金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート   作:シグアルト

43 / 55
皆様、あけましておめでとうございます。
本年も本作品をよろしくお願いいたします。




35.vsロップス

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────「どうしたのだ、ウマゴン。キリカは私の友達なのだぞ」

 

「メルゥ……」

 

 

 ウマゴンに手を噛まれ、何も言わずに立ち去ったキリカ。元就が後を追って走り去り、俺とガッシュだけになった家の門の前で、ガッシュがウマゴンに問い詰めている。

 

 

 正直言って意外だった。ウマゴンは決して俺に懐かず噛みつきまくってくるが、それ以外の人物に対しては過剰とも言える懐き具合を示す。だからこそ俺もガッシュも、あの場の状況に呆気に取られ適切な行動を取る事が出来なかった。

 

 折角、人並みの感性が戻ってきたキリカが受けた明確な拒絶。魔界の王を決める戦いの最中である以上、魔物と敵対的になる事は珍しい事ではないが……やはり、キリカの事が心配だ。

 

 

 彼女の事は本の持ち主(パートナー)である元就に今は任せるしかない。俺達がしなければならないのは、こちら側の対処だ。

 

 

「ウマゴン、どうしてキリカを噛んだんだ。あの子は、お前に襲い掛かった訳じゃないんだぞ」

 

「メル……メルメル…………メルゥ……」

 

 

 先程から目線が定まらない。二足歩行を行い両手を擦り合わせ、気まずそうな表情を浮かべている。

 

 どうやらウマゴンはキリカに敵意を持って噛んだ訳ではなさそうだ。今の様子から読み取れるのは─────困惑、だろうか。

 

 

 キリカは表情を変える事がほとんどなく、その目は見ていると吸い込まれてしまいそうに感じてしまう。その端正な顔立ちが合わさって人形の様な美しさを感じるが、無機質な冷たさを感じる事も多い。

 

 彼女を知らない人物からしたら、得体の知れなさを感じてしまう事だろう。ウマゴンは、そこに恐怖を抱いたのだろうか?

 

 

「清磨! ウマゴンを、ウマゴンを追い出さないで欲しいのだ~~~!!」

 

「メ!? メ、メルメルメェ~~~~~」

 

 

 黙って考えを巡らせていた俺を、尋常でない程に怒っていると感じたガッシュの懇願で意識を戻す。ウマゴンも場の空気を察したのか、器用に土下座をしている。今は落ち着いて反省しているみたいだし、俺からは何もするつもりはない。

 

 

「わかってる。ウマゴンはキリカの雰囲気に呑まれて怖がっただけみたいだな」

 

「ヌゥ、ウマゴンよ。怖がることはないのだぞ。キリカはさっきも私達を助けてくれた、とても優しき心のものなのだ。」

 

「メ……メルゥ」

 

 

 ウマゴンが困惑しながらも頷く。この調子なら大丈夫だろう、と安堵の息を漏らす。

 

 

 

 俺は携帯を取り出した。

 

 折角来てくれたのを追い返す様な形になったんだ、その件の謝罪とウマゴンとの今後の付き合い方について元就と話をする必要もある。

 

 

 流れてきたのは、留守番電話用に録音された声。だがその内容は通常のそれとは違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今は魔物との戦いで電話に出る事が出来ない。用があったらメッセージを入れてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「……ここならだれにも迷惑をかける事はないだろう。そろそろ始めようか」

 

 

 

 はい、皆様おはようございまーす! 

