金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート 作:シグアルト
10話記念的なおまけパートになります。
1話でまとめようとしたらいつもの倍近くの文章量になりました・・・
はい、おはようございまーす!
ん? チャートが一段落したから投稿がエタると思ったって? ノンノンノーン! まだまだ原作1巻を堪能した程度にすぎませんよ! むしろこれからが「金色のガッシュ!!」の本番とも言えるバトルとなる事でしょう!
だからガッシュの魔本が燃えない限りプレイ動画は投稿し続けるからよ……(視聴を)止めるんじゃねぇぞ……
さてまずは前回のおさらい、ガッシュ達はきっとブラゴとの出会いを終えてズタボロ雑巾にされながらもこの戦いに参加する意思を固めた事だと思います。
あやふやなのは実はそのシーン、直接は見れなかったんですよねぇ。
ブラゴは最初から最後まで
そして見つかったが最後、『魔物絶対倒すマン』である
さて、おさらいも終えた事で今回の趣旨を説明したいと思います。
最初に言っておきますと今パートはいわゆる蛇足回になります。「さっさと本編の続き見せろよ」って方は投稿者説明文にある次パートのリンクから進んでくださいね~。
え? まだ次パートが投稿されてない?
今までのパート10周くらいしてれば、その間に投稿されてんちゃう? (適当)
という訳でコチラ! 『モチノキ町立 総合病院』からお届けしたいと思います。 ちなみにほもくんは今回お休みで自宅待機です!
さて、皆さんは何故病院なのかと疑問に思った事でしょう。別にキリィちゃんが怪我や病気をしたとかではありません。
今回の目的は2つあります。
まず1つ目ですが【清麿の怪我の調査】これはチャート進行によってブラゴ戦での清麿の怪我の度合いが変化するので、退院の時期を知る為です。原作ルートだと4日目には退院出来るのですが、全治一ヶ月の場合や全治半年の場合もパターンによってはあり得るのです。なお全治半年までいったら原作展開なんて欠片も残りません。(2敗)
ですが、退院遅延の一番の要因である
そして2つ目、今回最大の目的が【キャラの好感度稼ぎ】です。好感度を稼ぐメリットは、今は蛇足になるので説明はまたの機会に。
ただ好感度には多大なメリットがありますが、
好感度はマスクデータなので見れませんが、あんなムーブやって好感度あがるドMなんている訳がないですからね! (自信満々)
そんな訳で主人公組で稼げない好感度を、他キャラで補おうという魂胆です。(狡い)
狙うのは清麿と同室にて骨折入院している少年『秋山 勇太』君。ほら、ショタっ子だぞ喜べよ。
彼は傷の治りが遅い体質をもち、半年以上という当初の予定の倍近い入院生活を送る事で若干性格が捻くれてしまった子です。病院での食事も食べずお菓子でごまかす日々。不健康ですねぇ、ピザるぞ。(暴言)
余談ですが好感度稼ぎは今回のような魔物同士の戦いの合間の空白期間に必ず行いましょう。時期をミスると魔物同士の戦いに巻き込んでしまい、某運命の物語の筋肉青達磨のごとくナオミちゃんが現れ、誰も得しない結果になります。(10敗)
という訳でこのタイミングでの突撃になりました。ですが今回は同室に清麿、見舞いにガッシュが病院内をうろつくというかなりヘビーな閉鎖空間です。勇太君の好感度稼ぎはRTAの如く素早く、攻略動画の様に無駄なく進めなければなりません。
そこで、み な さ ま の た め に ぃ ~ 。
今回の攻略チャートを事前に公開したいと思います。我が慧眼に震えるがいいさ。(慢心)
チャート1→自己紹介でお互いの事を知る
チャート2→友達になる事で、警戒心を解く
チャート3→勇太君が抱える悩みを聞いて、打ち解ける
チャート4→勇太君を励ましてあげる
チャート5→勇太君が食事をちゃんと摂るようになる(完了)
以上、5ステップで完了です。勝ったな、田んぼの様子見に行ってくる。(1敗)
では皆様は、今言ったチャートを頭に残しつつ私の完璧なムーブをご覧下さい!
