【僕のヒーローアカデミア】No.1ヒーローの元ライバル 作:高月 弾
原作では熱い展開でしたね!
2人の原点とも言える戦闘、今回はオリジナル要素はほとんどありません。
すみません、次回はちゃんとオリジナル要素多いです。
(母さんが作ってくれたんだ。それならこれが…僕にとってのコスチュームだ!!!)
最後にグラウンドへと入ってきたのは、緑谷出久だった。
彼だけは学校から支給されたコスチュームではなく、母親の手によって作られたコスチュームを身に纏っていた。
彼にとってはこれが最高のコスチュームであるのだろう。
その姿を見たオールマイトがその特徴的な角(?)や顎のマスクを見る。
(…分かりやすい…w)
オールマイトを意識して作られたコスチュームであることは容易に分かるため我慢できずに少し吹き出しそうになっていた。
そんな遅れてきたデクに麗日がすぐに歩み寄っていき感想を述べる。
そんな麗日のコスチュームだが頭にヘルメットのようなものと…やたらとパッツパツな服装をしていた。
そんな格好を見せられたら緑谷も顔を真っ赤にして視線をそらす。
その横でブドウがなにやら戯言を言っていた気がするが聞かなかったことにした。
「ここは、入学試験の実技会場と同じですが偽装ヴィランでの演習を行うんですか?」
当然質問。
飯田から話された話題は当然ここにいる全員が思っていることだろう。
ちなみに飯田のコスチュームは外見が完全に覆われていて、ある意味騎士にも似た格好になっていて喋るまで気づけなかった。
つい最近ここで対ロボットでの模擬戦闘の実技試験が行われ、その結果でこの雄英高校に入学してきたのだから勿論それを行い、それをもとに指導されると思っていた。
だが、オールマイトはそれとは違う内容を話し始めた。
「いいや!今回はもう2歩先へ進む!!」
オールマイト曰く、ヴィランとの戦闘は基本的に屋外で行われるイメージがあるが実際の悪質な犯罪行為は屋内の方が多いらしい。
言われてみれば当たり前だ。
お天道様の下で堂々と犯罪行為をするメリットなど存在しない。
用意周到、念入りに計画立ててなおかつヒーローにばれないように闇のなかで行う。
犯罪とはそういったものの方が凶悪だろう。
「君たちにはこれからヒーローチームとヴィランチームに分かれてもらって2vs2の屋内戦を行ってもらう。」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知るための訓練さ。」
蛙吹の質問にすぐさまこの訓練の真意を含めて伝える。
(なるほど、俺たちのレベルを正確に図りそれに合わせた訓練内容を作るつもりか…。)
この訓練は2歩進むと言っていたが確かに難しいと全員が感じる。
以前の実技は壊せば大丈夫なロボット相手だった。
だから力加減の調整も必要なく、ただねじ伏せるのみ。
しかし今回は相手が人間、力加減を間違えれば怪我をさせるし相手は思考があるため作戦を組んできたりするだろう。
以前の
「除籍あるの?「ぶっ飛ばして…「チーム分けは?「おいら女子とい…」」」」
「んん!聖徳太子~!!」
そう言いながらたくさんの質問に耐えきれなくなったオールマイトがカンペを用意する。
ヒーローチームとヴィランチームの2vs2。
組み合わせ、チーム分けも全てが完全ランダムで決められる。
ヴィランチームは先に指定された建物に入り、核兵器(張りぼて)を好きな場所に設置する。
そしてヒーローが来るまでに迎え撃つ準備を整える。
ヒーローチームはヴィランチームが建物に入ってから5分後に作戦を開始する。
ヒーローチームの勝利条件は核兵器
対するヴィランチームの勝利条件は制限時間の15分間核兵器を守りきる、または
ルールを理解したところで次にオールマイトが目の前の箱から数字の入ったボールを取り出し、ランダムにチームを振り分けていく。
Aチーム:麗日お茶子&緑谷出久
Bチーム:轟焦凍&障子目蔵
Cチーム:八百万百&
Dチーム:爆豪勝己&飯田天哉
Eチーム:芦戸三奈&生命新
Fチーム:
Gチーム:上鳴電気&
Hチーム:常闇踏陰&蛙吹梅雨
Iチーム:尾白猿夫&
Jチーム:
と言うチーム分けになった。
(この形式ならばおそらく最強の戦力は八百万さんと、葉隠さんの2人だろうか?八百万さんの汎用性はトップクラス。どんな状況でも実力を出しきれる、そして頭もいいならば隙はなさそうだ。そして葉隠さんの個性…【透明化】はあまりにも強すぎる…。こっちが気づかぬ間に捕縛…なんてこともありそうだ。)
と生命が思考している間に最初の対戦カードが発表された。
【ヒーロー:AチームVSヴィラン:Dチーム】
(かっ…かっちゃんのチームと!?)
