金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート   作:シグアルト

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皆様のお陰でUA50000を突破しました。
まさか、ここまで見て頂けるとは思っておらずただただ驚愕と感謝の気持ちです。

それに伴い、誤字報告して頂いた方を前書きで記載するのを今後控えたいと思います。
全員に許可を取った訳でもないのに多くの方が目にする前書きに載せるのは配慮に欠けると思った判断です。過去分に関しても該当部分は削除を行います。
「問題ないよ~」と想っていた方には申し訳ありませんが、ご了承をお願い致します。




13.やさしい王様

 

 

 

【ギッ! ギッ!! ギギギギギギィィィィィィ!!!】

 

 

 

 戦闘が終わり、皆これで終わったと安堵していた。

 

 だが、突如唱えられる呪文。それにより大きく膨れ上がっていく魔物の体。

 

 

【ギィァァァアアアアアアアアアアアアア!】

 

 

 

 それは正に…………化け物だった。

 

 先程と同じく鋭利な爪とトゲのように尖ったトサカのような長髪、だがその体は20~30mに届こうかという巨体であった。

 

 だがそれ以上に俺の体を震わすものは…………本能による警告。

 

 “アレ”は危ない。今までの呪文とは違う危険な予感がする! 

 

 

「どうして……何で? どうして……?」

 

 

 キリィは放心し、同じ言葉を繰り返している。

 

 突然の事態にキリィも心の整理が追いついていないようだ、こんな狼狽しているキリィは見た事が無い。

 

 

「何……アレ……」

 

「……しおり殿!?」

 

「おい、アンタ。一体、どうして呪文を……!?」

 

 

 あの化け物へと変貌させた本の持ち主(パートナー)の声がした。思わずそちらへ振り向くと、顔面蒼白となり膝から崩れ落ちた本の持ち主(パートナー)の姿があった。

 

 明らかに様子がおかしい。それに気付いた清麿も詰問する言葉を止めた。

 

 

「わ、私……ただコルルと離れたくなくて、それで……何とかしなきゃ、何とかしなきゃって事だけ考えて! それで……!!」

 

「わ、わかった。ひとまず落ち着いてくれ。とにかく早く呪文を止めるんだ!」

 

 

 目の焦点すら定まらなくなっているしおり、かけよった清麿が両肩を掴み落ち着くように促す。

 

 そうだ、何よりも早く。あの化け物が動き出す前に止めなければ! 

 

 

「……きない」

 

「「「え(ヌ)?」」」

 

 

「……出来ない! ()()()()()()()()()()の!!」

 

 

「何だって?!」

 

 

 しおりは手から本を離そうと腕を振る。しかしその両手は本を固く握り締めており、清麿の力でも離れない。本が未だに輝いている事からも、呪文は発動し続けている。

 

 

「クッ、こうなれば今のうちに魔本を燃やすしかない。ガッシュ、こっちを向け!」

 

「ヌ?! しかし清麿、そんな事をしてはコルルが!!」

 

「わかってる!! だがアレが暴れだしたら途方も無い被害が出る、そんな事させる訳にはいかない!」

 

 清麿も苦悶の顔を浮かべガッシュへ指示を出す。少女(コルル)のやさしさを知ったからこそ、止めなければと苦渋の決断をしたのだろう。正直な所、俺もその意見に賛成だと思う。

 

 だが────

 

 

「駄目!!」

 

 

 その場にいた全員が目を開いて驚く。俺も信じられないとその声の主を見る。

 

 

「魔本、燃やすの。駄目」

 

 

 今まで見た事ない必死な顔で、キリィがそう叫んだ。

 

 その言葉でガッシュと清麿の動きも止まった。時が止まったかのように誰も動く事が出来ない。

 

 ……そしてついに“アレ”が動き出した。

 

 

 

【ジャアァァァアアアアアアアアア!】

 

 

「クッ、《ラシルド》!」

 

 

 鋭利な爪を振り下ろす。清麿が電撃を纏った輝きを持つ盾を出すが────

 

 

「なっ、《ラシルド》が一撃で?! 何てパワーだ!」

 

「清麿! もう一度攻撃が来るのだ!」

 

「ガッシュ、爪の側面を狙え!! 《ザケル》!」

 

 

 清麿が的確に振り下ろす爪を横から狙う。だがその電撃で爪はビクともせず僅かに軌道を逸らしたにすぎなかった。その隙にガッシュ達はその攻撃から離脱し距離を取る。

 

