【僕のヒーローアカデミア】No.1ヒーローの元ライバル 作:高月 弾
緑谷の体が壊れるので少し残酷な描写が出るかもしれません。
前回までは生命主観で進みましたが、緑谷が入ると緑谷or生命のどちらか主観で進むと思います。
「今日から雄英か…。」
雄英高校の制服に身を包みながらそう呟く。
いまだに実感がわいていないようだった。
それもそうだ、合格を言い渡されたときは夢のようだと感じ一度寝てから何度も見返したぐらいだった。
それが今日、いざ現実に制服を着ても全く実感が湧かなかった。
朝食を食べて、先に仕事へ行く父を見送ってから自分も学校に出る支度をする。
いざ学校へ向かおうとすると、母が弁当を忘れていると持ってきてくれた。
危ない、これ忘れたら死ぬところだった。
「似合ってるじゃない。ヒーロー、しっかりなりなさいよ。」
母からのエールを受けとると心が熱くなる。
これからヒーローを学びに行く。
その実感が急に湧いてきた。
「うん!行ってきます!」
そう元気な声で返事をすると少し駆け足で学校へと向かっていった。
学校にはかなり早めに着いたのにも関わらず教室のドでかい扉を開くとそこには既に人がいた。
「あれ?おはよう。かなり早めにきたつもりなのに、もう人がいるなんてね。」
一番乗りを期待していたのだがそうは行かないみたいだ。
「やぁ!おはよう!オレは
そう言いながら手を差し伸べる。
「あぁ。オレは生命新。よろしくな。」
そう言いながら手を差し伸べてたがいに握手をする。
どうやら生命より先に着ていたのは飯田一人のようだった。
そのあと続々と生徒が入ってくるがそこで全く知らない人物から思いもよらない会話が飛んできた。
「あっ!お前!0Pから逃げなかった奴!」
その声にみんなが興味をもって振り返る。
そしてその人物の指差す方向には、生命がいた。
「…え?オレ?」
「そうだよ!お前は気づかなかったかもしんないけど、女の子助けたって結構話題だったんだぜお前!」
そう話しかけてきたのは金髪のイケメンだった。
「じゃあ君もAに?」
「おう!オレは
「あぁ、上鳴か、よろしくな。オレは生命新。」
「おう!生命だな!よろしく!」
すごく気さくな人物だし話しやすそう。
それぐらいの好印象だった。
次の瞬間生命は凍りつく。
扉を派手に開ける音。
それに教室にいるみんなが振り返る。
そこにいたのは…
(…!目付きの悪い奴!)
そう、あの爆発個性の男だった。
その男と不運なことにも目線があう。
「てめぇ、合格してたのか。」
「あ、あぁ…なんとかね。」
「ふん、つまんなそうな奴だな。」
最初からいきなり罵倒される。
心のそこから腹が立つ。
なぜ入学初日で楽しくやろうとしてるそばからこんなことを言うのか、理解できなかったし理解したいと思わなかった。
(こんな奴には関わるな…。)
そう言い聞かせながら目をそらした。
その対応がさらに彼を興ざめさせたのか鼻で笑ってから席についた。
その後の態度も悪い意味で素晴らしく、飯田が注意しても直そうとすらしてなかった。
そんな中、一人の生徒が扉の前に立っていることに気がつく。
その人物に飯田が近寄っていく。
「おはよう!俺は市立聡明…「あっ聞いてたよ。」むぅ…」
「僕は緑谷よろしくね、飯田くん。」
どうやら飯田は彼と面識があるようだった。
恐らく同じ会場だったのだろう。
そう言えばほとんどの人が揃ってるのに生命の見た太っている人と助けた少女がいない。
(クラスがBだったのか…それとも…。)
そう考えながらチラっとある人を見る。
その視線の先には一次試験のときに話をした蛙吹さんがいた。
生命が小さく手を振ると蛙吹も小さく手を振った。
なんか緑谷と飯田がなにか話していたようだが正直よく聞いていなかった。
「あ~、そのもさもさ頭は地味目の!」
なんか失礼な言葉にも聞こえる内容がすごく明るい声で聞こえてきた。
「受かってたんだね!そりゃあそうだよね!パンチすごかったもん!」
(へぇ、緑谷のパンチってそんなにすごいのか。いつか見てみたいなぁ。)
「あの…あなたの直談判のお陰で…その。」
直談判?何かあったのだろうが他の生徒は知るよしもない。
そんな話が続くなか1つの言葉が場を切る。
「仲良しごっこがしたいのなら外へ行け。」
「え?」
クラスの全員がどこから聞こえたのかと疑問を抱く。
すると緑谷と話していた少女の足元に寝袋に入った男が寝っ転がっていた。
「ここはヒーロー科だぞ。」
(((なっ、なんかいるー!!?)))
