金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート 作:シグアルト
これでいいのかと悩む自分と、これでいいのだと言う脳内バカボンパパのせめぎあいが最近激しいです。
────「ハァッ……、ハァッ…………!」
ガッシュ達とゼオンが戦っていた古城「ホーバークキャッスル」から数十km程離れた周囲に人一人いない草原。
そこに普段の冷静さをなくしたゼオンと、
「一体何だったんだ、アイツのあの力は……!」
ゼオンの心をかき乱すのは先程まで相対していた魔物、キリカ・イル。
確実に仕留めたと思った。だが彼女が唱えた上級呪文により、ゼオンの呪文は打ち砕かれた。こちらが放った《ジャウロ・ザケルガ》は、逃げ場を完全になくす為に火力を分散させていた。相手の火力を侮ったという事もあるが、ガッシュの《バオウ・ザケルガ》を超える威力の上級呪文であれば破られる可能性は確かにあった。
事実キリカの最大呪文によって現れた黒龍は《ジャウロ・ザケルガ》を全て喰い破ったが、続けて放たれた《テオザケル》によって相殺され消滅した。《テオザケル》だけで打ち負けたガッシュの《バオウ》より数段威力が上だが、ゼオンを揺るがすほどの脅威にはなり得ない。
故にゼオンが狼狽している原因はそんな事ではなかった。
「何だったんだあの呪文から感じる“異様な感覚”は?」
キリカの出した黒龍。その瞳に宿る異様としかいえない感覚。
それは『雷帝』とまで呼ばれるゼオンすら、久しく忘れた恐怖という感情を揺さぶられるものだった。故にゼオンは、キリカの呪文を破るやいなや、デュフォーを抱え城から瞬間移動を行い離脱した。一刻も早く彼女から離れる為に。
「デュフォー、オマエはわかったのか? アレが一体なんなのか」
あれは一体何なのか。その疑問を放置しておくわけにはいかない。そう考えたゼオンは
「……あれは怒り、憎悪だ」
「憎悪だと?」
「全てを憎み、全てに怒り、全てを破壊しようとする意思。それをあの呪文から感じた」
全てを破壊し尽くさんとする危険な意思。そう返答されゼオンは
だが、それならばゼオンには新たな疑問、いや根本の疑問が残る。
「……何故そんなモノをキリカ・イルは使えるんだ。《イル》の血族の能力は『
そう、何故キリカ・イルはガッシュとは違う強力な呪文を使えたのか? それに尽きるのだ。
デュフォーは考えなしの質問を嫌う。普段であればゼオンは自身で答えを出し、そのすり合わせや足りない部分を伺う程度にしていた。故にゼオン自身いくつか答えの候補のようなものは出ていた。ガッシュの呪文を『
だがゼオンの冷静な頭脳はその全てを否定した。呪文の不具合等ありえないし、キリカのいた日本にはあんな呪文を扱う魔物はいない、そしてあんなモノが《バオウ》の真の力である筈がない……
思考に若干の
「デュフォー。『キリカは一体何を隠している?』」
……あるいは、その色眼鏡を捨て《バオウ・ザケルガ》自身にも疑いの目を捨てずにいれば、
「
「…………何?」
ゼオンは一瞬、自身の耳を疑った。彼の放った言葉の意味自体は無論理解している。だがその言葉をデュフォーが言う事はある筈がないと思っていたからだ。
「ふざけているのか? オマエが“わからない”なんて事、ありえる筈がないだろう!」
デュフォーは特殊な素質と境遇から『
『あらゆる問題に対して、的確な“答え”を即座に示す事が可能』な能力。故に彼が答えを導き出せない、などという事態はありえない事だった。
「本当だ。あの少女の思考は俺には答えが出せない」
「そんな事がありえる筈がないだろう!! オマエは
「俺自身初めての経験だ。あの魔物は何かが違う」
(「! デュフォーの能力も万能ではないという事か。だが何故その例外があの女なんだ。アイツには一体、何がある?」)
知らず体に熱を帯びていたゼオンとデュフォーの間に一陣の風が通り抜ける。会話の合間に起きた若干の沈黙であったが、ゼオンが冷静さを取り戻すには十分な時間だった。
(《イル》の一族、そしてキリカ・イルについて調べる必要があるな。ガッシュ達は捨て置いて構わんか。どうせ生き残ったとしても、もうひとつの地獄に苦しむ事になるんだ)
ゼオンは心を操る能力も使える。精神操作呪文を持つ魔物には及ばないが、記憶を覗いたりする程度は造作もない。ゼオン自身の抱いている不安要素を排する為にも、一度調査を行う必要があると判断した。
「デュフォー。オレは暫く留守にする、何かあったら呼べ」
「……わかった」
────前提が間違っていると気付かぬ謎の答えを見つける為に
◇◆◇◆◇◆◇◆
「恵さん、大丈夫か?」
「えぇ、清麿くんも無事のようね。ティオも呪文の使いすぎで気絶しているだけよ」
「そうか、よかった。ガッシュも思ったより軽傷だ」
ゼオンが去って間も経っていないホーバークキャッスル、そこの
お互い魔物が気絶していた為にキリカとゼオンの戦いに加勢する事は出来なかったが、ゼオンの攻撃に巻き込まれる事もなく二人とも無傷だった。
だが無事なのはそこにいる人物だけで周囲は
文字通り一件落着といった所である。……今回の戦いの過程と結果に目を瞑れば、だが。
「キリィ! キリィ、大丈夫なのか?!」
ゼオンを
清麿はすぐにキリカの下に寄り、自身の学んだ医学の知識を活用しキリカの体を診断する。肌は色以外の異常はなく、壊死を起こしている訳でもないと判断し安堵する。
