新兵器が登場します。兵器集へ載せておきますので、後程ご確認ください。
執務を一通り終わらせた韓国大統領李舜南は、コーヒーを飲みながら一息ついていた。
「まったく…アメリカだったら原子力空母の2隻や3隻、イージス艦8隻は余裕で建造するだろうがな…。なぜわざわざ陸軍国の我が国なんだ?」
韓国を転移させた存在に向けて質問するが、当然答は返ってこない。
異世界転移によって島国となってしまった韓国にとって、今必要とされているのは軍艦であり、それを操る海軍軍人だ。
『最低でも海上自衛隊並みの戦力を揃えるべき』との結論が先の会議で出され、既に各企業や海軍の方では計画が立てられ始めている他、例年以上に艦艇の一般公開が行われており、若者へ海軍への入隊を遠まわしに促している。
幸い、入隊希望者は増加傾向にあるとの報告が海軍より届けられている。
「転移するのが分かっていれば、嘗ての我が国はあの時、戦艦・巡戦各2隻を手に入れられたかもしれませんし…残念です」
首席補佐官の金平尙も、同じように寛ぎながらそう言う。
前世界の1968年に、米国がサウスダコタ級戦艦とアラスカ級巡洋戦艦各2隻の売却を持ちかけてきたことがあったのだ。
当時の米国における戦艦の整備はアイオワ級、モンタナ級各4隻に移行していたことから、半ば厄介払いの形だったのだろう。
突然の申し出に、当時の海軍上層部は狂喜したものだったが、北朝鮮の膨大な陸軍に対応しなければならなかった韓国は、陸軍へ出す予算の都合でこれを拒否したのだ。
覇権国家がうようよいるこの世界では、良い砲艦外交役になってくれるはずだったが…。
「過ぎたことはしょうがない。それに、あの4隻を戦力化するなど、流石の我が国でも厳しいからな」
とは言っても、陸軍の特殊部隊出身とはいえ元軍人で、軍事マニアの1人である舜南としては、その雄姿を見てみたかったという気持ちもある。
「…まぁ、今の所は″KDX-2″と″KCVX-1″各4隻の新規建造が決まっただけでも良しとしよう。というか、それだけでも十分すぎる気がする」
″KDX-2″とは、世宗大王級駆逐艦の能力強化型として計画されている新型艦だ。
主砲には、退役済みのM44A2自走榴弾砲の搭載砲である65口径175ミリ砲が採用され――米軍も、タイコンデロガ級巡洋艦の主砲を国内で順次同砲に換装させている――キーロフ級と同等のミサイル搭載量を目指している。
″KCVX-1″は、馬羅島級とは違って揚陸戦力を持たない、韓国初の純粋な航空母艦である。
カタパルトの装備は費用対効果の面から見送られ、スキージャンプ方式となったが、ソ連海軍のアドミラル・クズネツォフ級に準じるサイズと、F-35K 40機以上の搭載能力を持つ。
この他、世宗大王級駆逐艦、忠武公李舜臣級駆逐艦をはじめとした既存艦、ロデ二ウス各国用の大邱級の追加建造も続けられている。
また、計画が中止されていたKSS-Ⅲ通常動力潜水艦の建造も、6番艦まで容認された。
これは、209型潜水艦の後継として構想していたもので、水中発射型巡航ミサイル8発を搭載する戦略兵器として位置づけられた。
「それに、いくら島国になったからと言って、陸軍や空軍を手抜きにするわけにはいかん」
そう言うとカップを置き、積み上がった書類――軍事関連が大半――を1枚づつ決済し始めた。
「まったく…楽しみにしていたんだがな…新型戦車…」
「気になってしまうのはわかりますが、大統領にはやるべきことが山ほど残されています。部下には動画を撮ってくるよう命じていますので、映像で我慢してください」
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韓国の大手企業"現南自動車グループ"が開発を担当した新型戦車のお披露目が行われていた。
大統領の舜南も視察に訪れる予定だったのだが、激化した職務に忙殺されているため、ここにはいない。
走行試験場の一角に駐められたK1A2の隣に、別の戦車が比較するように駐車されている。
全長は10.50メートル、全幅は3.65メートルとK1A2よりも大きな車体上には、ゴツゴツした印象のある砲塔が載せられ、それからは長大な砲身が突き出している。
