金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート 作:シグアルト
皆様、おはようございまーす!
美人アイドルとのツーショットにより、皆様の目が保養になるのを通り越しダメージへと変えつつある大人気魔物キリィちゃんです。
いやー、どうしてこうなってしまったんでしょうね。これまでキリィちゃんは原作ルートまっしぐらで進んでいたのに、コンサート前の恵と休憩室でお茶しているという謎展開を進んでおります。……勇太君の時に反省して《気配遮断》は切らずにいたのになにゆえ? 今も時々《気配遮断》を使ってますが変化無し、全く効いてないですね。
「まずは自己紹介ね。私『大海 恵』。入り口を見て貰えば判ると思うけどアイドルをやっているの」
「私はティオの
「あなたの事は以前、ティオが話してくれたの。不思議な雰囲気を持った子だって」
「だからあなたを見た時に、キリカちゃんだってわかって声をかけてみたの」
ちょっと待って! ステイステーイ!!
こっちは考察の最中なんだからどんどん話進めないで頂きたい!
一旦ポーズをかけてじっくり考えたい所ですが、折角目の前に
とはいえ、いくら美人二人の会合といってもただ日常会話をやりとりするだけ、という変わり映えがない状況を見せ続ける訳にはいきません。よろず屋の入り口を30分映し続けても間を持たせる事が出来るベテラン声優さん達のコミュ力&話術をキリィちゃんに求めるのは酷というものです。
というわけで……み な さ ま の 為 に ぃ ~ 発想を逆転させましょう!
恵さんへの聞き取りを淡々と行うキリィちゃんですが二人に盛り上げてもらうのではなく、その内容に走者が演出を加え、わかりやすくお伝えしたいと思います。
と言う訳で、恵さんや。今の会話もう一回最初からお願いします。
「ごめんなさい、話が早すぎたわね。もう一度言うわ」
~~尋問開始~~ ガキィン(重厚なSE)
[まずは自己紹介ね。私『大海 恵』。入り口を見て貰えば判ると思うけどアイドルをやっているの]ポポポポ
【待った!】
入り口というと「ライブコンサート」ですね、確か出演するのはアイドルの……『大海 恵』。
「えぇ。この会場に入るにはライブチケットが必要だから、あなたも持ってる筈よ」
ライブのチケットですか。
ここはメニューを開いて[所持品記録]を見てみましょう。ポチッとな。
【桜色の魔本】
これがないと、誰もわたしを魔物だとみとめてくれない。今は元就が所持。
【コンサートのチケット】
本日行われるライブのチケット。出演者は現役学生アイドルである『大海 恵』。
まぁ再確認は大事です、大事。さっさと次行きましょ
[私はティオの
【待った!】
本当に? 本当に戦わないの? 急に襲ってきたりしない? (疑心暗鬼)
「えぇ、実は私ティオの他には襲ってくる魔物しか会わなくて。こうして話をしたいと思っていたの。ティオは他の魔物は全て敵だって怯えてしまってるけど、私にはそうは思えなくて」
ふむ、一見おかしな所はないように思えます。
でもちょっと気になりますね、もうちょっと揺さぶって見ましょうか。
怯えてるってどういう事でおま? (ジャージ服の聖徳太子風)
「えぇ、私と会う前から他の魔物に追われてて……身体の方はもう大丈夫なんだけど、心の方がね」
むむっ、これは原作との相違点を見つけたかもしれませんよ。
原作でも友達のマルスに一方的に襲われ傷ついたティオですが、ガッシュと出会う頃には表面的には元気になります。あくまで強がりですが、恵にここまで心配される事はありませんでした。
コレは重要な証言です。一応、心に留めて置く事にしましょう。
《[恵の証言]のデータを所持品記録にファイルした》
【恵の証言】
ティオは今、心に傷を負っており他の魔物すべてに対して怯えている
よしよし、情報収集は順調ですね。どんどんいきましょう。
[あなたの事は以前、ティオが話してくれたの。不思議な雰囲気を持った子だって]ポポポポポ
【待った!】
ティオがキリィちゃんの事を? 面識があったんですかね。魔界での交友関係はキャンチョメを『友情』のスキルで取得しましたが、他にはありません。
『友達以下知り合い以上』という関係の可能性もありますが、キリィちゃんは
あー、でもコルルがキリィちゃんと面識あったみたいなので、その友達のティオも知ったのかもしれませんね。
もう少し詳しく聞きたい所です。特にティオがキリィちゃんの事をどう思ってるのか私、気になります。
[所持品記録]から【恵の証言】を選び、つきつけたいと思います。
【喰らえ!】
バーン! (机を両手で叩く音) ←脳内演出
先程あなたはこう言いました! 「ティオは怯えている」と。そんな彼女が話したというなら、キリィちゃんに対しティオは何かしら思う所があった筈です。それを話して頂きたい!!
