、新たなる契約の魔法…受け入れなさい"
そう言うと周りの景色が明るくなり、時間が動き出した。
するとヴァイオレットはハッチを開けて、マスケット銃でドラゴンに向かって射撃する!人質が居た為、弾道を逸らすという形で銃弾は外したが、ドラゴンは怯み、その隙にサリアがドラゴンから離れる事ができた。
するとハッチから姿を現したヴァイオレット。
そしてドラゴンはそれを目視した。
「アンジュさん。ここが地獄だとそう断言するなら…
私はその発言を否定する‼︎」
するとヴァイオレットのバイザーが見る見ると姿を変え、なんとヴァイオレットが怪盗時に用いられるあの黒いドミノマスクへと変貌した!
そしてドラゴンはヴァイオレットに向かって突き進む!
だが、その間にヴァイオレットはマスクを皮膚ごと引き剥がす!
「魅せて…サンドリヨン‼︎」
するとヴァイオレットのパラメイルが青白い光に包まれ、衝撃波が起こった!
「なんじゃ⁉︎」
「何がどうなってやがる⁉︎」
「あの光って…⁉︎」
「ジョーカーの時と…同じ…⁉︎」
その衝撃波を受けたドラゴンは怯み、
その衝撃波を真近で見たヴィヴィアン,ヒルダ,エルシャ,サリアは驚いていた。
そしてその反応を遠くにあるアルゼナルから見守っていたジョーカーも気付き始めた。
「っ!…ヴァイオレット…」
そして姿がはっきりと分かったのか、一同はそれを見て仰天する。
青いリボンが頭部に付き、フライト時の翼部が白いマントを形成と同時に羽織り、
黒いボディを青いドレスのような装飾が身を包む…
ハッチ部分はダイヤの形をした時計を模していた…
「…綺麗…」
その姿を一目見たアンジュは呟く。まるで絶望の中から舞い降りた希望の名を持つ天使の様に…アンジュはそう見えた。
「これが私のパラメイル…"サンドリヨン"…!
踊りましょう!『剣の舞』‼︎」
そういうと魔法陣を形成し、腰に携えていた剣をその魔法陣へと投擲。するとドラゴンの周りに数多の魔法陣が形成、そしてそこからなんと先程投擲した剣が一斉にドラゴンに襲い掛かったのだ!
するとヴァイオレットは機体を操作し、パラメイルの姿となったサンドリヨンは自身を回転し始める。
ドラゴンはなんとか立て直し、すぐにサンドリヨンに攻撃を向けた!
だが、ヴァイオレットは近づいて来た瞬間を狙っていた!
「『ヒートウェイブ』‼︎」
そういうと今度は周囲に熱波を放つ『ヒートウェイブ』がドラゴンにHITした!
「魅せて、サンドリヨン!『コウガオン』!」
そうすると今度は祝福属性の魔法でドラゴンを叩きのめす!
するとドラゴンはヴァイオレットの方に視線を向け直すとふと目にした…それはアンジュが呆然としていた所を。
それを見たドラゴンはすかさずアンジュへと急襲する!
それに気づいたヴァイオレットが「!アンジュさん!」と叫ぶ。
それに気づいたアンジュは此処へ何しにきたのかを思い出した。
「!そうだ…私は此処をさよならできると思って…」
そう言ってアンジュはドラゴンへとまた突っ込んで行こうした!
だが、何か感じたのか、ヴィルキスをすかさず動かし、回避しようとするがドラゴンの尻尾による薙ぎ払い攻撃を受けてしまう。だが、それでも身体が…本能が…受け身の体勢を取り、再び動かす。
「……っ!いけない…もう一度…」
そういうと再びアンジュが向かって行く!
だが、ドラゴンも果敢に光鱗を飛ばす。
アンジュは向かって行く…例え頭から血が流れ始めようとも。
だが、やはり回避してしまっていた。
人と言うのは自ら死に場所へ逝く事は殆ど無い。
それは本能…野生の血が…はるか遠くの遺伝子がそう叫んでいるからに過ぎない。
「何してんだ彼奴?」
ヒルダがそう呟き、アンジュは独り言の様に呟く。
「駄目じゃない…ちゃんと…ちゃんと死ななきゃ…」
もはやその顔は涙と血と汗でぐちゃぐちゃになっていた。
そうしているとなんとドラゴンが翼を使ってアンジュを背後から拘束した!
