長かった。特に今回のが特に長い…1万字以上。これは長い…
「為政者となった皇女アンジュリーゼの光。
必ずやこのミスルギ皇国に更なる平和と繁栄をもたらすであろう」
ぉぉぉ…!
俺の名は蓮。又の名をジョーカー。
現在、暁ノ御柱において、いよいよアンジュリーゼの洗礼の儀が執り行わられようとしていた!
そして先に述べた者…ジュライ・飛鳥・ミスルギ。この皇国の皇帝にあらせられる人が祝福の辞を説していた。
「いよいよですね!」
「ああ。…周りの皆もアンジュリーゼの大人の仲間入りを祝福してくれているみたいだ」
そしていよいよアンジュリーゼが装置に入り、そして洗礼の儀が執り行われ始めた!
光が塔の頂上まで届き、その光が拡散していく…!
刹那…!
ヴゥゥーンッ……
ヴゥゥ!ヴゥゥ‼︎
突然のアラート音。
辺りがざわつく。何が起こっているのかわからない。
するとすみれが突然、俺の肩にその身を寄せた。
▶︎すみれ?
どうした⁉︎
「先輩…私…今、不吉な予感を感じます…!」
そう言いながら震えるすみれ。
するといつのまにか偵察していたモルガナが駆けつけた。
▶︎モルガナ!
何が起こったんだ⁉︎
「この警告音はノーマが反応した際に発生する音だ!
そして…うぉ?」ニャ?
?…ジュリオ皇太子殿下?
ーーーーー
その頃、ルブランでもこの騒動がテレビ越しで流れていた!
「お、おい…どうなってやがるんだ?」
「なんだか、嫌な予感がする…」
「一体…現地で何が起こっているんだ⁉︎」
「(…無事に帰って来なさい。蓮君。
貴方の大切な仲間が貴方を待っているのだから…!)」
ーーーーー
そして騒動の中心部 暁ノ御柱も驚きを隠さなかった。
そうしているとジュライは言い放つ。
「馬鹿な…御柱は確かに…
「偽装なら、解除しておきました」
⁈…何故だ⁉︎ジュリオ!」
「フフ…ハハハハッ!」
そう笑い叫びながらジュリオは父・ジュライに鬼気迫る!
「それはこっちの台詞です!父上‼︎」
すると彼の近くに待機していた執務官がジュライ皇帝を脅した!
「洗礼の儀を操作して、
化け物を皇室の一員に迎え入れるなど正気ですか‼︎」
「お兄様…?」
「可愛いシルヴィア…そして…」
そう言うとジュライ皇帝を退け、ジュリオは人々の前に立った。
ーーーーーSIDEtoジョーカー
俺達が不安になっている中、演説場にジュリオ皇太子殿下が立った。
あの場で一体何が起きたんだ?
「我が愛しき皇国民よ!今こそ真実を明かそう」
?…真実?一体何を?
「アンジュリーゼは…
ノーマだったのだ‼︎」
⁉︎
アンジュリーゼが…ノーマ⁉︎
「嘘…ですよね?…」
「…アンジュリーゼが…ノーマ…⁉︎」
「真実を隠蔽し、ノーマを為政者に仕立てるなど国家の私物化‼︎
国民への重大な背信だ!
化け物に!我がミスルギ皇国を汚させてなるものか!
今こそ、すべての列民の前で真実を明らかにする!
これがアンジュリーゼの洗礼の儀だ‼︎」
………
「…すみれ」
「?…先輩…?」
「アンジュリーゼを…」
▶︎頂いて行く!
助けるぞ!
