金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート   作:シグアルト

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 今回は意図的に回想において、キリカの存在を描写から消しています。
 本編と関係ないメタ時空のお話ですが、本編の話への配慮によりその様な仕様になっています。




②キリカの招待・コルル編(後編)

 

 

 

「コルルは、やっぱりすごい」

 

「フフ、ありがとう。キリカにそう言われると嬉しいわ」

 

「……そういえば」

 

 

 それまでのんびりとした時間を謳歌していたコルルとキリカ、その本の持ち主(パートナー)達。

 だが、キリカの次の言葉によってその雰囲気は一変する。

 

 

「ゼオンとは、どう?」

 

「え?!」

 

「コルル、やっぱり!?」

 

 

 無表情のキリカ、一瞬で赤面するコルル、そして興味津々と目を輝かすしおり。…元就は【隠密】によりこっそりと厨房へ帰っていった。

 

 

「ゼオンは……その、時々会うだけよ。時々」

 

「…………、そう」

 

「な、何キリカその慈愛に満ちた目は!? あなた、そんな表情出来るんじゃない!!」

 

「コルル、顔真っ赤よ」

 

「しおりねーちゃんもからかわないでよ!」

 

「これが、青春」

 

「いいわねぇ、私も彼氏作ろうかな~」

 

「キリカこそガッシュとどうなのよ!? それとしおりねーちゃんは誰にも渡さないから!」

 

「ガッシュは、ない。多分」

 

 

 一瞬で大混乱となるガッシュカフェ。

 

 王族の専門教育を受け『雷帝』の名を得たゼオン、ガッシュと同じ一般学校に通うコルル。

 

 魔界で決して交わらなかった二人の出会いは、ファウードのコントロールルームだった。

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 ────「ゼオン、ファウードを止めるのだ!」

 

「フン、ムカツク顔め。本の持ち主(パートナー)もいない役立たずが何故ここにいる」

 

「ファウードを止めろ。ゼオン!!」

 

「ゴミとこれ以上話す口はない。とっとと始末しろ」

 

 

 ファウードを止める為、辿りついたガッシュ達と対峙するゼオンと部下の魔物。

 だがガッシュの言葉に一切耳を貸さず、ゼオンは無情の命令を放った。

 

 

(あの子がゼオン……。ガッシュと同じ顔)

 

 

 コルルは初めてゼオンの顔を見た。確かに容姿はガッシュと同じ、だが何かが決定的に違っている。

 一見憎しみを秘めたようにしか見えない表情の奥に、何かひっかかるものを感じたコルルは他の仲間達の様にゼオンを明確な『敵』としてみる事に一瞬の躊躇を覚えた。

 

 

「コルル! 下がるのだ」

 

「そうよ、ここは私に任せて。恵!」

 

「ハイ! 《マ・セシルド》!」

 

 

 そんなコルルの逡巡など関係なしに場は進行する。仲間達がお互いにフォローし、強大な力を持つゼオンの部下達の攻撃に喰らいついていく。

 だが、そんな均衡もすぐに崩されていった。

 

 

「ロデュウ、ジェデュン。全員一気に倒そうとするからゴミ処理が遅れるんだ。1体づつ集中して消せ。まずは……」

 

 

 そう言ったゼオンの瞳は、キャンチョメ────の奥にいたコルルを捉えていた。

 

 

「その奥で震えている回復使いの女だ。ガッシュ以上にムカツク目をしていやがる」

 

 

 ……………………

 ………………………………

 ………………………………………………

 

 

 コルルはゼオンの指示により集中攻撃を受け気絶させられた後、ファウードの柱に拘束された。

 次にコルルが目を覚まし見たのは、瀕死の重傷を負い離脱していた筈の清麿と、ゼオンと最強呪文の撃ちあいによりボロボロになったガッシュの姿だった。

 

 

「コルル、いきなりですまんが《ライフォジオ》を頼む。ティオの《サイフォジオ》でも起きられる程回復していないんだ!」

 

「う、うん。しおりねーちゃん、お願い」

 

「わかったわ、《ライフォジオ》!」

 

 

 回復呪文をガッシュにかけ、それを見届けたコルルはふとゼオンの方へ顔を向ける。

 本の持ち主(パートナー)の心の力が切れたらしく攻撃の気配はない。そしてゼオンの方へ視線を向けるコルルは、ある事に気が付いた。

 

