艦隊これくしょん【艦これ】 汎用決戦重巡洋艦が建造されました! 作:ライドウ
紀友則 古今集・小倉百人一首33番
「のどかな日のひかりのさしている春の日に、なぜ桜の花は静かな心もなく、このように忙しく散ってゆくのだろうか。」
重巡【桜】が好きな言葉であり、彼女の妹たちが嫌いな言葉である。
side:zuikaku
「っはぁっ!!」
目がさえるといつの間にか海面に顔を突っ込んで倒れていた。
どうやら、さっき撃ってきた砲弾は至近弾で、その水柱の衝撃で倒れて気絶したらしい。
自分が情けない・・・こんな死に際に限って・・・あの人の真実を知るだなんて。
「アレ、ウンヨクイキノコッタカ・・・コウウンダネェ。」
「そうよ!!私は、私は幸運の空母【瑞鶴】なのよ!!この程度で!!」
左手に持ってる12㎝単装砲を向けるが、それは尻尾の無いレ級に捕まれ発砲できない。
そして、段々と力を込められる。やばいっ、このままじゃぁっ・・・
「うでがっ、おれちゃうっよぉっ!!」
「レレ、レレレ!!オレチマイナァ!」
≪パキッ≫そんな子気味良い音と同時に左腕から激痛が走る。
「あぁっ・・・ああぁあああぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁあああぁあっ!!!!」
あまりに痛い激痛・・・でもおかげで、若干朦朧としてた意識がはっきりとする。
無意味に過呼吸をするのではなく、痛みを和らげる呼吸を意識する。
そして、私の腕を折ったレ級を睨みつける。
「オヤオヤ、ズイブントナマイキナメヲスルジャナイカ。」
「お生憎様っ、私は・・・この程度じゃぁ根を上げないわよっ」
「アァソウダ。オマエガシッテルジョウホウ。アライザライハケ、ソウスレバニガシテヤル」
「何を?」
「ソウダナァ、テイトク。トカ、オマエラノチンジュフノサイダイセンリョク。ソシテ、オマエラノダイホンエイトカイウソシキ。ソシテ、オマエラノサクセンノジョウホウ。スベテダ。」
「提督さん?提督さんの胸板は、すごいってことしか知らない。あと全部知らないっ」
提督さんの情報に関しては嘘ではない。
それに、深海棲艦に態々言う情報なんて私は知らない。いうはずがない。
「チッ、ツカエネェ。オイ ---- レーレーレ レレーレレレレ ---- ---レ --レーレ ---レーレレ -レレレー レーレー」
そういうと、尻尾の無いレ級は私に背を向けてはなれる。
そして、ル級フラッグシップが近づいてくる。あぁ、この距離は・・・当たる。
どんなに幸運でも・・・死ぬっ。
・・・ごめん、加賀先輩。お説教、聞けそうにないやっ・・・
「---ルール --ルー!!」
「させません」
砲撃をするル級フラッグシップと、座り込む私に誰かが割り込む。
そして、爆炎がその影を包む。
「ルール -ルール!?」
「きゃっ!!!」
べちゃっ、私の隣でその音が響く。
視線を向ければ・・・千切れた真っ赤な腕。
そして、庇った人を見ると・・・
「さ・・・・さくら、さん」
「ぐふっ・・・まにあい、ましたね。」
ひだりうでがなくて、ぼろぼろで・・・にくたらしいほどきれいなながいかみのけが・・・やけこげてて・・・・・・まるで、まるでっ。
「おえぇぇぇっ!!」
「だい・・・じょうぶです、瑞鶴さん。ちゃんと、守りますから」
「ち、ちがう!!逃げてっ、私なんかいいから!!桜さんが、桜さんがしんじゃうよ!?」
そういうと、桜さんが片膝をつく。
酷いやけどに・・・砲撃痕、いそいで応急修復材を掛けないと死んじゃうっ!!
でも、どこに逃げる!?このままじゃぁ、桜さんがっ!!
「まったく、世話のかかる後輩どもデチね。」
茫然と立っているル級に魚雷を叩きつける小さい影・・・せんすい・・・かん?