「!はい!」
「道案内は任せろ!」
「ワガハイは何をしたら良い⁈」ニャ〜
「丸喜を呼んでくれ!何か不吉な予感がする。それとこの予告状を皇帝陛下に」
「分かった!…気を付けろよ」ニャ〜
「嗚呼‼︎」
そう言うとモルガナは丸喜のいる場所へと走り去り、俺達はこの隙に人目から避ける事にした。
そして人の目が暁ノ御柱に視線を向いている間に、俺達は怪盗服にチェンジした。
「ヴァイオレット。これを」
「?…リストバンド?」
「服の下に忍ばせて置いてくれ。
触れる度にマナを破壊したり、マナを構成したり出来る。
但し、
そこだけ注意してくれ」
「分かりました」
「行くぞ!」
そう言うと俺達は行動を開始した!
ーーーーーNO SIDEーーーーー
「逃げますよ!」
「お母様、一体何が⁉︎」
「!…捕らえよ‼︎」
「実銃を使いなさい!」
その頃、暁ノ御柱ではアンジュリーゼの母・ソフィアがアンジュリーゼを解放させ、逃走を図った!
勿論、それを見逃すジュリオでは無かった。
そしてリィザの指揮で狙われるその瞬間、ソフィアが手を翳す。
「封鎖!」
そうするとマナの力に呼応して、壁が出現。その隙に逃げる2人。
「被疑者は儀礼区画から御柱内部へ侵入。
至急確保へ!」
「シルヴィア様!」
そこは最早、一種のクーデターであった。
そんな中、一匹の黒猫が儀礼場に姿を現した。
ミャ〜
「?…なんだ?この黒猫は?」
すると猫は口に咥えていたものをリィザに向けて投げつける!
リィザは咄嗟にそれを掴むと、黒猫はすかさず後脚でリィザを皇帝から離させた!
「なんなんだ⁈ひっ捕らえよ!」
そう言いながら警備隊は黒猫を捕まえようとするが、黒猫はその攻撃を軽やかに淡々と華麗に避けまくる。
まるで怪盗のように。
すると猫は先程投擲した奴に向けて再びキャッチすると、今度はそれをジュライ皇帝に差し出す。下に警備隊が組み敷かせられながら。
「?これは…」
それは…赤と黒のデザイン。炎のようなメラメラを放つマスクとシルクハットが特徴的なマークをあしらった手紙であった。
受け取ったのを確認した黒猫はミャ〜と鳴くとそのまま御柱内部へ侵入していった。
そしてジュライ皇帝は猫から貰った手紙を開くとこう書かれていた。
『隠蔽工作を施し、民を不安にさせた元凶 ジュライ・飛鳥・ミスルギ殿。
貴方の行いは人々に更なる不安。いや、最早人々が混乱した中で統率する力を此度において失った。
よって我々は汝が持つオタカラを頂戴する。
※貴方の姫君 アンジュリーゼは我々が保護させて頂く。
心の怪盗団《ザ・ファントム》より
P.S.この手紙を見終えたら、すぐに投げろ。でなければ貴方の生命の保証は無い』
「!」
「父上!なんと書かれて「ッ!」!何を⁉︎」
そう言い迫りながらやって来たジュリオにこの手紙の内容を知らせる訳には参らなかったジュライはその手紙を空へと投げた!
そして投げ放った直後…!
ドガァァァンッ!
爆発が起きた!
それにより、人々が混乱に陥ってしまった!
「!貴方と言う奴は!」
「こうでもしないと…此処にいる者は死んでたとしてもか?」
「‼︎」
ジュライの発言により、ジュリオは苦虫を噛む。
その頃、アンジュリーゼを連れて逃走を図った母・ソフィアは警備隊の猛攻をマナの力で潜り抜けていた。
そして漸く出口の時に先回りして警備隊が待ち伏せをしていた。
そしてアンジュリーゼが出てきたと同時にマナの結界を彼女の周りに張り巡らせた。
「アンジュリーゼ様。此方へ。
…皇女殿下にはノーマの疑いが掛けられております。
抵抗なさらぬよう…」
「何を言っているのですか⁉︎」
そう言いながらアンジュリーゼが前に出る。
「!行けません!アンジュリーゼ‼︎」と母の声が聞こえた。しかし…
パリィンッ‼︎
『⁉︎』「え?」
時、既に遅かった。
「マナの光を…破壊した…!」
そう言われると周りの警備隊が全員に銃を構える!
