50年前に滅びた世界で   作:たかき_438

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第30話 怪我の具合は

「……ふぉへ」

 

ずいぶんと間抜けな声をだしながら、少しずつ意識がはっきりしていく。俺はしばらく横になっていると彼女に言ったと思ったが……

 

「あー、寝ちゃってたみたいだな……」

 

右手で目元をこすりながら、俺は上半身を起こした。

身体の方に意識を向けると、痛みがだいぶ引いているのがわかる。手首を見ると、腫れていたはずの所の腫れが完全になくなっていた。まだ痛みは残っているが、十分動ける程度まで回復している。

ちょっと立ち上がってみようとしたが、何かに引き留められるかのような感じがして動くのをやめた。どうやらアンジェラに抱き着かれているみたいだった。なんか足の所を抱かれているみたいだった。

 

「おりょ、抱き着かれて……って、これいつも使ってるオフトォンじゃん」

 

実際まだそんなに使ってないが、今体にかかっているのはこの世界に来てから2人一緒に寝るときに使っている布団だ。何かかかっていると思えば、これがかかっていたとは。

 

「でも何で……」

 

これは1階の自転車に置いてきたはずだ。かごに荷物を入れたままにしておくだなんて不用心かもしれないが、どうせとる人もいないだろうし、上に上るのだから少しでも荷物を減らしておくべきだと思って荷物は全部置いてきたのだ。

しかし現に俺は布団をかぶっている。ということは。

 

「……持ってきてくれたのか」

 

彼女が横になっていた俺のために布団を持ってきてくれたのだ。ここは十何階だし、下まで降りて、布団を取って上ってきてくれたということか。なにはともあれ、とにかくありがたかった。周りは相変わらず寒いし、これのおかげでよく眠れた。

彼女は起こすべきかどうか悩んだが、しばらくは寝かせていても大丈夫だろう。横になってからどれぐらい寝ていたのかはわからないが、太陽の様子を見るにそこまでは寝ていないはずだ。ポケットに入れてあるスマホ(上から落ちたときは当たり所が良かったのか全く傷つかなかった)を取り出し時刻を見ると、大体1時間ぐらいは経っているみたいだった。

痛みもまだ残っているし、もう少し寝ててもいいか。そう思い再び横になる。

 

「……んん……あれ、起きたんだ」

 

と、どうも彼女が起きたみたいなので再び上半身を上げる。

 

「あらら、起こしちゃった?」

「そんなことないよ……それより、怪我は大丈夫なの?」

「うーん、まだちょっと痛いかな……でも、だいぶ良くなってるよ」

 

身体を動かして元気アピールをする。考えてみると恐らく治すのに数日はかかるであろうねん挫とかが1時間でこれだけよくなるのだから、現代医学も驚きである。やっぱ魔法は素晴らしい。

 

「そっか……よかった……」

 

彼女は俺の様子を見てほっとしているみたいだった。

 

「そういや、この布団わざわざ持ってきてくれたんでしょ。別にそこまでしてくれなくても……まあありがたかったけど」

「だって横になってた時に少し寒そうにしてたから。それで持ってきた方がいいかなって……」

「そうだったんだ……まあとにかくありがとう」

 

寝ていたので全く記憶にないが、俺は寝ていた時に寒そうにしていたみたいだ。その様子をみて彼女が持ってきてくれたようだ。普通にやさしい、とりあえず感謝の言葉を彼女に伝えた。

 

 

※※※

 

 

あれからもう少しだけ横になった後、屋上に出て外を見ることにした。

そもそもこの建物に上ったのは上から何か見えるかもしれないと思ったからだ。本来の目的を果たすために2人で屋上に出る。もちろん下に落ちないように崩れているところからは距離を取って。

 

「うーん、結構景色いいな」

 

眼下には数多くの建物と、それと同じぐらい多くの更地がある。建物は崩れ、ボロボロになっていたりと完全に廃れた光景なのだが、この位置から見るとなんというか、味がある。

 

「あっちの方から来たんだよなぁ……しかしこの街やっぱでかいな」

 

改めてそう実感する。見渡す限り何かしらの建物がある。緑が生い茂っているところも、恐らく昔は多くの建物があったのだろう。

この街は数十万、いや数百万人規模の人口を抱えていたのかもしれない。

 

「こっからなんかありそうな建物とか見えないかなぁ……」

 

そんな都市なのだから何か特異なものがあるだろうと思ったのだが、今のところ特に

いつまでもここにいるという訳にもいかないので、次に向かうべき方向を今のうちに定めておきたい。上から見たら何か見つかるかもと思って上ったのだから、何も見つからなかったら上った意味がなくなってしまう。

 

「……ねえ見て、あっちの方」

 

血眼になって探し続けていたが、俺とは違う方向を見ていたアンジェラが何かを見つけたみたいだった。

 

「え、何かあるの?」

「あっちの方におっきな建物があるよ。あそこ」

「あー……あー確かに、なんかお城とか宮殿っぽい……」

 

結構遠いのでしっかりと見えているわけではないが、かなり大きな建物があることがわかる。建物はお城とか宮殿っぽい。高さはそうでもないが、横の広さはだいぶあるみたいだ。

 

「じゃあ、あっちの方に行きますかね」

 

もしかしたらあれは政府関係の建物かもしれない。そうなると色々と掘り出し物が出る可能性もある。そんなわけであの建物に行くことにし、方角をしっかりと覚える。

一応本来の上った目的を果たすと、若干の痛みを覚えながらも建物を降り、その建物へと向かうことにした。




投稿のペースを上げたいと言いつつ全然上げられてない……申し訳ないです。
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