金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート 作:シグアルト
今後、投稿速度が多少遅くなりますがご了承下さい。それでも一週間に一本は書き上げたい所です。
────朝が来た。もうあの嫌な夢を見る事はなかった。
キリカから新呪文を受けた私は、それから毎晩その時の事を夢に見る様になっていたのだ。
そのせいで清麿や元就殿が話しかけても上の空、まともに話をする事が出来なかった。
公園で落ち込んでいた私が珍しかったのか、いじわるなナオミちゃんも私が悪夢にうなされている話をしっかりと聞いてくれた……「元気出さないからそんな夢見るのよ」とその後追い掛け回される事になったが
しかし数日が経ち『エシュロス』と呼ばれる魔物がキリカと戦っているという話を聞いて私は立ち直った。落ち込んでいる場合ではない、キリカを守らねばという気持ちが清麿と以前かわした『約束』を思い出したのだ。
「ガッシュ、俺は今日学校を休む。話を聞かせてくれないか?」
起きた私の様子を見た清麿が問いかけてくる。
私は清麿に全て話そうと思う。
『友達』を救う為に、あの時私が見た光景を……
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皆さん、おはようございまーす! 大人気魔物キリィちゃんです。
前回は下級呪文を7つも持つ強力(当社基準)な魔物、エシュロスを撃退しました。そしてその呪文もバッチリ『
私に抜かりはない。ドヤァ! (ウザい顔)
ちなみに今回は箸休め回です。次にやってくる魔物はおなじみのアヒル君、彼の魔本を燃やす訳にはいかないので原作ルートに進むガッシュ君の邪魔をしないように今後有利になる立ち回りを心がけましょう。
「キリカちゃん、そっちのダンボール持ってきてくれる?」
「うん、わかった」
「ありがとね、スズメが助っ人っていうから警戒しちゃったけど大助かりよ」
「あっ、マリ子ちゃんひどーい」
そんな訳で暇を持て余したキリィちゃんは学校にやってきています。以前の林間学校で上げきる事が出来なかったスズメ達の好感度稼ぎですね。
所属する合唱部のお手伝いを行う事で、彼女の幼馴染である「仲村 マリ子」ちゃんとも知りあいになり好感度が2倍稼げます。非常にうま味ですね。
「そういえばスズメ、今日高嶺君休みだからプリント持ってくよう言われてたんじゃないの?」
「うん、でもキリカちゃんが届けてくれるから私は最後まで手伝えるよ」
「キリカちゃんが? ……いいの~? 高嶺君に会いにいかなくて」
そうです、今日は清麿がお休みなのです。ついでにガッシュもいません、当然ですが。
清麿は軽い風邪を引いたため学校を休み、そこを敵の魔物に襲われるんですね。思い通り原作準拠で進んでいてニヤニヤが止まりませんなぁ。エシュロスの戦いの時点でこじれたかと思ってましたが心配しすぎのようだったZE☆
「私は毎日学校で高嶺君と会えるから。ここはキリカちゃんに譲ってあげないとね、フフ♡」
「ん? 何々スズメ、キリカちゃんがさっきから嬉しそうだけど……もしかして」
「マリ子ちゃんも気付いちゃった? そう、ガッシュ君の
「へぇ~、スズメがキューピッド役とはね。人って成長するものねぇ」
「だからマリ子ちゃんひどーい!」
ん? 何でキリィちゃんから離れて話をしてるんだろうあの二人。まぁ合唱部の内密な話でしょう、気にせんとこ。
余談ですが、この清麿へのお見舞いはとある魔物のフラグになります。これをスルーすると次のイベント開始がスズメの風邪発症後になるので、チャート短縮の為にボキッと折っておきましょうね~。
ついでにさっきからキリィちゃんの『魔力感知』にビンビン引っかかってる魔物がいますが、今は気付かないフリをしましょう。無視です無視。
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合唱部のお手伝いも一段落し『清麿へのお見舞い』の為にマリ子ちゃん達とお別れします。
何かすごいいい笑顔で見送ってくれましたが好感度稼ぎが上手くいったんでしょう、多分。
このままお見舞いに行っても良いのですが、チャート短縮作業はもう一工程あります。鼻の長いイケメンロールをする清麿を見たい衝動をグッと堪え、少し待ってから『魔力感知』を行いましょう。
……さっき見逃した魔物が別の魔物と戦っていますね。魔力反応が弱いですし、相手はきっと原作に出ないモブ魔物ですね。
モブ魔物は撃破ポイントに入りませんが、今のキリィちゃんなら素手で倒せるレベル。せめて経験値のダシにでもさせてもらいましょう! イクゾーデッデッデデデン(謎SE)
…………(少女移動中)
モチノキ埠頭に到着です。
動きがないので戦闘は決着したようです、魔本を燃やされる前に割り込みましょう!
