まちカドまぞく/吉田良子攻略RTA/潜在魔族持ち一般人チャート   作:FEP25

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初投稿ってレボリューションなんだ!


Part7(裏)

今日は、前にリリスさんが使っているところを見て覚えた魔力弾を扱う練習に夢中なっていたら、お菓子を作る時間が無くなってしまった。

おそらく、クラスからの不満が飛んでくるであろうことを予想しながら、登校の準備をして、優子と学校へ向かう。

すると明らかに足取りがおかしい千代田さんを見かけた。

優子が心配して声をかけ、話を聞いたところ、どうやら風邪らしい。

…夢見が悪いみたいな話をしていたときに妙に動揺していたし、優子が何かしたのか?

なんにせよ、これは帰らせた方が良いだろう。

俺が携帯で学校に連絡を入れた後、千代田さんを送っていくことになった。

 

「歩けそう?肩を貸そうか?」

「いや、大丈夫…。」

そういって無理に歩き出そうとしていたが、足取りが危なっかしいので、少々無理に手を貸した。

「ごめん、ありがとう…。」

「気にしないで、困ったときはお互い様だよ。」

それにこういうのは慣れてるし、という言葉は優子の手前飲み込んだ。

「優子、千代田さんの荷物を頼む。」

優子に荷物を預けて、千代田さんの家に向かって歩き始める。

 

そんな歩かない内に結構立派な家の前に辿り着いた。

千代田さんを寝かせて、優子と薬や体温計を探しているが、一向に見つからない。

千代田さんに話を聞いてみる何年も使ってないらしく、薬も買い足されたりしていないようなので、俺の家から必要品を持ってくることになった。

「じゃあ、優子。暫く、頼んだ。」

「ガッテンです!」

まぁ、一人暮らしで、怪我も病気も滅多にしないと薬等の取り扱いが適当になるのは分からなくもない。

急ぎ足で自宅へ向かっていると、季節外れのパチッとした静電気のようなものを感じた。そう思った瞬間後ろから声が掛かった。

 

「お兄!お兄!」

ふと良ちゃんの声が聞こえ、そちらを向くと、ボロボロの犬に追いかけられていた。

こんな町中に野良犬?

なんにせよ、良ちゃんが危ない。

俺は、良ちゃんに駆け寄り、犬と良ちゃんの間に割って入る。

「良ちゃん!大丈夫?怪我は?」

「大丈夫、犬さん怪我してるからか思ったより足遅かったから…。」

 

相手は野生動物だから、驚かせばどっか行ってくれないだろうか。

というか、朝のこの時間帯としては、人が居なさすぎないか?

「貴様もあの女狐の縁者か?我が一族の悲願、邪魔をするというなら容赦せんぞ。」

………この犬喋ったぞ。

こいつひょっとして魔族か?

「お前魔族か?狐とは誰のことだ?」

「惚けるな!この前そこの娘と恩人がどうとかいう話を、あの女狐としていたであろう!」

女狐…、恩人…、あぁ、リコさんのことか?

「例え、俺が彼女の恩人だとしても、お前に何の関係がある?

ましてやこの娘には何の関係もないだろう!」

「ふっ、あの狐に関わったのが運の尽きよ。

あやつは我々一族の家宝を盗んでいきおったからな。

お前たちを人質にして、返してもらおうという寸法よ。

特に今は満身創痍ゆえ、勝てそうなところから攻めようという戦略的判断よ。

……前に白澤を襲撃したのは失敗したからな(ボソッ」

最後の方は何と言っていたかよく聞き取れなかったが、どうやらリコさんはこの犬に相当な恨みを買っているらしい。

確かに彼女からは、得体の知れない何かを感じ取ってはいたが、本格的に碌でもない人?狐?なのかもしれない。

なんにせよ、この犬の魔族も小学生の女の子を勝てそうだからとかいう理由で狙ってるのは間違いなく許されることではない。

「本当にお前たちのところから家宝盗むような人なら、そもそも俺たちを人質に取ったところで、効果は薄いと思うが。」

「知れたこと、そうだとすれば、食って贄にするまでよ。

貴様ら、魔力持ちの縁者であろう?」

……俺だけではなく、良ちゃんにも反応しているところを見ると純粋に優子の縁者であることが関係しているのだろう。

いや、ひょっとしたら、良ちゃんにも魔族になる因子があるのかもしれないが。

 

しかし、これは、かなり不味い状況なのでは?

