半年ぶりの更新です。
毎日が辛い。会社と家の往復。おまけに最近は深夜1時帰宅が当たり前…ブラックだ。
朝〜深夜まではもう辛い。
…愚痴を聞いてしまいすみません。
本編の方へ入ります。
今回はナビとノワールの話。
此処は日本。東京都は渋谷。
四軒茶屋に建つ喫茶店「ルブラン」
今日も相も変わらず営業中である。
「
「食べるか、喋るかどっちかにしろ。
そんな行儀の悪い子に育てた覚えはねぇぞ」
そう言いながらカウンター越しに会話をする2人。
ダンディーさを醸し出し、コーヒーを飲むのは此処「ルブラン」のマスター・佐倉惣治郎。
そしてカウンター越しにてコーヒーが合うルブランのカレー(甘口)を食している者の名前は佐倉双葉。
惣治郎の義理の娘であり、蓮の1つ下の後輩。
そして心の怪盗団《ザ・ファントム》の頼れるバックアップ。
コードネーム「ナビ」である。
何気ない日常生活を送る2人。
何も知らない者が見れば仲睦まじい親子の会話を見ている様に感じるが、2人の心境は未だに不安だらけだった。
「蓮…大丈夫かな…」
「…そればかりはな」
2人がしんみりとしていると、カランコロンと来店の鈴が鳴る。
「すまんが今は準備t…⁉︎」
「?…!」
そう言いながら店のドアの方を見やるとそこには1人の女性が来店していた。
「お、お邪魔します…!」
「春…‼︎」
その女性の名は奥村 春。
(株)オクムラフーズの若社長にして、コーヒーブランド 奥村焙煎という企業を立ち上げた実業家系お嬢様。
蓮の1つ年上の先輩で、心の怪盗団の1人 "美少女怪盗"改め、"淑女魁傑"と言う異名を持っている怪盗 「ノワール」としての面も持つ。
「どうした?こんな時間に?」
「うん。今日はちょっとやらないといけない事があって、この時間にしかコーヒー飲めそうにないかなと思って…」
「なら、カウンターで良いかい。直ぐにでも…」
「1時間は有りますからゆっくりとお願いします」
「あいよ」
そう言うと惣治郎はコーヒー一式を用いてコーヒーを1から丁寧に作り始める。
その間に春は双葉と話をし始める。
「双葉ちゃん。蓮君の様子はどうだった?」
「なんと言うか、所在不明なんだよな…。少なくてもミスルギに居ないのは確定済み。あのニュースを見てから音沙汰無し。
だが、ソフィアが起動しているのを確認する限り、蓮は生きているのは確かだな」
「そっか。…ちょっとだけホッとしちゃった」
「そうだもんな。私もだ」
そう言いながら2人は会話を進めていく。
すると春は唐突に話を切り替え始めた。
「実は私、新しい奥村焙煎の生産場を見つけたの」
「お!何処だ何処だ!kwsk!」
「"八十稲羽"って言う場所なんだけど…」
そう言うと双葉は何処から取り出したのか、ノートパソコンを机に置いて検索する。
「お!有った!…ん?なんだこれ?」
「どうしたの?」
そう言いながら春は双葉のパソコンを見るとそこには八十稲羽の関連した記事が多く見られる中で特にトップにやってきたのは町の情報では無かった。
その記事にはこう書かれていた。
"八十稲羽 マヨナカテレビと霧の中の死体"
と言う見出しがトップに飾られていた。
「…これはマコちゃんには見せられないよね…」
「下手したら卒倒もんだぞ…これ」
そう言いながらも気になった2人。
そんな2人の元にコーヒーが提供された。
「冷めない内に飲みな」
「頂きます」
「惣治郎のコーヒーだ〜!」
そう言いながら春は優雅に、双葉は少し冷まして、そして2人して飲み始める。
そんな最中で惣治郎は双葉が見ていたパソコン画面の奴を見て気づいた。
「八十稲羽?ああ…あそこか」
「⁉︎知ってるのか!惣治郎‼︎」
「いや、前に一度だけ行ったんだよ。そん時は双葉はまだ産まれていなくて、若葉に半ば強制的に連れて行かれたのを覚えてる。
あそこは田舎町なんだが、活気があったな。特に温泉も出ていたから若葉共々満喫させて貰ったよ」
「良いな〜!お母さんと一緒だったんだ〜」
「でも、それって少なくても20年前の話になるんですよね?まだ双葉ちゃんが産まれてくる前の話になるって言いましたから…」
「ああ、そうだな。
その後からだな。八十稲羽が騒めき出したのは…
双葉がまだ若葉に甘えていた頃にとある噂が飛び交っていたって言うんだと」
「噂?」「なんだそれ?」
惣治郎が言った言葉に疑問符が付く2人。
それを理解したのか、惣治郎は話す。
「後で調べておけ。『マヨナカテレビ』って言うキーワードだ。
そのキーワードと関連してるのかは定かではないが、
霧が晴れた日には遺体が出るらしく、しかもその遺体はアンテナや電柱に逆さまにしてぶら下げていたり、吊るされていたりしたからな。
八十稲羽はその騒ぎが大きくなっていった…言うならば中枢にいる場所だったからな。
その年は雨や霧が多く続いていたらしい。
ま、今は平穏であるから関係ないがな」
「マヨナカテレビ…」
「もしかしたら…」
「?どうした?」
「なんでも無いです!…それではご馳走様でした。
双葉ちゃん。しっかり準備の方、お願いするね?」
「任せろ!」
