オペレーターと煙草を吸う話   作:eka

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※この話はオペレーターと煙草を吸う話で間違ってないです。

※4話も数時間前に投稿してます。


アーミヤに煙草を燃やされる話

「禁煙してください。」

 

「しかしアーミヤこれは私の数少ない娯楽であり」

 

「禁煙してください。」

 

「実は業務効率を支えてているのも」

 

「禁煙してください。」

 

「…禁煙の前に減煙するのは」

 

「禁煙してください。」

 

「…。」

 

「…。」

 

「…Lancet-2でももう少しボキャブラリーぐぁっ!!!」

 

「今のはリーダーが悪いわ。」

 

アーツ攻撃であえなく倒された私にかけられるのは無慈悲な言葉と冷たい視線だけだった。

頭の中でスカベンジャーが「ワン、ツー…んなぁああ!なんで私がこんなことを!!」と叫んでリングに剣をぶっ刺していた。ごめんなって思った。

しかし何故そちら側にいるんだエクシア、お前にも解るだろう。

ヘビースモーカーにとって煙草を吸えないということは常に呼吸を妨げるマスクをしているに等しい。

時間が経てば経つほどそのマスクは強力になっていく。

以前パフューマ―に進言された際に禁煙まがいのことをしたが結局は一日と持たなかったのだ。

そんな私に禁煙と言う言葉はもはや凶器である。

防御力無視で確実に食らうそれは今くらったアーツ攻撃の何倍もダメージが大きい。

 

「…エクシアさん?」

 

「いやまぁ、リーダーの気持ちも解らなくは…あたしはそこまでヤニカスじゃないし解んなかったわ。わはは。ごめんリーダー、大人しく成仏して。」

 

「お前の煙草が全て湿気る呪いをかけてやる。」

 

「陰湿ゥ…。」

 

「ドクター、私は意地悪で言っているつもりもドクターが死んで欲しいわけでもありません。むしろその逆です。」

 

そこでアーミヤは目を伏せるとしばらく押し黙った。

エクシアは頭の上で腕を組んで眼を逸らして壁を見ていた。

そんな状況で私はどうしているのかと言うと…

 

「何で風邪をひいてる時くらい煙草を我慢できないんですかっ!!!!」

 

自室のベットで寝込んでいた。

 

 

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エクシアと酒を飲んだ翌日である。

最初は小さな違和感だった。

なんとなく喉が詰まるような気がしていた。

珍しい酒と煙草を充分満喫した次の日だったので、二日酔いよりはマシだなと放置した。

 

更に次の日の事だ。

けほ、と咳が出るようになった。

まぁこれも煙草を吸っていればよくあることだ。

その日は溜まった仕事を頑張って片づけたこともあり、いつもより煙草を吸っていたせいかもしれないと思って無視した。

 

そして今日、熱を測ったら39度であった。

 

「医者の不養生って本当にあるものなんだね。都市伝説かと思ってた。」

 

「このようにアーミヤ、エクシアの知的好奇心を満たすために私は泣く泣く風邪をひいただけであり」

 

「言い訳雑過ぎない?」

 

「なんでそれで通ると思ったんですか?というかなんで今煙草を取り出したんですか?ドク…ちょっ、やめ」

 

「つまりだなこれは風邪を治すための新たな試みと言うべきか恐らく誰も試みなかったであろうアプローチの方法ぅがはっ」

 

頭の中でパフューマ―が「落ち着いて。気を確かに。」と心配してきた。気のせいか若干引いている気がする。そんな目をした君を見たこと無いんだが。え?いや怖くないかは聞いてな…。そうか…(諦め)。

はぁはぁと肩で息をするアーミヤを羽交い絞めにしながらエクシアが呆れつつ私に言葉を投げかける。

 

「いい加減にしとかないと風邪が原因じゃなくてアーミヤに殺されるよ?」

 

「大丈夫だ、まだギリギリ致命傷だ。」

 

「…この人を縛りつける道具って何かありましたっけ。」

 

「クリフハートから登山用ロープ借りてこよっか?」

 

「アーミヤ。悪かった。大人しく寝る。大人しく寝るから。」

 

「お願いします。」

 

「アーミヤ!?」

 

オッケーと言いながらエクシアが部屋を出ていくのを絶望した顔で見送る。

絶対あいつ面白がってるだろう。快復したらあいつの頭の上の蛍光灯を磨いて更に輝かせてやることを決意した。

嫌だ…。寝返りが打てないのはともかくトイレに自由に行けないのは嫌だ…。 

せめてナースコール代わりに携帯電話を動かせるだけの腕の可動域は欲しい。

それを今からどうにか交渉で得なければならないが、そこはケルシー医師から伊達に学んできてはいない。

やっててよかった!!ケルシー交渉術!!

