金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート 作:シグアルト
────「ガ、ガガガ……ガッシュ!!?」
「あ! ……わ、私は決してあやしい者ではないぞ。お客さんなのだぞ」
私達を執拗に追い回していた
彼の襲撃に備えてコンサート会場の裏口を見張っていた私の前に現れたのはガッシュ・ベル。何度か恵にも話した事のある魔物の中でも有名な落ちこぼれだ。
私とコルルはガッシュと同じ学校で、コイツは一緒に遊んでいる私達に(勝手に)混ざって遊んだ。
────砂場で遊んでいたら、ティオの砂の城を崩しかけたので謝るまで首を絞め続け
────おままごとをしていたら、失業中の夫の役を押しつけ夫婦喧嘩では本気で首を絞め
────鬼ごっこ中にいつの間にか混ざっていたのを見つけ、鬼のふりをして追い掛け回し捕まえて首を絞めた。
「ガッシュ!!」 「ウヌゥ!?」
たまらず私はガッシュに抱きつき腕を彼の首の後ろに回す。そして……
「先手必勝よ!! あんたなんかにやられたりしないから!」
「ウヌ……ォォオオオオオオオオ!!」
思いっきり力を込めて首を絞めにかかる。まさかガッシュが襲ってくるとは思わなかったけど、うろたえたりしない。周りは全て敵、それはガッシュだって同じ筈なんだから。
「わ、悪かったのだ! わ、私も……コンサートが見たかったのだ~~~」
「は……? コンサート?」
「清麿のカバンに隠れていたのだが“にもつけんさじょう”という場所で見つかり置いていかれたのだ。悪いのは全て清麿なのだ!」
ガッシュは恵のコンサートを観に? 私の本を燃やしにここに来たんじゃないの?
もしかして偶然会っただけで、ガッシュは戦いをする気なんて……
《「ティオ。この戦いはどれだけ他人を蹴落とせるかだ。そう、どんな手を使ってもな!!」》
「嘘よ!!」
「ヌ……! ヌアアアアアアァァアア!!」
先程以上の力を込めてガッシュの首を絞める。そうだ、ガッシュは私と同じ魔物。つまり私の《敵》。
《敵》を蹴落とす為なら何だってするのがこの戦い、『コンサートを見に来た』なんてみえみえの嘘を使って私を騙す気なんだ!!
信じない、信じない! 信じない!!
「ほ、本当なのだ! 本当にコンサートが見たかっただけなのだ!!」
「まだ言うの! 正直に話しなさい、ガッシュ!!」
「ヌォオオオ! と、ところでお主……なぜ、私の名を知って……ヌォオオオ!!」
「今度はとぼけたフリ!? 魔界であんたを何回苛めていたと思ってるのよ、もっとマシな嘘をつきなさい!!」
「お、お主魔物だったのか……ス、スマヌ。記憶喪失というやつなのだ。昔の事を覚えていないのだ~~!!」
「えっ……? 記憶喪失?」
思いがけない言葉に、私は首を絞めたまま持ち上げていたガッシュから思わず手を離した。ガッシュはそのまま地面に落下し、尻餅をつく。
しまった、これがガッシュの仕掛けた罠かもしれない! そう思った私は、急いでガッシュと距離を取る。信じないと決めたばかりなのにガッシュの言葉につい隙を見せてしまった、と苦々しく思いながらガッシュを睨みつける。
しかしガッシュは、苦しそうに呼吸をするだけで何もしてこない。どういう事なの?
「ゼェゼェ……。た、助かったのだ……」
「ガ、ガッシュ。じゃあ私が誰か本当にわからないの?」
「ウ、ウヌ……。スマヌがまったくわからぬ」
「……その割には魔界にいた頃とあまり変わらないわね」
「ウヌ? そうなのか。まぁ私は私なのだ!」
彼と話をする内に魔界の頃の記憶が蘇ってくる、そして頭が冷静になってくると次第にガッシュへの警戒心が薄れていった。
そうだ、コイツはこういう奴だった。《策》とか《罠》とかコイツには程遠い。言ってしまえば単純な奴なのだ。
「ふぅ、驚かせないでよ。私を追いかけてきた魔物だと思ったじゃない」
「ウヌゥ、スマヌのだ。ではコンサートを観に行ってよいかの?」
「良い訳ないでしょ、私の
そこまで言った所で“ある盲点”に気付く。
私が見張っている裏口は『部外者が侵入出来る唯一の入り口』だ。だけど、もしも《敵》がコンサートの観客として侵入したら……?
