総武高校生徒のある人物に兄弟姉妹がいるのはまちがっている。   作:銅英雄

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2人目

昨日は衝撃な事実を知った。奉仕部に訪れた見た目幼女が材木座の妹で、小町と同じクラス、しかもプロのラノベ作家で、俺の好きな作家さんだった。

 

「ひ、比企谷先輩が私が執筆している小説を好きと言ってくださるとは……大変恐縮です!」

 

いやいや、それはこっちの台詞だっての。今日も材木座妹は奉仕部に訪れており感想は昨晩メールでも送ったが、改めて本人に伝えたかったが故に奉仕部まで来てもらったのだ。

 

「……比企谷君、材木座さんが貴方の好きな作家なのはわかったけれど、少し距離が近すぎないかしら?」

 

「そうだよ!」

 

「先輩のその距離感はわたしの筈なのに……!」

 

雪ノ下達が何か言っているが、そんな事は気にしない。

 

「……しかし比企谷先輩に好評で良かったです。よろしければお三方にも私が書いた小説を読んでもらっても良いですか?感想は多い方が書いた側としては嬉しいので……」

 

材木座妹は雪ノ下達にも小説の原稿を渡した。その瞬間由比ヶ浜が嫌そうな顔をして、それに釣られる形で一色も微妙な表情を浮かべた。おい、失礼だぞおまえ達。

 

「……これは面白いのかしら?」

 

「そうですね……。愚兄が以前奉仕部に渡したちり紙よりはマシとだけ言っておきます。これも奉仕部への依頼としてお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「そう……。わかったわ。奉仕部部長として承ります」

 

「ありがとうございます。兄と違って期限には拘りませんので。感想は私のメールアドレスを教えますからそちらに送って頂くか、もしも会う機会がありましたら私に直接言ってくだされば幸いです」

 

雪ノ下は受ける事に決めたようだ。由比ヶ浜と一色は否定的だが……。

 

「……あの、別に強制はしませんよ?もしも活字が苦手ならまた別の人にお願いしますので」

 

材木座妹はそれを察したようで、由比ヶ浜と一色に可能であればと伝える。

 

「そ、そんな事ないよ!ねっ!いろはちゃん?」

 

「そ、そうですよ!可愛い後輩の依頼を断る訳ないじゃないですか~!」

 

慌てるように2人は原稿を受け取る。だから一色は部員じゃないだろ……。

 

すると材木座妹は何かを思い出した様に手を叩く。

 

「……すみません。実は今日奉仕部に依頼したいという人がいるんですよ」

 

「そうなのか?」

 

「はい。ですので私はこれからその人を迎えに行きます!」

 

そう言って材木座妹は慌てて部室を飛び出した。一礼してゆっくりと扉を閉めて……。律儀だな。

 

 

~そして~

 

 

コンコンコン。

 

 

ノックの音が響き渡る。材木座妹が依頼人を連れて来たんだろうか?

 

「どうぞ」

 

「し、失礼します!」

 

緊張した様子で入ってきたのは男子生徒。後ろに材木座妹もついていた。

 

(ざ、材木座さん。やっぱり僕には……)

 

(何を言うか。貴様が奉仕部に依頼したいと言ったのだろうが!)

 

(で、でも……)

 

男子生徒が材木座妹と何やら話している。というか2人の身長差凄いな……。

 

男子生徒を見ると身長は180くらいあり、材木座妹と並ぶと違和感しかない。男子生徒の方は材木座とヒソヒソ話をする為に態々しゃがんでるし。

 

「こほん……っ!それでそちらの男子生徒は何か依頼があるのではないのかしら?」

 

雪ノ下が咳払いをして場を整える。材木座妹と一緒にいるのと、雪ノ下が知らない事を総括するとこの男子も1年生か……?

 

「し、失礼しました……。僕は1年生の……です」

 

ち、小せぇ……。全然声が聞こえないぞ。

 

「声が小さいっ!もっと腹から声を出せっ!!」

 

同じ事を思ったのか材木座妹が超デカい声で男子生徒を叱る。その声で由比ヶ浜と一色がまた雪ノ下の後ろに隠れちゃったじゃん。

 

 

ガラガラガラ!

