金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート 作:シグアルト
最近、UAやお気に入り数を見て一喜一憂している自分がいます。
評価・感想・誤字報告を頂いている皆様に改めて感謝を。
────植物に散々行った呪文トレーニング。
今日は“動く標的”相手の練習だ。この植物園に来ている奴等は格好の練習台となる。
まさかその中にスギナと同じ魔物が紛れてるとは思わなかった。だがこれまでの練習を活かすいい機会だ。既に魔物との戦闘を経験している俺に隙はない。
一度は逃げ出したが、スギナが言うには機会を伺っているだけらしい。迎え撃ってくるなら好都合だ。
植物園で木々を操るオレに負けは無い。どこからでもかかってきやがれ!
「来たぞ、春彦」
「あぁ! 正面だな、《ジュロン》」
植物の根を鞭の様に操り敵に襲い掛かる。地面から突如現れる攻撃を防ぐ事は至難の業だ。
だがそいつには……その攻撃は通じなかった。
「な、何だアレは?!」
正面から飛び出してきたのは石の怪物だった。全身が岩で覆われまるで鎧のようになっている。
そいつは根の鞭を全て弾き、巻きついた根も無理矢理引きちぎり向かってくる。
「チッ、あいつ等『強化呪文まで使えた』のかよ!?」
さっきと同じく電撃を口から出してくる攻撃だとばかり思っていた俺は、不意を突かれたと内心舌打ちする。
「
先程までのような力を抑えたものではない、心の力をしっかりと込めた呪文だ。根っこが先程までとは段違いのスピードで奴の両手足を絡めとり動きを止めた。
「ヘッ、手間とらせやがって。だがこれでチェックだな」
「《ピルク・ドルセン》!」
「……! ぐほぁぅ!!」
油断した。そう思ったのは、奴の肩から放たれた石の砲弾が俺の腹部を貫いた衝撃と共にであった。俺は激しく木に叩きつけられる。まだ体は動くが、胃液が逆流してくるような不快感が襲ってくる。
「春彦!」
「問題……ねぇ。そのまま呪文の発動を……止めるな」
「!!」
スギナの動揺で拘束が弱まったのか、その石の化け物は力づくで抜け出そうとしていた。
来る!! そう思い身構えた瞬間……化け物は踵を返して茂みの中へと戻っていった。
「……は?」
一瞬何が起こったのか理解できず間の抜けた声が出る。こちらが押されているあの状況で引く意味がわからなかった。
「……! 春彦、後ろだ!!」
「
「何?!」
正面の茂みへ消えたと思ったヤツが、いきなり
咄嗟にスギナが俺を押し難を逃れるが、その間に奴等は再び姿を消す。
「クッ、これが奴等の戦術って訳かよ!」
「落ち着け、春彦。気が付かないのか」
「あぁ、何がだよ?!」
「“数と力”だ」
「……!」
──────────────────────────────────────
はい、おはようございまーす!
漁夫の利狙いで戦闘に割り込み中の大人気魔物キリィちゃんです。悪質な横殴りもキリィちゃんなら許される、そう美少女ならね!(暴論)
とりあえず植物園にいた善良な一般市民の皆様に対して、悪質な触手プレイを敢行していた
《ピルク・ドルク》で強化したことにより顔バレの危険はありませんが、ガッシュ君とバッティングしないよう彼等の攻撃に現れるタイミングは退避しながら春彦達の体力と心の力を削っていきますよ。
出くわしたら絶対面倒な事になりますからね。私は面倒が嫌いなんだ(キリッ)
ちなみに
中の上くらいの敏捷値をキリィちゃんは持っていたらしく、通常戦闘では中々機敏に動けますが《ピルク・ドルク》で石の鎧を着るとその敏捷性はガタ落ちしてしまいます。素早く動けるのは四速歩行の特権やったんや……。
あ、そういえば
一応、パワーはあがっているので『魔力感知』でガッシュ君の居場所を気にしながら片手間感覚で戦闘を行う事は可能になりましたがそれだけです。全力を出したら多分、石の鎧の方が砕けます。
これはキリィちゃんに強化呪文は相性悪そうですねぇ、ゼオンが
「
「チィッ! 《ジュロン》」
「
よしよし、原作ムーブも順調みたいですね。
今、清麿がやっているのは呪文の高速発動のためのコンビネーションです。急な攻撃にも対応出来るよう「
「
「待ち……! グッ」
「春彦! うわっ」
「スギナ、大丈夫か!?」
「あぁ……大丈夫だ」
原作ではガッシュは一般人を拘束する根へ向けて電撃を放ち、その直線軌道上に誘導されただけの春彦達には簡単に避けられダメージが一切入りません。
ですが、今チャートでは最初のキリィちゃんの
……………………
「……俺が練習用に捕まえていた奴等が?!」
「既に全員解放した、お主は私が通さぬ!」
無事、空中に捕えられた人全員が
原作ではこのまま清麿が戻るまで、ガッシュ君が彼等の足止め作業を行う筈なのですが走者の狙い目はここです!