「姫様がノーマだなんて…」
「嘘よ!嘘よ!」
「武器を捨て、投降せよ。
抵抗すれば、射殺する!」
「…この私に…第一皇女に向かって、銃を向けるか‼︎」
そう言うとアンジュリーゼが携えていた剣を抜刀し、部隊長に振り向けた。それに怯える部隊長は引き金を引く。
「アンジュリーゼ!」とソフィアが叫び、そして…
ドゥンッ‼︎パリィンッ!
周りの者が戦慄を覚えた。
「…‼︎お、お母様…‼︎」
そこには銃で撃たれ重傷を負ったソフィアの姿が。
「護り…たかった…貴方を…
真実…から…。
生きるのです。アンジュリーゼ。
何が…あっても…」
「!お母様ーーーーー‼︎」
そしてその生命が儚く散った。
アンジュリーゼはショックにより無気力になってしまい、そのまま警備隊に捕らえられた。
「ノーマ管理法第一条第三項目に基づき、お前を第
連行しろ」「はっ!」
そう言われ連行されそうになる…その時だった。
「アザトース‼︎」
何者かの声が聞こえた。同時に、ソフィアの周りに不気味な触手がうじゃうじゃと出現した!
それを見た一同は驚愕する。
「なんだこれは⁉︎」「構わず撃て!」
そう言うと彼等は触手を攻撃するが、触手はそれらを跳ね除け、更には反撃まで仕掛けてきた。
そしてアンジュリーゼが手を差し出すのを拒ませた!
「!お母様に触れるなー!」
だが、それも空しくソフィアは触手に繭の形状にされて、そのまま御柱から搬送される。
そしてその視線の先には黄金の仮面を被った何かが触手を出していた。
「ひっ⁉︎」
その不気味すぎる姿を見た一同。中にはそれを見て気絶してしまう者も。
そして触手はそのまま上空へと捧げるとそこからヘリが降りてきていた。
そして触手からソフィアを受け取るとそのまま何処かへ行ってしまった。同時にパトカー型のマナ車の上に何かが落ちてきて、着地した。
「ソフィア王妃は俺達が頂いた」
「‼︎この声は!」
その声を聞いた部隊長。そしてそれはアンジュリーゼにも聞こえていた。
それは昨日、アンジュリーゼが見た仮面の男…
「俺は心の怪盗団《ザ・ファントム》のリーダー。ジョーカー」
「同じくメンバー。"華麗可憐"ヴァイオレット」
「予告状の通り、この洗礼の儀に馳せ参じたり!」
その姿を見た一同は驚愕する。
3年前の日本で起こった改心事件を引き起こした者達が今、この場に姿を見せているからだ。
「あ、貴方は…」
「昨日とは打って変わって、ピンチな様だな?
だから、言っただろう。お前では民を導けないと。
それ故に俺達はお前を頂きに参った。
無知とは罪。その罪を背負わせる為に俺達は此処にやって来た」
「マナの光を!」
すると誰かがマナをジョーカーに向けて結界を張り巡らせた。
「お前は昨日、マナを破壊しただけでは無く、マナを形成して、我々に楯突いた!よってお前の身柄も確保させて貰う!其方のお嬢さんも仲間なら大人しくしろ」
「ジョーカー!」
「…ふっ。俺も甘く見られたものだな」
そう言うとジョーカーはその狭い結界内で軽く回転してそのまま蹴りを結界に向けて放つ!