…………(少女移動中)
はい、やってきました。清麿と勇太君のいる病室です。
今は午前の面会時間直後です。もう少しするとガッシュと清麿のお母様である華さんがやってきてしまうので確認だけさっさと終わらせましょう。
ちなみにキリィちゃんは絶賛『気配遮断』発動中なので医師や看護師の人にも気付かれません。抜き足差し足忍び足~っとね。
……………………
………………………………
………………………………………………アレ?
清麿がいる筈のベッドが空ですね。しかも誰も使って無いかのようにシーツが綺麗に折り畳まれて端に置いてありますね。あれれぇ~、おかしぃぞぉ?? (混乱)
「なぁ、アンタ……何やってるんだ?」
え、誰? ……あっ、あまりの驚きに『気配遮断』を押していたボタンから手を離しちゃってました。
つまり今キリィちゃんは誰もいないベッドを見つめ続けている状態です。
やばい、絵になる! 違う、変に見られる! 咄嗟に病室を出て『気配遮断』を再び発動します。
落ち着いたら病室の扉に貼ってある入院患者のパネルを見ます。(最初に見ろ)
やっぱり高嶺清麿の名前がないですね、念のため他の病室を一通り見ましたが見つからず。謎は深まる限りです。
一応、ブラゴ戦では清麿が入院しないチャートもありますが【清麿・ガッシュの好感度が最高値】【ガッシュが覚醒(戦う意思を強く持っている)状態】という医者がサジを投げる条件となっています。今は関係ない話ですね。
もしかしたら入院時期がズレたか、翌日退院でもう病院を出る準備中なのでしょう。きっとそうに違いない。
まぁ清麿の様子はついでついで、重要なのは勇太君の好感度です。
チャートを円滑に進めるため屋上へスタンバイに行きましょう。もう昼過ぎですからガッシュとバッタリ出会わないように注意して看護師さんの脇を────
「そういえば、あなたの担当の秋山勇太君。よかったわねぇ、ちゃんと食事を摂るようになったんでしょう?」
「えぇ、今までは頑として拒否してたのにあっさりと。何だか拍子抜けしちゃったわ」
チャート1→自己紹介でお互いの事を知る
チャート2→友達になる事で、警戒心を解く
チャート3→勇太君が抱える悩みを聞いて、打ち解ける
チャート4→勇太君を励ましてあげる
チャート5→勇太君が食事をちゃんと摂るようになる
◇◆◇◆◇◆◇◆
気を取り直してチャートを続けましょう。ガバなんてなかった、いいね? (威圧)
場所は屋上、ここで勇太君はよく
……………………
………………………………
………………………………………………暑い
勇太君を待ってるのはいいですけど、地味に暑いですね。キリィちゃんの体力がジリジリ減ってる。季節は初夏を過ぎ本番が近付いています。そんな最中、排熱機うごめく屋上にいるってどんな拷問やねん!
という訳でここは気を紛らわす為に空を見上げて叫びましょう。
私たちは元気で────す!!
おぉ、地上で動く人達がぞんぞんしてきた。(にわか)
まぁ気分だけで、実際キリィちゃんは叫んでないし動いてないし顔を見上げてるだけなんですけどね。
ムッ、後ろに気配。貴様、見ているなッ!!
やっと来ましたね。目的の秋山勇太くんです。車椅子に座ってますけど熱されないそれ?
「暑い……」
────あー、やっぱそうだよね。わかるわかる。キリィちゃんもHPガンガン減らされてたからね。一緒、一緒。
…………ん? 何、急に瞳潤ませてるの?
「ごめん、何か嬉しくってさ。ありがとな、励ましてくれて」
情緒不安定かな? (失礼)
────っていうか励ました?