緑谷はその発表に慌てて爆豪へと視線を向ける。
すると爆豪は緑谷の方を睨み付けて威圧する。
すぐに緑谷は視線をはずして麗日の方へと寄る。
「さぁ!選ばれたチームは早速ステージに移動だ!!」
オールマイトの案内でAチームとDチームはステージとなるビルに移動した。
説明通り、まずはヴィランチームであるDチームからビルのなかに入り準備を整える。
その間にヒーローとヴィラン以外の生徒はオールマイトと共に観戦できる場所へと移動した。
そこにはたくさんの液晶パネルがあり、ビルの中の様子がよく見えるようになっていた。
が、音は聞こえてこないようで爆豪と飯田がなにか話しているようだったが聞こえては来なかった。
(チーム編成を見る限りは機動力が乏しい
_________________________________________________
「ふぅ…相澤先生の時みたいに除籍がないなら安心して訓練に挑めるね!」
といいながら緑谷の方を見る。
全く安心していなかった、目に見えて緊張していた。
麗日はさすがに心配になって緑谷に緊張している理由を聞く。
「かっちゃんって性格最悪だけど…僕と違って凄いんだ。」
ちょっとした昔話だった。
緑谷が話したのは、幼稚園の頃の話。
【無個性】の自分とは違い、素晴らしい【
それが緑谷から見た爆豪の姿だった。
だが…いや、だからこそ。
「勝ちたいんだ…!!!」
その言葉を告げた緑谷の顔には先ほどの緊張や恐怖心などは消え去っているのが分かった。
麗日もそんな緑谷の言葉に気を引き締められて、気合いを込める。
そしてついに最初の戦闘訓練、第1戦目が幕を開いたのだ。
緑谷と麗日の2人は、
どこに核兵器があるか分からない以上しらみ潰しに探していくしかない。
探知系の個性があればもっと話しは別だが生憎ヒーローチームは互いに探知系の個性ではないため、時間がかかるが確実に見つかる方法で探していくしかない。
慎重に、かつ迅速に歩みを進めていく2人。
先導するのは緑谷。
麗日は後ろの状況を確認しながら緑谷のすぐそばをついていく。
何事もなく三階までたどり着く。
(まだ【ワンフォーオール】は自壊無しでは使えない…。となると今の自分の力と麗日さんのゼログラビティだけで勝つしかないぞ!
今まで集めてきたヒーロー分析ノートの内容を…思い出せ!頭をフル活動させ続けるんだ!)