パリィンッ‼︎
「⁉︎」
「やはりノーマか‼︎」
「貴方は…化け物…「人間だ!」⁉︎」
「寧ろ、マナを扱えるお前達の方が俺達から見たら化け物の様だ
「貴方は人間じゃない‼︎化け物よ!」
「化け物が言いがかりをするんじゃねえ‼︎」
人を人として見ないお前らの方が…余程、化け物にしか俺には見えないな。…否、それ以下の腐った家畜の様だ」
その安すぎる挑発に人々の怒りの矛先がアンジュリーゼに向けようとしていたのをジョーカーに向けられた。
「だから、そこにある化け物を俺達が頂こうと言うのだ。悪くは無い話だろ?」
「ノーマ管理法の明記により、それは出来ない。
ノーマは「アルゼナル」へと連行する!勿論、お前もだ!」
そうしているとジョーカーは上空に佇むヘリを見た。
そこからサインランプが点滅を繰り返していた。
「ジョーカー…」
「…残念だが」
それを聞いたアンジュリーゼは捕らえられつつ、ジョーカーに聞いた。
「!何があったと言うのです!」
「貴方の母君が先程…亡くなられた」
「‼︎」
「故に…」
そう言うとジョーカーは瞬時に部隊長から拳銃と警備隊の白兵ライフルを奪い取った。その隙にヴァイオレットも地面に置いてあったアンジュリーゼが携えていた剣を足で拾い上げる。
ジョーカーは白兵ライフルに装着されているナイフを脱着させると、ライフルをヴァイオレットに受け取らせ、そして自身は部隊長から奪ったハンドガンとナイフを。
ヴァイオレットはライフルと剣を構えた。
すると先程、2人が降りたマナ車から「準備出来たぞ!」と声がした。
その声を聞いた瞬間にアンジュリーゼを抱き抱え、ヴァイオレットもすかさず乗り込む。
そして全員、乗り込んだと同時に、黒猫が暁ノ御柱から颯爽とやって来た。
「ワガハイを忘れるな〜⁉︎」ニャ〜⁉︎
そう言いながら駆け込みながら入るとそのままなんとマナで動く車が動き、此処から逃走したのだ!
「‼︎逃げたぞ!追え‼︎」
と、部隊長の声で我に帰った警備隊が後を追う。
その間、人々は憎悪が吹き出していた。
「私達を騙したのよ!」
「あんな奴が居たから!」
「何が"絆"よ…この嘘つきーーーーー‼︎」
人々が憎悪になっていく中…
暁ノ御柱では、
「…皇后陛下の国葬をしたかったのだが。肝心の遺体が盗まれたとなれば国葬も出来んか。
それよりも今は…」
そう言いながら、ジュリオはマナの画面を映し変えた。そこには仮面の男…ジョーカーがアンジュリーゼを奪って逃走を始めた事だった。
「まさか、心の怪盗団が絡むとは…!
なんとしても捕らえよ!」
「はっ!」
「皇帝陛下は拘束しろ」
「は!」
そう言うとジュリオはシルヴィアの方へと足を運ぶ。
そこには先程の出来事がショックで気絶してしまったシルヴィアが涙を流していた。
「忙しくなるよ、シルヴィア。
これから汚された皇家を再建しなくちゃいけないからね。
僕達だけで。
リィザ!」
ジュリオは近衛長官であるリィザに宣言する。
「これよりミスルギ皇国は私が動かす!
新生皇国ジュリオ1世として!」
「御意」
そう言いながら、リィザは見送った後、スマホを取り出し、電話を掛けた。
『何のようだ?』
電話の相手はどうやら男の様だ。
「ジョーカーが現れた。ただそれだけだ」
『!…良いぜ。やってやる』
それだけ言うと電話相手は切れ、リィザはジュリオの後をついていく事にした。
そして連行されていくジュライ皇帝は想いを込めていた。
「(心の怪盗団。アンジュリーゼをどうか…頼む!)」
ーーーーー
その頃、ルブランではこの出来事は速報で入っていた。
「そんな…」
「お姫様が…ノーマだったなんて」
「しかも、あれって…リーダーだったよね⁉︎」
「ヴァイオレットも居たぞ‼︎」
怪盗団の仲間が慌てふためく中、古参の1人であり、ジョーカー=蓮の最初の友である、坂本は両手をテーブルに叩きつけ皆に言う。
「今はそんな事は関係ねぇ!ジョーカーを助けるぞ!」
その一言で皆は頷く。
心の怪盗団の鉄則 「全会一致で事にあたる」。
だが、それに待ったが掛かる。
「待ちな。お前ら」
「そーじろう…!」
「正直に言うと…助けに行きたいのは俺も同じだ。
だがもし、此処でお前達が捕まればどうなる?
