50年前に滅びた世界で   作:たかき_438

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第24話 異世界の星空①

時がたつのはあっという間で、今はもう夜である。あれから半日、ほとんど休むことなくチャリンコをこいでいたが、そこまで疲れはたまっていなかった。アンジェラが強化魔法とかを何回もしてくれたのと、そこまで速度を出さなかったこと、自転車の非電動アシストの存在などのおかげである。

多分5時間近くは自転車をこいだと思うので、40キロメートル以上は進んだかもしれない。一本道だったので特に道に迷うということもなかった。残念なことに、これだけ進んだにもかかわらず完全に倒壊していた道の駅的なもの1つしか建物を見つけることはできなかった。それくらい進めば村の1つや2つ見つけられると思ったのだが……

周辺の地図があればいいのだが、残念なことに大陸の地図やあの街の地図を見つけることはできても、その中間あたりの大きさの地図は見つけられていなかった。もし見つけていたら何時に出発すればいいだとか、どの道を通ればいいだとか計画をたてれたのだが。

そんなわけで今日は野宿をすることとなった。夜になり、食事を終えて今は2人で寝る準備を終えたところだった。

相変わらず寒いが、贅沢を言うことはできない。下に敷くマットみたいなのはないので、地面の上に布団を敷き、2人でそれの中に入ってくるまっているのだが……

 

「今更気づいてしまったんだけどさぁ……」

 

俺は重大なことに気づいた。今まで気づく機会は十分にあった。確かに夜はずっと建物の中にいたので気づきにくかったかもしれないが、それでもなぜ今まで気づかなかったのか。もっと早く気付くべきだったのではないか、それが悔やまれる。

 

「ん、どうしたの」

「……星空滅茶苦茶きれいだなおい!」

 

今眼下には、とても数えることができないほどの星が空を舞っていた。明るい星、暗い星、月みたいに大きな星も2つある。その2つの星で色も違い、1つは月と同じような色だが、もう1つは火星みたいに赤くなっている。2つの星とも三日月になっていた。

その2つの星以外にも幾多の星が輝いている。東京の空とは比べ物にならない。本当に満天の星空だ。

人工の光が何もなければ環境汚染もないこの世界。澄み切った空と光がない大地だからこその光景なのだろうか。おそらく、今までテレビやネットで見てきた星空並みか、それ以上の綺麗さだ。

 

「すごいすごい、マジできれいだなおい。てか月が2つあるやん! やべぇちょっと興奮してきたんですけど」

「ああ。まあ、やっぱりきれいだよねぇー」

 

俺が星空に興奮している一方で、彼女は結構冷静である。やっぱりこの景色に慣れているのだろう。生まれてからずっとこんな景色だったら、確かになれるかもしれない。

彼女は右手で星空を指さした。

 

「あの赤い星はセイナス、赤くない方はスイナスっていうんだって」

「はえ~……」

 

彼女の教えてくれたことに相槌を打つ。ぶっちゃけ星の名前にはあんまり興味がないが、一応頭の片隅には入ったような気がする。

 

「なるほど……それはお父さんが教えてくれたの?」

「そう。ほかにもいろいろ教えてくれたなぁ……」

 

彼女はどこか懐かしそうな表情を浮かべながら、星空へ向けて手を伸ばした。

 

「今見えている星のどこかには違う生き物たちが住んでいるんだって、お父さんが。本当にそうなのかな……」

「うーん、どうだろうねぇ……今ここから見えてる星ってほとんど恒星だろうから見えている星に生き物はいないと思うけど」

「えー、よくわかんないけどそうなの?」

「いや俺も見に行ったわけじゃないからわかんないけど……まあ、見えないだけでこの宇宙のどこかにはいるのかもしれないけど」

 

生命とかが住んでいる可能性がある惑星は自らが光り輝いているわけではないので、月や木星などかなり近くの天体でないと、天体望遠鏡などを使っても観測するのはかなり難しいのではないか。ましてや肉眼でとなるとなおさらである。

 

「まあ、どうだろうなぁ。宇宙って本当に広いから、もしかしたら太陽や銀河系もこの星空のどれかにあるのかなぁ……」

「へー、どれぐらい広いの?」

「どれくらい、ねぇ……うーん、とにかくメチャクチャ広い!」

「えー、それじゃどれくらい広いのかわかんないよー」

「いやそんなこと言われても、マジで広すぎて俺にもわかんないから」

 

なんかネットの動画とか記事とか、あとは学校の授業とかで宇宙の広さとかについて知る機会とかがあったりしたが、確か1兆を優に超える星が宇宙には存在していると聞いたことがあるような気がする。これほどまでに大きいのだから、異世界に来たのではなく地球から遠い惑星に御呼ばれしたという可能性ももしかしたらありそうだ。それを確かめるすべはないが。

とにかく、宇宙は途轍もなく広いということを伝える。

 

「じゃあじゃあ、自転車で宇宙まで行ったら、端っこまでどれくらいかかるの?」

「自転車で宇宙には行けないと思うけど……まあ、目指している間に年をとって死んじゃうね、間違いなく」

「えー……じゃあ宇宙行くのは諦めよう……」

「いやいや、別に関係ないでしょ。別に端のほうまで行かなくてもただ宇宙に行くだけでもいいでしょ」

「あぁ、ほんとだ」

 

彼女は少し笑い、それにつられ俺も笑う。

 

「でもなぁ……いつか本当に、宇宙に行けたらなぁ……」

「……まあ、いつか行ける……可能性はないわけではないと否定することはできないかもしれない」

「……どっち?」

「どっちでしょーね」

 

俺も宇宙に行ったことはないが、もしかしたら生きているうちに宇宙に行くことができる……のかどうかはわからないが、これはきっと、宇宙に行ける時までわからないだろう。

そんなことを思いながら、2人でこの星空を眺め続けた。




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