Spider noir 〜黒き蜘蛛〜   作:ゲット虚無

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終息

数年前のとある日、俺は知人に精神科へ無理やり連れていかれた。

 

「レイス・パーカー。君の名前だね?レイス。」

 

「ああ。」

 

眼鏡を掛けた冴えない風貌の医者は書類を見ていた。

 

「暴行、恫喝、許可のない個性の使用、過剰なまでの正当防衛........そして現在では禁止されている自警団(ヴィジランテ)行為、君の手にかかった奴は未だにベットで寝ているらしいね?」

 

「....それで?アンタは何が言いたい??」

 

その言葉を聞いた医者はふう..とため息をついて書類から目を離し、喋り出した。

 

「なぜ君はこんなことを続けるんだい?犯罪者はヒーローや警察に任せればいいじゃないか?。もし君が現場に出くわしたとしても手は出さず連絡すればいいだろう?」

 

 

 

「三人がかりで一人の女性を襲おうとしている悪漢共がいてもか?、ナイフを持ったイカレが今にも通り魔をしようとしていてもか?」

 

「レイス君、これはもしもの....」

 

「ー--俺が今まで叩きのめした屑共は、皆そういう連中だった。」

 

「........」

 

医者はかけていた眼鏡を外し、こちらをのぞき込む。

 

「なぜ、そうまでして君は犯罪者(ヴィラン)を憎む?」

 

「さっきまでジロジロ書類を見ていたんだ、理由は大方わかるだろう?」

 

「確かに君や君の友人に起きた悲劇は........」

 

 

 

「ーーーやめろ!!!!」

 

 

俺の口から怒号が吐き出される。

 

「........知った風な口をきかないでくれ。」

 

医者は眼鏡をかけ直し、俺を真剣な目で見つめた。

 

「すまない………不快にさせてしまったね……」

 

「いや………いいんだ。こっちも怒鳴りつけて悪かった。」

 

気まずい空気が流れる中、俺は口を開いた。

 

「なぁ…“ドライバーグ”先生、俺はまたここに来なきゃならないのか?」

 

「今日はただの顔合わせ。それに料金は支払われてるからね。次は火曜日に来てほしいかな?」

 

「……………わかったよ。」

 

 

…このときの俺はこんな冴えない精神科医と親しくなれるなんて微塵も思っていなかった。

 

▼▼▼▼

 

「一体……………"誰が逃がす"と言った?」

 

黒い覆面が二人のヴィランを睨み付ける。逃がさない………悪党を逃がすものかと彼は動く………しかし。

 

「チッ…………」

レイスの片足はガクリと落ちる。それに気づいた彼は自身の肉体の状況を確認する。手足の骨にひび。脳無との戦闘による疲労。アドレナリンにより支配されていた彼の脳は

このダメージに気づいていなかった。

 

だが眼前には敵がいる。悪が、屑が目の前にいる。

 

それを易々と見逃す彼ではない。

 

しかし彼の肉体はもう限界が来ていた、果たしてこの状態であの二体のヴィランを相手にできるのか?

一瞬、その思考をしたが吐き捨て彼は否定する。知ったことか......と。骨が折れようが腕がもげようが足が潰されようが......目の前には屑がいる......それを叩き潰さない理由は彼にはない。

 

 

「どうやらそのご様子。貴方にとってあまりよろしくない状況のようですねぇ?」

 

黒霧はレイスの様子を見てほくそ笑む。

 

「まぁですがご安心を。今回はこれにて撤退にさせて頂きます。正直言って()()()()()()()()()()()はここで殺して起きたいが………仕方がありません。それに…()()()()()()()()は死柄木にはまだ早そうだ。」

 

 

「一体、何が言い......」

 

その時、上空からとてつもないスピードで死柄木達とレイスの間にナニカが降ってきた。いやナニカではそれは誰もが知る英雄、平和の象徴。

 

 

「    私 が 来 た ! !  」

 

 

 

オールマイトだった。

 

 

 

オールマイトは振り返るとそこにいたレイスの様子をみた。

 

(私がここへ来るまで彼が奴らの相手を......こんなにボロボロになるまで......)

 

平和の象徴たる男は膝をついてるレイスの前で屈み、彼の両肩に手を置いた。

 

「すまない......レイス少年。私が遅れたばかりに君に苦行を強いてしまった。

だが、よく耐えたな!ここからは私に任せてくれ!!!」

 

 

 

オールマイトは首に巻いていたネクタイを解き、ヴィラン達に向き直る。

誰もが知る最強で最高な英雄の登場により死柄木達は劣勢に立たされた。頼りである改人脳無はレイスに倒され......、実際は死柄木の癇癪で死んだのだが対平和の象徴の兵器は失われた。手下のチンピラ共も生徒や相澤にすべて倒された。平和の象徴の到着、後数分で到着するヒーロー達。もはや打つ手がない......言葉通り詰みの状態であった。

 

 

「さぁ!!!どうする!!大人しくお縄に着くか!私にブっ飛ばされ、お縄に着くか!