 

「キリィ、このままじゃヤバい。俺たちも……キリィ?」

 

 

 清麿達だけに戦わせる訳には行かない、そう考えた俺はキリィに呼びかける。

 

 しかしキリィは何の反応もしない。心ここにあらずといった感じで虚ろな目で地面を見つめていた。

 

 

【オオオオオオオオオァァァアアアアア!】

 

「キリィ! ……クッ」

 

 

 敵の攻撃が突然こちらへと変わる。放心状態のキリィを抱え後ろに跳躍するが、地面へと突き刺さった爪とは違うもう片方の手の爪が俺達を切り裂こうと振りかぶられる。

 

 

「危ない! 《ラシルド》!!」

 

【ギエエエエエエエエエエエエァァアアアアア!】

 

「すまない、助かった!」

 

「ウヌ! 『友達』を助けるのは当然なのだ」

 

「おい、こっちだ。こっちを見やがれ! 《ザケル》!」

 

 

 礼をいい俺はキリィと傍にいたしおりを抱え変貌した少女(コルル)と距離を取る。

 

 どうやら今の少女(コルル)本の持ち主(パートナー)であるしおりの事すらわかっていないらしい。先程の攻撃はしおりを巻き込む一撃にもかかわらず一切の躊躇がなかった。

 

 

【ィィィィァァアアアアア!】

 

「《ラシルド》!」

 

【ギイイイイイイイイイイイ!!】

 

SET(セット)! 《ザケル》!」

 

 

 

 爪を振り回す少女(コルル)がこれ以上暴れまわらないよう必死に抑えるガッシュと清麿、だが事態は一向に改善しない。ガッシュの電撃は強化された少女(コルル)の体に大してダメージを与える事が出来ていない。盾の呪文と身のこなしで耐えてはいるもののいずれ心の力も尽きてしまう。

 

 だが現状を突破する手段が何も思いつかない。その状況を歯噛みしながら見ていると……

 

 

 

「元就。お願い」

 

 

 

 いつも通りの声が足下から聞こえた。

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 ────「《ザケル》! ガッシュ、こっちに来い!」

 

 

 清麿が私に向かって叫ぶ。その言葉の通り私はコルルに背を向けて走り出す。

 

 

【ギギギギギギギィィィィ!!】

 

 

 そんな私を追ってくるとても大きくなったコルル。そして私達は、さっきまでいた野原のすぐ傍にある「いべんと・すぺーす」とやらまでやって来た。場所は広く、人の姿はどこにもない。

 

 

「よし、ここなら周囲を気にする必要はない。何としてもここで喰い止めるぞ、ガッシュ! 公園の外に出られたらアウトだ」

 

「ウヌ、わかっておる!」

 

 

 魔界の王を決める(こんな)戦いで関係のない者を傷つける訳にはいかぬ。コルルもきっとその様な事は望んでおらぬ。覚悟を決めた私と清麿がコルルを見上げる。

 

 コルルはその大きな手に生えた爪で私達を切り裂こうと、こちらへ走る。

 

 私と清麿だけでコルルを正気に戻せるかわからぬ、だが絶対にやってみせる! 私はコルルの友達なのだから。

 

 

 

 ────そんな時、ふと頭の片隅に『もう一人の友達』の顔が浮かんだ気がした。

 

 

「《ピルク・ラージア・フリズド》!」

 

 

【オッ、オッ、ォォ!?】

 

 

 突然、コルルの前に出した方の膝から下が凍りつく。私達へ向かっていたコルルは急に動かなくなった膝に足を取られ、前のめりに倒れこもうとし咄嗟に手を前に出す。

 

 

「《ピルク・ラギコル・ファング》!」

 

 

 その手が地面につく瞬間、地面から《氷で出来た狼》が飛び出し真上から覆いかぶさろうとなっていた手の爪を食い破る。コルルの持つ鋭い爪が数本砕け、鋭利な爪はその長さを半分以上削っていた。

 

 

「すげぇ……、重力とテコの原理を応用したのか」

 

「威力が、足らないなら。他で、補うだけ」

 

「お主、手伝ってくれるのか!?」

 

「…………(コクリ)」

 

 

 私が嬉しそうな声を上げると、しっかりと頷いてくれた。

 

