博打少女まどか☆マギカ【確率の物語】   作:カピバラ@番長

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 いつまで連投を続けられるのか。見ものですねぇ。
どぞ。


第九話 もう確率には頼らないのです

 ーー不穏な空気は確かに感じていた。

 

 月明かりの下、不夜城が如き輝きを放っていた店の消灯を見届けながら暁美 ほむらは落ち着いた黒色をした小さなトートバッグに財布を入れる。

 

 ーー佐倉さんに協力を仰いでいて良かった。でなければ確かめるより早く撤退する羽目になったもの。

 

恨みな憎しみ、或いは落胆といった感情とは程遠い瞳を向け、ほむらは踵を返す。

彼女の背に佇むは乙女の社交場パチンコ⭐︎スロット。

中学生からストレートで入った大学卒業生までの女性のみが入場できる場所。

およそ常識とはかけ離れた治外法権とも呼べるこの店は、しかし法の手からは逃れ、少なくとも四年は利用されている。

そう、少なくとも。

 

 「……私とした事がなんてザマ。四年しか認識出来ていないなんて。明らかに異常なのに今の今まで気が付かなかった」

 

以前、乙女の社交場で杏子に告げた噂の台。

どれだけ打っても絶対に当たらない地獄のハマり台をほむらは今日という日のために杏子と協力して台を特定していた。

 

 『話だとランダムらしい。けど、選ばれる台に傾向があるのも事実だ。だから噂を信じてる奴らはその台を絶対に打たない。……ってな具合だ。前はああやって笑っちまったけど、どーもきな臭ぇ。アタシの資金からもいくらか貸すから確かめてくれ』

 

昨晩ほむらの家に現れた杏子が口にしたのは半月かけて集めた信頼性の高い情報と、依頼。どうやら杏子は現在、さやかからのお達しによって打ちに行く事を禁止されているらしい。

 

 『とは言っても…ね』

 

六万ほど金を受け取り、杏子を見送ったほむらは閉められた扉に向かって独り言ちる

杏子が聞いた相手は顔馴染みになってしまった同大学の生徒。確かにネットの書き込みよりかは信用できるだろうが、だからと言って手放しに信用していいとも限らない。

しかし他に手がかりも無い。となれば取れる手段は一つ。

彼女が最も多く手段として取ってきた根比べだ。

ほむらはとにかく、確率が高いとされる台を毎日打つ事にした。

同じ大学に通うまどかに事情を伝えず、静止してくるだろう友人との連絡を断ち切り、この一ヶ月間貯蓄を切り崩しながら打ち続けた。

当然、ハマり台に座っていなければそれだけ打っていらのだから当たる日もある。

お陰で当初ほむらが想定していた出資よりかは安く済みはしたがマイナスはマイナス。生活が困窮している日々が続きもした。

それでもと。通い詰める事でほむらはとうとう噂を体現した台を引き当てた。

そして彼女は確信を得る。

 

 「財布は軽くなってしまったけれど、これではっきりした。この店は、百パーセント政府の管轄外にある施設だわ」

 

中学生は一円パチンコ及び五円スロット機まで上限五千円で利用が可能。

高校生は四円パチンコ及び二十円スロット機までを上限一万円で利用が可能。

大学生は上限を撤廃し、通常のパチンコ・スロット店と同様に利用可能。

ただし、店内で当選し景品と交換した金銭を用いて利用する場合は上限額はないものとする。

それが乙女の社交場に於ける未成年に対するルールだ。

普通に考えれば世間に国に許諾されるはずのないこのルールは、だが大人の中ではこう認識されていた。

『順を追って大人の遊びを経験できる場所』と。

確かに考えようによってはそう解釈する事も可能だろうが、それが全ての大人ーー少なくとも乙女の社交場に来店する少女達全員の親が理解していて、同時に世間からのクレームもないのだから市内で反対している人はいないことになる。

ゲームセンターの型落ちパチンコ・スロット機ではいざ知らず、現行の筐体を使って未来の練習をさせるのは明らかに異常。

その事をほむらは今日初めて正しく認識した。

 

 「こんな簡単なことに今まで気が付かなかったなんて飛んだ間抜けね。いい笑い者だわ。……でも、今日からは違う」

 

街頭の下を黒髪を靡かせながら歩くほむらは冷徹な怒りを孕んだ瞳で行先を見据える。

 

 「魔女かインキュベーターか。どっちだって構わない。勝負はここからよ」

 

彼女の手に握り締められているのは紫色のソウルジェム。

濁りはなく、彼女の意思に呼応するかのように浴びた月明かりで妖艶な輝きを放った。

 

 ーー……今の台詞、ちょっとアツい演出の時に流れそうね。

 

そんな中、彼女の頭の中は少しだけパチンコ・スロット脳だった。

 

 「……ホントに大丈夫か心配なのです」

 

街頭の明かりの中に消えていくほむら。

その背を見守り、今にもため息をつきそうな幼い女の子が闇の中にいた。

 

 「でも、賭けるしか無いのです。当選確率がゼロからニパーセントになった。今はそれだけで充分なのです。…もう確率には頼らないのです!」

 

握った左拳を胸に当て、祈るように俯いたその少女はもう一度だけほむらに想いの込められた視線を向けると闇夜に姿を消した。

 

 

 

 

 

to be next story.

 




 なんか凄い短い話になっちゃいました。
あと、終わったと思ってたら途中で文が消えてたみたいで何行かだけ書き直しましました。気付くのが遅くて何行か書き直ししたせいでバック機能を使えなかったしとても辛い辛いなのです。
スマフォで書くのはやっぱリスキー……。

ではまた次回。
さよーならー
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