チャート1→自己紹介でお互いの事を知る
チャート2→友達になる事で、警戒心を解く
チャート3→勇太君が抱える悩みを聞いて、打ち解ける
チャート4→勇太君を励ましてあげる
チャート5→勇太君が食事をちゃんと摂るようになる
◇◆◇◆◇◆◇◆
はい、キリィちゃんです。
あれから訳のわからないまま勇太君は立ち去ってしまったので、仕切り直しの為に翌日再トライしに来ました。まぁ今日もまず1階の病室から見て回りま────
「はぁ、何でわざわざ学校休んで病院に来ないといけないんだよ」
「何を言うか、清麿! そもそもお主が怪我を華殿に黙っていたのが悪いのではないか」
「腹の青痣だけだろ、内出血や打撲の処理もしてるし後は放っておけばいいんだよ」
ま゛─────────────!!!!!
やばいやばい、清麿です。入院手続きにきてますよ! (会話の内容聞いてない)
ここで見つかったら「テメェ何してんだ本燃やさせろ」と絡まれる事間違いありません。急いで病院の奥へ逃げましょう。入り口に彼等がいるので外に出る事は出来ません。
原作での清麿の病室は一番上の6階の病室でした。もし入院ならばそこまで来るに違いありません!
彼等と絶対に出会わないようにするにはその更に上、屋上しかありません! ダッシュでそこに向かいます。キリィちゃんの体力ならなんてことない距離ですが、焦りでうまく呼吸が出来ず、息が上がってしまっています。
ですが何とか屋上の扉まで見つからずに辿り付けました。屋上の更に見つかりにくい場所で息を潜めることにしましょう。
では、扉をあけて屋上へ────
[勇太]<ハァイ、ジョージィ……
────勇太君がいました。バッチリ目と目が会っています。
別に好きだと気付いたりはしません。好感度タンクとしてしか見てないので(外道)
ですがここはいいタイミングです。ガッシュ達が
「……なぁ、少し話を聞いてくれるか?」
───フフ、話を聞いてくれません。
まぁしょうがないですね、「だが断る」って言ったら好感度フラグごと断たれてしまいそうなので聞いてあげましょう。
「オレの足、本当に治るかな? ……オレより後に入ってきた患者がどんどん退院してって、オレだけが……いつもいつもオレだけが残されるんだぞ!」
あー、これはSAN値下がってますね。昨日ぞんぞんしたのが原因かな?
好感度を下げる訳にはいかないので、ここは当たり障りの無い受け答えをすればいいですね。
「……ありがとうな。オマエと出会えてよかったよ」
よし、これで好感度は逆に上がったな。お互い打ち解けてきたようだし────
チャート1→自己紹介でお互いの事を知る
チャート2→友達になる事で、警戒心を解く
チャート3→勇太君が抱える悩みを聞いて、打ち解ける
チャート4→勇太君を励ましてあげる
チャート5→勇太君が食事をちゃんと摂るようになる
◇◆◇◆◇◆◇◆
勇太君の好感度上昇は順調です。(暗示)
そろそろ清麿の入院手続きも終わってる筈なので、確認の為に病室へ行きましょう。
ガッシュ君の位置は『魔力感知』で索敵中なので出会う事はありません。ただ『気配遮断』と同時使用は出来ないので清麿と曲がり角でごっつんこは気をつけましょう。購買に食パンも売ってましたのでフラグ管理もバッチリです。(ありがた迷惑)
「そこのあなた、少しいいかしら?」
今策敵しながら移動してるから一杯一杯なんだよ(半ギレ)
振り返ると見覚えの無い一人の女性がいました。こんなキャラいたかな?
「私、秋山勇太の母親です。息子から聞いたの、可愛い女の子がいるって」
なんだ、聖母か。(手のひらウィガル)
補足しますと勇太君のお母さんは『勇太君の好感度が最高値になると確率で出現』するレアキャラです。勇太君の好感度を上げるとこの病院に来る事はほぼないですし、確率も低い為私も初めて見ました。綺麗なお母さんをお持ちなんですねぇ勇太君。
……って、アレ?