 少し怯えたように、その者は清麿の方を向く。清麿はしっかりと頷き私と同じく仲間であり『友達』である事を視線で伝える。するとそれまで感じていた怯えはなくなったが、距離を取り私達から引いた態度を取る。

 

 

 清麿が話してくれた彼女の境遇────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 やはりその経験からか、私達をすぐには信用できないようだ。だが、今はそれでもいい。

 

 そんな者が友達(コルル)の為に立ち上がってくれたのだ、それが何よりも嬉しい。

 

 私はその者を不安にさせぬよう、大きな笑顔を浮かべ問いかけた。

 

 

「ウヌ! 私の名はガッシュ・ベル! お主の名を教えてくれぬか?」

 

「……キリカ、イル」

 

 

 

 キリカはまだコルルを救う事を諦めていない、共にコルルを救おうぞ! 

 

 そんな決意を秘めた私の目は再び強い光が宿り、先程以上の勇気を与えてくれたのだった。

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 あー、再走したい(諦め)

 

 

 

 

 ご視聴されている崇高な皆々様方、おはようございます。(土下座)

 迂闊とガバで構成されている事が発覚した大人気魔物キリィちゃんです。

 

 今、私は《ギルゼドム・バルスルク》の呪文により光の巨人や戦隊ヒーローの合体ロボと戦えそうな姿へ変わったコルルと対峙しています。

 

 まさかこんな事態になるなんてこの走者の目を以ってしてもわかりませんでしたよ。(ガバ)

 皆様の「m9(^Д^) 」コメントも甘んじて受けましょうとも。

 正直な所、コルルが変貌した時は

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 あ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛゛ああ゛ああ゛ああ!! なんでえええどぼじでええ゛ええ゛゛ええ゛ええ゛ええええ゛まずいですよさるわたりさああああああああえあいえんだああああ゛ああ゛ああああああいやああああ゛ああ゛ああ゛ああ゛゛ああもうだめだあああああああああんぐるいむぐるうなふくとぅるうるるいえうがふなぐるふたぐん(略

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 とまぁ「必要以上のカット、本番での再走はしない」と信条を掲げていた私ですらカットせざるを得ない醜態をさらし、床を転げまわっていました。

 ですがそんな記憶は【0%】【0%】【0%】(ドン!)と頭の電源入れ直したら一発で消去されてましたので問題ありません。

 

 俺は正気に戻ったぁ……(戻ってない)

 

 

 ひとまず何故ルートが外れてしまったのかは置いといて、コルルを止める事が先決です。まだコルルの魔本は燃えていません。

 原作ルートはコルルがガッシュに「想い」を託すことが条件です。ここさえクリア出来れば原作ルートはまだ途絶えていません。オリチャー気味になっていますが、俺はまだ諦めないぜ! ドロー! 原作ルート!! 

 

 また『初見殺し』と名高い狂戦士化コルルですが、教団員達の努力(と変態性)の結晶であるwikiで対応可能です。

 ただこのゲームのバトルはRTB(リアルタイムバトルシステム)で一時停止というものがありません。まず戦闘開始前にwikiをこっそり裏で開きましょう。

 

 

 

 

 えーと……コルル狂戦士化のページは……

 

 

 

 あれー、こっちはコルルメイドさん計画ルートだし……

 

 

 

 うーん、こっちは殺意に目覚めたコルルルート……

 

 

 

 

 あ、ありました! 【禁断の呪文発動ルート】の攻略ページです。少々時間がかかってしまいましたがさっきチラッと見た時は、まだ戦闘前会話をしていたので大丈夫でしょう。

 

 ではコルルの下へいざ…………あっ、ガッシュおるやん

 

 

 どうしよどうしよ気まずいなー思いっきり敵ロールしてたんだもん下手したら「お前よくもやってくれたな」ってこっちに攻撃こないかなーでもガッシュ君達はぐう聖だし戦闘中にそんな事にはならないかなーでもワンチャンあるかもしれないから恐いしでもここで更に手をこまねいてたら原作ルートから絶対離れて言っちゃうしいくしかないのかなぁと言うかなんでコルルが狂戦士になってるのさおかしくね? だってあのルートはガッシュ達の好感度が最高じゃないといかないチャートだしwiki情報間違ってるって事でしょでも教団員はそんなミスしないよなぁ前誤情報載せたときは5分で修正されて他の団員からあらゆる方向でフルボッコくらった奴いたしさすがに二度目はないやろって事は後考えられる可能性は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 えっ

 

 

 

 

 もしかして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、ガッシュと清麿の好感度最高になってるの? (驚愕)

 

 

 え? え? どういう事? 私、細川ムーブやってた筈だよね。あれだけボロボロにしてこき下ろして、それで好感度最高って何? ドMなの? 