次の瞬間、曲がり角から突然人影が出てくる。
凄い勢いで出てきたのは…爆豪だった。
「!!」
「うぅりゃあ!!」
右手をおおきく振りかぶって緑谷達に奇襲を仕掛ける。
だが緑谷は瞬時に麗日の事を庇いながらその攻撃をギリギリで躱す。
壁に爆発がヒットし破片が当たりに飛び散らかる。
「麗日さん!大丈夫!?」
「うん…!ありがとう!」
そう言いながら緑谷の方へと向く。
すると、
「デクくん!?」
緑谷の仮面のコスチュームが半分消し飛んでいた。
「大丈夫。掠っただけ。」
だが、緑谷自身へのダメージはなく緑谷は真っ直ぐと全力の警戒心を向けて爆豪の方を向いていた。
「こら、デク…。避けてんじゃねえよ。」
威圧感を最大にして緑谷達に…いや、緑谷のみに対峙する爆豪。
それに対して緑谷は不適な笑みをひっそりと浮かべながら、
「かっちゃんが敵なら、まず僕を狙いに来ると思った。」
そう言い返した。
「…いきなり奇襲…。」
「奇襲なんて男らしくねえぞ!爆豪!」
観戦部屋では、爆豪のいきなりの奇襲攻撃にヤジを飛ばすものが数名いた。
がしかし、
「奇襲も作戦。彼らは今実践の最中なんだぜ。」
オールマイトが活を入れるかのように警告をする。
「緑くん、よく避けれたなあ!」
(それにしてもなんで、先兵を機動力に長けた飯田にしなかった?その方が利にかなってるはず…)
「爆豪が行った!」
「中断されねえ程度にブッ飛ばすーーー!!!」
そう言いながら緑谷に突進していく。
緑谷はそれに対して正面から構える。
爆豪が右手を振りかぶった瞬間緑谷が一歩踏み込んで爆豪の右手を完全に掴み取る。
爆豪はそれに驚いて目を見開く。
体制的に、感情的にも緑谷が圧倒的に有利になる。
(こいつ!俺が右から行くことを予測して!?)
すぐに左手の平から爆発を作り出そうとするが、発動するよりも先に緑谷が動く。
「でえやあぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
爆豪を背負い投げで地面へと叩きつける。
まさか攻撃を食らうことを予測してなかった爆豪は受け身をとれずに背中から完璧に地面へと叩きつけられる。
「がっはぁ…っ!!」
「すごい…達人みたい…!!」
「おぉ!緑のやつすげぇ!!」
その完全な形で決まったカウンターにパートナーやギャラリーから歓声が上がる。
「もう、弱くてみすぼらしいだけのデクじゃないぞ…!」
爆豪がすごい形相で緑谷を睨み付ける。
が、緑谷はそれに怯むことなく爆豪前でこう叫ぶ。
「僕は…頑張れって感じのデクだ!!!」
爆豪が打ち付けた背中の痛みに歯を強く噛み締めながら緑谷を睨み付ける。
その視線の先にいたのは、同じくこちらを睨み付けている…怯えそうな目で睨み付けている緑谷の姿だった。
それが爆豪のフラストレーションをさらに加速させる。
「お前の…。」
立ち上がり緑谷の方へと向き直りながら思いきり叫ぶ。
「お前のそういうところが…ムカつくんだよお!!!」
爆豪と緑谷は互いに臨戦態勢をとり、いつ戦闘が開始されてもおかしくない状況になる。
爆豪の味方である飯田から無線で連絡が来るが、爆豪が一方的に防御を押し付けてすぐさま連絡を切る。
そして両手の平を後方へ構えて、爆発させて緑谷に突撃していく。
緑谷はすぐに麗日に先に行けと指示を出すと爆豪の蹴りに対してすぐさま両手で防御をする。
防御はタイミング、場所ともに完璧で見事に受け止める。
「よそ見かよ!余裕だなぁあ!?」
「……。」
爆豪の怒号には耳も貸さずに緑谷は頭を働かせる。
爆豪はその返答がないことにイラつきながら足を動かそうとする。
そのとき視界に予想だにしないものが入ってくる。
(確保証明のテープ!?)
それは自身の左足に巻き付けられようとしていたテープであった。
(イレイザーヘッドの技をなまで見れてよかった。かっちゃんならきっと次は…!!)