彼奴にとって更なる重りになるぞ⁉︎」
「おもり…?」
「そうだ。例えば、お前達の誰かが捕まった場合、お前らはそいつを見捨てられるか?」
「はあ⁉︎マスター!そんな質問。答えになってないぜ‼︎」
「私達は誰も見捨てない!」
「そうだ!だからこそ助けに行くんだ!」
「!…皆んな、ちょっと待って!」
すると先程の惣治郎の質問に関して分かった真は皆を制止させる。
「つまり、私達が行って、誰かが捕まったら、私達は誰1人として見捨てない。これは絆とも呼べる私達の最大の強み。
でも、今を思えばそれは逆に弱みになる…!
私達が捕まれば、それを人質にして、ジョーカーを組み伏せられる。
つまり…」
「流石、弁護士の妹だな。
お前達が駆けつける事は彼奴にとっても有利になるかもしれない。
けど、お前らが人質になったら、彼奴は間違いなく抵抗するのをやめて大人しく投降する。とどのつまり…」
「私達行けば行くほど…」
「彼奴の首を締めていく事になる」
『⁈』
真と惣治郎の質問の答えに皆は何も言えなくなった。
坂本も椅子に腰掛け、そしてテーブルを叩く。
「っ畜生ッ‼︎俺達だと彼奴の足手纏いと言う事かよ‼︎」
そうしていく中、ニュースが入ってきた。
『速報です!つい先程、心の怪盗団をノーマ管理法に基づき、拘束。
ならびに隔離施設へと連行されました!』
『‼︎』
ーーーーー
速報で流れていた事は本当だった。
それはジョーカーがアンジュリーゼを盗み、逃走をしていた時だった。
逃走ルートに先回りされ、アンジュリーゼを守りつつ、2人で抵抗したものの、アンジュリーゼは捕らえられ、更には仲間のヴァイオレットまで人質に取られてしまったのだ。
こうなると最早、手をつけられず、ジョーカーは武器を捨て大人しく投降したのだ。
仲間がいるから力になれる彼にとって、人質がいるとどうしようも出来ないのだ。
彼等は抵抗空しく、その身柄を拘束されてしまったのであった。
そしてそれを遠巻きに覗く1つの影。
「ちっ!仲間がいるから自由に行動出来ないんだよ‼︎」
そう言いながら、愚痴を零す。
黒い衣装と画面を被った男。まるでカラスを連想させる仮面の男は悪態を吐きながらこの場を去る。そして何かの機体に乗ると、その機体を動かした。
すると機体は姿・形を変形させて、白い狩人の様な人型兵器に変わると、右腕に備え付けられていた弓の形をした武器を構え、矢を番える。
するとその上空にはヘリが有り、その近くを戦闘機が向かおうとしていた。撃ち落とすつもりの様だ…!