 ガッシュ・ベルじゃなくてガッシュ・(エム)って事? (問題発言)

 

 だけどそういう事なら目の前に出ても攻撃される事はないのかな? 

 とりあえずwikiに載っていた『敵の攻撃手段を減らす方法』に書いてある手段でコルルの爪を砕きますねー、ボキッとな。

 

 はい、成功しました。これでコルルの攻撃手段である「きりさく」は片方「はたく」へと威力が下がりました。敵の攻撃手段が減る上にひるんだコルルが立て直すまで、少し時間を稼げます。非常にうま味ですね。

 

 

「お主、手伝ってくれるのか!?」

 

 

 ガッシュ君が負の感情の欠片もない目で、こちらを見つめてきます。念のため、清麿の方に視線を向けるとすごい爽やかな顔で頷いてきました。

 

これ好感度最高ですわ(諦め)

 

「いきなりザケル撃たれないかなー」とビクビクしながら接していましたが、大丈夫そうです。

 ただ走者の内心はガッシュと清麿の隠された性癖が明らかになり、一歩引いてしまいます。

 だってしょうがないよね、フルボッコにした相手がドMでニコニコ笑って友達になってとか言われても「あぁ……うん」としか反応できないよ。

 

 

 気分を変える為に、ここで「禁呪と呼ばれる“バルスルク系”がそんな弱い訳ねぇダルルォォ!!」と言う原作マニアの方々に説明致します。

 まずコルルは他の禁呪使いである魔物達と比べると基礎スペックで圧倒的に負けています。

 狂戦士といわれる程の暴れん坊、一族の悲願を叶える隠し玉、などの魔物と「一般学校に通うインドア少女」の身体能力が同じな筈がありませんよね。(ティオから目を逸らしつつ)

 もう一つの理由として、コルルは本質的には戦いが嫌いです。その為『狂化』が本人の意思と適合せず呪文の効力が精神性の変化に割り振られ、他の魔物の使う同系統呪文と比べ1ランクか2ランクは効果がダウンしているのです。

 

 とはいえ攻略wikiによると『倒すにはディオガ級、切り抜けるだけでもギガノ級の呪文が必須』とあります。腐っても暴走呪文のスペックという訳ですね。

 そしてここでおさらいしましょう! 

 

 

 第一の呪文ピルク →他魔物の【ギガノ級未満の】呪文が使える

 

 第二の呪文ピケル →他魔物の呪文の性質を持った放出呪文を出せる。【威力は下級】

 

 

 

 はい、詰ーんだ♪ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……と言うとでも思っていたのかぁ? (ねっとり)

 

 ギュピッ、ギュピッと効果音を上げそうな足取りでガッシュ達のほうへ向かいます。攻略wikiデータとキリィちゃん・ガッシュ君の持つ呪文を総合した結果、この難所を切り抜ける手段は一つだけです。気合入れていきましょう! 

 

 

「ガッシュ、清麿」

 

「ウヌ?」

 

「何だ?」

 

「……赤い魔本に、触れさせて」

 

「「はぁ(ウヌ)?」」

 

 

 二人の頭に「?」が出ていますね、いきなり突拍子もない事を言い出してますのである意味当然です。それにキリィちゃんは先日までガッシュを狙っていた魔物。信用できる筈がありません。

 ですがこの案が通らなければ詰みです。今『複製(コピー)』しているフリガロの呪文では勝てませんので、好感度最高に祈りましょう。

 

 

「…………わかった」

 

 

 意外とあっさり了承してくれました。赤い魔本に右手を触れさせてもらいます。

 

 

「元就」

 

「あぁ、二人とも驚かないでくれよ? 《ピルク》」

 

「ウヌ!? ……ヌゥゥ」

 

「!? ……あ、あぁこりゃ驚くな」

 

 

 他の魔物が自分の魔本に触れている状態で呪文が唱えられる。そりゃ焦りますよね、でも説明はしません。面倒なので(無慈悲)