「勇太と友達になってくれて本当にありがとう。お陰であの子、見違える位元気になって」
チャート1→自己紹介でお互いの事を知る
チャート2→友達になる事で、警戒心を解く
チャート3→勇太君が抱える悩みを聞いて、打ち解ける
チャート4→勇太君を励ましてあげる
チャート5→勇太君が食事をちゃんと摂るようになる
「あ、お母さん!」
「あら、勇太。何処へ行ってたの? 病室にいないから心配したわよ」
「う……うん、ごめん」
「ところで勇太。この子でしょう? あなたが言ってた女の子って」
「! ありがとうお母さん」
「……じゃあ先に病室に戻ってるわね。フフフ」
「あのさ、色々ありがとう。オレ、“一生治らないかも”なんて思ったりもしたけどもう大丈夫だ。アンタのおかげだよ。……それでよかったら、名前を教えて欲しいんだ」
こんな前向きな勇太君、知らない! もう本当に────
チャート1→自己紹介でお互いの事を知る
チャート2→友達になる事で、警戒心を解く
チャート3→勇太君が抱える悩みを聞いて、打ち解ける
チャート4→勇太君を励ましてあげる
チャート5→勇太君が食事をちゃんと摂るようになる
──────────────────────────────────────
────また一人、同じ部屋の子供が退院した。
数ヶ月前に入った女の子だ、原因は骨折。オレと同じだ。
それなのにあの子はオレより遅く入院して、オレより早く退院した。誰もいなくなったベッドを見つめながらこう考えるのは何度目だろうか。
────────何で、何でオレだけが。
……………………
翌日、ふと隣に気配を感じて目を覚ました。今、隣のベッドには誰もいない筈なのに。
そう思ったオレがそっちに視線を移すと、そこには一人の女の子がいた。年齢はオレより少し下だと思う。
オレはその少女から目を離す事が出来なかった。
この病院には美人看護婦が多い、そう入院中のオッサン達から言われた事がある。オレもあの人達は美人だし、少し近付いちゃいけない様な大人な雰囲気を持っているように感じた。おかげでオレは美人というものに耐性があると思っていた。
だけど、あの女の子の前では無力だった。本当に綺麗だ。可愛いと思う。
その子は昨日まで入院していた女子のベッドを見つめている。
(「もしかして、退院した子の友達で退院を知らされてなかったのか?」)
なんて薄情な奴なんだろうと苛立つ。
その子は困惑しているかのように呆然とベッドを見つめているので、たまらず声をかける。
「なぁ、アンタ……何やってるんだ?」
ハッと気付いたかのように少女が覚醒し、目にも止まらぬ速度で病室を出て行く。あまりにも無駄の無い動きにオレはその子を見送る事しか出来なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
以前見たドラマで「人は人を好きになると何も手につかなくなる」と言っていた。
────それは嘘だった。
オレは彼女の事を考えていた。あの時の事を何度も思い返していると、気付けば目の前には空になった昼食があった。
どうやら考え事をしている内に自然と空腹で食べていたらしい。いつも食事を拒否していたが、今はそんな事に気をまわす事すら面倒だった。
そして食事を摂って上機嫌になっていた看護師さんに、昨日退院した女の子の事を聞く。何かわかれば、それをきっかけに話が出来ると思ったからだ。ここまで精力的に動くなんていつぶりだろうか。
「あぁ、その子なら退院してすぐ遠くの実家に引っ越すんですって。学校も転校手続きは済んでいたって話よ」
────こんな事、話せる訳ない。
友達を思って見舞いに来たら既に遠くにいなくなっていた、あまりにもひど過ぎる。
苛立った気持ちを抑えながら、気分転換へと屋上に足を運んだ。自由に動ける範囲で唯一屋外が見える場所。オレ以外にはほとんど人がいない秘密の場所だ。
そこに…………その子がいた。
空を見上げ、遠くを見つめる女の子。退院した子の事を思っているのだろうか。その顔は苦々しげに見える。
オレがその姿に見惚れていると、その子が気が付き振り返る。
「何?」
その子の邪魔をしたように感じ焦る。色々と話したい事がある筈なのに言葉が出ない。
「
謝罪とも言い訳とも取れない言葉が口から出た。オレは何を言っているんだ。
だがその子は優しい目でオレに微笑みかけ言った。
「一緒。私も、同じ」
その子の言葉にオレは驚き、その意味を理解すると視界が滲み始めた。
その子は友達に置いていかれ一人ぼっちで屋上にいた。退院した友達を見送り空から無事を祈るしかできなかった。
抑えていた感情が溢れ出す。悔しい、妬ましい、羨ましい……!