 誘われるまま、岩山地帯にホイホイついてきた美少女魔物キリィちゃんです。

 

 

「本当に戦うのか? 魔界の王を目指している訳じゃないんだろ?」

 

「あぁ、今のところはね。理由が欲しいなら『戦いたくなった』と言うべきかな」

 

「……そうか」

 

「話が早くて助かる。まぁ、嫌なら魔本を燃やされるだけさ。それは困るだろう?」

 

「当然」

 

 

 

 原作では戦う理由がふわっとしていた為に、理系の清磨は理解できず説得にかかっていましたが、ほもくんは「そんなの関係ねぇ!」とばかりに臨戦態勢です。

 アポロとの戦いもガッシュ達の経験値になりますが、原作になかったゼオンとの戦い等が追加されているお陰で、経験値的にこの戦闘はスルーさせても大丈夫です。遠慮なくキリィちゃんが経験値泥棒になりましょう。

 

 

「さぁ、君達から感じる力を僕に見せてくれ!! 《リグロン》!」

 

 

 デーレーデーレーデッデデデッ♪ 

 

 さぁ、一部視聴者のトラウマBGMを流しながら戦いの始まりです。

 釣り糸の様なフック付きロープを手から出し、器用に巨岩を持ち上げて投げつけてきましたね。投げる物が多い採石場は相手の有利なフィールド、しっかり地の利も考えて誘導しているだけあり抜け目がありませんね。

 

 

「元就」

「《ピルク・グラビレイ》!」

 

「かう!?」

「なるほど、重力か。投擲物は全て落とされてしまう訳だね」

 

 

「《ピルク・レイス》!」

「! ロップス、こっちだ」

 

 

「何、呪文を出した瞬間に読み切った?!」

 

「……成程、不可視のエネルギーによる攻撃呪文か。ロップス、彼女の手元には注意が必要だ」

「かう!!」

 

 

《レイス》を発射した瞬間に効果を見切り、軌道上からロップスを抱え逃げ出すアポロ。これが厄介なんですよねぇ、ホント。

 

 これがアポロの持つ特殊能力《観察眼》です。

 偶然、今周回で恵さんが入手した《鑑識眼》に近いもので、《鑑識眼》が「相手の内面から状況を読み取る能力」ならば、《観察眼》は「状況から物事の本質を読み取る能力」です。《鑑識眼》が対人特化、《観察眼》が人以外全般という感じですね。

 余談ですが類似スキルの《千里眼》、これと《鑑識眼》《観察眼》を最大レベルまで上げる事で、クリエイトキャラでも《答えを出す者(アンサー・トーカー)》を習得する事が出来ます。スキルツリーの一番最後になるので、ネタにしかならないとは思いますが。

 

 

 話を戻しましょう。

 アポロは《観察眼》の効果により、奇襲・奇策は最高難易度のじゃんけんゲームばりに確定看破されます。なので、素の能力で上回らない限りは勝つのが非常に難しい相手となっております。

 

 

「《リグロン》!」

 

 

 物を投げても無意味と悟ったアポロは、2本のロープの片方を岩投げに用い、もう片方で直接側面から襲うよう操作しています。ロープ一本分の力なので、投げる岩は先程より小さいですが対処は必須です。《グラビレイ》を唱え、岩を防いだ隙を襲い掛かろうという魂胆ですね。

 

 だが……、甘いぞ遊戯(アポロ)!! 

 

 

 

 

 新年一発目のぉぉ───────────キリィちゃんパアァァァァンチィ!! 

 

 

「岩を素手で……。! ロープを戻すんだ、ロップス!!」

 

 

 呪文でなく腕力で岩を対処したので、飛び込んでくるロープにも素早い対処が可能です。岩を砕いた事で一瞬狼狽(ろうばい)したロップスが操るロープの動きは、非常に単調なものなので掴み取る事が可能です。

 そしてパワーキャラあるある。ロープを手繰り寄せる様に引っ張ります。

 

 ロップス、お前がこっち来るんだよォォォ!! 