でもっ、横須賀に潜水艦なんていなかったんじゃ・・・
「とっとと、行けデチ。さもねぇと、テメェの姉の紐パン町に売りさばくデチ。」
「ちょっ、関係ないでしょ!!でもありがとう!!」
いそいで桜さんの肩を回して運び出す。
「たいちょ・・・たいちょぉっ!!」
そこに天龍さんに似た・・・たしか、稲荷さんがくる。
その後ろは黒峰さんと・・・汎用駆逐の子たち。
「瑞鶴、そっちもて!提督のクルーザーに持ってくぞ!!」
「えっ!?後方の明石さんのところじゃないの?!」
「いいから早くしろ!!黒峰、久崎、乃木坂、海崎!!周囲警戒しつつ俺たちを護衛しろ!!」
「第4臨時艦隊ただいま推参!!第1防戦隊!私たちに任せて引け!!」
「感謝する!!急げ瑞鶴!!」
「う、うん!」
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命からがら、なんとか提督さんのクルーザーに辿り着く
そこには電ちゃんと提督さん、明石さんがいる。
「手伝え瑞鶴!!」
「わかった!!」
ボロボロの桜さんを持ち上げ、クルーザーに乗せる。
だけど、乗せても提督さんが高速修復材をかける様子はない。
「て、提督!?このままだと桜さん死んじゃうよ!?」
「わかってる!!龍驤、できたか!!」
「できたで!でも防音結界なんかなにに!!」
「明石!!」
「はいっ!!桜さん、我慢してくださいね!!」
明石さんが高速修復材を持ってきて、桜さんに掛ける。
・・・あれ、量がすく・・・
「AAAAAAAaaaaaaaa!!!!」
かけた瞬間に桜さんが獣みたいな叫び声をあげる。
それを稲荷さんと黒峰さん、この船に乗ってた憲兵さんが押さえつける。
・・・龍驤さんは目を見開き、私は、思わず目を背けるが。
ドガっ
「目ぇ、背けるんじゃねぇデチ。テメェでやったことをテメェで見ろデチ。」
誰かに殴られと思ったら、さっきの潜水艦で頭を無理やりつかまされもだえ苦しむ桜さんを見せつけられる。そうだ・・・これは、私がしでかしたこと・・・ちゃんと、見ないと。
「隊長!!隊長落ち着け!!大丈夫だ!!大丈夫!!」
「稲荷ちゃ~ん、だめ。包帯が足りないわぁ~、腕はともかく火傷部分は高速修復材じゃぁ治せないしねぇ~。髪の毛は生えるみたいだけど~」
「のんきなこと言ってないで押さえろ!!」
「明石!!浸食率は!?」
「13%!!10%を超えました!!これ以上は!!!」
「ど、どういうことや・・・なんや、なんやこれ!!」
まるで・・・地獄。
桜さんが、まるで深海棲艦みたいに暴れて・・・それを、戻そうとしてるみたいな。
「AAA....aaaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
ズリュゥという気持ち悪い音がして、左腕が真っ黒い状態で再生する。
それを提督さんに向けて、!?砲が浮き上がった!?
「提督さんアブなっ」
「ちっ、世話が焼けるデチ!!」
砲を浮き上がらせた腕をその潜水艦が抑え込む。
「明石!!とっとと治すデチ!!小破状態まで来てるデチ!!」
「はい!!」
な、なんなの?
「AAAAA...aaaa......あぁぁ・・・あぁ」
ぱたりと、桜さんが動かなくなる。
押さえつけていた稲荷さんと黒峰さん、そして潜水艦が一息ついて力を緩めしりもちをつく。
「・・・この辺りは、うちの結界術で防音で完璧や。やけど、聞かせてもらうで。提督。桜がなんでこんな風になってるか。詳しくな」
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「なん・・・やて、ほな桜は中破以上したら深海棲艦になるゆうことか!?」
「そん・・・なっ」
「そこに居る憲兵には、先に説明した・・・だがっ。」
「ちっ、まったく面倒デチね。それで、深海棲艦にはいつなるんデチ?」
「現在、桜さんは・・・16%深海棲艦化しています。日常生活に支障をきたすレベルまで・・・来ました。」
それが・・・あの黒い左腕。
・・・これが、私がやったこと。やって、招いた結果。
なら、私はっ。
「・・・憲兵さん」
「何でありましょうか。」
「刀を、貸してください。」
「な、なにをで・・・わかりました。」
憲兵さんが刀を渡してくれる。その刀を抜いて、刃を見つめる。
「な、なにをするつもりだ瑞鶴!!責任をもって自殺を」
「いえ・・・こうしますっ!!」
それを、思いっきり強く、傷が残るように。左腕に切りつける。かなり痛い・・・でも、さっき折られたから全然へっちゃら。
突然私がしでかした奇行に、周りのみんなが目を見開いて驚く。
大淀さんに至っては、吐いてしまってる。
「いっつあぁあぁぁっ!!」
「・・・ほいで、瑞鶴。なんでそないなことした。」
「はぁ・・・はぁ・・・桜さんは、私の命令違反のせいで深海棲艦化が進んでしまいました。ですから、これは私なりのけじめです。そのうえで、提督さんの処分を潔く受け入れましょう。」
すっと、正座をして左腕を斬りつけた刀を鞘にしまい、前に置く。
いまは、私には・・・これがちょうどいい。
・・・きっと、桜さんは死ぬ覚悟で私を助けた。なら私は死ぬことは許されない。
それこそ、桜さんの侮辱になる。こうして、桜さんと同じで左腕を他人に見せびらかせないようにして、そのうえで罰を受ける。
龍驤の瑞鶴の報告の続き
主に反抗的だか、思い切りと覚悟をするとまるで別人になるタイプや。
感受性は一般的な女の子だが、一度覚悟が決まれば武人へと化けるであろう。
ああいうのは怖いで、一度覚悟を決めたらもう二度と普通に戻ろうなんてことは考えへん。
ただ、戦場においてそいつはかなり重要や・・・あの大戦で、ああいう英雄を無意識に求めてたんやな。そして、それをインプットされたのが、あの瑞鶴や。
気ぃ付けや、ああいうのは化ける。扱いを気を付けないとやばいで。
とくに、目の前で仲間が傷つくのはな。
それと、噂だけどな瑞鶴は翔鶴が沈んだ後汎用型航空母艦ともよばれていたらしいで?
なんでも、防戦隊の支援を目的としつつ自分も前線で戦えるように砲を装備しとってたらしいで。大本営に掛け合えば何かわかるかもしれんな。