「…!」
すると機体はそのまま矢を放ち、その矢はヘリを撃ち落とそうとした戦闘機にクリティカルヒットし、爆散させた。
それを見届けた男は機体を変形させて空へと消え去った。
そしてヘリから見ていた運転手…丸喜はその姿を見て呟く。
「!…明智君…なのか…⁉︎…」
ーーーーー
『此方107。廃棄物を持ってきた。着陸許可を求む。此方107…』
辺りが激しい嵐に見舞われる中、通信が飛び交う。
そしてその輸送機の先に軍事基地の様な場所が存在した。
その場所の名は「アルゼナル」
人間が化け物と呼称した存在「ノーマ」達が行き着く最果ての場所。
そして…ノーマ達が唯一生きる事を許された場所である。
ジョーカー=蓮は投降し、此処へと連行された。
第120378号にして、「初の男性ノーマ」として此処へと連れてこられたのだ。
輸送機に入れられる前に身ぐるみを剥がされたのだが、その際に何故かマスクだけは剥がされなかった。否、言い方が違う…剥がせなかった。と言う表現が正しい。
そしてそれはヴァイオレットも同じであった。
今のジョーカー達は身ぐるみを剥がされたのだが、マスクだけは剥がせなかった。
まるで身体の一部の様に。
「(マスクが取れない…このままだと怪しまれるのがオチだ)」
『お困りの様だな』
「!」
すると周りの景色が暗くなると、マスクが取り外され、そして燃えると同時にその声の主が現れた。
「アルセーヌ…!」
『如何にも!我は『逢魔の略奪者』にして、汝のペルソナ・アルセーヌ。
何故、マスクが取れなかったのかと言うと、マナを持つ者にはこのマスクは剥がれないのだ』
▶︎ご都合主義すぎる。
それって、有り?
『細かい事は気にするな。心配するな。
ここに居るのはノーマだ。
だが、我はいつでも汝の側に居る。
そしてそれは仲間も同じ事だ。
…どうやら奴等が来た様だ』
「奴等?…ッ!」
そうして耳を澄ませると足音が近づいていた。
『マスクは既に剥がれている。
此処から先は汝の手腕頼りだ。
油断せずに参れ。
そして世界に反逆の意思を持て!』
そう言うとアルセーヌは姿を消したと同時に仮面が消え、周りの景色が明るくなった。代わりに眼鏡がいつのまにか現れ、掛けられていた。
『今はあの皇女様に時間をかけていますね』
「!」
そう言うと今度は何処からともなく青い蝶が蓮の周りをふよふよと舞い上がっていた。
そして蝶がドア付近に佇むと、そこから淡い光と共に女の子が現れた。
その子の事を蓮は知っていた。
「ラヴェンツァ…!」
「」しー!
「蓮。貴方を助けに来たのですが、どうやら此処は陸地から完全に遮断されています。
移動手段が無いに等しい場所です。
心は愚か、今度は現実の方も。
同時に檻に閉じ込められるなんて」
「大丈夫。"仲間を信じているから"」
「!…その言葉を聞けて何よりです。
今、モルガナが貴方達の事を探しています。
けれど此処から抜け出すのは至難の業です。
それに貴方を心の檻に投獄させた者の気配も若干ながらですが感じ取れます」
「!」
「私は貴方の側にてサポートをさせて頂きます。
その事をお忘れなき様に。
…!そろそろ来ますので、私はこれで」
そう言うとラヴェンツァは俺の身体の至る所にある傷をペルソナの魔法"メディラマ"で回復するとそのまま蝶になった。
そしてドアが開くと同時にすれ違いに去っていった。
「さて、お姫様の次はコソ泥か…?おい。仮面はどうした?」
「先程まで確かに仮面を付けていました。ですがその仮面が…」
「…本人に聞けば早いだろう。おい、120378号。お前、仮面はどうした?」
「………」
「黙秘は…無い!」
そう言うと尋問相手である女が右腕を振り翳す。
それを悪神から得た能力"サードアイ"で察知した蓮はすかさず自身の顔と両手首を固定されている手錠を突き出す。
そして拳はそのまま手錠を壊した。
「!(こいつ…咄嗟の判断で状況を把握したのか⁉︎)」
突然の行動に驚きを隠さない女性…ジル。
「…随分と荒っぽい事をしでかすんですね」
そう言い切る蓮。
それを聞いたジルは語り始める。
「何の事だが…」
「此処まで届きましたよ。アンジュリーゼ姫の悲鳴」
「アンジュだ「何?」彼女は今日限りでその名を捨てた…!」
「…貴方の勝手で捨てさせられたの間違いでしょう?」
「減らず口が良く出るな。…エマ監察官。この者の照合は?」
「雨宮蓮。20歳。出身国は…日本です」
「日本?