恵の控え室に続く道は立ち入り禁止の看板が置いてあるだけだ、簡単に侵入できてしまう。
「《ガロン》!」
「!!?」
私がその考えに至った時、恵の控え室奥……関係者専用の休憩室から呪文を唱える声が聞こえた。
「まさか……そんな……、恵!?」
「お主、どうしたのだ?」
「ア、アンタに構っている暇はないわ!さっさとどっかいきなさいよ!」
そうガッシュに吐き捨て恵の下へと走り出す。
「そんな、これじゃ……コンサートが台無しになっちゃう!」
急いで恵のもとへ走る。
自分の為に頑張ってくれたせいで、恵の一番大事なものを台無しにされてしまう! 敵への怒りと恵への申し訳なさで涙が止まらない。視界がぼやけて周囲が見えにくいがそれでも足は止めなかった。
数分もかからない移動時間、今はそれが永遠に思える程に長く苦痛な時間だった。
恵は洞察力、先読みなどに関しては天才的な力を持っている。それでも身体能力は普通の人間、魔物と一人で相対してしまったらどのような結果になるかは目に見えている。
「恵!!!」
最悪の場面を想像してしまう思考を必死にふりきり、現場に向かった私が見たものは────
「《ガンズ・ガロン》!」
「3,4,8発目を弾いて! 右に2歩移動!」
「うん。これで、当たらない」
「《ピルク・ガンズ・ビライツ》!」
「ぐがぁあああ! こ……このクソ女がぁああ!!」
足から血を流し立つ事の出来ない恵。だが、それを行った筈のマルスは全身ボロボロで膝をつき……
「恵、大丈夫?」
「えぇ、キリカちゃんのおかげで問題ないわ。まだマルスは不意打ちを狙っているわ、油断しないでね」
「了解だ、不意打ちは俺が警戒する。キリィは恵を気にかけてくれ」
「ん」
私の
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ハイ、皆さんおーはー!
戦闘中なので挨拶も略式にしてみた大人気魔物キリィちゃんです。おっはー、ではなくおーはーの所に拘りを感じてください。(無駄な指摘)
今、キリィちゃんはティオと魔界時代の友達であった魔物『マルス』と戦っています。手から色々痛そうな金属を出してSッ気を感じさせる呪文を使う金髪パーマ野郎です。
え? ロブノスに続いてまたS属性じゃないかって? 申し訳ないですがマルスはロブノス君と比べるのも失礼なレベルです────ロブノス君に対してね。
ガッシュにいる数多くの悪党魔物の中でも三下臭が半端ないんですよねコイツ。
というのも……
①
②魔界の王を目指してるのに、ティオ一人にいつまでも固執して追い回す
③格下、弱い相手に執拗にマウントを取りたがる
との惨状。『実力はあると鳴り物入りで異動して来たのに成績が奮わない口だけ営業』みたいな状態のマルス君です。
その上、結果の出ない焦りからか恐喝や脅迫などの外道ムーブに手をつけはじめ『本が燃やされた時ざまぁと言いたい魔物ランキング』(走者調べ)では、度々上位をキープしていますね。慈悲はない。
更には、その肝心な実力も微妙です。《ザケル》の直撃を何度受けても倒れないタフネスには目を見張るものはありますが、呪文は
さて、マルスSAGEはこのくらいにして戦闘に目を向けましょう。
ティオの事が心配ですが彼を放置する訳にはいきません。それにマルスはどういうチャートを辿ろうが本を燃やす事は確定です。慈悲はない(2度目)
「《エイジャス・ガロン》!」
「キリカちゃん! 3歩後退、足元よ!!」
「わかっ、た」
「何ッ!? 初めて見る呪文の地下からの攻撃を何故予見出来る!?」
「不意打ちをしたいなら足元に注意を向けない事ね。狙いが見え見えよ」
あっ、そうだ。(唐突)
その前に皆さんにご説明しなければいけませんね。そう、この恵さんの謎能力についてです。
原作を知らない皆様に説明しますと、本来『大海 恵』はアイドルという肩書きがあるだけのガチガチの一般人です。戦闘も術のタイミングをティオや清麿に任せ、自身は基本的に流されるままのスタイルでした。
ですが本チャートの恵さんはブイブイ前に出て来てますね、しかも攻撃予測が正確すぎてヤバい。
これは『ランダムキャラスキル』というシステムによるものです。
プレイヤーが操る魔物はゲーム開始時に、《キャラ固有のスキル》と《ランダムのスキル》が手に入ります。キリィちゃんの場合は『高位の一族』が固有スキル、『能面』がランダムスキルですね。