「テメェは邪魔だ。《ジュロン》!!」
「ヌ……ヌアア!?」
「ヘッ、『根の檻』だ。呪文の力なしじゃ出れねぇだろ。大人しくしてな!」
「待ッ、待つのだ! 清麿の所へは……」
「テメェとその
よし、春彦が立ち去った。IFチャートに入りましたね!
これがこのゲームの特徴、条件により分岐する【IF展開】です。春彦は慢心が強く詰めが甘い性格ですが、非常に慎重な性格でもあります。
『この場にもう一人魔物がいる』と知った場合、同時に相手取ることはしません。
つまり────
「オイ、石の魔物。出てきな。お前があの電撃野郎と持つ“力が違う”事は俺とスギナは気付いてるんだぜ」
そう、ガッシュを拘束してのキリィちゃんとの一騎打ちです。
清麿が戻ってくるまで、という時間制限はありますが『ガッシュペアの目に付かず』『ガッシュ達の成長を促し』『キリィちゃんがスギナを倒す』という条件を全て満たすのが、このもしも展開IFチャートになります。
魔物2組相手にするとかアホなの? と思うかもしれませんが『逃げて植物園から出た後、襲われたら不利になるだけ』というある意味最もな理論を展開するので非難は出来ません。植物園という場所に縛られるのは相手も同じです。
という訳でキリィちゃんが春彦達の前に姿を現します。ほもくんも合流して後ろに控えてもらいます。のこのこ姿を見せて《ジュロン》で捕われるとかいう展開はもうイヤです。(レイコム戦での戒め)
《ピルク・ドルク》は再度かけてもらってるので戦闘準備はバッチリです。
「さっきみたいな不意打ちはもう通用しねぇぞ。《バルジュロン》!」
「キリィ、あれは木の……魔物か?」
「木の、戦士」
先程までの原作チャートでは使用しなかったゲームオリジナル呪文も、このIFチャートに入ると使い始めます。この新天地に足を踏み入れたような感覚、いいよね!
《バルジュロン》は《木の戦士》と呼ばれる雑魚敵を生み出す呪文です。頭数が増えるのって地味に厄介なのよね。
しかし所詮は取り巻き、ちぎっちゃ投げちぎっちゃ投げを繰り返します。ほもくんも《木の戦士》相手だったら攻撃をいなす事が出来てますね。
「《ガンズ・ジュガロ》!」「《ピルク・ドルセン》!」
地面から人間と同サイズの花が咲き種マシンガンを飛ばしてきますので、こちらも対抗します。戦闘をしてる、って感じがして楽しくなってきました。
ですが時間制限があるのを忘れてはいけません。先程のガッシュ達とのやり取りで、ダメージを負っている二人に負荷をかけるように攻めますよ。
「《ガンズ……ぐっ!」
「! 今だキリィ。《ピルク・ドルク》!」
「これで、終わり」
「! ……ァハッ!!」
腹のダメージで呪文発動が遅れた一瞬を狙い加速、スギナに正拳突きを叩き込みます。ガッシュの電撃を何度か受け、反射が鈍っていたスギナにかわす余裕はありませんでした。
これで第三部、完ッ!!
《ピルク・ドルク》を解除します。何と中から可憐な美少女が現れたではありませんか!(すっとぼけ)
春彦の持つ緑色の魔本を手に取り、《ピルク》を唱えてもらいますよ~。ふぅ~、この時のために生きてるぜぇ~。
さてさて、懐からライター(ほもくんの私物)を取り出して本を燃やし……
「! キリィ」
え? ……って痛ったぁ!(迫真の小ダメージ演技)どうやらキリィちゃんが何かに殴られ吹き飛ばされた様です。
振り返るとそこにいたのは全身ズタボロボンボンのスギナでした。(死語)
その手には緑色の魔本が……って、アレ? キリィちゃんの手にあった敵の魔本は? あっ、魔本が春彦の手に戻って────
「ハハッ、油断大敵だぜ。《ジュロン》!」
あっ、足に根が絡みついて……ってあ──────────!!
