まちカドまぞく/吉田良子攻略RTA/潜在魔族持ち一般人チャート 作:FEP25
いつもの朝、いつもの休み時間、いつものようにお菓子を振舞っていると、
それは唐突に表れた。
千代田さんが、優子の持っている石造を調べていると、スイッチが見つかり、それを入れたら、優子が突然人が変わったかのように話し始めた。
その様子は、明らかに優子ではない。
誰だ、お前は、優子に何をした。
最初は、千代田さん相手に啖呵を切っていたが、こちらと目が合ったと思ったら、
目を輝かせてこちらに話しかけてきた。
「ん?ご隣人!ご隣人ではないか!お主もこちらにいたのか、久しいな!」
「…誰だ、あんたは、優子をどうした。」
「誰とは薄情な、余は永劫の闇をつかさどる魔女・リリス!今はシャミっ、シャドウミストレス優子の偉大なる魂の祖先である!」
リリス?そんな名前の悪魔を何かで聞いたことがある気はするが、少なくとも知り合いにはなっていなかったはずだ。
というか、優子の体を乗っ取っているにしては、あまりにも悪意が無いので毒気が抜ける。
「人違いでは? 俺にリリスという名前の知り合いはいない。」
「何?しかし、その気配は確かにあやつの…いや、ふむ、そういうこともあるか。良い、許せ、すまなかったな、今を生きる者よ。しかし…、まぁ、それをさておいても我が子孫の隣人であれば、余にとっても隣人である、何も間違いはあるまい。」
何かよくわからないが納得してくれたらしい。
「ところで、優子は? 無事なのか?」
「我が子孫には精神空間で休んでいるだけだ、安心せよ。そして、余はこの体を憑代に我が手でにっくき魔法少女を屠りにきた!」
そこまで言うとリリスを名乗る女は、はーはっはと叫んでむせていた。
「あのあんまり無理をすると優子の体が痛むので…」
「うん、おそらくリリスさん?が想定しているよりもシャミ子は動けないから危険だと思う」
「なんだとー!なめおって!余の力を思い知るがよい!」
そして、机を持ち上げようとしたり、椅子を振り回そうとしていたが、持ち上げられず、断念していた。
「ち、力が出ない、す、直ぐ息が切れる、体力が持たぬ。
なんなのだこのポンコツボディーは!ぐぬぬ、ならば魔力で勝負だ!」
そういうや否や、全身から手先へエネルギーのようなものが集まっていくのが見えた気がした。
あれが魔力、仮面が出ているときは、同じような力を感じた。
おそらく俺にも扱うことができるはず、今度練習するか。
そして、大きいビー玉ぐらいのエネルギー玉が出て、ちょっと前に進んだと思ったら、戻っていった。
そして、優子の体に当たる。
「いったーい!」
リリスさんの叫びに、佐田さんは爆笑しているが、優子の体は大丈夫だろうか。
千代田さんも心配そうにしている。
「あのーリリスさん?これ以上は…、本当に優子が心配なので…」
「うう、冥途の土産はありますか?」
どうやら、すっかり心が折れてしまったらしい。
なんかこう、悪ぶってるけど憎み切れない人?魔族だな。
まぁ、優子の先祖ってことは、実質おばあちゃんみたいなものなんだし、
ちょっとは労わってあげようか。
まずは、お近づきの印にお菓子でも、
「あの、良かったらマフィン食べますか?」
「うぅ、この時代でも優しいな、ご隣人…」
いや、だから俺はあなたのこと知らないのですが。
最後に温泉へ入りたいというリリスさんの願いを聞くために、健康ランドへ向かうことになった。
当然のごとく、リリスさん(というか優子)はお金を持っていないので、俺が立て替えた。
今月は、出費が痛すぎるな、節約を考えなくては。
「おい、ご隣人、お主は一緒に入らんのか?」
「え?いや、俺は男なので…」
「何?余が活動していた時代にはそんなこと気にするもの1人もおらなんだぞ」
純粋な魔族だからか、生きてきた時代が違うからか分からないが、何か凄いな。
「いえ、いつの時代の話をしているかわかりませんが、今の時代にそんなことしたら、俺が一発で刑務所行ですよ、千代田さんや佐田さんも嫌だろうし。」