《固有スキル》は何度再走しても必ず付与されますが、《ランダムスキル》はゲーム開始する度に抽選され毎回変わります。
そして《ランダムスキル》はゲーム開始時、
と言ってもプレイヤー以外のスキル追加確率はガチャSSR排出以上の狭き門で、仮に当たっても以前キリィちゃんが覚えた『料理下手』『料理好き』の様にフレーバースキルが9割以上を占めているので、ムーブに影響を与えるパターンは皆無です。
まぁ何が言いたいかというと……、走者の激運が発動してしまったようです。
恵がランダム決定で覚えたスキルは超希少な感知スキル《鑑識眼》です。『キャラの内面を読み解き、思考から行動を予測出来る』という戦闘において非常に有用性の高いスキルとなっております。
まぁこれで全て謎が解けましたね。
恵が原作以上の強さを手に入れた事によりティオの恵への依存度が増加、恵がマルスにヘイトを稼ぐ事になり今回襲撃されたんですね。マルスは最もヘイト値が高い相手をストーキングするので、ティオ達を守りたければマルスを煽り続けるといいです。(豆知識)
しかし
原作キャラがスキル獲得する事すら10周に1回あるかないかなのに、原作ムーブを改変するほどの強スキルを取得するなんて予想☆GUYですよ。
「恵……、キリカ……」
おっ、ティオが到着しましたね、今回の
ぶっちゃけて言うとマルスを倒すだけなら
ですがティオのSAN値を回復させる為には『ティオと協力してマルスを倒す』というフラグを立てなければいけません。
その為、ガッシュ君の乱入による撃破ポイント強奪のリスクを負ってでも、マルスを甚振る程度に止めておいたんですね。
「くっそぉおお! 何故だ、何故お前がそこまで邪魔をする!? お前には関係ねぇだろ!!」
(関係なく)ないです。原作ルートを通る為にはティオ、ガッシュ、キャンチョメの3人(いわゆるガッシュPT)がクリア編まで生き残る事は最低条件ですので。
ここで敗退する事が確定している君とは違ってね。慈悲はない(3度目)
「そうよ、それにキリカちゃんとティオは友達なんだから!」
「何が友達だ!! どうせお前等もいつか敵同士になるんだ!!」
……なったっけ? (原作読み返しつつ)
ティオやキャンチョメは『仲間』としてずっと一緒に戦うので今ひとつピンと来ないわ。むしろ仲間達のおりなす名シーンの数々が頭に浮かんで顔がニヤけてしまいますよね。
やはり『金色のガッシュ!!』はサンデーにおいて最強(異論は認める)
おっ、ティオが目を見開いて仲間になりたそうにこちらを見ている。
元々明るくて
チョロいな(確信)
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────マルスとキリカの勝負は圧倒的だった。
マルスの使う呪文はどれも直線的な物理攻撃、対して初めて見るキリカの呪文は光線。しかも壁に反射し多方面からマルスに襲い掛かる。その上、恵の援護で不意打ちも撹乱も防がれていた。
あまりの力の差を認められず声をあげ当たり散らすマルス、キリカはそれを普段と変わらない冷たい瞳で見つめていた。
「くっそぉおお! 何故だ、何故お前がそこまで邪魔をする!? お前には関係ねぇだろ!!」
「関係、ある」
「そうよ、それにキリカちゃんとティオは友達なんだから!」
恵が聞き捨てならない事を言う。ちょっと待って、私は別にキリカと友達じゃないから! 噂をよく耳にしていただけで……
「何が友達だ!! どうせお前等もいつか敵同士になるんだ!!」
「ッ!!」
その言葉に少しだけ浮ついていた心が、一気に現実に戻された気分になる。
そうだ、この戦いはマルスが言ったように友達同士の蹴落としあい……『友達』なんて何の意味も……
「友達じゃない、『仲間』」
「!?」
そう言ったキリカは────ほんの僅かな笑みを浮かべていた。
それは、魔界にいた頃の彼女からは想像もつかない程に優しい笑みだった。
「仲間…………」
友達に裏切られ、友達に怯え、友達を信じられなくなっていた自分。
恵は事実をごまかすような人じゃない、きっと私の状況も聞いた筈だ。なのに────
「……そんな私を『仲間』と言ってくれるの?」
「ウヌ、その通りだぞ。お主も、私達の『仲間』なのだ」
「コンサートを守りたいんだってな。奴はオレ達に任せて君は
知らず呟いていた言葉に背後から声をかけられる。