 

 

「ドクター。」

 

先程までと比べて随分元気のない、ともすれば泣く一歩前にも聞こえる呼びかけに今までの行動全てを後悔する。

平素の私よりもかなりアグレッシブになっていたことを自覚できるほど今の私は頭が冷え切っていた。

 

「私、心配なんです。もしかしたらドクターが本当に今度は死…め、目が覚めないかもしれないかって。」

 

「アーミヤ。」

 

「ドクターからすれば私の言うことなんてどうでもいいのかもしれません。でも、」

 

「聞いてくれ、アーミヤ。」

 

けして強くはないがそれでもしっかりとした私の声が彼女の言葉を遮る。

 

「すまなかった。言い訳にしか過ぎないが、そんなに心配するほどじゃないと言いたかっただけなんだ。」

 

顔が伏せて見えないアーミヤの頭に手をのせる。

年下の女の子にこれほど心配される程大した人間じゃないと思っていたのだが。

純粋な善意に気づかないとはなんとも自分が情けない。

いつだって今の私は後悔してばかりである。

 

 

それにしても、以前の私は相当大した人間だったようだ。

どれだけのことをすれば人からこれ程信頼を得ることができるのだろうか?

 

ずび、という音が彼女から聞こえて慌ててサイドテーブルからティッシュを取った。

ありがとうございます、とティッシュを受け取って可愛らしく鼻をかむその姿に思わず頬が緩む。

こういう所は年相応というか、普段がしっかりとしているからギャップを感じる。

 

そんな私に何を勘違いしたのかむっとした表情で、「…それで、禁煙するんですよね?」と彼女は言った。

そのまま私はしばらく無言で微笑み続けた。

 

 

 

どれほど時間が経っただろうか。数秒かもしれないし、数十分だったかもしれない。

先ほどとは違った緊迫感が自室に広がっていた。

私の頭の中のフロストリーフが「第三ラウンドだ、軌道に乗ってきたな。」と呟く。できれば第二ラウンドで終わらせたかったと強く思う。儚き願いは叶うことなくアーミヤが口火を切る。

 

「…ドクター、持っている煙草を全て出してください。」

 

「…どうするつもりだ?」

 

「燃やします。」

 

「燃やす!?」

 

燃やされたしベットには縛りつけられた。

エクシアが魂の抜けた私を見て爆笑していたのがうっすらと記憶に残っているのであいつにはパーティー禁止令を出すことも決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________________

 

「すまなかった…。本当にすまなかった、アーミヤ…。」

 

「うわ、本当に成仏しそう。うなされる程って…。何したの、アーミヤ。」

 

「禁煙しないと煙草を全部燃やすって脅したら気絶しちゃいまして…。」

 

「え、本当?ふーん…そうなんだ…。わか、んふっ、解ったちょっと待ってて。」

 

「?エクシアさん、何を…。」

 

「外の喫煙所の灰皿の吸い殻持ってきてここの灰皿に移しとこって思って。

いやぁ、リーダー起きたらどんな顔するかな~、い、いや見えないんははは!」

 

「…できれば早めに嘘だと教えてあげて下さいね…。」

 

「ふふ、解ってるって~。…ってあれ?結局吸わせてあげたの?さっきまで灰皿に吸い殻なかったよね?」

 

「…えぇ、まぁ。」

 

「…ふーん?」

 

「…なんですか?」

 

「…リーダーの煙草ってタール重いからさ、初めて吸うのにはお勧めできないんだよね。」

 

「違います。」

 

「いや解るよ?なんか憧れのひ」

 

「エクシアさん!」

 

「わはは、じゃあちょっと外行ってくるね!」

 

「…はぁ。まったく。

…なんでこんなの吸うんですか?ドクター。」

 

 

 

 

 

 

 

 




この後エクシアは無事処されました。

感想、評価ありがとうございます。
モチベーションが高まった結果気づけば五話まで来れました。
今までここまで文章を書いたことが無いので本当に皆さんのおかげです。

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