相手は、手負いとは言え、魔族でしかもこちらを本格的にどうにかしようとしているときた。

変身すれば何とかなるか?良ちゃんを巻き込むわけにも行かないし……。

「良ちゃん、走って逃げてきて、疲れてるところ悪いけど。大人の人を呼んできてくれるか?」

「え、お兄は?お兄は、どうするの?」

「幸い、人質にするつもりらしいし、直ぐにどうこうなることはなさそうだからね。

時間を稼ぐよ。」

「行かせると、思うてか!」

犬の魔族が飛びかかってきた。

明らかに切れは無いが、それでも人間にとっては脅威だ。

俺は、とっさに手を伸ばして、それを受け止める。

「ッつう、良ちゃん急いで! 約束は絶対に守る! 俺は死なない!」

「う、うん、すぐ戻ってくる!」

 

角を曲がって、良ちゃんが見えなくなった、これで切り札が使える。

「変身!」

「なに!?」

突然の変化に驚いたのか、犬が口を離した。

「貴様も魔族だったのか。」

「あぁ、最近なったばかりだがな。」

「しかも、その仮面、なるほど。それならば、あの女狐が気に掛けるわけだ。」

「……、この仮面には何かあるのか?会う魔族には大体妙な反応をされるが?」

「何?貴様、まさか記憶が……、そうか。

あれから2000年の時が立っていることを考えれば、仕方のないことか。

しかし、仮面の一族となれば、話は別よ。

貴様、我々と共に来ないか?

この町は、とある巫女のせいでとんでもないことになったからな。

我々と来た方が貴様も生きやすかろう。」

俺は不意打ちで魔力弾を放った。

当たりはしたが、どうやらダメージはそこまで無さそうだ。

そのまま蹴りで追い打ちを掛ける。

「……それが貴様の返答か。」

 

「宿敵に負けて、子供に襲い掛かるようなやつの仲間に誰がなるか。

寝言は寝て言え。」

「舐めるな、小僧!」

今までのノロノロした動きが嘘だったかのように飛びかかってきた。

不意を突かれて、また腕を噛まれる。

その隙に、もう片方の腕で、魔力弾を放ち、怯んだところに蹴りを入れる。

この攻防を繰り返すこと数回、こちらの体力が厳しくなってきた。

「……貴様、戦い慣れしていないな?

本来のスペックであれば、今の手負いの我等どうとでもなろう。

なのに、攻めきれずたった数回の攻防で、そこまで息が上がるなど。

とても戦士としての経験があるとは思えん。」

クソッ!見込みが甘かったか?

あの犬手負いのくせになんであんな余裕そうなんだ。

「お前は逆にそれだけ動けるなら、なぜあの娘を逃がした。

全力を出せば、ここに逃げられる前に捕まえられただろ。」

「最初の一手は賭けだったが、貴様の血、確かに頂いたぞ。」

なるほどな、噛んだ時に血を奪われたのか。

優子が魔族になったときも血が何とか言っていたし、ひょっとしてその影響もあるのか?

いずれにせよこのままだと不味いかもしれない。

「まぁ、良い。どちらにしても、魔族として生き続けるのであれば、今後の身の振り方は考えておくのだな。その仮面に免じて、今回は我の方が諦めるとしよう。

……これ以上の狼藉は・・・殿に言われるか分らんしな。(ボソッ」

ではな、と残し、あの犬は走り去って行った。

何だったんだ、あいつは……。

 

その数分後、良ちゃんが大人の人を連れて、戻ってきた。

俺は念のため、病院へ行くことになった。

随分と心配をかけてしまったらしく、良ちゃんとしては珍しく、泣きじゃくって抱き着いてきた。

大丈夫見た目ほど酷い怪我じゃないからと声は掛けたが、泣き止む気配はなく、

落ち着くまでは大丈夫、大丈夫と声をかけ続けた。

 