そこにいたのはガッシュ、それと黒髪の男の人。きっとこの人がガッシュの
「お前は……ガッシュか! お前も邪魔をするのか、この落ちこぼれがぁ!!」
「《エイジャス・ガロ「
「何ッ!? ぐがぁあああああ!」
マルスが鎖つきの鉄球を手から出して操り背後から奇襲しようとするも、その前にガッシュの電撃によりマルスごと吹き飛ばされる。。
アイツ、あんな事が出来る位強くなってたんだ……。
「お主があの子の言っていたコンサートを台無しにしようとする者だな。そうはさせぬぞ!」
「ウルせぇ! 俺があいつの
「あの子は『コンサートが台無しになるかもしれない』と泣いておったぞ! 大事なコンサートだといっていたぞ!! それを壊そうとするお主は絶対に許せぬのだ!!!」
私の心の中で泥の様に沈んでいた何かが涙と共に洗い流されるように感じる。
(何よ、ガッシュ。記憶を失っても本当に何も変わってないじゃない。
弱いクセに何かを守ろうと必死になって、許せない事には体全体で反発して……)
「……ティオ」
いつの間にか恵が傍にいた。片足に負荷をかけないよう歩きながらも、穏やかな笑みを浮かべ私を見ている。
そして私は恵と見つめあい・・・、ゆっくりと頷いた。
「どいつもこいつもクソ生意気な奴等め、これでくたばりやがれ!!」
「《ギガノ・ガランズ》!」
廊下全体を埋め尽くす程の質量を持った棘付きの巨大なドリルがガッシュ達全員に襲い掛かってくる。
(「クッ、《バオウ・ザケルガ》は屋内で使ったらコンサート会場に影響が出る、ここは《ラシルド》を……」)
「《マ・セシルド》!」
私が出した円形の巨大な盾によりマルスの最強呪文を完璧に防ぐ。私は守りの術に特化した魔物、これ位は造作もない。
「な……な……、こッ……このクソ女がぁああ!!」
目の前に出た私を睨みつけ拳を振り上げるマルス。こんなの恐くない、だって私には……
「そうはさせぬぞ」
「これで、終わり」
仲間がいるのだから!
◇◆◇◆◇◆◇◆
ガッシュの電撃を受けた上、キリカの精神攻撃(キリカ談)を受け身動きをしなくなったマルスはキリカがそのまま本を燃やし魔界に還した。レンなんとかとかいう
落ち着いた私は恵の傍に立ち、二人とその
「……ありがとう、助かったわ。おかげで恵のコンサートを守る事が出来た」
「(フルフル)問題、ない」
「あぁ、それよりもうすぐ時間だ。足の怪我は大丈夫なのか?」
「え、えぇ。少し休んだら動かせるようになったわ。コンサートも問題なく出来ると思う」
「それはよかったのだ。私もコンサートが観たいのだ!」
「そうだな、急がないとファンが待ってるぞ」
先程まで感じた気迫が薄れ、弛緩した態度で私達に接するガッシュとキリカ達。やっぱり……
「戦う気は、ないのね?」
「ウヌ」 「うん」
「でもどうして? 生き残るのは1人だけなのよ?」
「ティオが、ティオだから」
「は?」
キリカの言葉に「?」が浮かぶ。私が私だからって……私達、面識ない筈よね?
「キリィは、君なら俺達の目指す“やさしい王様”になれるからって言ってるんだよ」
「ウヌ、お主はいい奴だ。私達が負ける事があっても代わりにやさしい王様になってくれるかも知れぬではないか」
「それにもし本当に戦う時があるのなら、ガッシュやキリカみんなが最後まで生き残った時だな」
やさしい王様……こんな戦いをしなくてすむ様にコルルに誓ったガッシュ達全員が語った願い、それを聞いていると次第に涙が溢れてくる。
だけどガッシュ達にこの涙は見せたくない。私は精一杯の
「な、何よ! 二人だけでそんなすごい王様を目指せる訳ないじゃない! だから・・・、しょうがないから私も目指してあげるわ。“やさしい王様”を」
「ウヌ!」
「・・うん」
そう言いガッシュとキリカ、3人で手を取り合う。
こんな戦いの中でも信じられる仲間が恵以外にいる、それを実感し自然と笑みがこぼれてしまう。
私はようやく、この《魔界の王を決める戦い》において目指すべきものを見つけられたたんだと、頬を伝う暖かな涙を感じながら思ったのだった。
──────────────────【マルス
本チャートではティオは普通に立ち直ったチャートで進んでいます。
キリカに依存する微ヤンデレ状態で進める案もあったのですが、原作が粉砕!玉砕!大喝采!されると困るので自重しました。
機会があればまた外伝ネタにするかもしれません。