…確か、ノーマと人間の差別が無い辺境の国と聞いたが?」
「マナの力を借りずに独自文化の発展成長により出来上がった国家です。そのかわり、輸出に頼るのが専らですが」
「ほう…。まぁ良い。
お前は本当なら此処で射殺しようと思ったのだが、気が変わった」
「?」
「一つ、取引をしないか?」
▶︎取引?
…何をするつもりだ?
「お前はその軽い身のこなしが特徴だと先の結果で分かった。
お前…機械を操作するのに慣れてるか?」
▶︎バイクや車程度なら
多少なら…
「…上出来だ。エマ監察官。
こいつもアンジュと一緒に中隊に配属させる」
「⁉︎」
「正気ですか⁉︎」
「お前には何かと役に立てそうだからな…!」
「(まるで『駒』だな…)」
「その代わりにお前が理不尽になる様な事は避けさせよう。それでどうだ?」
ジルの取引と言う名の提案に思考を巡らせる蓮。
応じなければおそらく最悪…射殺。
応じたら…おそらく捨て駒や、馬車馬の様にこき使われる。
第三以降の選択肢は此処には…無い…否。有った。
「条件を飲もう」
「ほう…」「ええ⁉︎」
「但し、此方側も条件がある」
「なんだ?」
「この後、尋問する者に手を出したら容赦はしない」
「…ふっ。まるでお姫様を守る騎士だな」
「怪盗ですが何か?」
「正論述べてる場合ですか⁈」
こんなやりとりの中で、エマ監察官がツッコミを入れてくれる。
まともな人間である。
「それだけか?」
「それがまず第1の条件。
2つ目・俺が必要だと思った奴は極力用意する事」
「!待て!何故複数も条件を重ねる⁉︎」
「俺を駒の様に扱うのなら、様々な事を頼むからな。それなりの条件を付けさせて貰う。それに俺は
「くっ!…続けろ」
そして3つ目。俺の意思も汲み取る事。
これが出来なければ、あんたは俺を従わせる事は出来ない」
「ふざけているのか!言う事さえ聞けばそれで良いと言っているのだぞ!」
「そう言うふうに怒鳴りつけて…結果的に、自分で自分の首を締めて、末路を辿った者を、俺は知っている」
「⁉︎」
「この取引の間で、貴方がノーマの中で、1番階級が高い位置にいる事は分かった」
「⁈」
「!(この子…あんなやり取りでこの人が司令官であると見抜いたの⁈まだ何も階級を喋っていないはずなのに…!)」
「だからこそ、俺を従わせるにはそれなりのリスクが付く。
それに面白くないか?
