心の怪盗団が動き始める…!
此処はアルゼナルから離れた土地。
日本は渋谷…四軒茶屋の一角にあるお店。憩いの場である喫茶店。
名は「ルブラン」。ジョーカーこと雨宮蓮がお世話になっている場所。
そして…『心の怪盗団《ザ・ファントム》』のアジトである。
「それじゃお父さん、行ってきます!」
「ああ。行って来い」
そう言いながら1人の少女もとい女子高生が喫茶店から出て行った。
彼女の名は「長谷川 茜」。
彼女は心の怪盗団をこよなく愛するファンの1人にして、
怪盗団の仲間であり、警察公安の警部補「長谷川善吉」の1人娘である。そんな彼女は高校2年生。
現在は出身の京都を離れ、かつて怪盗団のほとんどのメンバーが在籍していた高校「秀尽学園」の2年生として勉学に励んでいる。
そんな彼女に対して見送ったのは彼女の父親であり、怪盗団の仲間。
コードネーム「ウルフ」の名を持つ男 「長谷川善吉」であった。
そんな善吉をカウンターを挟んで対角線上にいるダンディーな男の名は「佐倉惣治郎」…此処「ルブラン」のオーナーで蓮を育てたと言っても過言では無い人物。面倒見が良く、そして蓮達…心の怪盗団の事を周知してなおかつ、彼等を支援している人物でもある。
「全く…朝から元気だな。お宅の娘さんもお前さんも」
「娘から言われたら誰だって元気になるものさ…!」
「ま、違いねぇ」
そう言いながら談話をする男2人。
するとお店のドアが開いたのか、ドアに付いてるベルが鳴る。
「?…いらっしゃい」
惣治郎が言った先にいたのは…
「んちわっす‼︎」
「お邪魔します♪」
蓮と同じ怪盗団の仲間であり、蓮とモルガナと共に怪盗団結成の当時からいる古参の2人…クォーターの読者モデル 高巻杏と、ヤンキー系ボディーガード 坂本竜司の2人だった。
彼等も蓮と出会った事で様々な出来事を体験した。
そして怪盗団の仲間として行動する仲間でもある。
怪盗のコードネームはそれぞれ、杏はその見た目が豹の様な姿から『パンサー』と呼び、竜司は自身の仮面が髑髏だった事から『スカル』と言うコードネームで怪盗団の仲間達から呼ばれている。
「お前ら…」
「お、珍しいな。2人だけで来るなんて」
そう言いながら惣治郎は2人をカウンターに呼び、2人はカウンターの椅子に座る。
「さっき茜ちゃんと会いましたよ」
「もうすごく可愛いかった!妹として貰いたいぐらいに!」
「やめろ!それだけは絶対に断わる‼︎」
「…あんたはあんたで、親バカなのは相変わらずだな」
茜の話をした2人に対して…特に杏に対して善吉は全面否定する。
まぁ、たしかにこんな姿を見せたら親バカだと言われてもおかしく無いけど…。
そんな些細な話をしていると惣治郎が2人に話しかける。
「仕事は上手くいってるか?」
「私は勿論!」
「確か…杏ちゃんの親友が、マネージャーやってくれてるんだよな?」
「うん!志帆がいてくれて、本当に活き活きしてます!」
そう言いながら杏は話をし続ける。
杏が口にした人物…志帆とは「鈴井志帆」と言う。
かつて怪盗団が初めて悪人を対峙した際に大きく関わった存在。
杏が怪盗になる決心をしてくれた人物…
そしてなによりも…
杏が怪盗団の仲間達と仲良くなる前の唯一にも等しい数少ない親友だった。
「高巻の親友…確か鈴井志帆だったか。
在籍時にあの事件が起こったんだったな。
あれから3年も経つのか」
それはかつて在校時に志帆が飛び降り自殺をした事件であった。
未遂に終わったものの、彼女はその後リハビリ後に杏と蓮に別れを告げて学園を去り、別の学校へと転校したのであった。
それから2年の月日が経ち、杏が読モとして活躍し始めた頃に杏の契約先である会社の人から「君にマネージャーを就かせたい」と言われたので、会ったのが志帆だったのだ。
それから杏は志帆と一緒に仕事をこなしていき、親友だった頃以上に関係を修復したのであった。
「その雰囲気だとますます活躍してるな」
「志帆がいたら百人力です!」
「凄えな…友の力って」
「そう言う竜司はどうなのよ?仕事仲間と上手く行ってるの?」
「まぁボチボチな。色々とあったけど、なんだかんだで仲良くやってるよ」
そう言いながら竜司はマスターから差し出されたコーラを飲む。
杏もマスターから差し出されたコーヒーを美味しく頂く。
一息ついた2人。そして2人共同時にある方向に視線を向ける。
それに気づいた惣治郎もその視線の先を見て、感じ取る。
「…蓮だな?」
「!…ええ」
「なんか…蓮がいないと私達何も出来ない様な感じがして」
そう言いながら2人は落ち込む。
他のメンバーはそれなりに何かしらの特技と言うものがあるのだが、2人はこれまで蓮=ジョーカーと、モルガナと共に怪盗団結成の頃からの付き合いである。
故に他のメンバーよりも蓮=ジョーカーに対する依存度は他のメンバーよりも遥かに高かった。
「俺ら、蓮やモルガナと怪盗団結成した頃からの付き合いだからよ…」
「彼がいないと私達何も出来ないんじゃないかって…」
「…そんな事は無いさ」
「「え?」」
そう言いながらコーヒーを満喫する善吉。
落ち込む2人を前にしても大人の発言をする。
「確かに彼奴は凄いやつだ。こんなおっさんでさえも指示して動かしてくれている。俺も動きやすかったしな。
だが、お前たちはどうだ?