「大丈夫。その内、治る」
「キリィ。本当なのか?」
「うん。治るまで、歩けない。けど」
「……ッ」
キリカは原因がわかっているらしく、自然治癒で治ると言い切った。だが歩く事すら出来ない状態を“大丈夫”と言えるのだろうか? そう思ったが、魔物であるキリカを治療する方法はない。清麿はそれ以上何も言えなかった。
「ねぇ……、聞いてもいいかしら? さっきあなたが出した呪文について」
清麿も元就も気になっていたが、あえて触れない様にしていた疑問。その核心に恵が触れた。
『鑑識眼』を持つ恵は、キリカが出した黒龍の危険性を二人以上に認識していた。あれは人が、例え魔物だとしても易々と触れていい領域ではない。
実際に、呪文を唱えた側であるキリカが歩けない程のダメージを受けてしまっている。今度はその牙がティオやガッシュ君に向くかもしれないし、キリカ自身も今回以上のダメージを負うかもしれない。そんな事態を防ぐ為にも、恵は無遠慮を自覚しつつも回答を求めた。
キリカはいつもと違う、いつも以上に空虚な瞳を恵へ向け言葉を選ぶように話し始めた。
「あれは、私の、せい」
「ガッシュの呪文。私が使うと、変わってしまう」
「こんな事は、ガッシュでしか起きない。だから大丈「もういいんだ、キリィ」」
たまらず元就がキリカの言葉を止める。
キリカが魔界にいた頃に多大な虐待を受けていた事を知っていた清麿と元就は、何よりも大切な友達のガッシュの呪文を『
……何故なら、あの黒龍はあまりにも強い怒りや憎しみを宿していた。それがあの少女の中に眠る闇だとは思いたくなかったのだ。
だが元就はそんな逃避をやめた。
呪文があのように禍々しいものに変わったのは、キリカが原因。つまり『キリカ・イルの持つ負の思念』がガッシュの呪文を変質させてしまった。
そんな語りたくもない真実を必死に言葉を選びながら話すキリカの話を遮ると、元就は彼女を抱き起こし全身で優しく抱きしめた。
もう十分だと、もう教会の懺悔のような言葉を吐かなくていいんだと諭すように。
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畜生ォ……持っていかれたァ……ッッ!!
はい、激闘を終えて片手片足に矢を受けた大人気魔物キリィちゃんです。
最大呪文のおかげでvsゼオンという破滅フラグを何とか乗り切る事が出来ました。
でもね、でもねぇ……
【第四の呪文 クラリオ・イズ・マール・ピケルガ】
ここに来て《特殊系》の最大呪文が来るとか予想外すぎるじゃないですか、やだー!! (天から愛されるガバ)
《ディオガ》や《オウ》系の最大呪文を覚えていれば、うちっぱなしジャーマンで適当にドーン、バーン、ボボーンでヒューンだったじゃないですか! (語彙力消滅)
……はい、とりあえず状況不明の皆様に今回覚えた呪文のご説明を行いたいと思います。
《クラリオ・イズ・マール・ピケルガ》は、アースの呪文《ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン》と同じく《蓄積と放出》の性質を持つ最大呪文です。アースの場合は、所持する魔剣に敵の魔力が蓄積され『それまで保持していた剣の魔力』を全解放する呪文です。
対してキリィちゃんの呪文は『今保持している、他魔物の呪文を使う為複製した心の力』を全解放する呪文です。当然『
簡単に言えば残りのMPを全て使う奥義で、残りMPにより威力が変動する。と考えればOKですね。
さて、ここまでの説明ならばそこまで忌避する呪文ではないように思えます。
ですが、最大の問題点は『全解放した力をどうするか』という点です。アースの呪文は全解放した魔力を『数多の巨大な剣へと具現化し』攻撃します。対してキリィちゃんですが、全解放した魔力を用いて『
実際、もしもキリィちゃんが覚えた最大呪文が《ディオガ・ピケルドン》だったり《クオウ・ピケルガ》等だったら、普通の《ピケル》と同じく『
はい、そして原作既読者の皆さんであればここで「あっ(察し)」となるでしょう。《バオウ・ザケルガ》の秘密についてです。
ガッシュ君の持つ《バオウ・ザケルガ》は封印された仮の姿です。《バオウ・ザケルガ》は先代の《バオウ》の使い手が倒してきた敵の怒りや憎悪などの思念が取り込まれており、封印が解けた《バオウ(真)》は使用者すら喰らってしまう破壊の象徴へと変貌してしまっているのです。
そしてキリィちゃんの最大呪文の『
なので、キリィちゃんは自分で出した『
……という理由なのですが、不審な目でこちらを見ている恵さんにその説明をする訳にはいきません。
《バオウ》の封印とか言い出した時点で「何でお前知ってんねん」からの仲間内不和ムーブが始まります。一時期SAN値が落ち込んでいたティオがいる以上、惨事の予感しかしないので却下です。
ですが、全くの嘘や適当を言う訳にもいきません。恵さんの持つ《鑑識眼》により見破られてしまいます。
ここは『嘘は言っていないけど核心は喋らない』という姑息な手で切り抜けましょう。
見本はカソックを着た愉悦の笑みを浮かべる元代行者的な人です。彼の表情を何とかして『
揚げ足取られない様、慎重に喋ってたら何か途中でもういいとか言われました。ラッキー! ナイスほもくん!!
《第四の呪文 クラリオ・イズ・マール・ピケルガ》
効果:
・
・放つ呪文の特性や効果は
・『キリカ・イルの呪文』として扱われる為、