爆豪は慌てて右手で緑谷の顔面めがけて爆破を放つが緑谷はそれを予測してきれいに躱す。
爆豪は完全に動きが読まれたことに目を見開き驚く。
麗日は爆豪が緑谷に突撃していく隙をついて既に核を探しに行くことが出来ていた。
この時点で二人は完全に分断されたため、個々の実力が勝負の鍵となっていた。
「あいつすげえな!」
「入試一位と渡り合ってるぜ!」
観戦ルームでは、あの入試一位で有名な爆豪と渡り合っていると言うことでちょっとした盛り上りを見せていた。
「驚いたな、個性把握テストの時の運動能力を見る限り運動神経が取り分けいいようには感じなかったけど、戦闘のセンスは良かったのか?」
生命は若干不自然に感じながらも緑谷、そして爆豪の動きを分析している。
(彼が集めてきたオタク知識が今まさに花を開いているな。)
そのノートに書き蓄えられてきた情報が今緑谷の頭のなかで実践で活用されているようだった。
(最初の一撃、読まれることを警戒して蹴りできた…。このまま推測に頼りきるのは危険だ…。一度距離おいて作戦をたてよう!)
そう考えると緑谷は構えをとった爆豪に対して撤退していく。
爆豪はまさかそんな逃げるなんてことをするとは思っていたなかったため、一瞬動きを止める。
が、すぐに緑谷を追いかけていく。
しかし、曲がり角で緑谷を見失うと舌打ちをしながらもその階を走り回る。
やがて爆豪がしびれを切らしてその階に響き渡るような大きな声で叫び始める。
「オレを騙してたんだろ!?ずっと!楽しかったかよお!!?使ってこいよ…オレの方が上だからよぉ!?」
「なんかすげえムカついてる!」
観戦ルームでは爆豪の声は聞こえずに姿だけが映っているのだが、それだけでも爆豪がかなり苛立っているのが分かる。
「爆豪…こいつこの演習に向いていなさすぎだろ。」
そう呟く生命の言葉に蛙吹がなぜ?と質問してくる。
「あんなばかでかい声をあげるなんてまるで自分がここにいるってことを証明してるようなものだ。そんなこと追う側でも、たとえ逃げる側でも愚策だ。しかも、爆豪の機動力でも十分麗日を止められただろうにその麗日を無視して目の前の緑谷とのみ戦闘…この時点であまりにミスが目立ちすぎる。」
そんな話をしていると、回りのクラスメートたちがまるで解説を聞くかのように回りに集まってきた。
それに気づいた生命は困惑し始めるがそれに気がついた八百万がもうひとつ解説を付け加えた。
「それに最初の采配もチョイスミスと言うところでしょう。確かに爆豪さんは機動力がありますが、それ以上に飯田さんの方が機動力に優れている。それならば探索に行くのは爆豪さんよりも飯田さんの方がより最適解だと思いますわ。」
その解説に納得した人達は八百万の意見も聞きながら観戦しようと八百万の方にも集まっていく。
生命はジェスチャーでお礼を言うと、八百万も軽い会釈をしてそれを返した。
(爆豪少年は、緑谷少年から聞いた話だと自尊心の塊みたいだが…これは肥大化しすぎてるぞ。)
(飯田くんじゃなくて、かっちゃんが先兵としてきてる。それにさっきのかっちゃんの大声…多分かっちゃんが暴走して
「どこだ糞ナードが!!!」
(そのためにも…僕が!かっちゃんのと
そんな決意を固める緑谷と同様…いや、正確に言えば少し違うのだが、それでも同じように爆豪にもどんどん緑谷に対する敵対意識が高まっていた。
彼の感情は今怒りに埋め尽くされようとしていた。
こうして緑谷を探していく間にも爆豪のフラストレーションはたまっていきそれこそ爆発寸前のところまで迫っていた。
かつて、自分と一緒にいながらも自身よりも何もかもが劣っていた。
自身と対等であるはずのない、いや、それこそ道端の石ころ同様の存在であるはずの
これに怒りを感じないはずがなかった。
爆豪は小さい頃から運動神経も良く、器用であり基本的には他人よりも才を持って生まれていた。
それに、4歳頃に発現した個性も爆破と派手で強力な個性だった。
だからこそ彼の考えはこうなった。
(できるのが当たり前じゃない…【できるオレが特別なんだ】!)