あの後、病院に行ったが、狂犬病の発症等も特になく、噛まれた傷も見た目程深くないため、1週間ぐらいで治るとのことだった。

連絡を忘れていた優子からは心配したんだぞと怒られ、良ちゃんには泣かれと大変だったが、幸い嚙み傷も大きな怪我とはならず、1週間ぐらいで治るそうだ。

 

どうやら、俺がいない間に優子側もひと悶着あったらしく、封印の一部が解けたらしい。

吉田家が鉄板を囲っているのとか、何年ぶりだ?

俺も招待されたため、ご相伴に預かる事にした。

決して、断ろうとしたら、良ちゃんが無茶苦茶寂しそうな顔をしたので、

折れた訳ではない。

流石に、食べて帰るだけでは申し訳ないので、手伝いを申し出たが、怪我人は座ってろと満場一致で追い返されてしまった。

 

仕方ないので、座って待っていると石像から声が聞こえる。

「おぉ、ご隣人、今回は随分と酷い目にあったらしいな」

「リリスさん……、そういえば、封印が解けて喋れるようになったんですね。

おめでとうございます。」

「うむ!これからも良き隣人としてシャミ子たち共々よろしく頼むぞ!」

そう、どうやらお金の呪いだけでなく、リリスさんが多少なり(口だけ)と、こちらに干渉できるようになったらしい。

 

「えぇ、よろしくお願いします。

……ところで、リリスさんは犬の魔族に知り合いはいますか?

今回、あの犬は何かを知っている風に色々語っていたので。」

「あぁ、今回ご隣人を噛んできたとかいうやつか。

うーむ、魔族にも色々といたし、犬の種族も勿論居たが、今回の件で特徴が一致するものは知り合いにはおらんな。」

「そうですか。……では、仮面の魔族に心辺りは?」

「何?ご隣人、その仮面は、どんなものだ?どこでそれを知った?」

俺は仮面の特徴と犬が知っていたことを共有した。

「そうか、ひょっとしたらそれは「紅葉君、ちょっとこっちに来てもらえますか?」」

リリスさんと話していると清子さんに話を遮られた。

「話なら後でもできる、行ってくるがよい。余も早くお供え物にありつきたいしな。」

すみません、と一言断りを入れてから、清子さんの下へ向かった。

「どうしました?清子さん?」

「その……、今回は良子を助けてくれて、本当にありがとうございました。」

「気にしないで下さい。今回は、事故みたいなもので……、どちらかというときっかけは俺みたいですし。」

「お兄は、人助けをしただけなんだから悪くないよ。

その怪我で普段の生活には支障ない?」

「良ちゃんもありがとね。

幸い怪我は利き手でもなかったので、日常生活にそこまでの影響はないですよ」

「でも…」

良ちゃんか心配そうにこちらを見上げるとそうだとばかりに清子さんから提案があった。

「そういえば、紅葉君は料理があまり得意ではないですね?」

「え?それは、まぁ清子さんと比べれば、天と地の差ですが、食べられない物は作りませんよ?」

どっかの桃色魔法少女みたいな、いやあのハンバーグは優子じゃないと完食できないだろう。

「なら、どうでしょう。最近、良子は結構料理を練習してまして、母親の私が言うのもなんですが、結構美味しいんですよ。」

「お、お母さん、でも、お兄の為なら、私が暫くは代わりにごはん作りに行くね!」

正直、良ちゃんの申し出はありがたいが、良いんだろうか。

「え、清子さん良いんですか。」

「はい、まぁ、怪我も1週間程度とのことでしたし、家のお財布事情上、家で食べて行ってね。と言えないのはごめんなさいですが…。」

「そんな、普段こちらもお世話になってるのにそこまでの贅沢は言えませんよ。」

吉田家の家計事情はよく分かっているので猶更言えない。

 