キリィちゃんがスカイハイ状態です。わかりやすく言うと空中に投げ飛ばされました。
「強化呪文を今から唱えても遅いぜ! 《ジュガロ》ォ!」
「キリィ!!」
高所から落下するキリィちゃんに迫る一発の砲弾のような種子。すでにキリィちゃんの呪文はスギナと同じものに変わっており、彼の呪文は手を地面に触れていなければどれも発動出来ません。
キリィちゃんは甘んじてこの攻撃を受け、戦闘不能になるしかないでしょう。
────今までならばね。
「元就。【第二の呪文】」
「!? 第二の術《ピケル》!!」
キリィちゃんは両手を合わせると何かを握りこむような動きをします。
そしてバットの素振りをするように手を後ろに回し振りぬくと…………握りこんだ“手の中から現れた一本の木”により種子の砲弾は野球のように弾き飛ばされました。
「な……何ッ?!」
「ッ! ……破ッ!」
「ガハッ!」
必殺の一撃が防がれ放心する春彦。その隙をつき、ほもくんの容赦ない一撃が春彦の意識を刈り取ります。
地面に無事着地したキリィちゃんはスギナを取り押さえ、速攻で魔本を燃やしスギナを強制送還しました。
今度こそ第三部完ですね。
という訳で、これがキリィちゃんの習得した第二の呪文《ピケル》です。
これは【
今は木を操る呪文を使うスギナの呪文を
ともあれこれでスギナ撃破完了です。
後はほもくんに頼んで『最後の仕上げ』のムーブを手伝ってもらいましょう。
(かくかくしかじか)
「……ふぅん、それはいいねキリィ」
ほもくんや、お主もワルよのぅ……
──────────────────────────────────────
────「……ん、んぅ、痛っ!」
俺は目を覚ます。いつの間にか気絶していたようだ。
そうだ、俺は魔物と戦ってそれで…………負けたのか。
俺の手に魔本はなく、相棒である筈のスギナもどこにもいなかった。あれだけ特訓したのに勝てなかった事への悔しさもあったが、俺はどこか晴れ晴れとした気持ちになった。
俺は人生で「ひたむきに練習する」なんて事はそれまでした事がないし、する気もなかった。だがスギナと一緒ならそれが出来た。その上で負けた、不思議と悪い気がしなかった。
そしてその練習を思い返し、それまで決して省みようとしなかった自身の行動の歪さに今更ながら思い至る。
「悪い事……しちまったかな」
一生懸命という事をしなかった男の一生懸命は、自分以外の全てを無視したものだった。
ひとまず植物園の人達に謝ろう、許されないかもしれないがそれが春彦の新しい第一歩と決めた行動だった。ところが────
「あ、ここにいたのだ。清麿!」
「よし、根の奇襲に注意しろガッシュ。覚悟しやがれ!」
やってきたのは先程まで戦っていたもう一組の魔物だ。どうやらスギナが敗退した事に気付いていないらしい。
「おい、お前等。聞いてくれ、俺は……」
「何余裕かましてんだ。先手必勝だガッシュ! 《ザケル》!」
プスッ
そんな効果音が聞こえてきそうだった、ガキの口から出た電撃は火花といっていいレベルの小さいものだった。それを見て驚いている
あぁそうか────
「お前は知らずに使っていたのか」
「な……何?!」
「この呪文を発動させる心の力は有限だ。何度も使えば当然空になるのさ」
これぐらいは教えてやってもいいだろう。素人君へ向けた先輩のアドバイスってヤツさ。じゃあ俺はもうリタイヤしている事をこいつ等に告げて────
不意に、俺の体に影が差す。何か大きなものが俺への日光を遮っている。これは……
「《ラージア・ジュガロ》?!」
それは間違いなくスギナの持つ最強呪文《ラージア・ジュガロ》の花だった。5mに及ぶ巨体、その茎は樹木のように太く放たれる種子は必殺の威力を持つ。
だが、何故だ?! スギナの魔本は燃え魔界に帰った筈────
「清麿、一緒にやるぞ! 一人で考えるな」
「そうよ、清麿。三人で力を合わせるのよ!」
「つくし……」
ラージア・ジュガロの花を見上げていた俺は電撃の魔物の
その傍には俺の練習台として捕えていた大学生の男女が
オイ、ちょっと待て。もしかしてアイツ等────このラージア・ジュガロを『俺が呪文で出した』と思っているのか?
「オ、オイ。ちょっと待っ────」
「よぉし、行くぞガッシュ!! この戦い、俺達が必ず勝つ!」
「おおおおおぉぉぉおおおおおおお!!」
ちょっと待て! だがラージア・ジュガロは俺の意思に反して止まらない。種子の弾丸をアイツ等に向けて乱射する。
「第二の術! 《ラシルド》ォオ!!!」
「ぐがああああああああああああぁぁぁ!!!」
電撃を纏った状態で反射し返って来た種子の弾丸を受け、俺は再び気絶する。
な、何故俺の呪文が勝手に…………
「悪は、滅びた」
「キリィを傷つけようとした罰だよ」
そんな声が、聞こえたような気がした。
──────────────────【スギナ
春彦は敗退後も植物園に通ったりしている描写がありますので、キッチリ謝罪し改心した事でつくし達に許されてるのではないかと考えています。
次回はガッシュの戦いの原点ともいえる、あの魔物の登場予定です。
《第二の呪文 ピケル》
効果:
・呪文を
・
・『キリカ・イルの呪文』として扱われる為、