彼奴の指示とか受けなくても、
アイコンタクトだけで即座に行動出来る様になってきてないか?
この前のオネスト大臣の時もそうだった。
あんなゲス野郎を相手に三方向からの総攻撃は爽快だった。
それに雨宮は、お前ら2人をメインにして、他のメンバーを動かしたんだ。それ程彼奴にとって、お前らは頼りにしている何よりの証拠じゃ無いのか?」
「蓮が…」
「私達を…」
「結成当初からいたからこそ出来る芸当だと俺は思うぞ。
さて、そろそろ仕事だからな。
マスターお勘定は此処に置いておくぜ。
「どうせ、また来るんだ。今度はタダで奢ってやる」
そう言うと善吉は五千円札を置いて店を後にした。
善吉の話を聞いた2人は感慨深く感じた。
「おっさんの言う通りだな…」
「うん…私達だから信頼してくれていたんだよね」
「ふぅ。
ま、俺から言える事では無いがな。
彼奴の事、これからも宜しく頼むな」
「応よ!」
「はい!」
そう言うと2人はそれぞれの代金を支払い、店を後にした。
「さてと…あん?」
そう言うと惣治郎は片付けをしているとレジの所に挟み込まれた奴があり、それを引き抜くとそこには蓮の名前が書いてあった。
「これは…そうだったな…彼奴が渡したあの日記か」
それは3年前に蓮達…心の怪盗団が起こった事件の時の様子などを書かれている日記だった。
著者は雨宮蓮。この日記は保護観察用の日記だったのだ。
そして3年前の3月19日に蓮がこの日記を惣治郎に手渡していたのである。
「あれから3年が経つのか…時の流れは早いものだな」
そう言いながら惣治郎は茶色のブックカバーを取り出し、日記を保護する。
「さてと…そろそろ来やがる筈だしな」
そう言うと惣治郎は営業を再開したのであった。
ーーーーー
その日の夜。
竜司は着々ミスルギ皇国へと入国する為の準備をしていた。
「よし、流石にこのぐらい有れば良いだろ」
そう言って、出発する準備をしていると突然インターホンが鳴った。
「ん?誰だこんな時間に?」
そう言って竜司はドアを開けると…
「?三島じゃねぇか?」
そこにはかつて在校時に蓮と共に知り合ったバレー部のメンバーの1人にして、3年前に怪盗ブームに乗っかり、世のお悩み事を投稿するチャンネル「怪盗お願いチャンネル(通称 怪チャン)」を管理・仲介をしていた青年…三島由輝がそこにいた。
「やぁ、坂本。お邪魔しても良いかい?」
「散らかっていても構わないならどうぞ」
そう言うと中へと入る三島。
そして三島を席に着かせる竜司。
「んで、なんだよ…こんな時に」
「こんな時だからこそ俺が来たんだよ」
そう言うと三島は提げていた袋を取り出すや、それを机の上に出していく。
そこには大量の手紙があった。
「ん?手紙?なんだよこれ…?」
「これ全部、怪盗団の応援メッセージの手紙だよ」
「・・・はぁぁぁ⁉︎こんなにもか⁈」
そう言うと竜司はその手紙の内容を見ていく。
そこには「怪盗団のお陰で会社の空気が変わりました!ありがとうございます!」や「怪盗団の事、応援してます!」と言った励みになる内容の手紙があちこちにあった。
「今じゃ、怪盗団は世界の裏で暗躍するダークヒーローの様な立ち位置になっているんだ。此処にある人達の為にも頑張って欲しいんだ。
怪盗団のファン1号としてもね」
「三島…」
「…雨宮を助けにいくんだろ?」
「んな⁉︎」
突然の発言に驚く竜司。そんな坂本に対して三島は視線をとある方向に向ける。そこには大きなキャリーバックが目に映っていた。
「あんな大荷物…坂本が必要だと思うか?
