50年前に滅びた世界で   作:たかき_438

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第22話 探索の後

地下の探索も終えたので、地上に戻るためにもう一つの階段を上って出ようとしたのだが、こちらは最初の方に立ち寄っていた資料室にまでつながっていた。こちらも同じように隠し扉があり本棚が動いて隠されていた通路が出たりしたのだが、まさかこの部屋につながっているなんて思ってもいなかった。

そんなこんなで役所の探索を終えてその後も街の探索をつづけたのだが、あの後見つけたものといえば保存状態がまあまあよさげなトイレットペーパーぐらいだった。昔使われていたであろう道具なんかは今までも割と見つかったりするのだが、特に使い道もないのでそのままである。

そんなこんなで昇っていた陽は下り、今は昨日と同じ建物をお借りして一夜を過ごそうとしていた。

 

「ああ。やっぱこっちにも書いてあったか……」

 

今日の探索を終え夕食も食べ終えた今、俺は今日お借りした(多分半永久的に)本を読んでいるところだった。その本は役所の資料室で見つけたボスリャニア大陸史総集編である。今日探索した地下室では大陸の地図を見つけたが、この本にも大陸の地図が載っていた。あそこの部屋で写真を取る意味はあんまりなかったかもしれないが、まあ別にいいだろう。

この本の最初の方に書かれている地図を見るに、この大陸には今いる諸侯同盟以外にも自由帝国や公国、王国、合衆国、共和国、共同体と、この大陸には全部で7の国があったみたいだ。役所の地下でみた地図通りである。

タイトル通りというべきか、この本には大陸の外のことは書いていないみたいなので、世界地図がどんなものなのかが気になる。それを知ったところで何になるのかという話は置いといて……

これらの国はいったいどのような国なのだろうか、恐らくこの本にいろいろ書いているのだろう。まだ読む気力はあったので、そのページを見ようとする。

 

「ねえねえ、あとどれくらいぐるぐるすればいいの?」

 

と、そうしようとした俺に対して彼女は質問を飛ばしてきた。彼女は俺が渡したモバイルバッテリーの手回し発電機を回し続けていた。

 

「ああ、うーん……もうちょっとだけヨロしこ」

「はーい」

 

アンジェラは俺の言ったとおりに、ぐるぐると発電機を回し続けた。

最初は俺がスマホの充電をするためモバイルバッテリーの手回し発電機を回していたのだが、これにアンジェラが興味を持ったみたいで、今は代わりに回してくれている。

ただグルグル回すだけなのだが、ちょっと楽しそうにしているみたいだ。

 

「ぐるぐるぐるぐる……あ、そうだ」

 

彼女は唐突に何かを思い出したみたいで、発電機を回していた手を止める。

 

「そのすまほってやつで私を撮ってもらう約束したよね、確か地下で」

「……ああ、そういえば。じゃあ今撮っちゃう?」

「うん!」

 

確かに、今日役所の地下を探索していた時に写真を撮ってあげると約束していた気がする。あの時は雰囲気が悪いだのなんだの言って撮らなかったんだっけ。

今撮ってあげるとするか、そう思いながらスマホを取り出して、スリープ状態を解除する。

 

「じゃあ、さっそく撮りますよー」

「あ、えーと、あーと……どんな格好すればいいんだろう……」

「別に自然体で……それかピースサインしておけばいいと思うよ」

「ピース?」

「そそ、ピース。こんな感じね」

 

そう言いながら左手の人差し指と中指をたてて、ピースサインを作る。

 

「ぴーす……それってどんな意味があるの?」

「えぇ、なんか元々は何かに勝ったときにやるものだったらしいけど……どんな意味があるんでしょうね?」

 

普段何気なくやっているが、特に深く考えたことはない。このままではボーっと生きてんじゃねえよって5歳児に叱られそうである。別に知らなくたっていいじゃないか。

 

「えー……まあいいや。こんな感じ?」

 

どうやら10歳児に叱られることはなさそうだ。彼女は俺がやっていた通りのポーズをとった。

 

「あーそうそうそう。んじゃ撮りますよー……ハイ、チーズ」

 

スマホの液晶に表示されたボタンを押して、写真を撮る。カシャっというシャッター音が辺りに響き渡った。フラッシュはオートにしていたのだが、周りが暗いと判断されたため撮影と同時にフラッシュがでる。

 

「うわ、まぶし……」

 

と、撮影をしたのだがどうやら彼女は撮影したまさにその時、目を瞑ってしまったみたいである。

 

「目、瞑っちゃった……」

「あらら……あー、完全に目つぶってる。ほら」

 

今撮った写真を確認したのだが、やはり目を瞑っていた。ポーズとかはしっかりできているだけに惜しい。

 

「ほんとだ……その光がないとだめなの?」

「うーん、ちょっとその焚火の光だけじゃね……」

 

補正とかマシマシにすればいけるかもしれないが、それだと綺麗に映すというのは難しそうだし、カメラを固定したり被写体が動かなかったりする必要がありそうだ。やはりフラッシュありで撮影しないと厳しいものがある。

 

「とりあえずもう一回撮ってみて、今度は開けているように頑張るから」

「わかった、じゃあ撮りまーす。はいチーズ……うーん、少し目を開けてるけど薄目になっちゃってるね」

 

2枚目は一応目を開いているのだが、かなり薄目でほとんど瞳が見えない。ちょっと写真としてはいかがなものかと言わざるを得ない。

 

「どうする、続ける? この光ないときれいに撮るのはむずいと思うけど」

「うーん、やっぱりその光苦手かも……」

「あー、んじゃ明日明るいときに撮ったほうがいいと思うよ」

 

今日の所はこの子の写真を撮るのをあきらめた方がよさそうだ。このままではしっかりした写真を撮るのに朝までかかりそうなので、それなら朝に撮ったほうがいいだろう。

 

「まあ、しょうがないね……あ、そういえば」

 

彼女も一応納得してくれたみたいで、それ以上は撮りたいとねだったりはしなかった。

が、今度は何かを思いだしたみたいだ。

 

「この街の中も色々見たから、明日にはこの街を出ようと思うんだけど」

「明日? 明日っすか?」

「あれ、ダメだった?」

「いや、そういうわけじゃ……別にいいと思うよ」

 

彼女の提案に俺は一応同意した。この街は結構広い街なので、探索していない所もまだまだ残っているのだが、彼女は明日にはこの街を出るつもりみたいだ。まあ確かにこの街の隅から隅まで見る必要はないし、別に出てもいいだろう。

 

「じゃあ、そろそろ寝よー」

「ああ、オッケー」

 

陽が落ちて久しいし、彼女の言う通りもう寝る時間かもしれない。スマホの時計はまだ4時前をさしており相変わらずまだ眠たくないが、その内時差にもなれるだろう。

当然というべきか、今夜も昨日と同じように一緒にくるまって寝ることになった。これになれる日は来るのだろうか。そう思いながら2人で寝る準備をした。




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