 

 

「いろはす~!」

 

扉が開けられて入ってきたのは戸部だった。なんか一色に用事があるようだが……?

 

「なんですか戸部先輩?わたし今超忙しいんですけど~?」

 

いや、おまえめっちゃ暇そうにしてるだろ。

 

「忘れたん?今日はマネージャーの集まりがあるからって。隼人君が連れて来てほしいって言ってたっしょ」

 

「げっ!すっかり忘れてた……」

 

おい、奉仕部寄ってる場合じゃないだろ。

 

「ん~?あんれ~?どうして卓がいるん?」

 

ん……?

 

「と、戸部っちってそこの男子の事を知ってるの?」

 

由比ヶ浜が俺達が気になっている事を戸部に指摘する。良いぞ由比ヶ浜。流石同じグループに属している事はある!

 

「丁度良いから紹介するっしょ!そこのメガネかけてるのは俺っちの弟で……」

 

「と、戸部卓(すぐる)です!兄がいつもお世話になってます!」

 

『はっ!?』

 

戸部兄弟のカミングアウトでこの場にいる材木座妹以外は信じられないような顔付きで戸部兄弟を交互に見る。

 

「……卓の兄でしたか。私は卓と同じ文芸部で部活動をしています材木座義昭と申します」

 

「そうなん?いや~、卓が何時もお世話になってるっしょ!俺っちは卓の兄で戸部翔!これからも卓の事よろしく頼むわ!」

 

「私がそれに応えられるかはわかりませんが、同じ部活の部員として気にかけるつもりです」

 

「そう言ってもらえるとありがたいっしょ!卓は見ての通り内気な部分もあるから義昭ちゃんみたいな子に引っ張ってくれると卓も嬉しいと思うんよ」

 

「ちょっ、兄さん!?」

 

……なんか戸部兄弟と材木座妹が無茶苦茶自然に会話してるんだけど?いち早く立ち直った雪ノ下が再び咳払いをする。

 

「……戸部君?弟さんは奉仕部に用があって来ているのよ。貴方も急ぎの用事があるのは伝わるけれど、ノックはしてちょうだい」

 

「べ~。それはごめんっしょ。ほらいろはす、早くサッカー部の方に行くべ?」

 

「え~、本当に行かなきゃ駄目ですか?」

 

「行かなきゃ先生に怒られるっしょ。それに生徒会長がそれだと色々不味いべ?」

 

「うっ!戸部先輩の癖に……」

 

おまえ戸部の扱い酷くない?いや、でも戸部だしこんなもんか。

 

「先生に雷が落ちる前にさっさと行った方が良いっしょ!」

 

「はーい……」

 

戸部と不服そうな顔をした一色は部室を後にした。嵐のような戸部だったな……。

 

「……それで戸部卓君だったわね」

 

「は、はい!」

 

「貴方は奉仕部に何か用があるのでしょう?依頼かしら?」

 

「え、えっと……」

 

戸部弟は口籠る。こうして見ると戸部の弟とは思えん。眼鏡をかけている事からまだ海老名さんの弟だと言われた方が説得力があるな。

 

「……卓、貴様は私が奉仕部の事を伝えると強い瞳で自分も行きたいと言っていたな?」

 

「材木座さん……」

 

「その瞳からは卓なりの覚悟が見えた。あれは嘘だったのか?」

 

「…………」

 

材木座妹が戸部弟の背中を押す。良い話だなー。俺達蚊帳の外だけど……。

 

「そう……だよね。……僕が奉仕部に来たのは依頼……ではなく、兄が以前奉仕部にした依頼に対する謝罪です」

 

「戸部君のした依頼に対する謝罪……?どういう事かしら?」

 

「……それについては兄が奉仕部に依頼した『海老名先輩に告白したいけど、振られたくないから告白を成功させてほしい』という依頼について話したいと思います」

 

戸部の依頼だと……?