待て待て待て~~~ぃ!
「も、もう止めようよ。ヤキュルトあげるから許してよ」
「私のCDと写真集もオマケするぞ! だから見逃してよ~」
…………は?
何やってんの、あの子達!? なんで清麿の所へ行かないで、こんな所で土下座してるの!?
「プププププ……『リュック』見てよアイツ等。歯をガタガタ震わせて怯えてるよ」
「そう言うな『ロブノス』。我々の半分の力に手も足も出ないんだ。弱すぎて同情すらしてしまうよ」
相手は先程キリィちゃんを見張っていたアンドロイドのような魔物『ロブノス』。この段階で戦う相手としてはスペックが高く知略にも長けた強敵ですね。キャンチョメ君にはあまりにも荷が勝ちすぎています。
伝説の超サイヤ人の力を目の当たりにした野菜王子みたいな事になっても仕方ありません。とにかく助けましょうかね~
2組の間に立ち、両手を広げてキャンチョメをかばいます。ここは
「ん、新手かな? ……何だ、さっきの奴か。リュック、
「いいのか、ロブノス。今なら黄色い魔本を燃やす事も出来るが」
「構わないよ。大した相手じゃなかったし……十分楽しませて貰ったからさ、ププププ」
知ってたよ、この天然ドSロイドが。
ロブノスは魔界の王を決める戦いよりも自身の加虐趣味を満たす事に重点を置く魔物です。キャンチョメとフォルゴレの無様な命乞いを見て満足したのか、上機嫌に去っていきました。
ですがここで気を抜いてはいけません。(2敗)去っていったロブノスはキリィちゃんより小さかったので。
「キ……キリカ……」
「キリカ、ありがとう。まぁ“鉄のフォルゴレ”様にかかればあんな奴等どうって事ないが、助かったのは事実だ」
フォルゴレは先程の土下座スタイルから一点、いつもの調子に1秒で立ち直りました。服がボロボロでほぼ上半身裸の格好なのに、この変わり身の早さだからね。尊敬するわ、ホント。
逆にキャンチョメは少し引きずってるっぽいですね。気にすんな、そのうち強くなるから(事実)
「キリカ……、でも僕は弱虫で、勇気を出してみたけど結局キリカに助けられて」
どうやらキリィちゃんとの『友情』の効果で、キャンチョメが少し積極的になった故の行動ですね。
だからと言って、ゲーセンで初心者狩り相手に連コインするような真似をしても強くはなれないんだよなぁ。
ひとまずキャンチョメには無理に背伸びしない事、身の丈にあった戦いをする事を教えます。だからモチノキ町にいる同じ落ちこぼれの所に早くいくんだよ。(力技)
「う、うん。わかったよ。これからガッシュの所に行くけど、その後にキリカの家へ遊びに行ってもいいかい?」
おい止めろ、何か変なフラグが立ちそうになるだろ。まぁガッシュ相手じゃそんなもの立ちませんけどね。
キリィちゃんの家、っていうかほもくんの家ですが気にせず了承。ほもくんには事後承諾を得れば問題ありません。ついでに清麿へ届けるプリントをフォルゴレに渡し、清麿への配達をお願いします。
これで約束を守った事になりスズメやマリ子ちゃんの好感度減少も防げるんですね。
という訳で少し元気を取り戻したキャンチョメと別れ、キリィちゃんは一人残ります。
オラはよしろよ。獲物が絶好の隙を見せてるんだぞ。
「ププププ、我がいなくなったと安心したね。一人残ってくれるとは好都合だよ」
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────暗い、部屋が見える。
誰もいない部屋。天窓から差し込む月の光がその部屋の貧しさを現していた。
その部屋の片隅で膝を抱えうずくまる人物。あれは……私? それとも……
「■■■■、何をやってんだ!! グズグズしてないで起きて用意しな!」
突然、身体に衝撃が伝わる。どうやら殴られたようだ。自分を怒鳴る人物の声が聞こえる。
男なのか、女なのか。それすらもわからない真っ黒に塗り潰された人物から罵声を受け、【私】は掃除・洗濯・炊事をこなしていった。
