以前より考えていたまどマギの二次小説を書き始めました。
全十二話とプラス一話を予定していますが、どうなるかはわからないです。
それでもよろしければ、どうぞお手にとって頂きたい。
……なお、なぜR15指定をしたのかは、読み出しでわかると思います。
なのでもう一度、言います。
なんでも許せる人向け、です。
それでは、どうぞ。
ある日、見滝原市に巨大な娯楽施設が突如として現れた。
施設の名は【乙女の社交場・パチンコ⭐︎スロット】。
その名の通り、パチンコ・スロットが二千台近く設置されている大人の遊戯施設だ。
この施設は一晩のうちに現れたにも関わらず、市の人間も、県の人間も、国の人間でさえ、昔からあったモノだと認知している。
更に驚くべき事は、この賭博場に入店できる層だろう。
それは、女性だけ。
それも、中学校一年生から、現役入学で考えた大学四年生の年齢までのみが入場を許さている。
そういった理由からか、施設の外観は可愛らしく、猫のような白いマスコットを模している。
しかし、ここはあくまでも人の狂気と欲望が渦巻く賭博場。
訪れた者達を取り巻く環境は決して可愛いものではなかった。
「どうして…!どうしてなの!どうして後千円を入れられないの!!」
「ほむらちゃん、もう諦めようよ。私達の年齢じゃ、週に一万円が限度だもん」
「だとしても!どうしてあんなに高い継続率の当たりを1回目ではずすの!?どうして……あの後追っちゃったの……」
「仕方ないと思うよ?なんだか、当たりそうな雰囲気があったし…」
「うぅ…。演出なんてあてにならない事、知ってるのに……どうして……。まどかぁ……」
あらゆる作品のBGMが狂喜乱舞する遊技施設内。その端にある、休息所にて桃色のツインテールをした少女と、黒く艶のある美しい長髪を乱した少女が、長椅子に腰掛けている。
桃髪の少女・まどかは涙無く泣き崩れるほむらの虚無に満ちた顔を、白いニーソックスで覆われた太腿で受け止めていた。
「でもほら!今日はいつもよりも負けは少なかったみたいだし…ね?」
「違う、違うのよまどか。私はただ遊びたいの。その上で少しでもプラスになれば良いなって思ってるだけで……」
「その考えがダメなんじゃ無いの〜?」
頭を抱えて落胆するほむらの下へ、異界と現実を隔てる自動ドアからショートカットをした青髪の少女が意気揚々と現れる。
瞬間、まどかの太腿から弾かれたように離れ、ほむらは髪を靡かせる。
まるで何事もなかったのように。
「あら、美樹さん。今日は、随分と余裕そうな表情ね」
「ふっふー。まぁね〜」
「さやかちゃん。どうだった?」
彼女の行動を、微笑ましく見つめるまどか。
その後、さやかに向き直り、戦果を尋ねる。
「にしし。ホクホクだよ、ホクホク」
「……貴女、前から思ってたけど、サディストよね」
「アンタにだけね〜」
ニコニコとほむらの隣に座り、いくつか重なっている白と赤の板をひらひらと見せつけるさやか。
彼女のその行動に目を細め。
「ざっと四万、ってところかしら」
ほむらはまどかの方へとそっぽを向いた。
「投資五千円でこれだからね〜。いやー、よかったよかった」
「おめでとう。そのお金があれば限度を超えても打てるわね」
「いやいや、今月はもう打たないから。当たった後はそれ以上にスッちゃうタイプだもんね、あたし」
「あ、あはは」
ピリピリと張り詰める空気に、まどかは苦笑いを溢すしか無い。
彼女達は同じ高校に通う同級生だ。
元々、まどかとさやかは古くからの幼馴染みで、交友関係は小学校の入学式よりも遡る。対して、ほむらは中学二年生の時に転校してきた少女である。
誰とでも分け隔てなく接してくれるまどかに、ほむらは他者に対するよりもほんの少しだけ思いが強かった。
そのせいなのか、まどかの取り合いーーまでは行かずとも、さやかとほむらは彼女が側にいると妙に仲が悪かった。
以降、不穏な言い合いを繰り返し、今日のまどかと同様に周囲を困らせていた。
だが、共通の友人を持つ以上、決して互いを嫌っているわけではなく、寧ろ悪友的な関係である。
高校入学後はそれが特に顕著で、時折二人きりで出かける事もあった。
……そのため、久々に訪れたこの剣呑な空気に、まどかは何を口にすれば良いかわからず、心臓を押し潰されそうになっていた。
「ちょっと二人とも?まどかが困ってるでしょう?」
「あ!マミさん!」
その最中に現れた、檸檬色の艶髪を下ろした女性。
大人びた雰囲気のある彼女は、同じ檸檬色だが光沢の無い長財布を手に三人の前に立ち塞がった。
「えへへ、ちょっとはしゃぎ過ぎたかな」
「えぇ、ちょっとだけ、ね」
「こら、貴女達?後二週間で大学生なんだから、良い加減やめなさい」
二度目の強い口調に、僅かに顔を俯かせる二人。