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性にかくねえ。」
「先生?」
(でも、こんなプロヒーローいたかな?)
「担任の相澤消太だ。よろしく。」
(担任!!?)
教室中が驚きを隠せていない。
それもそうだ。
こんなくたびれた人物がプロヒーローで担任何て言われてもすぐには信じられない。
「早速だが、これ着てグラウンドにでろ。」
「え?」
相澤先生の手にあったのは体操着だった。
もう全員分の体操着があると言うのは準備がいい。
だが、正直今の時点で体操着に着替えると言うのは…
(良い予感はしないな…)
「「「個性把握テスト?」」」(クラス全員)
「入学式は?ガイダンスは?」
「ヒーローになるにはそんな行事、出る余裕ないよ。雄英は自由な校風が売り文句。それは先生側もまた然り。」
納得だ。
雄英高校の売りと言えばその自由な校風にある。
ヒーローを育てるために必要なことはどんなことでもする。
それが雄英高校こ最大の売りであり、実績でもあった。
「ここでやるのは個性禁止の体力テストではなく…【個性仕様可能】な診断テストだ。実技入試のトップは…爆豪だったな。中学のとき、ソフトボール投げ何mだった?」
「67m。」
「なら個性使ってやってみろ。円から出なきゃ何やってもいい。」
(なにやってもねえ…)
爆豪はあまりよろしくない笑みを浮かべながら構えて、
「しねぇええええぇえ!!!!」
ボールに爆風の勢いをのせて吹き飛ばす。
(ヒーロー志望が普通死ねとか言うか?)
「まずは自分の最大限を知れ。それが合理的な手段になる。」
先生が提示したスマホの計測値を見るとそこに写し出された記録はなんと…
「なっ…705.2m!?」
「すげぇーー!!!」
「面白そう!!」
「…面白そう…か。」
「ヒーローを目指す3年間そんな腹積もりで過ごすつもりか?いいだろう、この計測結果がトータルで最下位のものは、見込みなしと判断して除籍としよう。」
「なっ!?」
「んなアホな…!?」
(まずい…除籍処分!?8種目も!?ワンフォーオールは100か0しか力を出せない…。)
「ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ!」
(とんでもないな…ヒーロー科!!)
生命も正直気圧されてた。
まさか初日から除籍処分とか考えてもいなかったからであるがそんなこと考えられるはずもなかった。
(入学初日に大試練…どうしよう!!?)
個性の調整がまだ出来ない緑谷はめちゃくちゃ焦っていた。
このままでは最下位になる可能性が高いからだ。
そんな中緑谷と話していた少女が声を上げる。
「そんな、まだ入学初日ですよ。いや、そうでなくとも理不尽すぎる。」
当たり前だ。
誰だってそう思う、理不尽であると。
だがここは雄英高校。
何があろうと不思議ではない。
相澤先生がそうだと言ったらそうなのだ。
逃れることは出来ない。
「自然災害やヴィランはなんの前触れもなしにやってくるぞ。そんな理不尽を越えていくのがヒーローだ。」
その一言に生徒全員が飲まれる。
納得せざるを得なかった。
今自分達がなろうとしているのはその理不尽を越えていく存在、ヒーローなのだから。
「雄英はこれから三年間君たちに苦難を与え続ける。」
覚悟の緩さを思い知らされる一言。
甘かった。
そう考えざるを得ない。
全員の目が引き締まるのが肌でも分かる。
これだけ空気を一瞬で変えることが出来る。
これが、プロヒーローなのだ。
「さらに向こうへ、Plus Ultraだ。全力で乗り越えてこい。」
そして、この緊迫した空気をさらに燃え上がらせるのもまたプロヒーローであり、担任の先生なのである。
(洗礼と言うには重すぎる。だがこれが最高峰…!)
(やるしかない…!これが乗り越えるべき壁なんだ!!)