そのはずなのに幾度と姿を見せる
(大丈夫?)
(君が…助けをも止めてる顔をしてた…!!)
「オレが…オレの方が上だ!!!」
そんな2人をよそについに麗日が核の場所を突き止める。
場所を把握し急いで緑谷に連絡しようとする。
が、そのタイミングで飯田が何かしらの行動を起こそうとしたため、一時中断して様子を見る。
しかしそれが仇となってしまう。
「オレは~、至極悪いぞ~!!」
本当に悪いやつはこんなバカ正直に発言しない。
だがこれが飯田のいいところだ。
すごくまっすぐな真面目さがいいところなのだが…。
【ブフゥ!】
(真面目やぁ…。)
はたからみるとちょっと間抜けな人にしか見えなかった。
思わず吹き出してしまう麗日だが、それに飯田が気づかないはずはなく案の定見つかってしまう。
「爆豪君が飛び出した時点で、君が一人でここに来ることは分かっていた!だから、既にこの部屋のものは全て片付けておいた!これで君が浮かせられるものは1つもないぞ!!」
ヒーローサイドの動きを完全に読み、その対策までも既に終わらせていた飯田。
本来優位にたてるはずのヒーロー側を逆に追い込んで行く。
こうなってしまえば麗日と飯田の純粋な1対1だが、それでは勝算などない。
麗日は飯田を警戒しながら今の状況を緑谷に報告する。
場所は現在緑谷のいる地点のほぼ真上の部屋、さらに麗日は飯田にばれているが緑谷はまだ爆豪に見つかってはいない。
まだ挽回することは十分可能だが、あとは時間との勝負かと思われたそのとき。
「貯まった。」
「!?」
緑谷が声ののする方へと振り替えるとそこには爆豪が立っていた。
緑谷に対してなぜ個性を使わないのか?そう問いかける。
当たり前だ、個性なしでこんな戦闘を行うなんて危険極まりない。
爆豪の場合は違う理由なのだが、
「オレをなめてんのか?」
そう怒気を込めながら緑谷に問う。
緑谷はそれに一瞬気圧されるも、すぐに力強く返答する。
「もう君を…怖がったりするもんか!」
その言葉は爆豪の怒りの火に油を注ぎ込む。
だが、噛み締められた口許が背筋の凍るような笑みに変わると爆豪は右手を突き出しながらとある説明を始めた。
「オレの爆破は手のひらからニトロみてえなもんを出して爆発させてる。要望通りならこの小手はそいつを内部にためて…!!」
そう言いながら小手から出てきたピンに指をかける。
それに気づいた緑谷はすぐさまその場から逃げ出そうとする。
オールマイトもそれにすぐさま気がつき叫ぶ。
「爆豪少年!ストップだ!!殺す気か!!?」
「当たんなきゃ死なねえよ!!」
そんなオールマイトのセリフを狂気に歪むかのような声で返答するとピンをはずす。
すると小手の内部に貯まっていたニトロのようなものが一気に放出され、それが爆発となり緑谷に襲いかかる。
爆発は射線上にあるものを焼き付くしながら爆豪の立っている正反対の壁を撃ち抜いた。
緑谷は直撃を受けていないようで尻餅をつきながら穴の空いた壁を見つめる。
通路の大きさと同じくらいの大穴が空いた壁をみれば先ほどの爆発がいったいどれ程の威力だったのが嫌でも思い知らされる。
もし直撃していたら…。
そう考えると緑谷の体はガタガタと震え始める。
その爆破による衝撃は飯田や麗日の部屋はもちろん、観戦ルームを揺るがすほどのものだった。
「すげえ…。」
まるで自身の爆発に酔いしれるかのようなセリフが煙の中から聞こえてくる。
緑谷はそんな爆豪に怯えて完全に戦意を失ってしまう。