そう言うと春は勘定を置き、店を後にした。
双葉の方もパソコンを担いで、屋根裏へと足を運んで行った。
「…何を企んでいるのかは知らねぇが。程々に動けよな。お前ら。
此処はお前らの大切な場所なんだからよ」
そう言いながらパズル雑誌を取り出し、パズルを解き始める惣治郎。
今宵も店は開店する…
ーーーーー
春は今、八十稲羽に視察する前の夜を過ごしていた。
「良しっ!これで準備はバッチリだね」
そう言いながら支度の準備を済ませた春。
春はふいに窓の外を見る。
「…蓮君。無事だと良いな〜」
そう言いながら仲間で有り、恋仲の彼である蓮の事を考える春。
蓮とは3年前の花火大会の時に顔を見た。その時は春はまだ怪盗団の仲間ではなく、1人のご令嬢であり、関係性は全くと言って良い程無かった。顔見知り程度だった。ただ、当時の彼が前歴持ち(後に濡れ衣となった)だった故に名前は聞いていたぐらいだった。
そして夏休みが終わり、そろそろ就職か進学を決める時期の頃に、彼女は黒猫と出会った。後のモルガナである。
彼女はモルガナと共にパレスを挑むことにした。
というのも、そのパレスの主は哀しいかな…彼女の父親であり、オクムラフーズの社長であった奥村邦和だったのだ。
そんな最中で、蓮達怪盗団と邂逅を果たし、紆余曲折の末、ペルソナを完全に覚醒させると同時に怪盗団の仲間入りを果たしたのであった。
だが、その代償に父である邦和氏が廃人と化し、この世から去ってしまった。
それでも春は怪盗団の仲間と共に過ごした。
「…私って、ひょっとして温もりが欲しかったのかも…」
そう呟きながら窓の外を眺める春。
父親が居なくなってしまっても、自分は怪盗団との出会いを優先した。そのおかげで今では父である邦和の会社を継ぎつつ、自分がやりたかった事業へも発展しているのであった。
そんな中、スマホから音が鳴った。着信音はメールが届いたと言う報せだった。
「?誰からだろう?」
そう言うと春はスマホを手に取り、メールを開く。
差出人は… 氷堂 鞠子。
父・邦和と交流が有り、春にとっても叔母のように親しい存在でもあった。
2年前の「全国改心事件」の際に、北海道は札幌の市長を務めていた政治家でもあった。だが、そのやり方を目の当たりにしてしまい、皆と共に改心させて、知事選を辞退した経緯を持つ。
現在は北海道の人々の為に粉骨砕身してきた為、現在では自分の実力だけで知事に当選し、札幌市長を再度、務めている。
今度は誰にでも優しく且つ、積極的に。
差出人: 氷堂 鞠子
宛先:○■◇▽△
20××年 ○月○日 20:50
春ちゃんへ
春ちゃん。元気にしてるかしら?
私は札幌を優しくて、美しい街にしようと奮闘しているわ。
そういえば、お友達がミスルギに行っているそうよね?
ミスルギの今は、国民以外を敵視しているからお友達の事が心配です。
出来る事なら、春ちゃんにはミスルギに行って欲しくは無いです。
けど、あの時に出会った春ちゃんを見て、思ってしまったわ。
大切な人を取り戻すと言う強い意志を。
…恐らくだけど、春ちゃんは絶対にミスルギに行くわよね。
だから、これだけは言わせてちょうだい。
笑顔で「ただいま」と言ってちょうだい。
私も笑顔で「お帰りなさい」とお迎えさせてちょうだいね。
お仕事も大変かもしれないけど、春ちゃんの人生に悔いの無いように過ごしてね?
鞠子より
「マリさん…!」
叔母の様な存在である鞠子からのメールに春は心が温まる感じがした。
かつて、心を歪められ、おかしくなった彼女。だが、それは自分たち「心の怪盗団」が改心させたおかげで優しい存在へと変わった。
そしてそんな彼女からのメールを見て、春は感じたのだった。
「マリさんとの約束…絶対に守って見せるから!」
その瞳には決意と覚悟と勇気が宿っていた…!
ーーーーーー
一方、怪盗団のバックアップを担っている存在・ナビこと双葉は、自前のパソコンと睨みをきかせながら試行錯誤をしていた。
時折、「あぁでも無いし…こうでも無いし…」とぶつぶつと呟いていた。
そんな最中、部屋のドアからノックがしてきた。
双葉の部屋に用がある人物は大概決まっている。
怪盗団の面々か、惣治郎ぐらいしかいないからだ。
「双葉、そろそろ飯を済ませておけよ?」
「?…うひゃあ⁉︎」
惣治郎から促されて、双葉は時刻を見ると、普段なら惣治郎と夕飯を食していた時間をとっくに過ぎていた!
それに気づいた双葉は慌てて部屋から出て、ドアのほんの少しの段差に躓き、転倒する。
ドアからいきなりやってきた双葉に惣治郎は驚きと同時に呆れていた。
「全く、考える事は別に構わねぇけどな?時間を守る事も大切だぞ」
「…御免なさい」
「分かれば良いんだ。…ミスルギに行くんだろ?」
「うん」
「…ったく。誰に似始めてきたのやら。
此処はもうお前の家なんだから、必ず連れて帰って来い。良いな」
「!うん‼︎」
そう言う話をすると双葉は身なりを整えて食事する為、1階へと降りる。
そんな様子を見て惣治郎も「やれやれ」と言いながらも満更でもない表情をしていた。