この日は陸軍装備の一般公開――若者に軍へ興味を持ってもらうことで、遠回しに入隊を促している――も兼ねていたため、車両の周囲はカメラを持ったマニアで囲まれ、焚かれたフラッシュが車体を断続的に白く染めている。
本来であれば、市民に扮装した舜南もここに混ざっていたはずだった。
K2"
大韓民国陸軍の最新鋭主力戦車の姿が、初めて一般人の目へ公開されたのだった。
K1A2や日本国の10式戦車、ドイツ陸軍のレオパルト2A7などよりも無骨な外観は、見るからに攻撃的だ。
砲塔上にも、左側にK6 12.7ミリ重機関銃連装アクティブターレット、右側にK4 40ミリ自動擲弾銃アクティブターレット、KP-SAM"神弓"4連装発射筒2器が据えられているのが、その印象により拍車をかけている。
北朝鮮陸軍の物量に押され、敵中に孤立する状況を想定した武装だ。
砲塔正面、上面にも、60ミリ迫撃砲を応用した多目的弾発射筒を多数装備している。
――展示が終了し、演習も兼ねてK2を含む車両の走行・砲撃デモンストレーションが始まった。
1500馬力のディーゼルエンジンが始動し、履帯を軋らせながら前進を始める。
巨体の割に、速度・加速性能はかなり良好だ。K1A2よりも機敏に動いている。
既存戦車よりも大きく、武骨で多くの武装を満載し、まるで小さな要塞とでも形容できるかもしれないK2だが、そのような車両が高機動を見せる様は、ある意味不気味だ。
K1A2はやや重々しい感のあった車両だが、K2の動きはあたかも日本国陸上自衛隊の保有する10式戦車を彷彿とさせるものだった。
所々にある50センチはある段差を軽々と乗り越え、土煙を巻き上げながら爆走する様に、思わず感嘆の声が漏れた。
荒地を走破するK2の1個小隊4両は砲塔を旋回させ、55口径120ミリ滑腔砲――これもやはり日本との共同開発で生まれた軽量型――の照準を、戦車を模した標的に合わせる。
次の瞬間、爆走する4両の砲身から爆炎が噴出し、放たれた演習弾が標的を貫通して後方へ着弾した。
過剰なまでに搭載した多目的弾発射器から発煙弾がばら撒かれ、白煙がK2の姿を一時的に隠すが、それも一瞬だ。
白煙を突っ切って再び現れた車両が第2射を放ち、先程の的の後方へ土煙が沸く。
K1A2よりもスピーディーな戦闘を見せるK2の雄姿に、ギャラリーが口々に感想を言い合っていると、新たな車両が進入してくる。
外観はK808装輪装甲車だが、上面にはK2のものと共通した長大な主砲が、ストライカーMGSに似た形で載せられている。
K808戦車駆逐車――初期型の51口径105ミリ砲を55口径120ミリ滑腔砲に換装し、対戦車能力を高めた新型車両である。
戦車ほどの防御力はないものの、日本の16式と同様、行進間射撃が可能な性能を持っている。
既存のK1A2も、行進間射撃を移動する的へ叩き込み、K9A2自走榴弾砲の砲撃をタイムラグなしに着弾させていく。
相変わらずの練度の高さに、観客として招かれていた在韓米軍の軍人たちが唸った。
演習も終盤に入り、武装型スリオンMk.ⅡとAH-64E"アパッチ"、OH-58ベースの国産軽攻撃ヘリKAI LAHの地上攻撃が行われる。
各機の胴体両側面へ装備されたK-AGM"隼"が、戦車を模した移動する的へ吸い込まれるように直撃し、連続して放たれる70ミリロケット弾が標的を土煙で覆い隠した。
機首下面のM230 30ミリ機関砲とドアガンのGAU-19B 12.7ミリガトリング砲を地上へ射撃し、小規模な土柱をしぶかせる。
最後に、Mk.84 2000ポンド爆弾を満載したF-15KとKF-16Eの各4機編隊が猛速で飛来した。
胴体から複数の黒い物体が分離し、落下していく爆弾が目標の山肌へ到達するや、この日最大の爆炎が奔騰したと同時に、ギャラリーの歓声と拍手が巻き起こった。
新型兵器のお披露目も兼ねた軍事演習は大成功に終わり、軍事マニアや評論家、在韓米軍の幹部たちは大満足のまま帰路に着いた。
閲覧ありがとうございました。
戦艦配備させようかな、とも思い、色々と理由もつけていたのですが、まだ保留です。