金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート   作:シグアルト

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 感想欄にてIFルートに関する反響が大きかったので、本編中に思いついた『IFルート』を少しだけ紹介するおまけパートを作ってみました。
 完全に未読者お断りなシナリオになるかと想いますが、あくまで番外編ですのでご了承下さい。

 ちなみに《ガッシュカフェ》は「金色のガッシュ!!完全版」に収録されている書き下ろし巻末漫画です。魔物の皆の意外な一面が見れるのでみんな買おうぜ!(ダイマ)



番外編《ガッシュカフェ外伝》
①キリカの招待・コルル編(前編)


 

 

 

《ここは ガッシュカフェ

 魔物達がお茶を楽しみ お喋りに花を咲かせる社交場です》

 

 

《ですが 今回お客様を招待するのは私ではなく────》

 

 

 

「私。キリカ・イル」

 

 

《そう 私はガッシュカフェという “空間”を提供するだけです》

 

 

「紹介も、して」

 

 

《わかりました 今日のお客様は コルルです》

 

 

「よろしくね。キリカ」

 

 

 草原の広がる一角にある、ガッシュの顔を模した佇まいの店。

 そこの木陰のテラス席に座るコルル、対面の席に座るのはいつものワンピース姿のキリカであった。

 

 

「はい、コルル。あなたのオーダーよ」

 

「ありがとう、しおりねーちゃん」

 

 

 コルルの前にバナナフレーバーホットミルクと、ホイップクリーム・メープルシロップがふんだんに盛り付けられたホットケーキが置かれる。

 テラス席からは店内が良く見渡せるようになっており、厨房にいるコック姿の元就がそんな二人を見守る。

 

 

「でも、キリカちゃんは紅茶だけでいいの? 欲しいなら元就君が何でも作ってくれるけど」

 

 

 メイド服に身を包んだしおりがキリカに問いかける。

 

 

「平気。私、招待者」

 

「うーん、でも私だけ食べるのは気がひけるわ。ならキリカ、半分こしない?」

 

「…………、貰う」

 

「フフッ、そうよ。一緒に食べましょ」

 

 

 ホットケーキを姉妹の様に仲睦まじく二人で分ける。その姿に両本の持ち主(パートナー)の頬もゆるむ。

 ふとコルルが食事の手を止めキリカを見つめる。

 

 

「……でもこんな風にキリカと仲良く出来るなんて、魔界にいた頃は思いもしなかったわ。今では私も、この戦いがあったお陰だって思えるの」

 

「うん。よかった」

 

「それもこれもキリカのお陰よ。覚えてる? 私が暴走して皆を傷つけちゃった時の事」

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 ────「お願い、ガッシュ。魔本を燃やして! そうすれば誰ももう傷つかないから」

 

 

『狂化』の呪文のせいで正気を失ったコルルはガッシュやキリカ、一般人にまで怪我を負わせてしまった。

 その自責の念により、自身の魔本を燃やす様に懇願する。

 

 

「ダ、ダメだ! お主はしおり殿と別れたくないのだろ? それを引き裂くなど……」

 

「ガッシュ……。でも……でも……、今度同じ事が起こったら……私……」

 

 

「……ガッシュ。その子の魔本、よく見てみろ。少し……おかしいぞ」

 

 

 今度同じ事態が起きたら、コルルの精神は潰されてしまう。

 そう判断した清麿はガッシュの目線を本に向けさせる。そして……

 

 

「《ザケ……」

 

「駄目!!!」

 

 

 その言葉は後ろにいた少女の声に阻まれた。そしてゆっくりとコルルへ近付いていく。

 

 

「キリカ。……私は……、!?」

 

 

 そのままコルルはキリカに抱きしめられた。

 

 

「諦めないで。コルルなら、出来るから」

 

「え……何を……?」

 

「傷つけないで、守る事、出来る筈。だって、コルルは────やさしい子だから」

 

 

 その言葉にコルルの目に溜まっていた涙が溢れ出す。

 自分の力は他者を傷つけるものでしかなかった、だからここにいてはいけない。こんな力は、皆に嫌われてしまうだけだから……

 そんな自分の考えをキリカは理解し、乗り越える事が出来ると言ってくれた。そんなキリカを傷つけたのは、他でもない自分なのに……。

 

 

 嬉しい、嬉しい、嬉しい!! こんな自分を認めてくれたキリカが。

 自分だって出来るならもっと皆といたい、自分の力を乗り越えて「やさしい子」と言ってくれた自分になりたい────!! 