必要があるのは大抵、あっちでも活躍する為の奴…
おまけに今回は雨宮を助けに行って、連れて帰る…そんな所かな」
「お前が味方で良かったよ…探偵に向いてるけどよ」
「洞察力はバレー部の時からこっ酷く必要だと言われたからな。
…必ず雨宮を連れて帰れよ」
「ったりめぇだ!俺にとっても最高の
そう言うと互いに手を握る。その握手はまるで固く圧があった。
その頃、パンサーこと杏は仕事がひと段落し終え、メイクを落として志帆と一緒に帰ろうとしていた。
「杏。ちょっと良いかな?」
「志帆?」
すると志帆から突然声を掛けて来たので、杏は応じる。
「どうしたの?」
「今から話す事はマネージャーとしてでは無くて。
杏の親友の志帆として話したいの」
志帆の発言を聞いた杏はコクリと頭を縦に動かして頷く。
「…ミスルギ皇国に…行くんだよね」
「…!
…私、志帆に言った覚え無いけど…」
突然の発言に驚く杏。そして杏の言う通り、志帆にはこの事を伝えた憶えは無いのである。
すると志帆は肩に提げていたバックを漁るとそこから一つのある物を取り出した。見た感じ、それは日記帳の様な物だった。
「…ごめん。杏の日記を見ちゃったんだ…」
そう言うと志帆は俯きながら、杏に日記帳を返却する。
それを見た杏は驚いていた。
そこには蓮達と出会った頃から密かに書き続けたプロファイリングが出来る日記でもあった。
「…何処まで見たの?」
「…最初から」
それを聞いた杏はため息を出す。
まさか自分がこんな失態を冒すとはと思っていなかったのと同時に、自分が世間を騒がす怪盗団の一員であると言う事も親友である志帆にバレたのである。
「そっか…」
「此処に書かれているのって…」
「全部ホント」
「…正直に言うと、杏が怪盗団の一員だなんて、思っていなかったんだけど…」
「私こそゴメン。志帆に黙ったまま…」
「それはお互い様だよ。
…彼を助けに行くの?」
「え?」
「雨宮君」
「⁉︎////」
志帆から蓮の名を言われた杏は驚いて顔が真っ赤になった。
それに気づいた志帆は納得していた。
「やっぱり…。顔に書いてるよ」
「うぇ⁉︎////」
「そういう所。
本当に素直なんだから」
そういうと志帆は杏をハグしてきた!
「ちょっ、志帆⁈」
「今、ミスルギ皇国は入国するのが困難になっているの。
正直に言うと杏もそこに行ったら帰って来なくなるんじゃないかと思ってるの。
だから約束して?必ず彼氏君を連れて帰って来るって」
「志帆…ありがとう。その約束…必ず守るから。あの時、志帆との約束を壊してしまった私が言うことじゃないんだけど…」
そう言いながら抱き寄る2人。
杏はその言葉を胸に決意する…必ず雨宮を連れて帰って来る事を。
すると志帆がそんな杏を見て安堵したのかこんな事を言ってきた。
「ふふっ。なら今度は私が彼を取ろうかな?」
「彼って?」
「雨宮君♪」
「って⁉︎ちょっと志帆⁈」
「はははっ!やっぱり杏のそんな顔が見たかったんだ〜」
「もう!志帆がここ最近小悪魔になってきてる〜!」
「誰かさんのおかげですけどね〜♪」
「言ったな〜‼︎」
そう言いながらはしゃぐ成人女性2人。
大人の仲間入りしたとは言え、やはりそこはまだまだ青二才なのである。
そして志帆を捕まえた杏。捕えられた志帆の顔は笑いに満ち溢れていた。
「まぁ、でも…」
「?」
「彼って、意外と有りかも」
「??」
杏が意味深な発言をした事に志帆の頭は思考が回らなくなった。
そんな志帆の耳元で杏は囁く…
「志帆を彼女にするって言うのも」
「はひぃ⁉︎////」
「ま、彼次第だけどね♪」
「!もう杏ったら!」
そう言いながらまたはしゃぐ2人。こいつらは本当に仲が良い。
それは分かったから、早く帰宅した方が良いと思うのですけど…
特攻隊長…スカル
妖艶美型…パンサー
2人を体現する四字熟語である。
元ネタは『戦国BASARA』である。
(奥州筆頭…伊達政宗
天覇絶槍…真田幸村
征天魔王…織田信長etc)