まず一種目の50m走から始まる。
(オレの生命は【せ】結構前半で始まるなぁ…。他の人がどんな個性でどんな使い方をするのかの情報がほしいのに、これじゃあ足りないな…。)
まずは飯田と蛙吹の2人から走り始める。
スタートと同時に飯田が恐ろしい速度で加速する。
そしてゴールにたどり着くがその時間はなんと…
【3.04s】
恐ろしい記録だった。
(あれは…飯田はエンジンの個性か?さすがに速いなぁ。蛙吹さんも蛙の個性とは言えそれなりの速度を出してる。)
次に走るのは麗日お茶子と尻尾の映えた少年だった。
麗日は走る前に体を触っていたがいったいなんの今があるのかはよく分からない。
実際に走ったが取り分け速いわけでもなく、走力向きの個性でないことだけが分かった。
尻尾の個性の少年は尻尾を使いスキップのように進むことでスピードを出していた。
(もうオレの番か…速いなぁ。)
そう思いつつも、レーンに着く。
隣を走るのは、ピンク色の肌の色をした芦戸三奈だった。
「頑張ろう。」
そうエールを送ると芦戸も笑みを浮かべながら。
「おう!頑張ろう!」
と答えた。
開始の合図がなる。
それと同時に生命は個性を発動させる。
すると隣にいた芦戸を追い付かせない速度で走り始める。
【5.09s】
記録としては中の上くらいの速さだろう。
結果としては十分だと生命は判断する。
(ふう。まぁ妥協点だな。)
そう思いながらもお疲れ様、と芦戸に声をかけると、芦戸は
「負けちゃったよ!悔しいなぁ!」
と声を上げていた。
次は、緑谷と爆豪の番だった。
爆豪の走法を知ってる生命は記録がどれくらいか安易に想像することが出来た。
問題は緑谷だった。
緑谷の個性も知らないためこれを見て知る必要があった。
緑谷達の計測が開始する。
案の定爆豪は爆破による加速で一気に走り抜ける。
記録も4s代とかなり速い。
が、一方で緑谷の方はというと。
【7.02】
大したことのない記録だった。
(この種目じゃ個性をいかせないのか?次に期待だな。)
そう緑谷のことを読む生命だが実際はそんなことではなかった。
(どうしよう、みんなはきっと個性を使って普通じゃない記録を出してくる。でも僕は一回使えば体が壊れてしまう…調整…調整しなきゃ…!!!)
個性の調整すらままならずに困り果てているのである。
緑谷の個性は自身が発現させたものではなく、他人から譲り受けたものであるがゆえに調整することがいまだに出来ないのである。
なんとか調整が出来ない限り、この試練を乗り越えることは困難なのだ。
2種目握力。
緑谷の記録は56kg。
とても高い数値とは言えなかった。
この現実が余計に緑谷に焦りを与えていく。
生命は120kgとここでも真ん中以上の記録を出している。
そして回りから聞こえてくるのは…
「540kg!!?すげぇ!?ゴリラ…いや、タコか!!」
障子目蔵が540kgという化け物記録を出していた。
(なるほど、あの複製された腕の筋力はそんなにも高くなるのか…戦闘にも諜報にも使える便利な個性だな。)
生命は人間観察を行い誰がどんな個性を持ちどんな扱い方をしているのか常に調べていた。
その時ブドウからなんか変な言葉が聞こえてきたのだがそれはスルーした。
3種目立ち幅跳び。
爆豪や蛙吹さんのような飛翔、跳躍系の個性を持つ人たちがここでは記録を伸ばしていた。
生命はまた真ん中以上の記録。
中々その一線を越えることができていなかった。
だがそれよりも危ないのは緑谷だった。
立ち幅跳びで飛ぼうとしすぎて尻餅をくつ。
普通にダメだ。
4種目反復横飛び
「ふうぅぅぅううう!!」
ブドウがすさまじい速さで反復横飛びを行っていた。
(あいつの頭のブドウは弾く性質があるのか?反復横飛びにはもってこいの個性だな…今までの種目じゃ役立たずだったが…。)
どんどん焦っていく緑谷。
個性がコントロールできずに1つもろくな記録が出せていない。
(どうしよう…どうしよう!?ここままじゃ…!!)
(どうして個性を使おうとしないんだ?そんなに使いどころが限られる個性なのか?)
5種目ソフトボール投げ
とある人物が恐ろしい記録を叩き出した。
相澤先生のスマホに写し出された記録は…
【∞】
「「「嘘だろ!!!?」」」
「マジかよ…。」
まさかの
(あの麗日って人。重力操作系の個性だったのか。だから走るときに【服】に触ってたのか。)
そう思いながらもメモに綴っていく。
そして生命の番が来た。
生命が個性を発動させて投げようとすると、相澤先生に呼び止められる。
「…なんですか?」
当然疑問に思ったので質問を飛ばす。
すると相澤先生から予想外の言葉が飛び出してきた。
「そろそろ本気だせ。最大限を知るっつったろ。」
(バレてた…!)