「この小手に貯まれば貯まるほど、威力が上がっていくんだぜ?なぁ、個性使えよ…【デク】。…全力のお前を、ねじ伏せる。」
その顔はまさに狂気そのものだった。
そんな尋常ならざる様子の爆豪に現場だけでなく観戦ルームにも困惑の様子が広がっていく。
いきなり地震のような揺れが起こったため、飯田は急いで爆豪に状況を問いただすが、爆豪から返信が来るわけもなく連絡も繋がらない。
その隙をつくかのように麗日が自身の体に
不意を突かれた飯田はそれに対しての反応が送れて核への接近を許してしまう。
麗日が核を回収しようとした次の瞬間、タッチの差で飯田が持ち前の機動力を生かして核を回収して麗日から遠ざかる。
またもやチャンスを逃したヒーローサイド。
しかも今の失敗は麗日の実力と個性では飯田から核を奪取できないのが決定付けられたかのような失敗だった。
「ヒーロー、惜しかったな!悪いがこのまま時間一杯まで逃げさせてもらうぞ!!」
「どうしよう…。デク君頑張ってるのに…!」
一方的下の階では、
「おいおいどうしたんだよデク。当ててないんだからまだ動けるだろ?」
(ダメだ…
「麗日さん!状況は?」
タイマンでは勝てないと判断した緑谷はすぐに麗日に対して確認をとる。
だがそんな緑谷の様子を見た爆豪は自身など相手にしないとでも言いたげな様子と思い込みさらに怒りに拍車をかける。
爆豪の怒りを焚き付けるのはそれだけには収まらなかった。
「先生!止めた方がいいって!!爆豪あいつクレイジーだぜ!?殺しちまうって!!」
切島がオールマイトに対して必死に演習の中止を求める。
声に出してはいないものの回りも同じ意見を持つものが多いと感じられる雰囲気だった。
だが、オールマイトはそんな雰囲気を鑑みずに冷静に【戦場】の様子のみを確認していく。
(爆豪少年は妙なところで冷静な部分がある。みみっちいと言うか…。とにかく、)
「爆豪少年。次それ撃ったら強制終了で君たちの敗けとする。」
「はぁ!?」
爆豪はなっとくができないようで不満な声をあげる。
するとオールマイトがその説明を始めた。
屋内戦での、大規模攻撃は自身達の首も閉めかねないリスクの高い…と言うよりもデメリットの方が大きい攻撃であるため愚策である。
その選択自体が大幅減点であり、次はないとのことだった。
爆豪はその言葉でさらに怒りが増大していく。
「うあぁぁぁああああ゛あ゛あ゛!!!」
爆豪が叫びながら緑谷に向かって大きく飛び上がる。
「…………柱のそばに…!?」
麗日と無線で話していた緑谷は爆豪の跳躍に反応するのが遅れる。
躱せないと判断した緑谷は空中で身動きがとれないであろう爆豪に向かって、カウンターの右拳を突きつける。
タイミングは完璧、なはずだった。
爆豪は目眩ましもかねた爆発で緑谷の拳を躱しなが背後へと回り込み、左右の爆破を調整して緑谷に爆発を叩き込む。
倒れそうになる緑谷を間髪いれずに右の手刀を叩き込み、腕をつかみあげると、つかんでいない方の手で爆破をさせ勢いをつけた状態で緑谷を地面に叩きつける。
その一連の動作を見て轟が呟く。
「考えるようには見えなかったが…あそこまで繊細な動きができるんだな。」
「うわ…才能マンだ才能マン。」
「先生!もうこれリンチだよ!止めようよ!」
観戦ルームからも声が上がる。
その爆豪の圧倒的センス、それにはあまりに不釣り合いな荒々しい形相。
戦闘においては爆豪は天才的だと認めると同時に、その異常性を全員が認識していた。
緑谷は爆豪から背を向けて逃げ出す。
仕方ないことだ。
