総武高校生徒のある人物に兄弟姉妹がいるのはまちがっている。 作:銅英雄
戸部弟の襲来の翌日。俺は材木座妹が書いている小説を、雪ノ下は材木座妹から貰った原稿を読んでいる。
「……比企谷君、貴方が読んでいるのは材木座さんが書いている小説かしら?」
「ああ。雪ノ下が読んでいる原稿を本にしたやつだ。まさか俺が普段愛読しているラノベの作者が材木座妹だったとはな……」
「……材木座君の原稿があれだったから構えていたけれど、彼女のものは面白いし、中々共感出来る部分があるわ」
「材木座妹によるとこの小説は実体験を元にしたフィクションらしいぞ」
「……それでこの内容が書けるとは。彼女はどのような学校生活を贈ってきたのかしらね」
「本人も辛いものだったんだろうな……。耐え抜く痛みについては俺も読んでて感動したぞ。マジで」
和気藹々と雪ノ下と話していると由比ヶ浜がなんか頬っぺたを膨らませていた。
「むー!」
「どうした由比ヶ浜?」
「ヒッキーもゆきのんもあたしを除け者にしてない……?」
何を言うかと思えば……。
「俺と雪ノ下が読書をしているのは何時もの事だろうが。雪ノ下に至っては材木座妹の依頼を受けてるだけだし」
「確か由比ヶ浜さんも材木座さんから原稿を貰っていたわよね?それなら貴女もそれを読む事が出来ると思うのだけれど……」
「そ、それは……」
おい、目が泳いでるぞ。どんだけ本読むの嫌なんだよ……。
「……漫画だったら読めるんだけどなー」
「コミカライズの可能性ってあるのかしら?材木座さんこの作品なら漫画になっても面白そうだけれど……」
雪ノ下がここまで肯定的なのも珍しいな……。確かに材木座妹の小説がコミカライズ化すれば間違いなく買うと思うが……。
「確かに面白いだろうが、それまでの道は無茶苦茶険しいと思うぞ。この小説はかなり売れてはいるみたいだが、コミカライズ化するにはこれの10倍以上は売らないと厳しいぞ」
「そうなのね。創作の道というのも中々大変なのね……」
それにしても雪ノ下が材木座妹の作品のみとはいえラノベに興味を示すとは……。世の中何があるかわからないものだ。
ガラガラガラ!
「ひゃっはろー!」
……魔王が現れた。何故?
「……何の用かしら姉さん?」
「今俺達忙しいのでお帰り願います雪ノ下さん」
「雪乃ちゃんも比企谷君も冷たいなー」
何故雪ノ下さんが此処に来たんだ?
「それにしても熱心に何を読んでるの?」
「奉仕部の依頼として小説の原稿を読んでいるのよ」
「へぇ~」
雪ノ下は珍しく雪ノ下さんよりも原稿に集中している。
「そんなに面白いの?お姉ちゃんにも読ませてよ~!」
「あっ、ちょっ……」
雪ノ下さんは雪ノ下から原稿を引ったくろうとしている。おいおい……。止めるべきか?だが村人が魔王には勝てんし……。
「……そこまでにしておけ雪ノ下」
どう止めようかと考えていると扉から雪ノ下さんを止める人物がいた。同じ大学の人か……?
「いいじゃん。これも姉妹のスキンシップだよ~!」
「その妹さんが嫌がっているのだが……?」
「え~?」
おお……。あの雪ノ下さんと渡り合ってる。何者なんだあの人?
「済まないな妹さん。家でもコイツが迷惑をかけているだろう?」
「い、いえ。私は1人暮らしですので……」
雪ノ下もあの人に気圧されてるな。
「そうか。コイツの魔の手から逃れる為に1人暮らしを……。その気持ちは大いにわかるぞ」
「……君は私の事をどう思っているのかな~?」
「人を玩具にする悪魔だと思ってるよ」
……この人も雪ノ下さんの被害者なんだな。雪ノ下もなんか頷いてるし。
「あ、あの……。貴方は一体……?」
先程まで空気になっていた由比ヶ浜が質問する。
「……紹介が遅れたな。俺は相模雄一(ゆういち)。この学校に通っている妹と弟がこの奉仕部に世話になったらしいからな。本来なら高校時代にお世話になった平塚先生にアポイントを取って訪れようと思ったんだが、そこの悪魔に見つかってしまってな……」
自己紹介と共に遠い目をしている。この人も苦労してそうだな……ん?あれ?相模?
「相模って……もしかしてさがみんの妹ですか?」
「そのさがみんというのが南の事ならそうだ。文化祭では妹とそこにいる悪魔が迷惑をかけたな。兄として謝罪する」
どうやらこの人はあの相模の兄らしい。まぁ微妙に面影があるから意外ではないな。材木座妹と戸部弟に比べると驚きは薄い。
「し、謝罪は大丈夫ですあの件には私にも落ち度はありましたし……」
「そうそう!雪乃ちゃんも張り切り過ぎただけなんだよね~!」
「おまえはもっと反省しろ!そもそもおまえが妹さんを焚き付けなければこんな事にはならなかったんだぞ?」
「わかったって~!静ちゃんにもその件で散々絞られたんだからこれ以上は勘弁してよ~」
「平塚先生が怒るのも尤もだ。寧ろこれまで甘やかされてきたんじゃないのか?優等生だからだって……」
す、すげぇ。あの雪ノ下さんに説教をしている。相模兄、恐るべし!
~そして~
あれから15分くらい相模さんの説教は続いた。その間雪ノ下さんはぶー垂れていたし、雪ノ下はもっとやれと言わんばかりの表情でイキイキとしていた。
「うう~!足が痛い……」
「大学でも好き勝手やってたからな。先生からも雪ノ下の母親からも抑制を頼まれるこっちの身にもなってくれ……」
「お母さんとも繋がっていたとは……」
「俺だって好きで雪ノ下の母親と繋がっている訳じゃない」
この人が段々規格外に見えてきたな……。雪ノ下も尊敬の眼差しで相模さんを見ている。
「妹さん、これは俺のメールアドレスだ。コイツに対する愚痴とかがあったら吐き出してくれ」
「有り難く頂戴します」
「雪乃ちゃんを口説いてるの~?まずは私を倒してから……」
「おまえは少し黙れ……」
雪ノ下さんを黙らせた相模さんは再び俺達の方を向いた。
「……改めて奉仕部には妹や弟が迷惑をかけたな。オマケにコイツも。これからも迷惑をかけるかもしれんが、よろしく頼む。あんなんでも俺の家族だからな」
……やはりこの人も妹と弟を大切にしてるんだな。
「……はい」
「あ、あたし達に出来るかは不安ですけど……」
「奉仕部として精一杯頑張ります」
「うんうん、良い話だね~!」
「……再三言うが、妹の件はおまえにも原因がある事を忘れるなよ。ほら行くぞ!」
相模さんは雪ノ下さんの首根っこを掴んで退室した。
「……凄い人だったな」
「……ええ。あの姉さんと対等に渡り合っている人を初めて見たわ」
「さがみんのお兄さん、凄い苦労してそうだったね」
俺も雪ノ下も相模さんを偉大に感じた……。そんな1日だった。
新作の主人公は……?実装されたら少し設定変えます
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材木座義昭
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相模雄一
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氷上水乃