「あはは…、流石に同級生男子と混浴はちょっと…」
千代田さんは無反応だが、流石の佐田さんも苦笑いだ。
「ほー、2千年の間に随分と変わってしまったのだな、また背中でも流してもらおうかと思っていたのだが、窮屈な時代になったものだな、ご隣人。」
「いや、だから、俺はそのご隣人とは別人ですって」
そんな話をしながら、一旦男湯と女湯で別れた。
風呂から上がって合流したとき、リリスさんは優子に戻っていた。
正直かなり疲れた、暫くは会いたくないな、優子も怪我しそうで怖いし。
なお、この時の俺は、これからこの先祖を名乗る石造に定期的に振り回されることをまだ知らなかった。
<良子視点>
今日は、お兄と図書館へ行くことになった。
お姉は軍資金稼ぎに佐竹精肉店へアルバイトに赴くとのことで、お兄も行かなくても良いのかと聞くと、ここで余計な手出しをするのは、お姉の為にならないと判断したとのことだった。
お姉の成長の事をよく考えてくれている。
やっぱり、お兄はお姉の軍に必要な人材だ。
しっかり囲っておかなくては。
どちらともなく手を繋ぎ、暫く歩いていると、握っていたお兄の手が一瞬強張った。
何事かと思い、お兄の方を向き、その視線を辿ると、目線の先には狐耳が生えた女性がいた。
その女性は、こちらの視線に気が付いたのか、こちらに向いて口を開いた。
「あんたはん、変わった気配をしとるねぇ。マスターも世話になったみたいやし。」
「……初めまして、ですよね? どちらのどなたですか?」
お兄が若干前に出た。
良が背中に隠れる形になる。
手を握る力がちょっと強くなった気がした。
「うちの名前はリコ、喫茶アスラで厨房を担当しとります。」
「喫茶アスラ? あぁ、ということはあの時のバクの、これはご丁寧に、
俺…、僕は、本田紅葉です。いえ、本当に大したことしていないので。」
喫茶?バク?何の話だろうと小声で聞くと、どうやらお姉さんの勤め先のマスターさんをたまたま助けたことがあるらしい。
流石は、お兄、無辜の民にも優しい。お姉の相手はやっぱりお兄しかいない。
「そう? 良かったら喫茶アスラに来てや、マスターも合たがっとたさかい、お礼にランチのサービスはするで。」
ほななーと言いながら、女性は去っていったが、お兄はその後ろ姿が見えなくなるまで、ずーっとその女性の事を見ていた。
なにかもやもやが残る。
「美人さんだったね。」
「……ああ、そうだね。」
お兄は、ああいうタイプが好きなんだろうか。
緊張していたのか、何だか汗をかいているし。
魅力ではお姉も負けていないが、タイプが違いすぎる。
そんなことを考えながら、図書館へ着くと何かのイベントをやっているのか
人だかりができていた。
その中心から人?というか2足歩行のバクさんが話しかけてくる。
「おお、君は、あの時の!」
「お久しぶりです、あれから大丈夫でしたか?」
「君が呼んでくれた、ブラウン君のお陰でこうして、無事に過ごせているよ。」
話を聞いているとどうやら、さっきの狐さんが言っていた喫茶店のマスターがこのバクさんらしい……、あの手というか、前足でどうやってコーヒー淹れてるんだろう?
「そういえば、あのときのお礼がまだだったね、心ばかりのものだが受け取ってくれたまえ。」
「そんな申し訳ないです、大したこともしてないので」
そんなお兄に対して遠慮しないでとお礼の品を渡すバクさん、お兄は結局押しに負けて受け取っていた。
さっきの狐さんといい、今のバクさんを助けている事といい、お兄は動物が好きなのかな?
「ところでこれはなんですか?」
「あぁ、僕がデザインしているキャラクターのグッズでね。
たまさくらちゃんって知っているかい?」
「あー、商店街でよく見かけます。
町のマスコットになっているあの紅白のリボンつけた猫ですか。」
「そうそう!それのなりきりセットさ!猫耳、尻尾、リボンまでついた公式グッズでね、非売品だからファンなら眉唾物ものだよ。」
「え、えぇ、あ、ありがとうございます。大切にしますね。」
お兄が動物好きなら…、これもお姉と軍のため!