 

「……ゴミが、何故オレを見ている」

 

「ゼオン。あなた…………、ガッシュとの戦いで何があったの?」

 

「!? ……、何?」

 

 

 コルルには確信があった。気絶する前に対峙したゼオンとは明らかに何かが違う。

 動揺、焦燥、迷い。冷徹な仮面の下の表情は、先程までの面影が微塵もない程に荒れ狂っていた。

 

 

「あなたは迷っている。ガッシュと、このまま戦っていいのか」

 

「何だと……? 下らん命乞いでもする気か、貴様のようなゴミを潰す呪文くらいは撃てるんだぞ」

 

 

 ゼオンは手をコルルへ向ける。だが、コルルの目は一切の揺らぎを見せなかった。

 

 

「待て、ゼオン」

 

「……デュフォー?」

 

「そいつの言う通りだ。ゼオン、お前は確実に『何か』が変わろうとしている」

 

「…………何?」

 

「だがそれが何なのか、そこへ行き着いた過程が何なのか。それが俺にはわからん。お前には、それが何かわかるのか?」

 

「うぅん、私も……きっと、ゼオン以外の誰にもわからないんだと思う。でもそれは、きっとガッシュが気付かせてくれるわ」

 

「そうか……」

 

 

 デュフォーが納得したような声でコルルから視線を外す。ゼオンは怒り心頭といった様子でコルルを睨みつける。

 

 

「くだらん、くだらん! だからガッシュが目覚めるまで待てというのか!! 俺に迷い等あるものか! ロデュウ、既に目覚めているだろう。さっさと全員始末しろ!!」

 

「…………フン」

 

「《ギガノ・ラギュウル》!」

 

「何!!?」

 

 

 ファウードの力により復活したロデュウ、だがその攻撃の矛先は────ゼオンへと向けられていた。

 

 

「ロデュウ……貴様……」

 

「ハッ、ザマァねぇなぁゼオン。まるで母親に駄々をこねるガキじゃねぇか」

 

「ロデュウ……さん」

 

「テメェは邪魔だ、下がってろ。……だがあの啖呵は悪くなかったぜ」

 

 

 そう言いゼオンへと叛逆を行うロデュウ。一切の勝ち目のない戦いであったが、その男は終始楽しそうであった。

 

 

 ……………………

 ………………………………

 ………………………………………………

 

 

 目が覚めたガッシュと、ロデュウを倒したゼオンが対峙する。

 ────その目には、先程までの迷いはどこにもなかった。

 

 

「《ジガディラス・ウル・ザケルガ》!」 「《バオウ・ザケルガ》!」

 

 

ZIGAAAAAAAAAAAAAAAAA(ジガアアアアアアアアアアアアアアアアアア)!!】

 

【バオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!】

 

 

 ぶつかり合う2つの力。

 ゼオンの受けた虐待に近い日々で積み重なった憎しみ、己の積み上げた誇りを汚された怒り、そして本の持ち主(パートナー)の強い憎悪がガッシュの呪文を打ち砕こうとする。

 

 だがその力は────その憎悪と悲しみを受け止めた《バオウ》を砕く事は出来なかった。

 それを理解したゼオンは苦笑し、慈しみを浮かべた笑顔を本の持ち主(パートナー)へ向けた。

 

 

「そうだ、デュフォー。これが答えだ。俺達の力のな」

 

 

 最後の力で本の持ち主(パートナー)を守るゼオン。そしてゼオンはそのまま《バオウ》へと飲み込まれる────その直前に

 

 

 

「《ディシル・マ・ライフォドン》!」

 

 ──陽光のような光を、見た気がした。

 

 

 

 ……………………

 

 

(暖かい。

 

 とても愛おしい。

 

 一体、この感覚は……? 