相澤先生にはどうやら個性の制限をしていることがバレてしまっていたらしい。
「お前の体が壊れるとかじゃないだろ?お前の個性【ライフチェイン】ならまだ余裕はあるはずだ。そろそろ本気でやらないと測定の意味がなくなるぞ。」
「わ、分かりました。」
個性【ライフチェイン】
自身の生命力を操ることの出来る個性。
基本的には相手に渡すことで延命治療やある程度の治癒能力を施すものに使われることが多い。
が、生命新の場合自身の生命力を底上げすることが身体機能を一時的に強化することが出来る。
生命は言われたとおり今までよりももう一段階上の強化を施す。
「オーバーヒート…!」
体から発せられる熱が高温になり肌の色の赤身が強くなっていき、蒸気が出始める。
その状態でソフトボールを持ち構える。
「 オーバーヒートストライク!!!」
そして、おおきく振りかぶって投げ飛ばす。
ボールは大きく飛んでいき地面に落ちるが、その記録は比較的に平均より高い記録となっていた。
【470.4m】
爆豪や八百万には及ばないがかなりの記録だ。
これならば最下位に落ち着くこともないだろう。
そして問題は次の人物だった。
(…どうしよう。残る競技はこれ含めてあと半分…。皆は必ずどこかですごい記録を出してる…僕はまだこれと言ってなにもない…。このままだと最下位に…!!)
「緑谷君はこのままだとまずいな。」
「あ?当たり前だろ?無個性の雑魚だぞ!」
「無個性!?」
爆豪の台詞に生命が驚いて反応する。
まさか無個性の人物があの実技試験を合格したのか!?と驚かざるを得ないだろう。
だが、その言葉は飯田によって違うことがわかる。
「君、入学時に彼が何をなしたのか知らないのか?」
「あ?」
「おれも教えてほしい。」
2人のなかに割ってはいる。
正直生命にとって爆豪は一番嫌いなタイプだが今ばかりはどうこうと言ってられない。
そんな2人に対して飯田が説明を始めた。
(なるんだ…ヒーローに!!!)
そう思いながら個性【ワンフォーオール】を全力で発動させてソフトボールを投げる。
【47m】
しかし出た記録はあまりにも悲惨なものだった。
(なんで…?個性を使ったのに腕がおれてない!?一体、何が!?)
「個性を消した。」
「「!?」」
消された本人である緑谷と相澤先生の個性を消したという台詞に驚いた生命が目を向ける。
すると相澤先生は怒りながら入試についての問題点を上げ始めた。
個性をまともに扱えないものでさえ入学できると。
当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。
個性のコントロールは最低限出来ていなければ強化も進化もない。
そんなレベルにたどり着いていないのであれば、ここに来る資格など存在しない。
「抹消ヒーロー…イレイザーヘッド!!」
そんななか、緑谷は相澤先生の正体に気がつく。
が、普段からメディアを嫌うイレイザーヘッドの情報は少なく、知っているものは多くなかった。
そんなことは関係なく、相澤先生は緑谷に対して徹底的に攻めた口調を崩さない。
怪我のこと、そして怪我の反動で動けなくなるであろうことや、それで他人に迷惑をかけること。
全て事実であるため緑谷に言い返すことは出来なかった。
「緑谷出久。お前の力じゃヒーローにはなれないよ。」
心をえぐる一言。
かつて自分の恩師からもらった言葉と全く真逆の言葉。
その言葉は緑谷の心に深く鋭く突き刺さる。
速く済ませろ。そう言って相澤先生は緑谷の個性をもとに戻す。
正直緑谷に除籍以外の道があるようには見えない。
(全力で動けなくなろうが、萎縮して使用しなかろうが、未来はない。)
相澤先生もほとんど除籍を決めているだろう。
誰もがそんな目で緑谷を見つめる中、緑谷がついに投げるモーションに移る。
そして、
「smaaaaaaaaash!!!」
すさまじいパワーでボールを吹き飛ばす。
「な!?」
ボールは飛んでもない勢いで飛んでいく。
【705.4m】
とてつもない記録だった。
爆豪を越えて、とてつもない記録をついに叩き出した。
(…あの痛み…ほどじゃない!!)
緑谷は個性の調整が出来ずに使えば体が壊れてしまう。
だから最後の一瞬、人差し指に個性を発動させて超パワーでボールを弾き飛ばしたのだ。
これならば緑谷は、
「先生……まだ…動けます…!」
「!こいつ…!」
ついに終わりを向かえた5種目ソフトボール投げ。
残る3種目の成績はいかに?
生命新の個性【ライフチェイン】
父親からの遺伝です。
二話目が終わりましたね。
ついに緑谷の個性を目の当たりにした爆豪と生命、この後2人がどんな会話を緑谷とするのか?
また、個性把握テストの結果は?
次回もよろしくお願いします。