「⁉︎後天性…ノーマだと?」
「そんなもの…存在しません‼︎」
「存在しなかっただけかもしれないぞ。監察官殿」
「っ⁉︎」
「俺は前まではマナを使用していた。所がある日を境にノーマになった。
それを生かしてその生態を把握するにはまたとない機会になるぞ」
「……はぁ」
そうため息を吐きながらジルは用意されていた席に座り、そしてタバコを吸う。
「まさか私が言葉巧みに丸め込まれるとはな」
「‼︎」
「良いだろう。取引成立だ。
但し、緊急時は例外にさせて貰う。異論はあるか?」
「…いいえ」
「なら、それで良いだろう。
それとお前は此処へと配属になるにあたり、名前を捨てさせて貰う。
確か、雨宮蓮と言ったな。ならお前はレンだ。良いな?」
「ジョーカー」
「何?」
「家族の名前を捨てられるのであれば、俺は自身の名前すら捨てよう。
その代わりに俺のもう一つの名前を全面的に出す。おそらく次に尋問を受ける彼女も同じ事を言うだろう」
「…良かろう。ならお前は今日付けで名をジョーカーにする。
問題は無いな?」
「ああ」
そう言うとジルはそのまま退室し、エマ監察官は驚きながら、かつ、蓮に向けて睨み返して、部屋を去った。
これから先、何が起こるのか、分からない。
けれど、新たな力が確実にジョーカーに注がれた。
我は汝 汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りは即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我「杯」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…
アルカナ「杯」
コープアビリティ 反逆
全てのペルソナで反撃出来る様になる(発生確率10%)。
ジョーカーは新たな力を得た感覚をした。
ーーーーーSIDEtoジル
まさか、私があそこまで絡められるとは。
あの男…かなりのやり手か。
「まさか、あの子まで本当に自分の名前を捨てるなんて…」
確かに。
先程まで私は「元」皇女殿下のアンジュを身体検査と言う名の尋問をしたが、その後がトントン拍子で終わってしまって逆に不完全燃焼状態だ。
特にあの男…雨宮蓮。
あいつの口裏にまんまと嵌められただけではなく、
奴の条件まで受け入れてしまった。
これでは奴を思うように動かせん。
まぁ、最も奴には捨て駒として上出来だろう。
「あ、ジル!」
私を呼ぶ声がしたので振り向くと整備班長のメイがやって来た。
「どうした?」
「あ、いや…。実は機体の事なんだけど…」
?
「実は1人、乗せる機体が無いんだよね…」
「…は?」
パラメイルに1人乗せられないだと?
「うん。今日入ってきた3人なんだけど…まさか男が入るとは想定外だったからね…ポンコツも使用していいのか聞きたくて聞いたんだ…」
ポンコツ…
「ヴィルキスの事か?」
「ううん。もう一方の」
もう一方…
あの機体か?
「なんですか?もう一つとは?」
「…実物を見せた方が速いでしょう」
そう言うと私は監察官とメイを連れて格納庫の奥へ、そこにはシーツに包まれた機体が有った。
これは私達の反逆の翼である機体。ヴィルキス。
皇家の血と指輪を持つものにしか扱えないポンコツだ。
だが、お目当ての機体はこいつでは無い。
そのままスルーする。
「あ、あれじゃ無いんですか⁈」
「あれとは別物だ」
そう言いながら目的地に着くとそこには誇りを被った機体がそこに有った。
その誇りをはたき落とした私。
ビリッ!
ちっ!相変わらず人好みを選ぶ機体だ…!
どうせ、生き地獄を見るなら、これ程の棺桶は無いだろう。
10年前に出会ったこの機体。中には誰も操縦されていなかった。
自動で動いていた。
この機体の名前を『
以来、あれから誰も操縦した者はいない。
私も搭乗しようとしたが、先程の通りに電撃が迸るかのように拒絶を見せた。
サリアやヒルダは普通に乗せられたが操縦は不可能だった。
おそらく皇家の者は乗せられない機体なのだろう。
良い機会だ。この際、あの男にこの機体を託すか。
どうせ、それでも不可能ならこの機体を解体処分するつもりだったからな。
さて、明日から私の計画の下準備を始めようではないか…
神への反逆…『リベルタス』を!
アンジュ「さ〜て、皆さん見て頂きましたか?
…って、長いわよ!途中、要らない話も入ってた様な気がするんですけど⁉︎」
ジョーカー「そんな事よりも次回の予告を進めたらどうだ?」
アンジュ「って、なんであんたが此処にいる訳⁈」
ジョーカー「W主人公だから仕方が無い」
アンジュ「そんな話聞いて無いんですけど⁈」
次回 「まつろわぬ魂」
アンジュ「と言うよりも速く予告済ませるわよ!」
ジョーカー「…もう終わってる」
アンジュ「嘘でしょ〜⁉︎」