 これにより、ガッシュの呪文が使えるようになりましたが使いません。私が欲しかったのは『ガッシュの呪文性質』ですので。

 

 

 すぐさま、キリィちゃんはコルル(大)へと走り出します。既に足の氷の束縛はなくなり持ち直したので無事な方の爪を振り攻撃してきます。

 ですが残念! 今のキリィちゃんには『答えを出す者(アンサー・トーカー)(wiki)』が備わっています。振りかぶりの動作などから、どの角度に攻撃が来るのかは教団員により暴かれていますので見てから回避も何とか可能です。

 

 そして素早くコルルの顔の前にやってきたキリィちゃんは手をコルルの眉間に添えます。

 

 

「元就! お願い」

 

「あぁ。第二の呪文《ピケル》!」

 

【ギ!! ……ギイ? イイイイイイァァアア!!】

 

「……? な、何も起こっておらぬぞ」

 

「あぁ、てっきり急所に強力な呪文を入れるのかと思っていたが」

 

「ガッシュ、清麿。これから俺の合図があるまで呪文は唱えないでくれ。お膳立ては俺達がする」

 

「何だって?」

 

「ウヌゥ、よくわからぬが何かをしようというのだな。では私はキリカを手伝ってくるのだ!」

 

 

 おっ、ガッシュ君が援護に来てくれました。彼の身体能力は素の状態でも中々ですので危ない時に指示を出すだけで大丈夫でしょう。さすがに走者も『答えを出す者(アンサー・トーカー)(wiki)』を常時発動させるのは無理です。

 

 

 

 ……………………

 ………………………………

 ………………………………………………

 

 

 それから数十分に渡りコルル(大)との攻防を行い、再び眉間に《ピケル》を数回叩き込みました。

 するとその変化が清麿達にもわかってきます。

 

 

「何だ? コルルの眉間から……静電気が?」

 

「そろそろだな。清麿、《ザケル》の準備を頼む。あの子(コルル)の眉間に叩き込むんだ」

 

 

 

 そう、これが私の考えた変則戦法。《なんちゃってザグルゼム》です。

 第二の呪文《ピケル》はガッシュの『呪文の性質を持った放出呪文』を放つことが出来ます。ガッシュの呪文性質は《電撃》が基本ですが、応用として《磁力》や《蓄電》といった性質も持っており《ジケルド》や《ザグルゼム》といった呪文に現れます。

 なので《ピケル》で『電撃』ではなく『蓄電』の性質をコルルの眉間に叩き込む事で次に放つ電撃の威力を高めようという作戦なんですね。

 

 とはいえ、無理矢理ねじまげた応用戦法みたいなものなので『《ピケル》の蓄電5回』<<『《ザグルゼム》の蓄電一回』と非効率極まりないです。せいぜいギガノ級に並ぶ位の上昇量でしかありません。

 

 

 だがこれで、条件はクリアされた。チェックだ! 

 

 

「キリカ!私をコルルの顔へ向けて投げるのだ!」

 

「わかっ、った!」

 

「ヌオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 

「《ザケル》!!」

 

【ルオオオオオオオオオォォォォ!?】

 

 

 それまでのザケルより2回りほど強力な電撃がコルル(大)を襲います。ですがこれで倒しきる事は出来ません。あくまで敵の呪文効力を乱すだけです。つまり────

 

 

「元就。しおりを」

 

「あぁ、わかった! ……さぁ、しおり。ゆっくり落ち着いて魔本から手を離すんだ」

 

「う……、うん」

 

 

 よしよし、本の持ち主(パートナー)が魔本の束縛から逃れましたね。今の暴走状態のコルルを見ては、さすがに素直に従ってくれます。後は呪文効力が切れるまで粘れば勝利です。

 

 

 勝ったな(油断)、やはり私を以ってすればこんな難所など難所では────

 

 

「キリィ?!」

 

 

 

 

 

 えっ

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────「本当にごめんなさい。ガッシュ、清麿、しおりねーちゃん。キリカとその本の持ち主(パートナー)のおにいちゃん」

 

 

 キリカと名乗った少女とガッシュのはたらきにより、コルルは正気に戻った。

 

 ただ彼女は最後にコルルの攻撃を受けてしまった。咄嗟に俺が《ラシルド》で守ったが完全に防ぐ事は出来ず、怪我はないもののまだ気絶から目覚めない。

 

 

「ガッシュ、お願い。私の魔本を燃やして」

 