アンジュはその拍子にハンドルを離してしまう。
と同時にアンジュの左手に巻き付かれた包帯が解ける。
「しまった!」
ナオミがそう言うのと同時に銃を下ろしてしまう。
仲間を巻き添えにしてまで撃てる状況では無いからだ。
それは勿論ヴァイオレットも同じであった。
「ここからじゃ、接近戦を仕掛けないと…」
ピロンッ!
『だけど、さっきの光の鱗で邪魔されるぞ!』
「っ!何も出来ないの…‼︎」
そう言いながら手を拳にして叩き下ろすヴァイオレット。
その頃、アンジュはドラゴンに喰われそうになり、先の戦闘での惨劇を思い出していた。
その惨劇をトラウマの様に思い出したアンジュ。
そこにはかつてのお姫様ではなくただの臆病風に当てられた1人の一兵少女でしかなかった。
そして喰われそうになる瞬間…アンジュは左手を見た。
そこにはアンジュの母親…ソフィア・斑鳩・ミスルギから託された翡翠色の指輪が嵌められていた。
『(生きるのです…アンジュリーゼ)』
そして喰われそうになった刹那…
「嫌ぁぁぁぁ‼︎」
アンジュの叫びと共に額の血が周りに飛ぶ…
そしてその血が指輪に掛かる…
その瞬間…
シュキィィィィ‼︎
『⁉︎』
突然の青い光。その光により、ドラゴンは怯み、サリアを放り投げた。
そしてアンジュの乗っていた機体が剥がれていく…!
そして黄金の光と共にヴィルキスの姿が一新する…!
アンジュはすかさずフライトモードからデストロイモードへ移行する。
白いボディ…
黄金の関節パーツ…
青のウイング…
「死にたく無い…死にたく無い‼︎」
そう言うとドラゴンと一騎討ちを仕掛けるアンジュ!
それを見たヴァイオレットはナオミに伝達する。
「ナオミ隊長!私に行かせてください!アンジュを援護します!」
『無謀だよ⁉︎無茶しないで‼︎』
「無茶と無謀は紙一重なんです‼︎」
『⁉︎ヴァイオレット!』
そう言うとヴァイオレットもアンジュの側に駆け寄る。
「アンジュ!」
「…私は…死にたく無い‼︎」
「なら…貴方と共に戦います!断っても無理やり一緒に戦います!」
「…勝手にして!」
「そうします♪」
そう言うと銃で相手のバリアを破壊するアンジュとヴァイオレット。
ドラゴンも負けじと光鱗を放つ。だが、アンジュはフライトモードで華麗に避け、ヴァイオレットはデストロイモードで華麗に避けていく…!
「『空間殺法』‼︎」
ヴァイオレットがそう言うとサンドリヨンが軽く回転するとドラゴンの周りを剣劇の軌跡が襲った!
突然の攻撃に怯むドラゴン。
そしてアンジュは光鱗を誘導させて、ドラゴンに向かっていく…!
「お…お前が…」
そう言うのと同時にアンジュの瞳に決意の眼差しが籠り、デストロイモードになって装備していた剣「ラツィーエル」でドラゴンの頭を刺し穿ち、回避するそしてそのまま光鱗がドラゴン本体に突き刺さる!
そしてアンジュは上空から、ヴァイオレットはアンジュとは対角線上から凍結バレットを展開した…!
「お前が死ねぇぇぇぇ‼︎」
「ハァァァァァッ‼︎」
両方からのサンドバッグ形式で凍結バレットを撃ち放たれ、攻撃を受けたドラゴンはその身体を氷結化し、そのまま海へと落ちていき、着水と同時にその周りの海水が一瞬にして凍結した。
その姿を見た一同は驚愕した。
ヴァイオレットはナオミの元へと寄る。
「ヴァイオレット!」
「すみません、隊長。勝手な判断をしてしまって…」
「生きて帰って来ただけでも良いよ。逆にジョーカー君に大活躍した事を聞かせてあげられるね♪」
「へぇ⁉︎わ、私そこまで活躍したいとは思っても居なかったんですけど…⁉︎」
そう言いながらもナオミとの会話は楽しく感じたヴァイオレット。
ヴァイオレットはアンジュの機体の方を見やる。
「…ナオミさん。アンジュさんの乗っている機体って…」
「…ヴィルキスだね。私も一度だけ見た事がある…
あれは…ジル司令のかつての機体だったものだよ…」
それを聞いたヴァイオレットは静かにアンジュの方を見やる。
その頃、アンジュは自身の身体に流れる興奮を抑え切れていなかった。
「この感情…知らない…違う!…こんなの…私じゃ無い!