夕飯のタイミングで優子に結局千代田さんがどうなったのか聞いてみると、

相当体調が悪いらしく、暫く学校を休むらしい。

健康に悪そうな酷い食生活を送っていたので、暫くは優子が面倒見に行くそうだ。

通い妻かな?とか茶々を入れたら、よりによって今の紅葉君がそれを言うんですか……と呆れられたが、解せぬ。

 

そういえば、リリスさんは仮面の魔族について何か知っていそうだったから、もう少し話を聞きたかったのだが、気が付いたら酒付けにされおり、話が聞ける状態ではなかった。

日を改めよう。

 

<翌日>

「おはよう、お兄。」

「おはよう、良ちゃん。」

朝起きると、良ちゃんが家の中にいた。

小学校の制服に、青いエプロン、三角巾を付けている。

あぁ、そういえば、朝ごはんの件、お願いしたんだったな。

「できたよ、召し上がれ。」

「ありがとう、良ちゃん。」

作ってくれたのは、ハムエッグとトーストだった。

「どう…かな?」

「うん、自分で作るより、よっぽど美味しいよ。」

「お兄、お菓子はあんなに美味しいのにね。」

それは、言わないでくれ。結構気にしてるんだ。

「ところでお兄。」

「ん?どうしたの?」

「ご飯炊いておこうと思って炊飯器使おうとしたら、ホカホカが出てこないんだけど、大丈夫?」

「え?」

あぁ、金の(飛ぶ)音が聞こえる…。

 

雷の影響で家の炊飯器がお亡くなりになったので、電化製品店へ買い物に来た。

流石に良ちゃんに作りに来てもらってご飯炊けないじゃ申し訳ないからな。

「あれ?紅葉君?」

どんなものが良いかと見て回っていると声を掛けられたので、振り向くと清子さんだった。

「こんにちは、清子さん、どうしたんですか?何か入用でも?」

「実はこの前の雷で冷蔵庫が寿命を迎えまして…、こうして買いにきた次第です。」

「あぁ、吉田家も被害にあったんですね、あの雷。実は家も炊飯器がやられまして。」

「お互い大変ですね…。」

折角会ったのだからと2人で見て回ることにした。あーでもない、こーでもないと見て回っていると、清子さんがとてもあの玄関からは入りそうにない大きさの多機能冷蔵庫を買おうとしていたので、やんわりと止めて一回り小さいものに決めた。

 

流石に炊飯器が壊れたことを伝えたら、追加の仕送りが貰えたので、こちらの炊飯器も土鍋なんちゃらみたいなちょっと良いものを買った。

「すみません、紅葉君。年甲斐もなく、はしゃいでしまって…。危うく無駄な買い物をしてしまうところでした。」

「いえいえ、気にしないでください。」

清子さんも結構勢いだけで、突っ走ることがあるからな。

その辺りは、優子や良ちゃんにも遺伝してる節が見える。

「優子や良子の件と言い、紅葉君にはお世話になってばかりですね。」

「そんな、清子さんには昔からお世話になってますし、良子ちゃんには俺も元気貰ってます。

優子も最近は元気になって……、うん、もう少し落ち着いてくれるとこちらとしても安心できますが、クラスの友人とかもサポートしてくれているので。」

「そうですか、私では頼りないかもしれませんが、紅葉君も優子と同い年なんですから、何かあれば家族だと思って、私を、大人を頼ってくださいね。」

「……ありがとうございます。」

清子さんは昔からこうやって俺のことを気にかけてくれる。

別に親の愛情を感じないとか思ったことはないが、仕事の都合で留守にすることが多かった俺の家では、清子さんが母親代わりのようなものだった。

「紅葉君さえ、良ければ本当の家族になっても良いですよ?

優子と良子どっちが良いですか?」

「え!?いや、そんな、優子にも良ちゃんにも俺なんかより、もっといい男が居ますよ。」

突然何を言い出すんだこの人は!?