 

 そうだ、覚えがある。オレが王族としての教育を受ける前、もっと幼い頃の記憶)

 

 

 

 その記憶が鮮明になっていくと共に、ゼオンの意識がゆっくりと浮上していった。

 

 

「……ここは」

 

「ゼオン。気が付いた?」

 

「・・・・・・ぁ」

 

 

《バオウ》の電撃を受け傷だらけのゼオン。だが魔本は燃えておらず、深い傷もなかった。

 ゼオンは穏やかな微笑みを浮かべるコルルに膝まくらをされ、傍にはガッシュが涙を浮かべこちらを見ている。

 

 

「ゼオン! ゼオン!!」

 

(ガッシュ……)

 

「……ゼオン」

 

(あぁ……、この感覚はまさに)

 

 

「…………母上」

 

 

 ガッシュの優しさに、コルルの慈しみによりゼオンの憎しみはゆっくりと溶けていった。

 その涙は、ようやく答えを得る事が出来た喜びの涙であった。

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

「でもゼオンってば、少し過保護なのよね。お兄ちゃんだからなのかしら?」

 

「この前も、すごかった」

 

「そうね、私にヘビのおもちゃを投げてきた子に向けて《ジガディラス》を唱え始めた時は驚いちゃったわ」

 

「でも、いつものこと」

 

「うーん、でもおしおき感覚で出す呪文にしては大袈裟すぎないかしら?」

 

 

 何でもない事の様に語る二人であるが《ジガディラス》の雷の力を目の当たりにしたしおりは、引きつった笑みを浮かべるので精一杯であった。

 

 

「でも、コルルのせい」

 

「え、私の?」

 

「そう。“クリア”の時」

 

「!!」

 

 

 その言葉にしおりも笑みを消し顔を伏せる。その時の記憶は、少し苦いものとして残っていた。

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 ────「さて、少し名残惜しいが我がライバルともお別れだな。アシュロン」

 

 

 魔界の消滅を目論む魔物、クリア・ノート。その存在を知る竜族の神童アシュロンにより、アースの本の持ち主(パートナー)の見舞いに来ていたガッシュとコルルはブラゴの救援に駆けつけていた。

 

 だがクリアの力は凄まじく、すでに一番の戦力であるアシュロンは片腕を負傷し満身創痍、ブラゴも当初立ち上がれないほどの重傷を負っており《ライフォジオ》を用いても全快とはいえなかった。

 

 全ての魔物の滅びを宣言するクリア、それを必ず止めると言い切るガッシュ。互いの主張はハッキリと伝わり、そして相容れないものであると互いが認識した。

 

 ……だがその認識を、ただ一人だけが納得出来ないでいた。

 

 

「クリア、って言ったわよね。あなたはどうして魔物を滅ぼそうとするの?」

 

「どうして? 理由かい、そんなものはないさ。僕は魔物を滅ぼす為に生まれてきたからさ」

 

「それはガッシュが聞いたわ。そこにあなたの『心』はないの?」

 

「『心』? 不思議な言い回しをするね。破壊は僕の『本能』だよ。それが僕の『意思』であり『心』さ」

 

「それは違うわ。『心』は自分が誰かの為に何かをしたいと思えるもの。例え『本能』が破壊を求めていたとしても、それに従うか抗うかを決めるのはあなたの『心』であり、何か大切なものの為に『本能』に立ち向かえるのが『意思』なのよ」

 

 

 コルルはクリアの事をどこか他人事とは思えなかった。

『本能』により破壊を強制された存在。だがその『本能』を『意思』の力で乗り越えたコルルは本能に従っているだけのクリアを止めたいと願った。

 

 

「………………すごい」

 

「え?」

 

「凄いね、君! 確かにそれは1つの答えだ!」

 

 

 驚いた顔をしてコルルを見つめるクリア。すると彼は興奮を抑えきれない様子で饒舌に語りだす。

 

 

「僕だって情報としては知っている。人を愛する、物を大切にする、それらを慈しむ事で幸福を感じる。だけど逆に殺したり、壊したり、踏み躙ったりして喜びを感じる者達もいる。彼等に共通するのは『心』なんだ。

 僕は不思議だったんだ。僕は何かを慈しむ事にも、破壊する事にも何も感じない。欲望でも破壊衝動でもないこれは何なのかってね」

 

「そうだ、僕には────」

 

 

 そして、クリアが無造作に手を前に出し……

 

 

 

 

 

 

 

「『心』がなかったんだ」

 

 

「コルル!」  「コルル!!」 「《ディシル・・」

 

「《ラージア・ラディス》!」

 

 

 コルルの周囲を、巨大な《消滅波》が襲った。

 周囲の地形ごとコルルを呑み込んだ消滅波、するとしおりの持つ魔本から急に火の手があがり燃えてなくなった。

 

 

「……ぇ、どうして? 火なんてどこにもなかったのに」

 

「コルル、コルル!! どこにいるのだ!」

 

 