他人にはわかってもらえない汚い感情を、目の前の子は理解し一緒だと言ってくれた。その嬉しさはとても言葉には表せない!
「大丈夫?」
「ごめん、何か嬉しくってさ。ありがとな、励ましてくれて」
◇◆◇◆◇◆◇◆
翌日、オレはまた屋上にいた。
目に浮かぶ涙を必死で堪えている。原因は今朝、また一人同室の子供が退院し祝福され病院を出て行ったからだ。
一緒にその子供を見送ったが、居た堪れなくなったオレは途中で抜け屋上へと逃げた。
自分の弱さが嫌になる。これじゃあ昨日励ましてくれた子も軽蔑して……
「!」屋上の扉が勢いよく開かれる。
そこには息を切らせてこちらを見る、昨日の女の子の姿があった。
お互い無言で見つめあう、呼吸を整えているその子はよっぽど急いで此処に来た様だ。
何でこんな何もない所に? そこまで考えて思いついた。
(「! まさか、オレの様子を見て心配してここへ?!」)
どこまで心優しい女の子なんだろう。彼女の優しさはオレの苛立った心をいつでも癒してくれる。
昨日だってあれから見舞いに来たお母さんに女の子の事を話した。知らず知らず流暢になり、普段の3倍は喋っていたと思う。
「……なぁ、少し話を聞いてくれるか?」
口を開く。オレは今まで、こんな話をした事が無かった。どうせ口だけの優しい言葉を言われるだろうと思ったからだ。でも、この子ならと思い。オレは言葉を続けた────
「オレの足、本当に治るかな? ……オレより後に入ってきた患者がどんどん退院してって、オレだけが……いつもいつもオレだけが残されるんだぞ!」
今まで泥のように心の奥で眠っていた想いが出てくる、言った後で少し後悔した。嫌われたかもしれない、恐がられたかもしれない、離れていくかもしれない……
「大丈夫、治る」
何の根拠も理屈もない簡単な言葉。
だけどオレの心には何よりも欲しかった言葉に感じた。何故ならその言葉は『絶対に間違いない』と確信を持って言ってくれた言葉だとわかったから。
「……ありがとうな。オマエと出会えてよかったよ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
屋上で気分を落ち着けた後、病室へ戻ろうとしたらお母さんがいた。
見送りの最中、急に抜けたから心配をかけちゃったみたいだ。素直に謝る。
「ところで勇太。この子でしょう? あなたが言ってた女の子って」
! 屋上であったあの子がいた。気分が落ち着いたらまた話をしたいって思ってたから本当に嬉しい。オレはお母さんにお礼を言った。
(「勇太。あなた、この子の名前もちゃんと聞いてないでしょう? ダメよ、そこはちゃんとしないと」)
(「……あっ」)
お母さんに言われて初めてその事に気が付いた。今までは、色々な事を気にしてたから気付かなかった。
「じゃあ先に病室に戻ってるわね。フフフ。(表情に乏しい子ほど、その心の中では色々考えちゃうものよ。頑張りなさいね♡)」
お母さんはありがたいのかよくわからないアドバイスをこっそり教えてくれた後、いなくなった。
まぁいいや。オレの言う事は変わらない。ここからが始まりだ。
「あのさ、色々ありがとう。オレ、“一生治らないかも”なんて思ったりもしたけどもう大丈夫だ。アンタのおかげだよ。……それでよかったら、名前を教えて欲しいんだ」
※この作品での5W1Hの使用法は