ジョーカー達は今日の攻略を元に次なるインペリウムの攻略をする為の準備の為、《ジャスミンモール》にやってきた。
此処はアルゼナルで唯一の市場である。ジャスミンが仕切っているので、そう言う名前で呼ばれている。
そしてジョーカー達は其々に必要な買い物を済ませていく。
そんな中、ジョーカーの前にジャスミンが歩み寄る。
「よく買い物に来るね」
「…そうですか?」
「少なくても週に3回は来てるけどね。にしても、羽振りが良いのかね」
▶︎大して変わらない
どうでしょう?
「ま、贔屓にして貰ってるから何も言わないけど。
それよりもどうだい?制服の方は」
「特に問題も無いです。ありがとうございます」
「ふむ。礼を言えるのも良い環境に育って来た証拠だね」
他愛無い会話の中で言ったジャスミンの台詞にジョーカーは少し俯く。
「?」
「良い環境…と言えれば良かったんですけどね」
「ん?」
そう言うとジョーカーは高校時代を掻い摘んで話をする。
するとその話を聞いたジャスミンは犬のバルカンが持ってきたハンカチを取り、目に当てる。
どうやら涙が出ていた様だ。最も、流していた当の本人は否定的だけど。
「お前さん。辛い環境に居たんだね」
「仲間が居てくれたから此処にいます」
「仲間…ヴァイオレットの事かい?」
「彼女もその内の1人です。他にも俺の仲間は居ますから」
「…頼もしいじゃないか」
そう言う話をしているとヴィヴィアンがモールへとやって来た。
お目当てのコーナーはパラメイルのカスタムコーナーだった。
「うぉー!新しいの入ってるぅ!
おばちゃん!これ幾ら?」
「お姉さんだろ!…ったく」
そう言いながらヴィヴィアンに歩み寄るジャスミン。
その後をバルカンが、そしてその後ろにジョーカーも同行する。
「超硬クロム製ブーメランブレードか…1800万キャッシュだね」
その価格を前に周りの女の子達が驚く。
そしてジョーカーもメガネがずり落ち、「は?」と声を出してしまっていた。
だがそんな額なのにヴィヴィアンは「喜んで!」と言って、背負っていたサックを下ろす。
その中身はまさかの現金だった。
それを確認するジャスミン。手際が速い…。
「毎度あり」
あっという間に商談成立である…。
「おろ?ジョーカーも此処に来てるんだ!」
▶︎色々とね
此処しか売ってないから
「ジョーカーも自分のパラメイルをカスタムした方が良いよ!性能も上がるしね!」
「その分、金が必要だけどね」
「節制する事も時には必要」
「なんとも説得力がない台詞だね」
そう言われ、ジョーカーは苦笑いをした。
そんなジョーカーを右肩からひょっこりと顔を出していたモルガナは呆れていた。
そんな談笑をしていると何かを感じたのか聞いていたバルカンが背後を見て、威嚇しているではないか。
それに気づいた2人はバルカンの向いてる方を向き、モルガナも振り向くと「にゃぁああ⁉︎」と耳元で大声で出すものだから何事かとジョーカーも後ろを見るとそこにはなんとズタボロ制服の格好のアンジュが堂々とやって来ているではないか。
その姿を見たジョーカーは「は?」と素っ頓狂な声を出し、
ヴィヴィアンはそのスタイルの良さも相まって「セクシー〜」と仄めかし、ジャスミンは「随分と涼しそうだね」と言った。
そう言うとアンジュは懐からキャッシュを探りながら買い物をし始める。
…というよりその格好で良く買い物しようと思ったな…。
「制服ありますか?」
「ありますかだって?此処はブラジャーから連射砲まで何でも揃うジャスミンモールだよ」
そう言って制服を投げ渡すジャスミン。
そして4人は更衣室に赴いて談話する。
アンジュの制服を見て、ジャスミンが話を始める。
「どうすりゃこんな風になるのかね」
そう言っているとアンジュは着替え終わったのか、更衣室から出ると「それでは」と言って後を去ろうとしている。
「もう行っちゃうの?アンジュも武器とか買ったら?」
「いっぱい稼いでるんだろ?」
そう言いながらアンジュにパラメイルの武器コーナーを立ち寄わせる。ヴィヴィアンが色々と話をしているがどれもしっくりと来ない模様。
そんな中、ジョーカーはジャスミンから貰ったスケッチブックを用いて何かを描いていた。
「?何してるの?」それに気づいたヴィヴィアンがジョーカーのスケッチブックを見やるとそこにはパラメイルであるジョーカーの機体。アルセーヌがナイフやハンドガンを用いて構えたり、ワイヤーを使って華麗な動きをした格好が描かれていた。