 呆然とするしおり、コルルを探そうとするガッシュ。事態を説明しようとアシュロンが口を開きかけた時────

 

 

「魔本は“魔物が死に瀕した怪我を負った時”や、“死んだ時”にも消滅する」

 

「……ゼオン」

 

 

 転移により現れ全てを察したゼオンが、静かに答えを示した。その言葉を聞き、崩れ落ちるしおり。

 

 

「死? ……そんな」

 

「彼女の本の持ち主(パートナー)、悲しむ事はないさ。これはお礼だよ、僕の長年の疑問の答えの1つを見せてくれた、ね」

 

「答え……だと?」

 

「あぁ、どの道全ての魔物は消滅するんだ。早く消してあげた方が苦しみや悲しみも少なく済むだろう?」

 

 

「黙れぇぇ!!!」

 

「《ソルド・ザケルガ》!」

 

 

 爆発した怒りのままクリアに突撃するゼオン。デュフォーは清麿達の下へ合流する。

 

 

「デュフォー、何故ここが? ……って聞くだけ野暮だな」

 

「その通りだ。『答えを出す者(アンサー・トーカー)』の力でクリアの居場所を探した。とはいえ、奴の存在に気付いたのは最近だがな」

 

 

場を乱す気はないのか、面識のないアシュロン達にもわかる様に話をするデュフォー。

彼のささやかな変化に、清麿だけは気付く。

 

 

「ゼオンか。ファウードの件でヤツは消滅したと思っていたが、まだ生き残っていたとはな」

 

「あれがダンナの言っていた雷帝ですかい。仲間になってくれるとは運が向いてきやしたね」

 

「あぁ、ガッシュ。ブラゴ。今がクリアを倒す絶好の好機だ」

 

 

 ……………………

 ………………………………

 

 

「ハハッ、さすがは《雷のベル》だ。完全体でない今の僕だと本気を出さないといけないな!」

 

「貴様だけは、絶対に許さん!!」

 

「憎しみ、悲しみ、怒り。そんなものに振り回されていては力が曇ったままだよ」

 

「クソッタレがああああああああああ!!」

 

 

「《ジガディラス・ウル・ザケルガ》!」

 

 

 クリアと距離を取り、ゼオンの持ちうる最大呪文を唱える。ファウードの一件の後、デュフォーの指導の下特訓を行った事により、更なる力を得た《ジガディラス》の雷がクリアを襲う。

 

 

「《バオウ》ではないが中々の力を感じるな。これは僕も奥の手が必要みたいだ」

 

「《シン・クリア・セウノウス》!」

 

 

 神々しささえ感じるクリアの最強呪文。神の彫刻を模したかのような消滅の力はジガディラスの雷を押し返していく。

 

 

(クッ、何てザマだ。俺の力は所詮、この程度なのか!!)

 

 

 自身への怒りを煮えたぎらせるゼオン、だがジガディラスはクリアの術に呑み込まれ消え去りゼオンへとその勢いのまま向かっていく。

 

 以前のファウードでの最終決戦と同じ様な状況、だがあの時とはまるで違う。あの暖かな光で守ってくれたコルルはもう……

 

 

《「ゼオン!」》

 

「……え?」

 

 

 

【バオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】

 

 

《何か》に気付いたゼオンを庇うようにクリアの術に襲い掛かるガッシュの《バオウ・ザケルガ》。ジガディラスとの撃ち合いにより威力を減衰させたクリアの呪文ではあったが、バオウと対消滅するだけに終わり辺りに砂煙が舞い視界が遮られる。

 

 

「今のが《ベルのバオウ》か。でかく、凶悪な力だな。でもこれで……」

 

「《シン・フェイウルク》!!」

 

「何!?」

 

 

 砂煙の中を掻き分け、音速を超える速度で巨大な竜の姿で突進してくるアシュロンに、クリアは完全に不意を突かれた形になった。

 

 

「《ラージア・ラディス》!」

 

「《シン》の呪文はその程度では消えんわぁ!!!」

 

「……ガハッ!!?」

 

 

 多少速度が減衰したが、なおも高速でクリアへとぶつかったアシュロンの角によりクリアは貫かれ、体中が血に染まっていく。

 

 

「グッ……はな、れろ!」

 

「《ラディス》! 《リア・ウルク》!」

 

 

 牽制の呪文を放ち、その隙にアシュロンの角から抜け出し距離を取るクリア。

 あまりに体力を消費した、そう判断し一旦離脱を図ろうとする。だが……

 

