盾のヒーローと幼馴染の電撃姫   作:虹姫琴魅

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5話 電撃姫の回想5

「クソデクがぁぁぁ!!、テメェは、武術じゃなくてパルクール習ってんのかぁぁぁ!!、絶てぇぇぇ逃さねぇぇからなぁぁ!!」

 

そう叫びながら出久に向かって急降下爆撃機よろしく4階の高さから降下してくる爆豪を出久は、横っ飛びで避けると遮蔽物の無い広い校庭では、空中を移動する爆豪を躱し続けるのは厳しいと考え校舎裏へと走っていく。

 

防災倉庫の上に飛び乗るとその横にある体育倉庫の屋根に飛び移る。

勢いを殺さずにそのまま体育館へとジャンプすると体育館の2階通路(ランニングコース)の窓の外枠に捕まり屋根の縁へと飛び両手で屋根の縁を掴むと屋根によじ登る。

 

アーチ状の屋根の上をフェイントを織り交ぜまた、傾斜の高低差を利用し逃げ続けるが、爆豪は、両手足の爆破を上手くコントロールし引き離されることなく時には、先回りし徐々に出久の行動範囲を狭めていく。

 

出久は、何とか状況を打破し逃げようとさらに細かいフェイントを入れ引き離そうとするが……

 

ボンボンボンボンボンボンとマシンガンの様に連続した小爆発音が響く

 

思わず後ろを振り返り音の正体を確認しようとした出久が見たものは‥‥‥

 

両足の爆破を推進力とし両腕の指先に汗を集め順番に連続して小爆破することで一昔前のシューティングゲームの自機のドット移動のように細かい方向調整、移動調整をしている爆豪の姿だった。

 

えっ、嘘だ…あのマシンガンみたいな連続爆破を爆破方向、爆発力を完璧にコントールしてるの!?

 

「凄いや、かっちゃん、何時の間にそんな個性の精密操作出来るようになったのさ」

 

「あったりめぇだ!!、テメェが、ネズミ見てぇぇにチョロチョロ逃げ回るかなぁぁぁ!! なら、機動性と運動性をあげるしかねぇぇだろうがぁぁぁ!!」

 

体育館の屋根に逃げ場がないと判断した出久は、体育館の入り口側に走り、校舎から体育館の入り口まで続く外通路の屋根に飛び降りる。その勢いのまま地面に飛び降りようとするが、攻撃的な気の流れを感じ外通路の屋根の縁で止まるとその目の前を爆炎が炎の帯のように出久の行き先を遮った。

 

この爆炎は、直接攻撃じゃない、僕の移動範囲を制限する為の…そう思い、バックステップで逆方向の地面に飛ぼうとするが

 

「もう、遅ぇぇぇ!!、俺様の勝ちだ!! クソデクゥゥ!」

 

そう叫びながら全速で出久へ突っ込んできた爆豪の手が出久の襟首を掴む瞬間、出久と爆豪の顔面を水の膜が覆ったのだ。

 

突然の事に二人は、水を飲み込み、肺の空気を吐き出してしまう。頭を振り手で水を払おうとするが、水は二人の顔に張り付いたままだ。

 

何とか払おうするが、丁度、洗面器一杯分の水が二人の顔面に張り付いている。

 

たかが、洗面器1杯分の水と馬鹿にすることなかれ…人は、洗面器1杯分の水で溺死することがあるのだ。

 

二人の顔に張り付いた水は、6秒ほどすると流れ落ちる。

 

飲んだ水を吐き出し、新鮮な空気を求め咳き込む二人に

 

「まったく、50超えたおっさんをあっちこっち走り回せやがって」

 

そう言って二人の頭に拳骨を落としたのは、ガタイのいい、角切り頭に銀縁眼鏡をかけた男だった。

 

ちなみに、先ほどの水は、この男の個性【水操作】である。

 

「いてぇな、ただ追いかけっこしてただけだろうが、あと殴る前に口で言え、前田」

 

「教師を呼び捨てにするな、そもそも爆豪な、俺はな何度も言っているはずだぞ…個性の無断使用をするな!!とな」

 

「でも、先生、いきなり個性は無いと思います。かなり苦しかったですし。」

 

「あのな、緑谷、先生は、最初の爆音を聞いてから職員室飛び出して、二人を見つけた時からずっと【やめんかーっ】と怒鳴りながら追いかけてたんだぞ」

 

それを聞いた出久は、「あ~」と呟くと「かっちゃんの爆音で声が届かなかったんですね」

 

54歳という年齢で全集中の呼吸で身体強化をしている出久、両手足の4点バーストでスピード、機動性、運動性を段違いに上げた爆豪の二人の追いかけっこを大声で怒鳴りながら追いかけていたのだから…それは、しんどかっただろうと出久は、流石にばつが悪く苦笑いしてしまう。

 

「それなのに出久は、4階からダイブするし…ポールに手が届かなかった怪我じゃ済まないんだぞ、爆豪も当てる気はないようだったが人に向けてあの威力の爆炎を放つし…お前ら少し自重しろ!!」

 

「気を付けます」と返事をする出久に対し

 

「ちっ、しょうがねぇーな、今日のところは、この辺で終わりにしてやる」プイッと顔を横に背けながら言う爆豪

 

「今日じゃない、これからもだ」念を押すように前田先生が言う

 

これまでの様子を屋上で見ていた私は、追いかけっこも終わり、昼休みも残りわずかなのを確認すると磁力を操り屋上から2階の非常階段の踊り場まで一直線に降りると

 

「そろそろ昼休みが、終わるわよ」校舎裏の非常階段の踊り場から出久に声をかけると

 

 

「今日は、デクを捕まえたからな、次は、クソアマテメェだ」と私に指をさしながら爆豪が叫んでくる。

 

小学校に上がってしばらくして、あまりに出久に対する態度が酷く、虐めの度も過ぎていた為、一度、思わずこんがりと焼いてしまった事があり、その後、度々勝負を挑まれることがある。

 

私の個性は、幼稚園で100万ボルト、小学校1年500万、6年生で3億ボルトまで上がっている。しかもお爺ちゃんとの訓練で個性扱いもずっと行ているし、全集中の呼吸もマスターしている。

 

出久に対する態度が、酷かったため、爆豪への第一印象が悪かったこともありその都度こんがり焼いていたのだった。

 

より強くなろうとする姿勢には、多少の好感も持ち始めていた。

 

態度と言葉遣いをもう少し何とかすればなと思いながら

 

「チャイムが、鳴るまで後2分だよ、前田先生が居るんだから、個性は使えないわよ」と二人に言うと…

 

次の授業の黒木先生が、時間に厳しく説教も矢鱈と長いことを思い出したのか、二人は、慌てて教室へと走っていく。

 

その様子を見届けた美琴も非常口から校内に入り、非常口側の教室に戻るのだった。




この世界の爆豪は、美琴という自分よりも強い個性持っている存在を小1で知ったため多少、丸くなっています。

美琴に勝つのを諦めたわけでなく、勝つための努力を惜しまないと言う事と上には上がいることを知り、その上に行くには、出久よりも努力してやろうと思っています。

次話、雄英高校入学から冬休み前までをダイジェストでお送りして盾の世界へ行く予定です。

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