総武高校生徒のある人物に兄弟姉妹がいるのはまちがっている。 作:銅英雄
今日由比ヶ浜は三浦達と遊びに行くと言って休み。一色も生徒会で頑張っている。後で駆り出されないだろうな……?
ガラガラガラ!
「ひゃっはろー!」
……魔王が現れた。何このデジャブ?
「姉さん、今すぐ帰りなさい」
「……ねぇ雪乃ちゃん雄一君に会ってから冷たくなってない?」
「何時まで雄一先輩に寄生するつもりかしら?恥を知ってほしいわ」
ちなみに雪ノ下は相模さんの事を名前で呼んでいる。あの喫茶店で愚痴を言い合って以来名前で呼ぶようになった。相模さんも雪ノ下の事を名前で呼ぶ。2人に恋愛感情がある訳じゃなくて、雪乃さんによる被害を愚痴り合ってはまるでソウルメイトのようになっていた。
「そ、それよりも雪ノ下さんは何か用があるんじゃないんですか?」
とりあえず話題を変えよう。このままだと色々不味い!
「あっ、そうそう!雪乃ちゃんに重大な発表があるんだよ」
「……どうせくだらない事でしょう?」
「そんな事ないよ~」
雪ノ下さんの重大発表は微妙に気になるな。茶化すような言い方じゃなくて真剣な表情してるし。
「実はね……」
「勿体振らないで早く言いなさい」
「……じゃあ言うね。なんと雪乃ちゃんにはもう1人お姉ちゃんがいます!」
『は……?』
俺と雪ノ下の声が重なった。雪ノ下にもう1人姉がいるだと?
「驚いたでしょ?実は私も最近知ったんだよね」
雪ノ下さんも最近まで知らなかったらしい。
「今日はその子と一緒に来てるから、雪乃ちゃんには会って話をしてほしいんだ」
「い、いきなりそんな事を言われても……。そもそも向こうだって突然でビックリしてるに決まってるわ」
「その子も承知の上で来てもらってるよ」
あの、それって俺がいて良いの?今すぐ帰った方が良くない?
「比企谷君も話を聞いてもらうよ。私もいるから心配しないでね!」
なんで……?しかも雪ノ下さんもいるとか不安しかないんだけど……。
「じゃあ私はその子を連れてくるから」
雪ノ下さんは雪ノ下のもう1人の姉なる人物を呼びに行った。
~そして~
「紹介するね。今は氷上家で暮らしているけど、雪乃ちゃんの双子の姉の……」
「え、えっと……。ご紹介に預かりました。氷上水乃(ひかみみずの)です」
「ゆ、雪ノ下雪乃です……」
……なんだこの気まずい空気。
氷上水乃と名乗った雪ノ下の双子の姉は海浜総合の制服を着ており、雪ノ下と並んで見ると確かに瓜二つだ。外見の違いは氷上の方は雪ノ下がしているリボンをしてないくらいか……?
「……本日は陽乃さんの我が儘を聞いてくれてありがとうございます」
「敬語はなしで大丈夫よ水乃さん。……ごめんなさい。いきなりの事過ぎてまだ貴女を姉だと認識出来ないのだけれど」
「ああうん、そうだろうね……。私も陽乃さんの突拍子に巻き込まれる側の人間だから、雪乃さんがそう思う気持ちも良くわかるよ」
氷上が物凄く遠い目をしている。きっと雪ノ下さんに引き摺られて来たんだろうな……。
「そんな水乃さんには『雪ノ下陽乃被害者の会』の会員に招待するわ」
いや、本当に相模さんとその会合を作ったのかよ……。
「えっ……?」
「ちなみにそこにいる男子生徒も会員メンバーよ」
だから俺を巻き込むな!