「コルル……そんな……」

 

「しおりねーちゃんもわかったでしょ? この本がある限りきっとまた同じ様な事が起こる。それを止める事なんて出来ないの」

 

「コルル…………」

 

 

 その言葉に、しおりが言葉をなくす。彼女も心の内では既にわかっている事だった。

 

 

「コルルちゃん、だったよね。キリィにお別れは言わないのかい? 友達、だったんだろ」

 

 

 キリカの本の持ち主(パートナー)、本堂元就がそう告げる。

 

 

「うん、そう。友達。でもそれはこの世界(人間界)でのお話で、魔界ではお互い話した事もなかったの。だからお別れはいいたくない。だって私はまたキリカに会えるから、これで終わりなんて考えたくない。他の皆と同じ“その他大勢”の存在には戻りたくないの」

 

 

「…………そうか」

 

 

 その言葉に俺とガッシュは顔をしかめる。それではまるで、魔界にいた頃のキリカには『その他大勢』の存在しかいないようではないか。

 

 

 

 ……………………

 

 

 

《ザケル》によりコルルの魔本が少しづつ燃えていく。

 

 それに伴い、コルルの体も少しづつ透けていってしまう。

 

 

「コルル……コルル……!!!」

 

「泣かないでしおりおねーちゃん。私ずっと見てるから、ずっとずっとおねーちゃんの事見てるから」

 

 

 

「コルル……」

 

「………………ガッシュ……」

 

 

「もしも、もしもね…………魔界に『やさしい王様』がいてくれたら、こんな戦いはしなくてすんだのかな? ずっとキリカや、ガッシュや、しおりねーちゃん達みんなと楽しく過ごす事が出来たのかな?」

 

 

「やさしい……王様……」

 

 

 その言葉にガッシュの目に涙が溢れ、激しく頷く。

 

 

「ウヌ、ウヌ、そのとおりだ! コルル、そのとおりだぞ!!」

 

 

 コルルが優しく微笑む。その笑みは大切な『何か』を託す事が出来た満足の笑みだ。

 

 

 

「コルル!!」

 

 

 不意に背後から声がし、振り向く。

 

 そこには目に涙を浮かべ悲しみの表情をしたキリカがいた。コルルに駆け寄っていくが、その途中に燃える魔本を見つけ、周囲が止める声も聞かず火傷も構わずに抱きしめる。

 

 

「コルル!本が」

 

「うん、ごめんね。キリカ」

 

「そんな、そんな……」

 

 

 絶望にすら見える悲哀の表情を浮かべるキリカ。無表情の奥に隠れていたその姿を見て、俺は言葉に詰まる。

 

 

「《ピルク》!」

 

 

 不意にキリカの本の持ち主(パートナー)が呪文を唱え、コルルの燃えかけた魔本が桜色の光に包まれる。先程俺の赤い魔本でも起きた現象だが、今はそれが何かを聞く気にはなれなかった。

 

 

「元就」

 

「コルルの想いは受け継ぐ。やさしい王様になろう、キリィ」

 

「やさしいおにいちゃん……、ありがとう」

 

 

 コルルは何かを察したようで満足げな笑みを浮かべ、完全に消え去った。

 

 キリカは膝から崩れ落ちピクリとも動かない。元就がそれに寄り添う様に隣に座った。

 

 これ以上は、俺達が見るべきじゃないと思った。

 

 

「ガッシュ、帰ろう」

 

「……ウヌ」

 

 

 元就に連絡先を渡して立ち去る。恐らく彼女等とは今後争う事はもうないだろう。

 

 立ち去る間際、空を見上げるキリカを見た。

 

 彼女は消え去るコルルに対して、一体何を思ったのだろうか────

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コルルの撃破カウントがあ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁあ゛あ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ!! 

 

 

 

 

 

 

 ─────────────────【コルル 敗退(リタイヤ)】撃破者《ガッシュ・ベル》

 




《蓄電》の解釈については諸々とご意見があるかもしれませんが独自解釈という事でご理解下さい。「新たなる力が目覚めて!」もいいですが『今ある手札で切り抜ける』って展開も好きです。


またコルルについて色々と調べた所、原作にある
『戦う意思のない子には別の人格が与えられる』というのはコルルの勘違いで、『狂化』もまたコルルの呪文の本質の1つであると作者である雷句神様が明言されたそうなので描写を省きました。
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