 

選ぶがいい!!ヴィラン共!!」

 

 

「答えはNO。どちらも遠慮させて頂きます。」

 

黒霧が一瞬でワープを展開する。

 

「死柄木。わかったでしょう?もうの我々に勝ち目はない。今回は撤退です。」

 

「チィッ!!糞ッッ!あのイカれた糞ガキのせいだ!!あいつがいなけりゃ脳無を殺すこともなかったってのに!!オールマイトもここにいるガキ共も殺せたかもしれないのに!!」

 

死柄木は自分の行いを棚に上げ、呪詛を吐くのだった。レイスから見たそれは癇癪を起した子供そのもののように見えた。

 

「おい!!クソガキ!!次にあった時はお前から先に殺してやる!!覚えてろォ!!」

 

死柄木の吐く、小物のような言葉を聞いたレイスは呆れた。オールマイトを殺すことを実行しようとしていたヴィランはあの怪物、脳無を用意していたこともあり如何に知略にたけた屑なのかと思っていた......しかし蓋を開けてみればその本質は典型的に子供大人という分類に当たる小物であった、

 

(ハッ......御託を並べていても所詮はただの屑ということか。)

 

「逃がさん!!!」

 

逃げようとする黒霧達を逃がすまいとオールマイトが動く。

 

「残念ながらもう遅い。では皆様方、また会うその時までごきげんよう。」

 

 

ワープは黒霧達を覆い、この場から彼らを逃がしたのだった。

空を切るオールマイトの手。彼はそれを握りしめ悔しがる。

 

「クッ......ソ。一秒遅かったか。すまないレイス少年......みすみす奴らを逃がしてしまった。

遅れてしまった為に生徒である君やほかの皆を危険にさらしたというのに奴らを捕まえることもできないとは私は自分が不甲斐ない......。」

 

 

「いえ、オールマイト。貴方のせいじゃない。俺が仕留め損ねた責任です」

 

 

レイスは彼らの会話でヴィラン達の名前を覚えた。

 

死柄木弔、黒霧。次に合ったときは必ず恐怖の底へ叩き落とすとレイスは思案するのだった。

 

 

◆◆◆

 

とある一室のバーにて黒い渦、ワープ空間が展開された。

 

そこから出てくるは雄英を襲撃したヴィラン、死柄木、黒霧だった。

 

「糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞......糞ガァッ!!!なんでだ!!完璧な計画だった筈だ。なんで失敗した!!」

 

その言葉に黒霧はため息を着く呆れながら告げた。

 

「それは貴方が脳無を殺してしまったからでしょう?すべてはそこから破綻したのです」

 

「ー--黙れ!!!黒霧!!お前があの時、ワープを出して無けりゃあ!!」

 

「それが貴方のご指示であることをお忘れなですか?」

 

「ア”ア”ア”ァァァ!!?」

 

 

 

『コラコラ、止したまえよ二人とも』

 

バーにある一台のモニターに光が点り男の声がが二人をたしなめる。

 

『少々、見通しがあまかったね』

 

『うむ......舐めすぎたな敵連合なんちう団体名で良かったわい......ところでワシと先生との共作、脳無は回収してないのかい?』

 

モニター越しから聞こえる老人の声がそう尋ねた。

 

「その事についてなのですが......死柄木。貴方が説明したほうがよろしいのでは?」

 

 

「......俺が殺した」

 

 

『なんじゃと!?おい!対オールマイト専用に作ったってのにお前さんが殺してどうする!?』

 

『おやおや......何かあったのかい?』

 

「......脳無を相手に互角だったガキがいた。油断を着こうと俺と黒霧の個性で殺そうとしたけど......してやられた」

 

 

 

『ほほう....あの脳無と互角か......』

 

「あのクモ糸を出すガキがいなけりゃ......糞、糞」

 

その言葉にモニターに映る男は反応する。

 

 

『......死柄木。今、クモ糸を出すガキと言ったかい?』

 

 

「それがなんだよ?」

 

『思い当る節でもあるのか?先生』

 

 

『うん。実は遠い昔にね......もし僕の予想通りの個性なら。ククッ面白いことになりそうだ。』

 

 

バーの一室に邪悪な笑い声が響き渡り。

 

 

「はぁ......あの少年。やはり”面倒な類の人間”でしたか。」

 

 

ポツリと黒霧はその言葉を告げるのだった。

 

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