金色のガッシュ!!称号『覇道の王』獲得原作ルート   作:シグアルト

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 前回おまけパートのルイズコピペ
 書いている最中、余裕で釘宮さんボイスで脳内再生しながら書いてました。せいゆうさんはすごいなぁ。




40.亀裂

 

 

 

 

 ─────「そこまでだ。キリカ」

 

 

 

 

 手にライターを持ちながら、彼女がそれまで乗っていた車内へ近づこうとしたキリカに声をかける。ガッシュが傍にいない為『戦力』という点では役に立つ事はないが、俺の持つ赤い魔本は彼女の目をまっすぐ見据える勇気をくれる気がした。

 

 キリカの呪文と思われる鎖で石柱は固定されているが、事故を起こした車にはどんな危険があるかわからない。発火物を近づけるなんてもってのほかだ。そんな思いを込め、やや強い口調で彼女の静止を促した。

 

 

「…………ッ」

 

 

 彼女はゆっくりと振り返り、光を映さない……いや、むしろどんな光でも包み隠すような深淵の闇を想起させる双眸が俺を見つめる。キリカとの距離は数m程離れているにもかかわらず、思わず息を止めてしまいそうな威圧を前に、俺は体中に意識的に感覚を巡らせ緊張を解いていく。

 

 

 

 つくづく俺は『対人関係』のスキルの経験値が低いと思い知らされる。ガッシュと出会うまでに不要と判断し切り捨てた能力が、いまでは喉から手が出る程欲しくなる。そんな人生の意外性と、その能力の高さを認め信頼している()()が傍にいない事を恨めしく思いながら、俺はキリカと相対していた。

 

 

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 恵さんからの電話を受け、俺はキリカが『ダニー』という魔物の手助けを行い埠頭に行く事を知った。

 

 それまでの俺やガッシュだったなら、その行動に何の疑いも持たず彼女の優しさに喜び、不要だと知りながらも無事を願うばかりだっただろう。しかし─────

 

 

 

《「ロップス──────────!!」》

 

 

 つい先日キリカに魔本を燃やされた相手の本の持ち主(パートナー)の姿を思い出し、嫌な胸騒ぎを感じる。

 

 あの時とは状況が違う事は理解している。最後はともかく、あれは正々堂々とした勝負の結果だ。今回はただの手助け、手伝いの筈だ。問題はない。

 

 

 

 でも俺は─────キリカの下へ向かう事へ決めた。

 

 公園にウマゴンと遊びに行っているガッシュにすぐ戻るよう、偶然訪ねて来たティオに伝言を伝え出かける準備をするが一向に現れず立ち寄った公園にもいないガッシュに見切りをつけ、俺は自転車を飛ばし一人で向かった。

 

 埠頭についた時には、頼まれた仕事を終えたのだろうキリカと白、いや銀髪の長髪を逆立てた少年、『ダニー』の二人が本の持ち主(パートナー)らしき人物と車に乗り込む姿が見えた。

 

 

 俺はしばし考えた末、自転車を近くに止めタクシーで彼女等の車の後を追う事にした。

 

 

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 ─────「その魔本、ダニーって子のだろ。何で燃やそうとするんだ」

 

 

 高速道路に乗ったので距離を取り追跡を行っている最中、前方で起こった交通事故。

 

 遠くからキリカと戦った魔物の系統と思われる呪文の発動が見え、最悪の可能性をいくつか考えつつもタクシ―から降り大渋滞を起こす車の間を抜けその場へ向かった俺が見たものは……ダニーのものと思われる魔本を燃やそうと事故車に近づいていくキリカの姿だった。

 

 

「……清磨」

 

「キリカ、答えてくれ。ダニーはお前と戦う気はないんだろ?」

 

 

 視線をキリカから外して少し遠くにいる相手の魔物と本の持ち主(パートナー)を見る。

 

 詳しい経緯はわからないが、ひとつだけわかる。あの二人の間には絆がある。友情か、親子の情か、師弟の絆か、それともまた違う者かはわからない。だけど俺には、あの二人の姿の正しい信頼関係が簡単に見て取れた。

 

 そんな彼等を考慮せず、淡々と魔本を燃やそうと行動するキリカの冷徹さ、無情さに俺は憤りよりも悲しみを感じた。

 

 

 

 キリカは、あの二人に結ばれている絆を見ても何も感じないのだろうか。

 

 

「キリカ……」

「…………」

 

 

 俺とキリカの間に沈黙が訪れる。事故の騒ぎを聞きつけた緊急車両のサイレンの音が遠くに感じる。

 

 そんな異様な雰囲気に気付いたのか、元就と相手の魔物、その本の持ち主(パートナー)がこちらへやってくる。

 

 

「キリカ、どうしたんだよ? まだ車に近づいたら危ねーぞ?」

 

「そうじゃな、何か気になる事でも…………ッ! そうか、迂闊じゃった」

 

「! ……キリィ」

 

 

 状況を呑み込めない魔物。即座に理解する本の持ち主(パートナー)。元就は前回の戦いの事があるのか、また同じ状況を作り出してしまった自身を悔いているかのような表情だ。