 

「《ニューボルツ・マ・グラビレイ》!!」

 

「何!!? この呪文は……ブラゴか!」

 

「お前は逃がさん。ここで潰させてもらう」

 

 

 強力な重力で敵を押し潰す呪文ではあるが、クリア相手では少しの時間動きを封じる程度だ。だがこの場面においては、それが絶対的な効力を発揮する。

 

 

「よし、アシュロン! トドメだ!!」

 

 

 清麿が合図を出す。これでクリアを倒せる手筈となっていた、だが────

 

 

「ダメだ、清麿。それでは後一手が足りない」

 

 

 それをデュフォーの宣告が遮った。どういう事か清麿が聞き返そうとすると……

 

 

「グゥゥゥ……オオオォォォオオ」

 

 

 クリアの下へと行こうとしたアシュロンが倒れ付す。自分自身すら気付かない体力の限界であった。

 それに気付いたクリアが笑みを浮かべる。

 

 

「クッ、ハハッ。惜しかったね、アシュロン。最後の最後で僕の勝ちが決まったようだ」

 

「ダンナ、アシュロンのダンナ!!」

 

「くっ、くそおおおおおおおおおおおおおお!」

 

「ヌ、ヌアアアアアアアアァ!!」

 

 

 後一歩だったのに、そう各々が考える中。全員の耳に再び声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「お前等全員、頭が悪いな」

 

 

 クリアの下へ歩み寄るデュフォー、その脇には俯いたままのゼオンがいた。

 ガッシュはゼオンを心配そうな目で見る、先程まであれ程狼狽していたのだ。大丈夫なのだろうかと。

 

 だがその心配は顔を上げた彼を見た瞬間、杞憂だった事を悟った。

 

 

 

「行くぞ。デュフォー…………コルル」

 

「あぁ」

 

《「うん」》

 

 

 デュフォーの本が光り輝いている。いつもの銀色だけではない、あのピンク色の光は────

 

 

「全く、魔界に帰った後もこうして心配されるとはな」

 

《「しょうがないじゃない。ゼオンったら、見てられなかったんだもの」》

 

「フン。だが………………無事ならそれでいい」

 

《「うん!」》

 

 

 穏やかな笑みを浮かべるゼオン。ガッシュ達には見えないが、きっと傍には彼女がいるのだろう。二人の絆が起こした魔本のちょっとした奇跡。

 それにより『力』だけでは手に入らなかった新たな領域へ、ゼオンの『心』が到達する。

 

 

「行くぞ、デュフォー。これで終わらせる」

 

「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《ジガディラス・シン・ザケルガ》!」

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 ────「うぅ、あの時は心配させて悪かったわ。しおりねーちゃんもごめんなさい」

 

「いいのよ、コルルが生きていてくれたなら。それに信じてたから」

 

「それに、しおり。あの時、呪文唱えてた」

 

「そうなの。そのお陰で私死ぬ前に魔界に帰る事が出来たの。ありがとう、おねーちゃん!」

 

「ありがとう、しおり」

 

「ウフフ、どういたしまして。じゃあ、お礼に魔界での生活をもっと聞かせてくれないかしら? 特にゼオン君関係の辺りを」

 

「えっ?! しおりねーちゃん!?」

 

 

「悪い顔になってるぞ、しおり」

 

「あら、元就君。ガールズトークを盗み聞きはよくないんじゃないかしら?」

 

「そんな大声で騒げば嫌でも聞こえてくるさ」

 

「じゃあ、この前のガッシュが半裸で空を飛んだ話から」

 

「ちょっと待ってキリカ! 何の話を始めようとしているの!?」

 

 

 

《今日も平和な ガッシュカフェ

 コルルとしおりの意外な一面が明らかになりましたね》

 

 

《さて 次回のお客様がいらっしゃるかは

 招待者である キリカ・イル次第といったところでしょうか》

 

 




【オリジナル呪文】

《ディシル・マ・ライフォドン》


他者の命を守る補助呪文。
対象の周囲をバリアで包み込み内部の存在の受けるダメージを軽減する。
魔本に対しても効果があり、若干燃えにくくなる。

おまけパートはどうだった?

  • 面白かった、他のも見たい
  • さっさと本編進めなさいよ、このクズ!
  • 完結後なら見たいと思う
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