 

 

 それに呼応するように、ピンクの魔本が……新たな光を放ち始めた。

 今までのような鋭く不気味でない、暖かな光。

 するとキリカがゆっくりと魔本を持つコルルの手を握り、やさしく手を離すようにして魔本を受け取ると、困惑するしおりへと渡す。

 

 

「キリカちゃん……何を?」

 

「新しい呪文。読んで」

 

「え……、何を言っているの?! そんな事したらコルルがまた……」

 

 

「信じて」

 

 

「…………!」

 

 

 キリカが笑みを浮かべしおりちゃんを見る。

 ガッシュも、本の持ち主(パートナー)のおにいちゃん達も、私もその笑顔に見蕩れてしまっていた。

 

 それ程に……『やさしい』笑みだった。

 

 気付けばしおりねーちゃんも本を受け取り、ページを開いていく。

 

 

「……ぅ。……ら、……ら……」

 

「大丈夫、信じて。コルルを」

 

 

「! …………《ラ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《ライフォジオ》!」

 

 

 その言葉に反応して私の両手が光りだす。

 一瞬また今までのような鋭い爪に変わるのかと思ったが、それはやわらかな光を保ったまま段々大きくなり私達を包み込んだ。

 

 

「ウヌゥ……、これは……」

 

「あぁ……暖かい」

 

「これがキリィの言っていた、コルルの新しい力」

 

「何て……やさしい光」

 

 

 それに包まれた皆が癒されていく。光が消えた時、全員の怪我が完治していた。

 

 

「これが……、私の……呪文」

 

「そう、コルルのやさしい力」

 

 

 その言葉に堪えきれなくなったコルルは、大粒の涙を流しながら満面の笑みでキリカへと抱きついたのだった。

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 ────「そんな事も、あった」

 

「えぇ、キリカのお陰よ。あのお陰で諦めずに頑張ってみようって思えるようになったんだから」

 

「そんな事もあったわね。キリカちゃんのお陰よ、コルルとあの時お別れしないで済んだのは」

 

「それは、コルルのお陰」

 

「そんな事ないわ。キリカの言葉はいつだって私を励ましてくれたの、だから私も“あの時”に戦う決意が出来たんだから」

 

「あの時?」

 

「『千年前の魔物』との戦いの時ね。ガッシュ君やキリカちゃんと一緒にデモルトと戦った時よ」

 

「そう。それまで私は皆の怪我の治療とかでしか力になる事が出来なかった。でもあの時はね」

 

 

 

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 ────『《ギルガドム・バルスルク》!!』

 

 

 千年前の魔物達との最終決戦。人々を操る『月の石』を破壊したガッシュ達一行は、全長数十mに至る巨大な魔物・デモルトと戦っていた。

 

 元々呪文なしですら強靭な膂力を誇っていた魔物。それが《禁呪》により破壊の象徴とも言える程のパワーを持つ存在へと昇華されていた。

 

 

「《ザケルガ》!」

 

【そんな攻撃が効くか!! ルァアアアアア!】

 

「《マ・セシルド》!」

 

【フン! そんなものすぐ破壊できる。グルァアアアアアア】

 

「やらせんぞ、()()()()!」

 

「はいアル。《ラオウ・ディバウレン》!」

 

 

 ギリギリの攻防を続けるガッシュ達。そんな中しおりとコルルは部屋の隅、キャンチョメが作り出している安全圏でそれを見つめていた。傍にはレイラと気絶した本の持ち主(パートナー)アルベール、そしてナゾナゾ博士の3人と一緒にいた。

 

 

「しおりねーちゃん……」 「コルル……」

 

「君達、恐いならパティやビョンコ君の本の持ち主(パートナー)達と共に下の階にいってもよいのじゃぞ? 『月の石』を破壊した今、君達の《ライフォジオ》が回復の要となる」

 

「ナゾナゾ博士……、でも……」

 

「恐れや怯えは決して『臆病』ではない。むしろ、戦いの苦手な君達がよくぞここまで『勇敢』についてきてくれた」

 

「そうよ。それにあなたは私を救ってくれた。あなたが暗闇の中、抱きしめてくれた《やさしさ》のお陰で、私は石化の暗示と呪縛から解放されたのよ。だからそんな顔をしないで」

 

「レイラ…………」

 

 