「わかったわ。その時の事を詳しく話せばいいのね」
おっ、
[ティオが話したのは雰囲気と、考えが読めない理解の難しい子という事だけ。暗い顔で考え事をしてた時の事だから、つい口から出ただけだと思うの]ポポポポポポポポ
【待った!】
ティオが語ったのは『雰囲気と内面についてだけ』。間違いありませんね!!
「えぇ、そうよ。ティオが話したのはガッシュ君とあなたの事くらいだから間違いないわ」
《[恵の証言2]のデータを所持品記録にファイルした》
【恵の証言2】
ティオが話したキリカの情報は、『雰囲気とその内面が読めない』ということのみ
[だからあなたを見た時に、キリカちゃんだってわかって声をかけてみたの]ポポポポポ
ピローン! (おなじみのSE)
……見つけましたよ。決定的な《ムジュン》を!!
この事実が何を指すのかはわかりませんが、原作チャートから離れてしまった原因は恐らくここにあるのでしょう。
では、皆さんもコメントの準備がよろしいですね? いきますよ~
せーの────
【異議あり!】
今、話した内容はこの記録品と明かにムジュンしています!
そう、この[恵の証言2]の内容とね!
(人差し指を恵につきつけつつ) ←脳内演出
あなたはティオから【雰囲気と内面】に関してしか話を聞いていない。何故【外見】を知らないあなたが、キリィちゃんを見つけられたというんですか!!
──────────────────────────────────
────「どういう、事?」
私、大海 恵は今……、小学生の女の子に詰め寄られています。
ティオから聞いた魔物の子、キリカちゃん。塞ぎこんでいるティオの力になれないかと、彼女と偶然出会った私はステージ脇の休憩室で話をする事にした。
いや、偶然なんかじゃない。この子はティオの事を知り、会いに来てくれた。ティオの事が気になって仕方がないという《内面》を感じ取った私は、可能な限りの情報を彼女に話した。
口数が少なく言葉自体は素朴で質素。でもその実態は、まるで警察や裁判所の尋問のように苛烈なものだった。
ティオを心配するキリカちゃんの事を嬉しく思いつつも、話をして数分で私の《秘密》に辿り着いた彼女の聡明さには感心するしかない。
(やっぱり話さないと、ダメよね……)
話題はなぜ私がキリカちゃんをキリカちゃんだ、と判別できたのかという話題に移っている。
それを答える為には、私の《秘密》を話さなければいけないがどうしても逡巡してしまう。
《「恵、悪いんだけどさ。少し私と距離を置いてくれない?」》
《「見ないでよ、恵!! アンタに私の事を見られたくない!」》
《「ねーねー恵。ちょっと位いいでしょ? アンタいつも見てるんだし」》
アイドルになる前、他人との距離を図るのが上手でなかった頃の過ちをどうしても思い出してしまう。
……でも、私まで閉じ篭っていたらいけない。それじゃあティオも私も、何も変わらないから
「キリカちゃん。……実はね」
「ハハッ、やっと見つけたよ! ティオの
突然、廊下の奥から聞こえてきた声。今まで何度も聞いてきた『敵』の声だ。
「……『マルス』」
「光栄だね、日本で有名なアイドルに名前を覚えて貰えるなんてさ」
カールさせた金髪の魔物、マルスは心にも思ってない言葉を飄々と吐く。その《内面》は苛立ちと煩わしさ、そしてこれから弱者を甚振れるという歪んだ喜びだった。
「ティオは裏口を見張ってるみたいだけどさ。“招待”を受けたんだから正面から入るのが礼儀って奴だよね」
そう言うと、彼の
ティオと出会ってからずっと追い掛け回していた彼等が律儀にチケットを取った筈がない。会場に向かっていた『私のファン』から奪い取った事は明白だった。普段は温厚だと自覚している私も、少なくない怒りを持つ。
「あんた達……、本当に最低な奴ね!!」
「何とでも言うがいいさ、こっちも散々逃げ回られてイライラしてるんだよ!」
「《ガロン》!!!」
敵が呪文を唱えると、マルスの手から何重にも連なるヌンチャク状の棘がついた角型の棍棒が飛び出し私へと襲い掛かってくる。
それを私は
「相変らず見事な身のこなしだ。ステージ衣装のドレスを身に纏っていても変わらないな」
「それはどうも。生憎もうすぐ本番なの、汚す訳にはいかないわ」
「ならとっておきの飾り付けをしてやるよ、お前の血化粧でな!!」