 

 

「ダニー、すぐに本を取ってくるのじゃ」

 

「あ? ってジジイ、車の中に本を置いてったのかよ!」

 

「やかましい。今はそんな事言っている時ではないわ!」

 

「心配すんなよ。あの車はそんなすぐに爆発しねーよ」

 

「そんな心配はしとらんわ! いいからすぐに取って来るんじゃ!」

 

 

 本の持ち主(パートナー)はキリカの動きに警戒しつつ指示を出す。キリカと本の持ち主(パートナー)を何度か見て、魔物もようやく何に警戒しているのか理解したようだ。

 

 元就も魔物が急に襲い掛かって来る可能性を考え体勢を整える。場には、一触即発の空気が流れていた。その空気を感じ取った相手の魔物は言われた通り本を取ってくる。

 

 

 そして本の持ち主(パートナー)へ渡してすぐに臨戦態勢に─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらよ、キリカ」

 

 

「なっ!?」

「えぇっ?!」

「なんじゃと!!?」

 

 

 

 ─────ならなかった。

 

 あろう事か、相手の魔物は魔本をキリカに向けて差し出した。少し腕をのばせば簡単に奪い取れる距離。そんな状況に、相手の魔物はまるでイタズラが成功した子供の様にほくそ笑んだ。

 

 

「どうした。キリカ? 俺の本を燃やすんじゃなかったのかよ?」

 

「な、なんでだダニー! キリィがその魔本を燃やしたら魔界に還るんだぞ!」

 

「わかってるよ。キリカ、シェミラ像を一緒に奪い返してくれた礼。まだしてなかっただろ。コレが欲しいってんならやるよ」

 

 

 ありえない状況にうろたえる元就。相手の本の持ち主(パートナー)は、最初は驚いたようだが真剣な目で自身の相棒を見守っており、そして口を開いた。

 

 

「……魔界の王の座はいいのか?」

 

「別にたまたま選ばれただけだからな。それに……()()()()()どうでもよくなっちまった」

 

 

 満面の笑みを浮かべ本の持ち主(パートナー)へと振り返る魔物。それを見て満足そうに本の持ち主(パートナー)も頷いた。

 

 

「……いっぱしの男の顔をしおって。それが仕事を本当の意味でやり遂げ大きくなった証じゃ。好きにするがいい、我が息子(マイボーイ)

 

「あぁ、息子らしく好き勝手にさせてもらうぜ」

 

「フン。放蕩息子の相手は疲れるわ」

 

 

 わざとらしくため息をついた本の持ち主(パートナー)は、ダニーと呼ばれる魔物から離れ状況を見守る事に決めたようだ。

 

 ダニー、元就、そして俺がキリカの反応を待った。

 

 

 

 

 

 キリカは時間をかけダニーの差し出す魔本と、何故か俺の方を何度か見比べた。表情は全く変わらないが、もし表情がついているとしたら何かに迷っているように感じる。

 

 今の状況で俺自身に気を配る理由はない。相棒の魔物がいない俺の戦闘力は0。歯牙にもかけない存在である筈。

 

 俺はキリカの事を大切な友達だと思っているが、積極的に関わろうとしてこない日々の行動から彼女は俺の事は苦手に思っているとわかる。そんな俺の事を気にするとしたら十中八九、ガッシュが原因だろう。

 

 

 

「……もういい」

 

 そしてキリカは何度か迷ったように手元のオイルライターをいじった後、おもむろにポケットにしまい振り向いてダニーから離れる。どうやら本を燃やすのは留まってくれたようだ。俺達の間にホッと弛緩した空気が少し流れる。

 

 キリカは何らかの理由で本を燃やそうとする理由があり、それが今回ダニーとの絆が上回った。彼の本を燃やすのに躊躇ったという事は、そういう事なのだろう。

 

 

 

「待ってくれ、キリカ」

 

 

 だからこれだけは聞いておきたい。

 

 立ち去ろうとするキリカの背中。俺はその背に問いかけた。

 

 

「他の魔物の本を積極的に燃やすのは、魔界の王の為か? 何かやりたい事が……なりたいものがあるのか?」

 

 

 

 キリカが何を望んで行動したのかを聞きたい。《道具》とまで自身を蔑んでいた彼女が『やさしい王様』でなく望んだものは何なのか、それを教えて欲しい。仮にそれがガッシュ達と相対するものだとしても、彼女が考えだした結果ならば俺達はそれに向き合っていくだけだ。

 

 

「ヒントだけでもいい。なんでもいいから、教えてくれないか?」

 

 

 

 聞き出すまでは引くつもりはない。そんな意思表示を彼女への眼差しに込める。

 

 

 

 だんだんと周囲の音が、姿が消え、俺の感覚はキリカに関わるもの以外の一切を無視した。

 

 今までの人生で感じた事がない程の集中力に身を委ねる。今なら彼女のささいな動きからも、その心境を完全に把握する事が出来るかもしれない程の。それ程の感覚に俺は身を委ねていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 故に、彼女がこぼしたかすかな呟きすらも聞き取る事が可能だった。

 

 

 

 

「……ポイント、稼ぎ」

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───キリカが立ち去るまで、激昂し声を荒げなかった自分をほめてやりたい。

 

 

 なんだそれ。

 

 

 なんだよそれは。

 

 

 

 

 

 なんなんだよ、その理由は!! 