「あ、あの?雪乃ちゃん?本人がいる目の前でそんな事を言われても困るんだけど……」
「あら、まだいたのね姉さん。さっさと帰ったらどうかしら?後は私達で十分よ。突然知らされたとはいえ、水乃さんとゆっくり話してみたいから……」
良い事言ってる風だけど、しれっと雪ノ下さんに帰れって言ってるよね?邪魔者扱いしてるよね?なんか相模さんと出会ってから雪ノ下が逞しくなったな……。
「うんうん、良い事を言ってる風だけど、お姉ちゃんを邪魔者扱いしてるよね?」
「だとしたらどうなのかしら?」
あっ、雪ノ下さんが崩れ落ちた。
「……ごめん水乃ちゃん。私これから用事があるから帰るね」
「えっ?あっ、はい。わかりました」
「ごゆっくりー!!」
雪ノ下さんは魂の叫びをあげて退室した。……これ後が怖くないか?
「……水乃さん、貴女は何時から私達が血の繋がった姉妹……それも双子だってわかったのかしら?」
ねぇ、これ俺もいて良いの?帰るタイミング逃しちゃったから帰り辛いんだけど……?
「う~ん……。どこから話せば良いのか……」
氷上はその事を話すのに抵抗はないみたいだが、どの部分から話せば良いのか悩んでるみたいだ。
「……まずは私がどうして雪ノ下家にいないのかを話す必要があるね。17年前に超大型の台風が来たって話は家族から聞いた事があるかな?」
「……その話は以前父から聞いたような気がするわ。小学6年生くらいかしら?そういえばその時にお姉ちゃんがいたと言っていたような……」
「うん、私もそれくらいの時に父さんからその話を聞いた。初めて聞いた時はそんな話ある訳ないって思ったよ」
どうやら雪ノ下と氷上は同じくらいのタイミングでそれぞれの父親から同じ話を聞いたらしい。
「その台風によって私は流されてしまったんだ……」
「そうなのね……」
17年前の大型台風の話はかなり有名な事件で千葉の復興がかなり遅れたらしいな。まぁその頃の俺達は手のかかる赤ん坊だったけど……。
「……そこで私を拾ってくれたのが今の父さん。父さんは私の事を捨て子だと思っていたようで、私を育てる事にしたんだ。まぁそれは数年後に勘違いってわかる訳だけど……」
ラノベとかで良くある展開だな。氷上って実は主人公気質?
「……そして小学6年生の夏頃に父さんから真実を告げられた。その時は何を言っているのか理解出来ずにいたよ。何せいきなり血が繋がってないって言われたんだからね」
「……その話を聞いて水乃さんはどう思ったのかしら?」
「……話を聞いた当時は色々な感情がグルグルしてたから、訳がわからなくなって、感極まって家を飛び出したんだ」
まぁ気持ちはわかるな。俺も小町と兄妹じゃないって言われたら飛び出し……いや待てよ?それなら小町と結婚出来るんじゃ……ないな。余計な事は考えないでおこう……。
「……暫く頭を冷やして考えた結果、私の家族はやっぱり父さん達なんだって思ったよ。経緯はどうであれ私を育ててくれたのは今の父さんと母さんだしね」
「そう……。水乃さんは強いのね」
「……私は全然強くないよ。寧ろ弱い。陽乃さんを見ていると改めて自分は弱いんだと実感するよ」
「……それでも私からすれば水乃さんはとても強いわ」
「……ありがとう雪乃さん」
良い話だな……!俺そろそろ帰って良いかな?
「水乃さん、良かったらこの後私の家で話さない?」
「えっ?でも雪乃さんは大丈夫なの?」
「問題ないわ。私は1人暮らしなの。水乃さんは大丈夫なら……」
「……実は私も今親元を離れて1人暮らしをしてるんだ。自立する為にね」
「その事も詳しく聞きたいわ。是非私の住んでるマンションに来て」
「……うん、わかった。陽乃さんに言われて此処に来た感はあるけど、血の繋がった妹ともっと話がしたいから」
「では行きましょう」
「わっ……!」
雪ノ下はイキイキとした表情で、氷上はそんな雪ノ下に引っ張られていった。氷上の方は俺を見て申し訳なさそうにしている。
「……俺も帰るか」
いる意味なかったな。俺……。
新作の主人公は……?実装されたら少し設定変えます
-
材木座義昭
-
相模雄一
-
氷上水乃