「ごめんなさい……」
「フン! いつもみじめな顔しやがって」
いつもの日常が始まり学校へと向かう
……そうか、これが【私】の“日常”だというのか
「本当の家族? 何を言い出すんだ一体」
ある日、辛い日々に耐えかね家族について聞き出す【私】
目の前にいる人は家族なんかじゃない、間違いなくそう確信していた【私】は襲ってくる身体の痛みにも負けずに聞き続ける
「お前に家族なんか誰もいやしないよ」
そして痺れを切らし溢された言葉、その言葉に【私】は絶望した。
それからは全てに色がなくなった。
学校にいても、公園にいても、家で奴隷の様にこきつかわれていても……
……【私】から感情は抜け落ち【無】となっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「……それが私が、キリカの新呪文を受けて見た光景だったのだ」
清麿に全て伝え終え息を吐く。口の中が渇ききっており、まるで何日も喋り続けたような気になってしまう。
清麿は「そうか……」と言った後、腕を顎の前で組み俯いたまま考え事をしている。頭の中で整理しているのだろう、私も今の光景を整理するのに数日を要してしまった。
「ガッシュ。お前は覚えてないかもしれないが、キリカは新呪文《ミリアボル・ピルク》をかけた後呪文の効果をこう言っていた。【相手にトラウマの記憶を見せる事が出来る】と」
「記憶……だが私は」
「そうだ、ガッシュ。お前には記憶がない。だから可能性は2つある。1つはガッシュ自身覚えていない心に残っていたトラウマが表れたもの。そしてもう1つは……」
「
「……その通りだ」
そこで会話は止まり無言の時間が続く。清麿もわかっているのだ、どちらが正解なのかを。あの救いのない時間を経験したのは一体誰なのかを……。
「私は……」
「ガッシュ」
「私は……“やさしい王様”になるのだ」
今一度、コルルとかわした約束を口に出す。あのような思いを二度と味わわせてはならぬ、私はキリカの『友達』なのだから。
────だけど足りない
「家族なんていない」と幻覚で言われた時、私が感じた絶望。あれがキリカの感じた絶望なのだとしたら、まだ私に出来る事はないだろうかと思ってしまう。キリカに家族がいない等と二度と言わせないように。
「清麿、1つ考えたのだが」
「ん? 何だ」
「キリカに家族がいないというのならば、私が『家族』になる事は出来ぬのかのぅ?」
「なっ!?」
「清麿、キリカと家族になるにはどうしたらよいか作戦はないかのう?」
ウヌゥ、清麿が真っ赤になって固まってしまった。やはり難しい事なのであろうか……いや、諦めてはならぬ。他の者にも機会があったら聞いてみる事にしよう。
ピンポーン
◇◆◇◆◇◆◇◆
「で、何しに来たんだ?」
「ガッシュと戦いに来たんだよ。ミラノから」
「そうか、フォルゴレと言ったな。お前も同じ理由だと思って構わないんだな」
「ハイ、ソノトオリデス……」
私と清麿に用があるといい部屋にあがった2人。フォルゴレ殿と魔物のキャンチョメ。
部屋に入るとすぐに踊りと歌をはじめ、清麿に黒コゲにされたフォルゴレ殿は正座し素直に答えている。
「しかし何で俺達なんだ? 魔物の子なら他にもいるのに日本までわざわざ……」
「『自分の身の丈にあった範囲で出来る事を探すべきだ』ってキリカがアドバイスをくれたんだ。だから同じ落ちこぼれのガッシュなら……!」
「ちょっと待て。キリカだって!? キャンチョメ、お前キリカの知り合いなのか?」
「ハッハッハ。あの可愛いらしい
「《ザケル》!」
「ギャァアアアアアアアア!! な、なんで……」
「悪い、勝ち誇った顔が無性にイラッとしたんだ」
「何やってんだよ清麿。無敵の戦士フォルゴレじゃなかったら大惨事だぜ? 鉄のフォルゴ~レ~♪」
「「無敵~フォルゴ~~レェ~♪」」