「ふふっ、半分ぐらいは冗談ですが、困ったときに頼ってほしいのは本当です。

覚えておいて下さいね?」

じょ、冗談か、優子も良ちゃんも良い子だけど、妹みたいな感じで、あんまりそういうことを考えたことがないんだよな。

それにどちらかというと、俺は年上の方が……。

「流石に私はちょっと…、夫も居ますし…。」

「まだ続けるんですか、このやり取り…。

清子さんは魅力的な女性だと思いますが、流石に俺もあの2人のお父さんになる気はないですよ。」

そんなやり取りをしながら、帰路に着いた。

 

<ミカン視点>

「あなた大丈夫?何だか様子が変だけれど?」

「あばば。」

どうしよう、着ぐるみバイトの子の体調が何だか悪そうだったから、広場の裏まで連れてきたけど、何だか反応がおかしいわ。

やっぱり熱中症とかかしら?

ってあれ?

「その頭の、角?」

「き、危機管理―!」

 

「その、私熱中症かなと思って…そういう脱衣は求めてなかった。」

「し、しばかないんですか?」

「しばかないわよ!戻り方は分かる系?」

「分からない系です。」

等と会話をしていると、他の魔族の気配を感じた。

しかも、明らかにこちらに対して敵意がある。

「動かないで!」

「ヒエッ、やっぱりしばかれるんですか!」

「違うわ!あなたじゃなくて、もっと邪悪な……。」

手元に魔力弾が飛んできて、武器が弾かれた。

「その娘から離れてもらおうか、魔法少女。」

さっきの気配はこの仮面の男?

それにしては、先ほどの邪悪さは感じない。

 

「あら?随分とご挨拶ね。あなたが桃の言っていた、血を奪った魔族かしら?」

緊迫し、張り詰めた空気の中、目の前の角の生えた女の子がプルプル震えながら手を挙げた。

「そ、それは私です…。」

「え!?あなたがあの桃から血を奪ったの!?」

「ご、ごめんなさいでした!しばかないでください!」

え?あの桃が…一体どんな手を使ったのかしら?

「その……、何だかよく分からないが、その娘は悪い魔族ではないので…、しばくのは…その…。」

「だ・か・ら、しばかないわよ! こんな弱そうな娘を!」

「それから…、あー、シャドウミストレス殿?往来でその恰好はどうかと…。

ほとんど裸では? 風邪ひきますよ。」

「裸じゃありません! 危機管理です!」

なんだか、あの仮面の魔族もこの娘の格好のことを気にしているわ。

気に仕方は、男の子のそれというより、兄とかお父さんのそれだけれど…。

 

「ミカンとシャミ子?それに…お前は…。」

「おっと、良いタイミングで来てくれたな。何か色々拗れてしまったので、事情説明は頼んだぞ、桃色魔法少女。」

「あっ!ちょっと待ちなさいな!」

桃と入れ替わる形で仮面の魔族は逃げて行った。

……なんだったのかしら、彼は?

 

<紅葉君視点>

何とか逃げられたな。変身解除。

……なぜ?何故ナゼナゼナゼナゼナゼ。

ナゼテキカラニゲタ。

敵?いや、彼女たちは敵だと決まったわけではない。

オマエノモクテキハナンダ。

ナンノタメニチカラヲエタ。

俺は優子の力になりたい。

モクテキヲハタスタメニハチカラヲカイホウセヨ。

サスレバヤツラダケデハナクアノケモノニモマケヌダロウ。

……俺は、オレハ。

 

「お兄!」

良ちゃん?気が付くと目の前に心配そうな顔の良ちゃんが立っていた。

「お兄、どうしたの?こんなところで?」

「え?あぁ、優子がこの辺りでビラ配りの手伝いしてると聞いて様子を見に…」

「良ちゃんはどうしたの?」

「私は、図書館の帰りなんだけど、お兄体調が悪いの?」

「いや、大丈夫。ちょっとぼーっとしてただけだ。

良ちゃんのお陰で戻ってこれた。ありがとう。」

あのままだとよくわからないモノに飲まれていたかもしれない。

「お兄…。手繋いでも良い?」

「…良いよ。」

良ちゃんはギュッと手を握りしめてきた。

それはまるでどこかに行かないように繋ぎとめておいてくれているみたいで、

この手を握っている限りは、俺はオレにはならない。

そう確信できた。

 




後日、短めですが良ちゃん視点を別で上げます。
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