ちょ、ちょっと恥ずかしいけど…
「お兄、そのカチューシャちょっと借りるね」
「え?うん、いいよ」
いそいそとカチューシャをつけて、お兄の方に向き直ると、
「にゃ、にゃー」
猫の手でポーズもつけて、ううっ、恥ずかしい///
「と、突然どうしたの?良ちゃん、可愛いけど」
お兄に困惑されてしまった。
どうしよう、やっぱり、本物の猫じゃないからだろうか、リボンと尻尾もあった方が良かったかな?
「うーん、僕とばかり話していたから、退屈させちゃったかな?妹さんかい?」
「あ、いえ、まぁ、似たようなものですが、家がお隣で幼馴染というか…」
やっぱり、お兄にとって私は「妹」それ以上ではない、おそらくそれはお姉も一緒。
そうなると何かお兄の価値観に一撃入れる打開策を考えないとお姉にも勝ちの目がない。
何とか考えないと。
「ほほう、なるほどねぇ…、うん、青春だねぇ。そうだお嬢さん、本は好きかい?」
「え?はい、良く戦術書とか読んでます。」
「せ、戦術書?そ、そうか。若いのに勤勉だね。ちょっと耳を貸してくれるかい?」
バクさんに言われるまま、耳を近づけた。
「今のお嬢さんの悩みはきっとこの本があった場所が解決してくれる。気が向いたら見に行ってみてね。」
良が悩んでいることがバレてる!そんなに分かりやすかったかな?
「あ、ありがとうございます。」
「何、若人の幸せを願う年寄りの余計なお世話だよ。
気にしないでくれ。」
「さて、僕はそろそろお店の準備もあるので、失礼させてもらうよ
良かったら今度、2人で僕の店に来てくれ、歓迎しよう。」
そういってバクさんは、去っていった。喫茶アスラは、たまさくら商店街にあるらしい、今度お姉とお母さん、お兄皆で行ってみよう。
それからは、お兄に勉強を教えてもらって、そろそろ帰ろうとなったころ、バクさんに言われたことを思い出した。
「ごめん、お兄。借りたい本があるからちょっと待ってて。」
「良いよ、入口の所で待ってるね。」
そこは恋愛小説やそのハウツー本がある棚だった。
確かに、お姉は恋愛経験が無いし、良がサポートしてあげるべきかもしれない。
そして、良は言われた棚から返却先を間違えて混ざってしまった1冊の本を取っていた。
「モンテ・クリスト伯」名前は聞いたことあるが、話の内容はよく知らない。
これを読むことで、さらにお兄、お姉の力になれるようにならなくては!
家の前でお兄と別れて、部屋の中で早速本に目を通す。
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なるほど、男の人を確保するには、外堀を埋めることが大事。
良、覚えた。
後、監獄、監禁は復讐の温床になるから良くないんだね。
そうとなれば、周りの協力が必要不可欠。
まずは、身近な大人から味方につけなくては。
特にこの前から、お母さんは、私がお兄のところに1人で行くと微妙な顔するようになったし、何か口実が必要。
………そういえば、お兄はお菓子得意だけど料理はいまいち美味しいものが作れなくて困ってるって話を聞いたことがある。
ということは、その方面で、お兄を支えてあげれば良い。
これで、お兄の所へ行く口実を確保しつつ、お兄を繋ぎとめる方法が増える。
「お母さん!料理を教えて!」
「そうですか、その内来るとは思ってましたが…、いいですよ。
今日はお台所に一緒に立ちましょうか。」
「うん!」
料理を作りながら、お兄の台所事情も説明して、お兄の所へ行く許可も下りた。
外堀を固めて、お兄の胃袋もつかむ、一石二鳥の計略。
これで、確実にお兄を囲い込む!
ホモ「良ちゃん、今日のご飯まだ?」
ちよもも「シャミ子、今日のご飯何?」