キャンチョメの歌うリズムに合わせ、倒れていたフォルゴレ殿がすぐさま立ち上がる。先程から何度も見た光景だが、やはり『むてき』というのはすごいのぅ。
「わかった。戦う前に少し話をしないか? 俺とガッシュもキリカの友達で、彼女の事を気にかけているんだ」
「えっ、ガッシュが? 魔界じゃキリカと話をしてる所を見た事ないけど」
「ウヌ、私とキリカは人間界に来てから友達になったのだ」
お互いキリカの友達だとわかった途端、皆の緊張がほどけたようだった。私も今は王を決める戦い以上にキリカの事が気になってしまうのでありがたい事なのだ。
まずキャンチョメからキリカの話を聞いた。
残念ながらキャンチョメは魔界にいた頃は話をしていなかったようで、ほとんどが王を決める戦いが始まってからの事だった。しかしキャンチョメは、その話をとても嬉しそうに話す。キャンチョメもキリカの事が大好きのようで嬉しい。キリカには、他にもこんな良い友達がいたのだな。
「……とまぁこんな所さ、キリカはとってもいいヤツなんだぜ」
「そうか、わかった。ありがとう、キャンチョメ」
「……清麿、何か彼女にあったのか? 表情が良くないぞ」
「……あぁ、悪い。
「今の?」
清麿の雰囲気が変わったのを察したのかフォルゴレ殿が先程までの楽しげな顔を止め、真剣な顔で清麿を見る。
「あぁ、キャンチョメ。もう一度確認させてくれ、魔界にいた頃のキリカがどんな生活をしていたか知らないのか?」
「う、うん。親元を離れて暮らしているらしい事は聞いた事があるけど」
「そうか……」
そして清麿は話し出した。
キリカの出会いの戦闘の件、ブラゴとの話し合いの件、そして私の受けた呪文で何があったのかを。話を進めるほどにキャンチョメの顔がどんどん青ざめていく。
「……つまりキリカは自分から親元を離れたんじゃない。家族から捨てられ暴力を受けながら奴隷のような生活をしていたんだ」
「そんな……そんな事、あるわけ」
「残念ながら事実だ。ブラゴから言われわかっていた気だったが、正直かなりキツい」
「……そうか。清麿、その話は彼女にはしたのか?」
「い、いや……していないが」
「なら今後もしない方がいい。一度刷り込まれた記憶や感情は消える事はない。今は持ち直してるとはいえ、今後何かがきっかけで爆発しかねないからな」
全て聴き終えたキャンチョメの顔は真っ白になっていた。
フォルゴレ殿もそれまでの態度が嘘の様に刺々しく鋭い雰囲気へと変わっている。
「キャンチョメ、お主も私と一緒にキリカの力になってくれぬか?」
がっくりと項垂れているキャンチョメに向け、私が言えるのはそれだけだった。
コルルと約束した“やさしい王様”────それはきっと、キリカの様なものを救う事が出来る人物の事なのだ。
そしてキャンチョメなら、キリカの事を思って落ち込む事の出来るこの者なら私と一緒の“やさしい王様”になれる筈だ。
「ガッシュ……わ、わかってるよ。僕は約束したんだ。いつかキリカを僕が守ってあげるんだ!」
その言葉に私は嬉しくなり、キャンチョメと握手をする。
清麿もフォルゴレ殿も、私達を微笑みながらその様子を見ていた。
ピンポーン
「ん、またか? もしかしてキリカが来たのかな」
「ウヌ、ならば私が見てくるのだ」
先程と同じく1階におりて玄関の扉を開ける。
だがそこには誰もおらず、目の前には私より一回りほど大きい氷柱が置いてあるだけだった。
しかしこの氷柱、あの者に似ている気がするが……
「どうしたんだよ、ガッシュ……ん?この氷柱、キリカだよね?」
「ウヌゥ、キャンチョメもそう思うかのう。しかし何故……ん?」
その氷柱には木のプレートが紐で繋いで首からさげるようにかけられてあった。
私とキャンチョメはそのプレートに書いてある文字を読む。
“
ガッシュと
モチノキ
キリィちゃんの過去は悲惨だなぁ(すっとぼけ)
氷柱のオブジェはとある