その後、直ぐに笑みを見せて、反省を口にした。
「はーい」
「そうね。ごめんなさい」
「全くもう。
まどかも、ちゃんと言わなきゃダメよ?勝った負けたの話なんて、ここじゃ御法度なんだから」
「…はい」
大きくため息を吐き、三人の向かい側の長椅子に腰掛けるマミ。
三人のやり取りを諫めるのが疲れたのか、どこか浮かない表情をしている。
「そう言えば、杏子は?」
「……彼女なら、多分、当分出てこないわよ」
「げっ、そんなに当たってんの?」
「えぇ。びっくりするくらい」
「道理で、いつも余裕な貴女が落ち込んでるわけね」
「あはは。そう見える?なら、私もまだまだ修行が足りないわね」
そう言って壁に背を預け、もう一度大きく息を吐くマミ。
ポケットらしい空間に大きな膨らみがない事や、落胆している様子から見て、彼女もそれほど芳しく無いようだ。
「さ、今日はもう帰るわ。さやかとまどかはまだしも、私やほむらは、杏子とは話辛いもの」
はにかみ、マミは長椅子から立ち上がってほむらに視線で尋ねる。
「……そうね。本当にそう。
ごめんなさい、まどか。私も先に帰るわね。もう少し、この台の事を勉強しないと」
受け取った彼女も同様に長椅子から立ち上がり、見下ろす形でまどかに微笑んだ。
「ほむらちゃんはもうちょっとパチンコから離れた方が良いと思うけど……」
「言っとくけど、スロットもだかんね。アンタ、確率がどうのとか、演出がどうのとか、レア役がとかいう割に全然だし」
「……考えておくわ」
休息所の出口にあたる自動ドアにマミと並び立ち、返答するほむら。
しかし、その返事の中に反省の色は特に見当たらず、学べば勝てるはずだ、という強い思い込みが感じられた。
「……………ダメだこりゃ。まどか、教えてくれるからってあんまりアイツに頼っちゃダメだからね」
呆れ返り、さやかはまどかを嗜める。
当人がダメなら友人を。といった考えなのだろうが。
「大丈夫。そんな事くらいで辛い気持ちになる程、浅い経験じゃ無いわ」
二人の間に割って入ったほむらに訂正されてしまった。
「いつも真っ先に帰るしか無くなる奴が何を言うんだか……って、もしかして魔法で」
肺の中を全て出すようなため息を吐き、ジロリと睨みつけるさやか。
けれど、その先にほむらはおらず。
「……もう、いないわね」
遠い目をしたマミしか居なかった。
「ほむらちゃん……」
「ほっとけほっとけ。そのうち気がつく」
「だと良いけど。……って、私もそろそろ行かないと。杏子と鉢合わせたら大変だわ」
「あ、私も一緒に行きます。私も、負けたわけじゃ無いんですけど、プラスが五千円くらいで……」
まどかは口にしながらチラリとさやかを覗き見る。
「ん、気にしなくて大丈夫。杏子は勝った時、結構面倒だからね。あたしが相手しておくよ」
「ごめんね、さやかちゃん。普段はそんな事ないんだかど……」
「わかってる、わかってる。あたしだって、同じような状況じゃないと一緒にいられないもん、ここ来た時はさ。だから、マミさんに送ってってもらいな」
「そうね。確か、まどかが今日打ったのは、その日暮らしが泣く頃に、だったわよね。どんな台だったか聞きたいから、お願いしても良いかしら?」
「だってさ。ほら、行った行った」
「…うん!それじゃ、マミさん」
「えぇ」
どこか申し訳なさそうにさやかに手を振り、マミと共に休息所を後にするまどか。
彼女達の背中が見えなくなるまで見守っていると、反対側の自動ドアが開き。
「いや〜!!勝った勝った!バカ勝ちだぁ〜!!」
声高らかに、換金用の板を手に抱え、赤髪でポニーテールの少女が現れた。
「あれ、もうみんな帰っちまったのか?」
「うん。あたし以外、あんまり良くなかったんだってさ」
「んだよ。せっかく焼肉でも奢ってやろうと思ったのに」
「お、ゴーセーだねー。じゃ、ご相伴に預かろうかな」
どっかりと、さやかの隣に腰を下ろし、片膝を抱えるようにした彼女は、数分の間、何がどうなってこれほどの事故が起きたのかを興奮気味に語った。
時刻は夕暮れ。
彼女達五人が、今どんな状況に置かれているのかを思い出すには、まだ少しだけ黄昏が足りない。
To be next story.
と言うことで、始まりました博打少女まどか⭐︎マギカ[確率の物語]。
ファンの方でもそうでない方でも、パチやスロで彼女達が出ている事は知っているかと思います。
……端的に言えば、「まどか達がスロットとかやったらどうなんだろう」。
思いつきのもと書き始めました。
にわか打ちさんな私が書きますので、それなりにやっている方には退屈なものとなってしまうかと思いますが、どうか最後までお付き合いいただけるとありがたい限りです。
………更新は凄い遅いと思いますが。
それでは、また次回。
さよーならー