 

 

 

「くっ、呪文解除。そして《リグロン》! ロップス、こっちだ!!」

 

 

 呪文を解除しましたが、ロップスは既に引っ張られキリィちゃん達の方にダイブしています。

 ガッツポーズを取りながら、再びロープの呪文を出すアポロ。ロープをアポロが出した腕に巻き付け、引き寄せようとします。

 

 

 チッ、このまま陰湿な精神攻撃(ミリアボル・ピルク)で〆かと思いましたがダメでした。

 ですが、無理にロップスを引き戻した事で相手の体勢が崩れています。チャンスタイムですね。

 

 申し訳ないがボス戦は迅速に、がモットーの走者なので早々に決めさせて貰います。この為にアマゾンまで行ったんだから、ショーガナイヨネ。相性というものは、無情なのです。

 

 

 

 

 

 ……おっと、ほもくんが呪文を躊躇っていますね。ロップスはアポロの手元。当然、呪文に巻き込む形になります。

 

 

 でぇじょうぶだ。傷ついたみんなや破壊された地形は、戦いが終われば元に戻るんだ。気にすんな

 

 

 そんなジャンプ主人公とは思えないが、とてつもなく説得力のある事をいえば大丈夫です。

 真面目に言うと、本の持ち主(パートナー)には被害が及ばない様、呪文を調整するので問題ありません。

 

 

 そんじゃ、いっちょいってみっか!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わかった。《クラリオ・イズ・マール・ピケルガ》!!」

code(コード)、《アイアン・グラビレイ》」

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 ─────戦いは終わった。

 

 キリィに促され放った最強呪文。『複製(コピー)』元であるオリジナルを見た事がなかったので、どういう効果は知らなかったが…………、圧巻という他なかった。

 

 大小様々な岩場に囲まれ、採掘機などが置いてあった採石場は─────ただの更地へと変貌していた。

 

《アイアン・グラビレイ》。戦いの当初はなっていた重力発生の呪文《グラビレイ》の強化版。その名の通り、強力な重力波だった。

 

 

 

「……困ったな。これは負けを認めるしかなさそうだ」

 

「アポロ。生きてたんだな」

 

「アハハ、ひどいな。僕ごと巻き込むつもりだったのかい?」

 

「いや、キリィが大丈夫だって言ってたんだ。わかってたさ」

 

「か、かう~~~……」

 

 

 

 アポロはロップス共々潰れた岩の隙間に挟まっていた。動けはしないようだが、二人共怪我はなさそうだ。

 

 俺は緊張を解き、アポロの下へ近づいていく。

 

 

「……これで満足したか?」

 

「あぁ、よくわかった」

 

 

 アポロは仰向けに倒れながらも、晴れ晴れとした顔で空を見ていた。

 

 

「戦いを通じて伝わったよ。表面上は冷静でいながらも、絶対に負けられないという執念。その覚悟。それこそが僕の足りなかったものであり、敗因だ」

 

「か、かう……」

 

「でも、戦う内にわかってきたんだ。君達の、そしてロップスの懸命な姿を見て」

 

「かう?!」

 

 

 

 アポロは何かを掴んだようだった。この戦いにおいて、何か大切なものを

 

 

 

「ロップス、王になろう」

 

 

 そう呟いたアポロの顔は、とても輝いているように見えた。

 

 大空を羽ばたく鳥の様だった自由な男は、その大空すべてを照らす太陽の如き強い意志を持っていた。

 

 俺とアポロは目線が合い、お互いに微笑んだ。

 

 

 

「これからも僕と付き合ってくれるだろう? ロッ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────だからこそ、俺達は目に映った光景を信じる事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かう~~~~~~~~~~~~~」

 

「ロッ…………プス?」

 

 

 アポロが横を向いた時、そこにいたロップスの体は()()()()()。それが意味する事は……!! 

 

 

 

「ロ、ロ────ップス!!」

 

 

 

 アポロは痛みなど気にせず、無理矢理上半身を起こす。少しづつ薄くなっていくロップスを抱き抱え、俺と共に周囲を見回す。

 

 そこには…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空色(アポロ)の魔本を持っていたライターで燃やし、無造作にそれを放り投げるキリィの姿があった。

 

 

 

 

 




 
執筆中の元旦に、友人がお年玉にゲームを贈ってくれました。




Civilization (シヴィライゼーション)VI】

無事、正月がシン・クリア・セウノウスされました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。