 

 

 

「ただ()()()()()()評価(ポイント)を稼ぎたいから……、こんな事してるってのかよ!」

 

 

 言葉として吐き捨てても、一向に冷静さは戻って来てくれない。

 

 

 

 彼女の見つけた《王としての道》がガッシュと違えた訳ではなかった。

 

 そもそも、《そんなもの》が存在しなかった。ただ彼女はガッシュとの距離が離れない様、ガッシュに嫌われない様に役立つ事をしようとしただけだった。

 

『道具』として育てられた悲しい少女が初めて願った望みがただの『奉仕』。それでは『道具』が『道具』としての意識を持っただけにすぎない。彼女の心は、ほとんど変わってはいなかったのだ。

 

 

 

 親父にキリカの精神は快方に向かっていると聞きもう大丈夫なのだと、安心なのだと油断していたのかもしれない。自身のマヌケさにうんざりする。こういう時には、自分はたかだか十数年しか生きていない中学生なんだと痛い程理解してしまう。

 

 

《「考えすぎるな、清磨。今はただ、彼女の味方でいればいいんだ」》

《「そっちは元就君に任せて、お前はガッシュと向き合っていくんだ」》

 

 

 脳裏に浮かぶのは、親父の言葉。

 

 俺に出来る事はないのか。ティオやガッシュ達にも当然協力してもらう、その上で俺が……《ガッシュの本の持ち主(パートナー)である》俺しかできない事はないのかと思案する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────「もっと示すんだ。ガッシュの目指す王の道を、ガッシュの願う『やさしい王様』がなんなのかを。キリカにも伝わる様に」

 

 

 痛む心に涙は流れない。ただ、俺の体の中で静かに燃え上がる血の猛りに俺は新たに決心をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに俺はその後、その場に残されたダニーとその本の持ち主(パートナー)ゴルドー氏と連絡先交換を済ませ、何かあれば情報交換を行う約束をした。

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピヨ麿やほもくん、ゴルドーおじいちゃんに見守られながらダニー君の魔本を焼却~~~……って

 

 

 

出来るかっこんなもん! 

 

 

 

 はい、皆さまこんにちは。

 感情の解放のさせ方の下手っぴさに定評のある美少女魔物キリィちゃんです。

 誰にもバレないように魔本を燃やすスニーキングミッションをこなしている最中に、まさかのピヨ磨バレしました。まだダンボールに隠れればバレなかった事に出来ないかな? (現実逃避)

 

 

 いや~、清磨さんの追求めっさ怖いっすね。

 般若清磨は根源(ラブクラフト)的恐怖を感じましたが、真面目な顔して正面から詰問されるのも堪えるのよコレ。

 

 しかもあの人、目がだんだん据わって来てグルグルお目目になってきてました。具体的に言うとアンサーなトーカーの力の片鱗が出てきてました。そのせいで追及をごまかす事も出来へんやないか! (逆ギレ)

 

 

 しょうがないので「(撃破)ポイント稼ぎ」と正直に暴露。せめてもの抵抗に小声で聞こえない様言ってやりました。ざまぁみろ。

 魔本焼却事件については、ダニー君のおかげでうやむやに出来た感がありますね。やったぜダニー!! 

 

 

「…………」

「…………キリィ」

 

 

 うん、全然ごまかせてないねこれ。ほもくんは不審な目でこちらを見ているし、清磨に至っては「示すんだ……可能性を……! バオウ・ザケルガ(ビームマグナム)で……!」とか言ってきそうな勢いを感じます。

 これはいけませんねぇ、確実に親密度が減少してます。どこかでテコ入れを行う必要がありますね。幸い、次のイベントにアテがあります。速攻で入るフォローにも余念がない走者の鑑!! さぁもっと褒めたたえるがいいさ(←ガバの鑑)

 

 

「次は、大丈夫」

 

 という訳で積極的魔本焼却推奨期間はひとまずここで終了です。これ以上やったらマジでガッシュ君敵対コースだわ。ほもくんにも次から真面目にやりますって言っておきましょう。

 次回からは、減少させた親密度の回復に努めたいと思います。なつき度あげるには叱った後ちゃんと褒めて甘え度上げないとね。(モンスターファーム脳)

 

 

 次のイベントは今までとは少しだけ趣向を凝らした戦闘が出来ると思います。

 刮目して待つがいいさー!! いいさー!  いいさー(エコー)

 

 

 

──────────────────【ダニー 残留(アライブ)

 




 
何とかダニーボーイ編、年内終了。
次の話は半年以上書きたい気持ちをためてたので早めに書き上げられればと思います。

みなさま、よいお年を
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