 前線でガッシュやキリカ達が戦っている、レイラが本の持ち主(パートナー)を必死に起こそうとしている、ナゾナゾ博士が現状を打破する手段を模索している。

 その姿を見た二人に、自分達だけ安全な場所へ逃げるという選択肢は生まれなかった。

 

 

「ガッシュ……、キリカ……」

 

 

 震えながらもコルルは考える。自身の呪文が暴走した事件以来、《ゼルク》等の『狂化』の呪文は一切使わなかった。また誰かを傷つけるかもしれないというトラウマになっていたのだ。

 だが、あの力ならガッシュやキリカ達の力になれるかもしれない。あの呪文もコルルという魔物の素質の1つだとキリカが言っていた。

 恐い、どうしようもなく恐い……………………でも

 

 

 

 

 

 

『友達』を失う事の方が────ずっと恐い。

 

 

 

 

「……! ナゾナゾ博士。私の魔本が」

 

「ム、コルル君!?」

 

「……お願い、しおりねーちゃん。呪文を唱えて」

 

「で、でもコルル。この光の感じ、あの時とは違う。これって────」

 

「うん。でも私、どうしてもみんなを助けたいから」

 

 

 そう言うとコルルはしおり達から距離を取る。しおりはその覚悟を感じ、ためらいながらも呪文を唱える。

 

 

 

「《ディオウィガル……ギゼルク》!」

 

 

「う……! うううううぅう……ぅぅゥ……ギィいぃいィィ!

 

「コルル!!」

 

 

 コルルを中心に強い突風が吹き荒れる、コルルの体は“あの時”と同じく正気を失った目や鋭利な爪、成人女性ほどの身長へと膨れ上がっていく。

 

 

「ムゥ! これは……!!」

 

「すごい魔力。あの子、こんな力を秘めていたのね。でも……」

 

「ウム。あの子の心で、それを制御しきれるかじゃな」

 

 

 ナゾナゾ博士とレイラがコルルを真っ直ぐな瞳で見つめる。コルルがどんな事になろうと、その覚悟を見届ける為に。

 

 

(ガッシュ……、しおりねーちゃん……、キリカ……!)

 

ゥゥゥゥウウウゥ……ギィエエエエエエエ!!

 

 

 

 

 

 

《「信じてる」》

 

 

 意識を失いつつあったコルルの頭に、そんなキリカの声が聞こえた気がした。

 

 

「コルル!!!」

 

 

……! シオリ……ねーちゃん」

 

 

 コルルは呪文により変貌した体のまま、その目は意識を取り戻した。気付けば彼女の腰には抱きついているしおりの姿がある。

 呪文の力により発生した突風がカマイタチの様に彼女の体を切りつけ、深くはないが多数の傷を作っていた。

 

 

「……しおりねーちゃん」

 

「フフッ。その姿だとコルルの方がおねーちゃんみたいだね」

 

 

 微笑むしおり。体は傷だらけでも、その心の火は一切曇ってはいなかった。

 

 

「いってらっしゃい、コルル。その力でガッシュ君やキリカちゃんを守ってあげて」

 

「……うん!」

 

 

 その言葉を受けて、コルルはデモルトの下へ挑む。『友達』の力となる為に。

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 ────「あの時のコルル。格好よかった」

 

 

「今思い返すと少し恥ずかしいけどね。あの後、すぐレイラとガッシュが協力してデモルトを倒しちゃったし」

 

「それは、結果」

 

「フフ、ありがとうキリカ。それに私、気付けたの。相手を傷つけない事だけが《やさしさ》じゃないんだって事を」

 

「うん。でもキャンチョメ、大変だった」

 

「そうだったわ、あの後キャンチョメが私に怯えちゃって‥それまでと態度がまるで違うんだもの。一緒に笑っちゃったわね」

 

 

 和気藹々と流れる人間界での昔話。

 

 するとそこに、厨房から元就がやってくる。

 

 

「キリィ」

 

「何、元就」

 

 

 

 

 

 

「一旦、CMだ」

 

 




【オリジナル呪文解説】

《ライフォジオ》

コルルの願った《やさしい力》を具現した補助呪文。対象の生命を守る事が出来る。
ゲーム的に表記すると
・一定時間、HP『継続回復(リジェネ)
・一定時間、バッドステータス無効
・バッドステータス解除


《ディオウィガル・ギゼルク》

『狂化』の性質を持つ強化呪文。
《ゼルク》が更に強力になり《竜巻》の性質が付与され身に突風を纏った姿へ変わる。パワーよりも圧倒的なスピードの強化がされた中級呪文。
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