「《ガンズ・ガロン》!!!」
マルスの両手から鉄球が多数発射され、私に襲い掛かってくる。
だけど私の目は決してマルスから離さない。彼をしっかりと見据え、その攻撃の軌道
「……うっ!」
だけど私の身体能力では読みきっても全てをかわす事は出来ない、鉄球の1つが私の足にあたり溜まらず膝をつく。
「長かった鬼ごっこももう終わりだなぁ!! お前さえいなきゃ、ここまで手間取らずに済んだんだぜ!」
「《ガロン》!」
棍棒が私に向かって伸びてくる。足を負傷し動けない私には避ける術がない。
ごめんね、ティオ。私はここで────
「《ピルク・ビレオルード》!」
「……邪魔」
澄んだ声が響き、棍棒は彼女が生み出した光のリングに弾かれる。
────そうだ。彼女がいた。何故、私もマルスも気付かなかったんだろう。
いや、マルスは最初から気付いていないようだった。そして私も、彼女に向けた意識を逸らした途端存在が希薄になり気に留める事が出来なくなった。
……もしかして、彼女も私と同じように
「ティオも、恵も。守る」
「あぁ、キリィの願いを邪魔する奴にはご退場願おうか」
「キリカちゃん。
「……それが、答え?」
「えぇ、私は《相手の内面を感知出来る眼》を持っているの」
──────────────────────────────────
────「ちょっと見てくるわね。大丈夫よティオ、ここにいて」
そう言って恵はいなくなった。
いや、違う。恵はいなくなってなんかいない。これからコンサートがあるんだ、私がその邪魔をしちゃいけない。そう心を奮い立たせた私は、部外者がコンサート会場へ行く事の出来る唯一のルート、関係者専用の裏口を見張っていた。
恵にはこれまで散々迷惑をかけてきた。普段の生活でもずっと離れず、魔物との戦いでも恵の指示に従ってるだけだった。
恵の指示はすごい、まるでマルスの心が読めるかのようにひっかけや不意打ちの攻撃も的確に対処し、無事に逃げ果せている。
他の
そう、他の
《「今、私達を追って来てる魔物。ティオが以前話したガッシュくんならよかったのにね」》
「ガッシュ、か」
以前「他の魔物の事が知りたい」と恵に言われ、真っ先に頭に浮かんだ魔物。魔法を出すと気を失う程ダメな奴だ。それにちょっと苛めるとすぐ泣き出す。ダメダメだ。
《「君もすぐに知る事になるさ、『仲間』や『友達』なんて愚かなモノは何の役にも立たない事が」》
そんな魔界での生活に思いを馳せているといつも思い出す。『魔界の王を決める戦い』に選ばれた後、偶然出会ったワイズマンから言われた一言が。
あの時は「そんな筈ない」と軽く考えていた。コルルやマルス、友達と一緒ならもう何もこわくないって……。でも、それは真実だった。
「ワイズマン。そして……、キリカ」
あの時、出会ったワイズマンは
キリカとは親しいどころか話した事もない関係だったから、あの時は特に気にならなかったし、選ばれた魔界の王候補同士の接触は魔本により禁止されていた。
でも……、キリカは魔界の王を決める戦いの前にワイズマンと何を話したんだろう。何を思ってこの戦いに挑んでいるんだろう。今はそんな事を考えている自分がいる。
《「この戦いはどれだけ他人を蹴落とせるかだ。僕を信じた時点でお前の負けなんだよ、ティオ!」》
マルスの言葉が胸に刺さる。そうだ、今はそんなどうでもいい事を考えている場合じゃない。『敵』が来るかも知れないのだから気を張ってないと!
その気合に呼応するかのように裏口のドアノブが音をたてる。もう本番直前だ、コンサート関係者が今の時間に来る事はない。
「き、来たの……? マルスが」
胸の鼓動がうるさい位騒ぎ立てる、呼吸も自然と荒くなる。
だけど後ろに逃げない。恵に頼らない。恵はアイドル、彼女がコンサートをどれだけ大事に思っているかは私も女の子としてわかってるつもりだ。
だから逃げるなら外へ逃げる。そう僅かな勇気を持って対峙した相手は……
「ウヌ! ここからなら中に入れそうだぞ!!」
「ガ、ガガガ……ガッシュ!!?」
私の振り絞った勇気を脱力させてしまう相手だった。
魔界での描写は独自設定や独自解釈がふんだんに入る予定です。
また《101番目の魔本》編は《千年前の魔物》編終了後にやろうと思っています、ワイズマンファンの方ご安心下さい。(筆者はかかる重圧で安心できませんが)