これだけの実力差を見せつけられたのであれば正面戦闘は避けるべきであり、判断として間違いではなかった。
と思っていた、誰もが。
だがしかし、緑谷は壁際まで逃げていくとまたもや、爆豪に対峙する。
勝ち目はない。
誰もがそう思っているのに、緑谷はそこから退こうとはしなかった。
「個性使えよ?なめてんのか?ガキの頃からなめてたんか?」
そう言われた緑谷ははを強く噛み締めながら小さく呟く。
「違う…。」
拳を強く握りしめ、涙目になりながらも爆豪を睨み付けて叫ぶ。
「君がすごい人だから…勝ちたいんじゃないか…!勝って!」
声が徐々に大きくなっていく。
それに対して爆豪も強く睨み付けて攻撃体制をとる。
「越えたいんじゃないか!!バカやろーーー!!!!!」
「その面やめろや…糞ナードがーーー!!!!!」
2人が叫び声をあげると同時に地面を蹴り出して互いに突撃していく。
一騎討ち。
緑谷が右拳を振りかぶり、爆豪は右手のひらを掲げる。
(ヒーローになること以外での激情!これは…君の成長に必須なんだろう…!!)
オールマイトがマイクを握りしめながら2人の衝突を見つめる。
クラスメート達は全員が衝突をさせたら不味いと声をあげる。
先生に対して止めないと!止めて!!と声を張り上げる。
「双方…!!」
「麗日さん!!!」
オールマイトが中止を宣告しようとした瞬間緑谷が麗日に無線で連絡を取る。
連絡を受けた麗日は柱へと掴まる。
次の瞬間。
「Smaaaaaaaaaash!!!!!」
緑谷の掛け声と共に強烈な一撃が上空へと向かって放たれる。
緑谷の拳の衝撃は緑谷の上にある床や天井を全て消し飛ばし、大穴をぶち空ける。
「な!なんだこれは!!?」
飯田が思わず目の前の状況に大声をあげる。
目の前に突然大穴ができたかと思えばすさまじい衝撃で様々なものが上空へと吹き飛ばされている。
「ごめんね飯田くん!」
目の前の衝撃に目を奪われていた飯田がすぐに麗日の方へと振り向くとそこにはコンクリートの柱を持ち上げたヒーローが立っていた。
「即興必殺!彗星ホームラン!!!」
先ほどの衝撃で巻き上がったコンクリート片を手に持った柱で殴り付けて飯田に向かって吹き飛ばしていく。
飯田はその飛ばされていくコンクリート片を躱すことに精一杯で身動きが取れなくなる。
その隙を突き、麗日は自らの体を浮かして核へと触れる。
「核…回収。」
「あ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」
核は回収され、勝負はヒーローチームの勝ちで終わった。
だが爆豪がそんなことをまともに受け入れるはずもなく、いや、そもそもこの戦闘の勝敗など最初から対して気になどしていなかったのかもしれない。
はじめから緑谷のことしか目になかった爆豪はその行動に対して
「てめえ、端から…!!」
文句を言おうとする。
だが、緑谷の状況を確認して言葉につまる。
完全に壊れている右腕、ガードしたことによって大火傷を負っている左腕。
そんなボロボロの緑谷が弱々しい声で、呟くかのように説明していく。
「体が…衝撃に耐えられないから…。でも、これしか…思い付かなかった…っ。」
そんなようすに爆豪や目を見開く。
だが彼の目に、彼の頭に入っていたのはそんな
そんな戦場に1つの掛け声が響き渡る。
「ヒーローチーム!Winーーーーー!!!!」
オールマイトの声でヒーローチームの勝ちが宣言された。
あれ?もうちょい話進む予定だったのに、いざ仕上げると文字数的にもう切らなければとなり、意外と進まない現実。
次回頑張ります。