「うおぉ!カッコいい‼︎」
それに気づいたジャスミンはそれを見せて貰うと何かを感じたのか武器庫の中から何と剣や銃が出てきたのだ。
「これは?」
「お前さんの機体だと他の武器使うよりもしっくりとくるんだろ?」
「…確かに」
「なら、それを見せたお礼と言っては何だが、合わせて1000万キャッシュでどうだい?」
「…剣は伸縮しない短剣サイズが良い」
「とんでもなオーダーだね…値は張るよ」
「…予算は1500(万)以内に」
「ま、ギリギリだが、承ったよ」
そう言うとジャスミンはジョーカーからキャッシュを要求する即日払いしか受け付けない様だ。
それに気づいたジョーカーは「少し待ってくれ」と言うと自室に向かって走っていった。
そんなやり取りを終えるやアンジュに向けてジャスミンは語る…
「パラメイルは"ノーマの棺桶"。
自分の死に場所だからこそ自分の好みにする事が許されてるのさ。
強力な武器、分厚い装甲、派手なデコレーション。
ノーマに許された…数少ない自由さ」
「下らない」
そう言うとアンジュは後にしようとする。
「そんな状態じゃ、仲間から狙われても仕方ないね」
「!」
「しかしだ。そんな問題も金が何とかしてくれる。ふん。安全安心。それに命。買えるのは物だけじゃないって事さ。」
「…買収ですか」「流石皇女様。理解が速い」
そう言うとジャスミンは何処から取り出したのか、そろばんを弾いて商談を仕掛ける。だが、アンジュはそれを拒否してこの場を去ろうとしたその瞬間。
「…!」
ふと何かぶつかると感じたのか、アンジュは何かを手に取る。
手に取ったのは…蓋付きのコップドリンク。
そして投げられてきた方向を見るとそこには優雅にコーヒーを嗜むジョーカーの姿が!
「いつの間に帰って来たんだか」
「此処まではそう遠くない」
そう言いながらジャスミンとヴィヴィアンにそれぞれのドリンクを手渡すジョーカー。
それとちゃっかり現金を耳を揃えて持ってきていた。
現金を受け取りジャスミンは数える。やはり手際が良い。
そしてジョーカーとの商談は成立したのであった。
一仕事終えたジャスミンは受け取ったドリンクを飲むと何かに気づいた。
「…これ、キリマンジャロかい?」
「ご名答」
ヴィヴィアンも恐る恐る飲むと口の中がまろやかになる感覚に陥り、ふわとろとした気分が発していた。
「ヴィヴィアンにはモカを使ったカフェオレを」
そんな2人に対してアンジュは一口啜る。
「…これ、ブルーマウンテン?」
「その通りだ」
「まさか前にジョーカーが目を付けていた奴を?」
そう言うとジャスミンはジョーカーの後ろに置いてある機器に目を向ける。
そこにはコーヒーに必要な器具が置かれていた。
それは此処に最初に来たジョーカーが先ず最初にごく普通の商談で成立させたコーヒーメーカーセットだった。しかもコーヒーを挽く為の機器 コーヒーミルがある本格派。
これを購入したジョーカーを見て不思議がっていたジャスミンだが、
飲んでみて分かった…美味いと。
「お前さんにそんな才能があるとはね?」
「居候先で培った技術のおかげ」
そう言いながらコップドリンクの中のコーヒーを啜るジョーカー。
その姿を見ていた女の子達が物欲しそうにみている。
それに気づかないジョーカーではない。
「1杯200キャッシュ。で、如何でしょう?」
そう言いながらメガネをクイッと上げるジョーカー。
それを聞かされたジャスミンは「参ったよ」とまさかの降伏。
ジャスミンの儲けでは無く、このコーヒーはジョーカーの儲けになると言う示談が成立したのであった。
その後、瞬く間にアルゼナルの女の子達内でジョーカーの入れたてコーヒーが密かなブームになるのは後の話。
「ご主人に習っておいて正解だったぜ!」ニャフフフ〜♪
「…悔しいけど、美味い。
…けど、ノーマらしくて浅ましい」
そんな最中でジョーカーを褒め称えるモルガナ。
そんなジョーカー達を尻目にアンジュは呟き、そして後を去った。
因みに本来の時間軸ならゾーラは死んでおり、彼女の部屋を今度はヒルダが買収している描写が描かれているのだが、肝心のゾーラはジョーカーによって一命を取り留めている為、部屋の方の買収が無かったのである。
その代わり、ゾーラはヒルダに部屋の鍵を渡しており、自由に使って良いと許可を貰っていたので、結果的に部屋を使う事はあるのかもしれない。
…最もその部屋は