総武高校生徒のある人物に兄弟姉妹がいるのはまちがっている。   作:銅英雄

5 / 8
2人目(あふたー)

ある休日の事。俺は暇潰し用に読む本を求めて本屋へと立ち寄った。目当ては新刊のあの本だが……。

 

(おっ、まだ残っていたか)

 

どうやら目当ての本はあと一冊だったらしく、俺はそれに手を伸ばす……。

 

 

ピトッ。

 

 

……誰かと手が重なった。こういう時って漫画とかなら美少女と取る本が被ったとかで互いに譲り合う展開の筈なんだが。

 

「ひ、比企谷先輩……?」

 

(いやなんでだよ……)

 

手が重なった相手は戸部弟だった。何これ?海老名さんが近くに潜んでるのん?

 

「……おまえもこの本を買いに来たのか?」

 

「い、いえ、それは僕じゃなくて……」

 

戸部弟が相変わらず小さい声で何かモゴモゴと言っている。本当コイツ兄と性格が真逆だな……。

 

「卓、本一冊取るのにどれだけ時間をかけているのだ?」

 

戸部弟の背後から材木座妹が声をかける。

 

「ざ、材木座さん……。これはその……」

 

「……いや、何があったかは大体察する事が出来る。大方私が買おうとした本が最後の一冊で、取ろうと思ったら比企谷先輩と目的の本が被ったという訳だろう?」

 

いや凄いな材木座妹。実は見てたんじゃないの?

 

「……比企谷先輩、失礼致しました。この本は比企谷先輩にお譲りします」

 

「いや、そっちだってこの本が目的だろ?俺は急ぎで読みたい訳じゃないし、そっちが持っていってくれ」

 

「いえ、そういう訳には……」

 

「いやいや、そうしてくれ」

 

俺と材木座妹は互いに本を譲り合い、戸部弟はどうして良いかわからずにオロオロとしている。どうしたもんかな……?

 

 

~そして~

 

それから十数分の譲り合いの末本は材木座妹の元に渡った。俺はというと他の本を数冊買って近くのカフェで読み耽っている。ちなみに材木座妹と戸部弟も一緒。

 

「……先程はありがとうございます。読み終わり次第に比企谷先輩にお貸しします」

 

「いや良い。気にしないでゆっくり読んでくれ」

 

此処でも譲り合いが発動。話題を変える為に気になった事を聞いてみる。

 

「そういえば2人はなんで本屋にいたんだ?」

 

「え、えっと……。その……」

 

またもや戸部弟はモゴモゴと。俺が言うのもなんだが、色々と大丈夫なのか?その光景を見て溜め息を吐いた材木座妹が代わりに説明する。

 

「……執筆の方が一段落したから、気分転換に本屋に行こうとした途中で卓に会ったのです。行き先を言うと卓が買い物に付き合ってくれると言ったので、先のように本屋で私の手の届かない所にある本を卓に取ってもらおうと……」

 

材木座妹は諦めた目をして「ほら、自分はこのような背丈ですので……」と言っていた。

 

「材木座妹は休日でも制服なんだな」

 

「はい。私服で出歩くと背丈のせいで小学生と間違われる事が多々ありまして……。慣れはしていますが、そのままだと色々不便ですので、対策として常に制服で彷徨いています」

 

成程な……。羽川さんみたいな事情がなくて良かったぜ。

 

「それよりも卓、貴様は比企谷先輩に会ったら伝えたい事があるのではなかったか?」

 

「そ、そうでした……。比企谷先輩!」

 

「お、おう……?」

 

「兄を救ってくださってありがとうございました!」

 

俺が戸部を救う……?覚えがないんだが。

 

「どういう事だ……?」

 

「……兄はあの修学旅行……いえ、もっと前から比企谷先輩に救われているんです。兄はその事に気付いてはいませんが」

 

「修学旅行よりも前だと……?」

 

マジで覚えがないんだが……?

 

「それは去年の夏前に兄の携帯に送られたチェーンメールです。当時僕の様に人の顔色を伺う事しか出来なかった兄が僕に相談してきたんです。このままだと俺がチェーンメールの犯人にされてしまうと……」

 

……奉仕部に訪れた時から思っていたが、随分と頼られているんだな。あと戸部は弟に頼り過ぎだろ……。

 

「……俺はチェーンメールの問題を先延ばしにしただけだぞ?」

 

「ですがそのおかげで兄がチェーンメールの犯人に仕立てられずに済みました。兄と同じサッカーの葉山先輩も「比企谷に助けられた。あいつは凄い奴だよ」とも言っていました」

 

まさか葉山とも繋がっていたとは……。戸部弟、恐ろしい子!

 

「……さっきも言ったが、俺は問題を先延ばしにしただけだ。修学旅行の件もそうだが、礼を言われるような事はしていない」

 

「それでも……。僕が言いたかったので、言わせていただきます。ありがとうございました」

 

「ふっ……。そうかよ」

 

戸部弟は兄の事を本当に大切にしているから、本気で心配していた……。やはり千葉の兄弟姉妹は総じてブラコン、シスコンなんだな……。

 

「……卓の兄も幸せ者だな。こんなに心配してくれる人間もそうはいないぞ」

 

「ぼ、僕はそんな大層な人間じゃ……」

 

「胸を張れ卓。家族を大切にするというのは誇れる事だぞ?」

 

「……ありがとう。材木座さん」

 

……どうでも良いけど、俺の前でイチャイチャしないでくれる?

新作の主人公は……?実装されたら少し設定変えます

  • 材木座義昭
  • 相模雄一
  • 氷上水乃
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。