 

「まずは兄の無茶振りとも言える依頼を受けてくれてありがとうございました。ですがあの依頼は本来断るべきだと思いました」

 

「えっと、どういう事かな?弟君?」

 

「考えてみてください由比ヶ浜先輩。振られたくないからと言って他人に頼る男と付き合いたいと思いますか?」

 

「……それはちょっと嫌かなって思う」

 

「この事に関して兄は僕に相談してくれました。自分はあの時舞い上がっていたと……。でも折角受けてもらったからには海老名先輩と恋人になりたかったと……」

 

先程までオドオドしていた戸部弟とは打って変わって芯の通った目をしていた。

 

「……昨年の冬前くらいに兄の忘れ物を総武高校に届けに来た時にある噂を聞いてしまいました。『ヒキタニという生徒が告白の邪魔をした』というものを」

 

「…………!」

 

「…………!」

 

修学旅行での嘘告白の事だろう。雪ノ下と由比ヶ浜が暗い顔をする。かくいう俺も冷や汗をかいている。

 

「噂を耳にした僕は兄に尋ねました。告白の件はどうなったのかと。すると兄は奉仕部に……特に比企谷先輩には悪い事をしてしまったと言っていました」

 

……そういう事だったのか。だからあの時戸部は俺に土下座をしていたのか。

 

「比企谷先輩を悪人にしてしまった事を後悔した兄は学校では何時ものグループで普通に過ごせていますが、それは紛れもなく奉仕部の……比企谷先輩のおかげだって」

 

「……それは買い被り過ぎだ戸部弟。あの時の俺はおまえの兄貴の一世一代の告白を台無しにした。それは事実なんだ」

 

「ヒッキー……」

 

「比企谷君……」

 

「……そうですね。でもそんな事をさせたのは元はと言えば兄が依頼をしたからだと思いますし、兄もそう言っていました。ですので弟である僕からも謝罪します。奉仕部に亀裂を走らせて申し訳ありませんでした!」

 

戸部弟は土下座していた。

 

「お、おい、土下座は止めろ。……俺も悪かったよ。兄貴の告白を遮ってしまった事」

 

「兄は自身の力で告白すべきでした……。それは本人も悔いています」

 

「そうか……」

 

「ですのでもしもまた兄が海老名先輩に告白する事があれば、その勇姿を見ていてあげてほしいんです」

 

戸部弟も兄貴の事を想っていての謝罪とお願いなんだろうな。昨日の材木座妹の時もそうだった。この2人はやはり兄の事をとても大切にしているんだろう。

 

「……ああ。告白の邪魔をした俺にそんな資格があるのかはわからないがな」

 

「そんな事はありませんよ。兄はもう一度告白する時は真っ先に比企谷先輩達に伝えると言っていましたから」

 

「ふっ、そうかよ」

 

「それでは僕はこれで失礼します。奉仕部の皆さん、今日はこの場を作ってくれてありがとうございました」

 

そう言って戸部弟は退室して、材木座妹も一礼して退室した。昨日も思ったが、材木座妹はあの兄に比べてしっかりしすぎなんだよな……。

 

「……はぁ」

 

「あたし、知らなかったよ。戸部っちがヒッキーに土下座してたの……」

 

「……あの時は呼び出されて何されるかわからんかったからビックリしたぞ。戸部に関しては殴られても文句は言えなかったからな」

 

「それを助長させたのが戸部君の弟さん……という事なのかしら?」

 

「……多分な。その影響もあって噂はなくなって、葉山グループから謝罪をしてきたのも驚いたがな」

 

「それであたし達もヒッキーが嘘告白してきた理由もわかったもんね……。ヒッキー、あの時は本当にごめんね」

 

「私も……。ごめんなさい」

 

「俺も悪かったよ。あの依頼は奉仕部にも依頼人にも落ち度はあったんだ」

 

「そうね……」

 

「……あたしも軽はずみに依頼を受けようとするのは止めるよ」

 

あれ以来奉仕部も無茶な依頼は受けないようにしたもんな。……まぁその時は一色のクリスマス会の依頼の真っ最中だったけどな。

 

後日戸部に呼び出されて俺はまた土下座された。

新作の主人公は……?実装されたら少し設定変えます

  • 材木座義昭
  • 相模雄一
  • 氷上水乃
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