殺しても生きたいなんて…
そんな汚くて…浅ましく…身勝手な…
うわぁぁぁぁ…!」
そう泣きながら叫ぶアンジュの声…
その声と共に夕焼け空が飛び交う…
帰還後、アンジュは墓地にいた。
そして何かを決意したのだろうか…
「さようなら、お父様。お母様。お兄様。シルヴィア…」
そう言うと髪を一纏めにしナイフで…
ジャキィンッ!
髪を切り、そしてその手を放した…夕焼けの空に風と共に髪の毛が空を舞う…
「(私にはもう…何も無い…
何も要らない…過去も…名前も…何もかも…
貴方達の様に簡単には死なない…
生きる為なら地面に這いずり、泥水を啜り、血反吐を吐くわ…
だから…私は…生きる…
殺して…生きる…!)」
そう言いアンジュは墓地を後にしようとすると、ジョーカー達がアンジュの前に立つ。
「…何か用?」
「否」
「私は私の為に生きるわ。誰にも邪魔されてなるものか!」
「…」
「………
…ッ!何か言いなさいよ⁉︎」
「…今のその瞳…俺は好きだな」
「ふぇ?…」
「さ、行こう」
「あ、はい!」
「あ、ちょっと待って〜!」
「おい、ワガハイを置いて行くな〜⁉︎」ミャ〜⁉︎
ジョーカーの一言で何が起こったのかさっぱり分からないアンジュ。
だが、頭の整理が終わると今度は顔を真っ赤にしてジョーカーに向かって行く!
照れから来るものではなく、どうやら憤慨している様だ。
「ちょっと!今のはどう言う意味よ‼︎」
アンジュが怒りながら来るものだから、ジョーカー達は走りだす。
「それを考えるのが君自身だろ」
「そう言う上から目線がムカつくのよ!」
「言っておくけど、俺は20歳だからな。因みにヴァイオレットは俺の1つ下だからな」
「ちょ⁉︎先輩!女の子の年齢はご法度ですよ⁉︎」
「何よそれ!あんた達私よりも上なの⁉︎聞いてないんですけど‼︎」
「あーもう…3人とも待ってよ〜!あと、モルガナ置いて行っちゃ駄目だよ〜!飼い主ならちゃんと連れて行こうよ〜!」
「ワガハイは彼奴のペットじゃねぇ‼︎お目付け役だ!立場が逆〜‼︎」ミャーー‼︎
『残念だな。猫ガナ』
「モルガナだって言ってんだろうがーーー‼︎」ニャー‼︎
「て言うか、その猫よく鳴くじゃ無いの!エサ与えたらどうなのよ!」
「今のワガハイは腹減ってねぇよ‼︎」ニャー‼︎
はてさて、こんなオチになってはしまったが、彼等の物語は始まったばかりである。
此処から彼等がどうなるのか期待して頂きたい。
ーーー
「あー。そうだな。
…此方としては問題無いが。
まさか、彼奴が
そう言いながら、缶コーヒーを飲みながら電話をする男…いや、青年か?
そんな男は誰かと電話で連絡を取り合っていた。
「は?知り合いかだと?知り合いなんてものじゃない…
彼奴と俺はライバルなんだよ…
プラスとマイナス,光と闇,無と有…
そして…
《怪盗》と《探偵》の様にな」
そう言うと男は通信相手と切り、そして準備する。
「まさか、この世界に帰って来るとは思わなかったけどな…
それはどうでも良い…
俺は俺のやり方でやらせて貰うだけだ」
そう言いながら青年は近くにあった機体に乗り込んだ。
それはアンジュのヴィルキスやジョーカーのアルセーヌと同じパラメイルと良く似ている構造をしていた。ただその機体のカラーは白と赤が特徴的だった。
「次の場所まで飛ばすぞ…
…いや、お前にはこっちの名前の方が良いな…
《ロビンフッド》」
アンジュ「これって私の物語のはずよね?なんでナオミやジョーカーやヴァイオレットが今回の話で大活躍してる訳⁈おまけに知らない奴まで活躍してるし!ってか何なのよインペリウムって⁈」
ジョーカー「次回は特別編
『TAKE YOUR HEART 旅立ちの準備』
俺達の仲間の話を紹介しよう」
アンジュ「…まぁ、次回は私の株価が一気に上昇する事間違いなしだし!「次回は俺達の出番はお休みだ」はぁ⁈嘘でしょ〜⁉︎」
ヴァイオレット「という訳で次回も宜しくお願いします♪」
アンジュ「勝手にシメるな〜‼︎」