ヘイ!タクシー!   作:4m

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始まりのレター06

どうにか回復したりあむサンを連れて、

浮いたような気持ちのままスタジオへと赴く

なかなか無い機会だ、緊張が高まる

着いたのは照明がいくつも並ぶスタジオ

手慣れているのかすぐに撮影場所へと動く

いつもテレビで見るような笑顔に切り替わり

ルンルン気分とでも言うべきなのだろうか

かなり楽しんでいるように見える

 

「すごい···、テレビで観るのと全く同じ。これがプロ···、モノホンのアイドルなのか」

 

りあむサンがそう言う

二人はカメラの前で多種多彩な表情で写真を撮り、カメラマンの人の要求に応えていた

それだけではなく、自分たちからもこうしたほうがいいかもなどと提案するなど、自分たちの魅力が一体どこにあるのかがわかっているかのように振る舞う

セルフプロデュースとでもいうのだろうか

プロデューサーがいなくても、するべきことを理解している様子だった

 

「これがプロ···」

「そう言ってくれると嬉しいよ」

 

自分の呟きに背後から返事が返ってくる

振り返ると、そこにはスーツ姿の男性が一人立っていた

首からかけているネームプレートには''346プロダクション''の一文が入っていたので社員には間違いない

だが···

 

「ん?どうかした?」

 

若干、男性を見下ろすような形になってしまっていた

#···子供?

 

「あはは~、おにーさん小さーい」

「な!?」

 

自分がどう反応を返したらいいか迷っていたがその空気をりあむサンがぶち壊す

ゲームでももう少し状況を判断して行動すると思う

 

「これでもちゃんとプロデューサーなんだぞ。くぅ···やっぱりそう見られるのかぁ、梨沙といいありすといい、女の子は容赦ないなぁ···」

「あの···、全員が全員そうではないと思うのでそこまで落ち込まなくてもいいと思いマス。世の中色んな人がいますし」

「そうだよプロデューサー···さん?ぼくだってよく人に見られるもん、ちょっと胸がおっきいから」

 

そう言ってりあむサンは自分の胸に両手を当てて少し持ち上げるようにして揺らす

その全くフォローになっていないりあむサンにプロデューサーはこらこらっ!と子供のようにたじろいでいた

···やっぱりこっちもこっちで子供っぽい

 

「あっ!プロデューサーだー!」

「ホントだ☆、Pくーん!」

 

撮影を終えて、こちらの様子に気づいた二人が駆け寄ってくる

照明で暑かったのか若干額に浮かんでいた汗をプロデューサーから受け取ったタオルで拭き取っていた

 

「今日はどうしたのー?梨沙ちゃんたちのほうに行くって言ってなかった?」

「そっちが予定より早く終わったから様子を見に来たんだ。梨沙が行ってやれ行ってやれって聞かなくてさ、丁度新人たちもいるからって挨拶にね」

「そうだよ☆!あきらちゃんに、りあむちゃん!」

 

莉嘉ちゃんに続いて、自分たちは遅れて挨拶すると、プロデューサーは自分たちに名刺をくれた

 

「よろしくね、まぁあのプロデューサーも···悪い奴じゃないからさ、きっと君たちを導いてくれる筈だ。彼を信じてあげてくれ」

「すごーいPくん!大人みたーい」

「いやいやっ!俺大人だから!梨沙みたいなこと言わないでくれ!って自分で言って悲しくなる!」

 

三人ともとても仲が良いのか、莉嘉ちゃんとみりあちゃんにからかわれながらもプロデューサーは半分面白おかしく笑いながら接していた

この距離感だからこそ、仕事も楽しく続けているのかもしれない

 

「みりあたちはもう終わりなんだけどー···、

ねぇねぇプロデューサー!あのねっ!やってみたいことがあるんだけどっ!」

「なんだ?···うん···なるほど、それはカメラマンの人に聞いてみないとわからないな」

「じゃっ、聞いてくる!」

 

みりあちゃんが何かをプロデューサーに耳打ちしたあとに、編集作業に入っていたカメラマンの人の元へ駆け寄っていくと、何やら相談事を始めていた

 

「なになに?何なの?ぼくたち何かさせられるの?」

「まぁまぁりあむちゃん、待ってて待ってて☆」

 

そして良い返事が貰えたのか、みりあちゃんはその顔に満面の笑みを浮かべながらこちらへと戻ってくる

カメラマンの人は再びカメラを持ち、撮影スペースへと入った

 

「あのねっ!せっかくなんだから二人も一緒に写真撮ろうよ!346プロに入った記念!」

「ぶえぇぇぇ!?」

「いや、あの···まだ自分たちは入ると決めたわけでは···」

 

そう言ってプロデューサーの反応を伺うが、半分諦めたような表情で首を縦に振っていた

りあむサンも困ったような表情をしながらも口元がゆるんでおり、莉嘉ちゃんはみりあちゃんの話を聞いた瞬間にキラキラした目をこちらに向けて準備万端になっている

 

「早く終わっちゃって時間余っちゃったし、いいよいいよ。さぁ、お二人さん、どうぞ中へ」

 

自分たちが迷っていると、カメラマンの人からも声が掛かる

カメラを操作して準備が整ったようだ

 

「ほら早く早くっ!」

 

するとみりあちゃんは自分とりあむサンの手を引っ張っていき、その後ろから莉嘉ちゃんが背中を押してくる

そうして強引に撮影スペースへと連れていかれた自分たちは、みりあちゃんと莉嘉ちゃんにレクチャーを受けながらポーズをとるのだった

カッコいいものから可愛いものまで、346プロに入ると様々な、ホンッットに色々な仕事が舞い込んでくるの☆、とのことなので経験が大事っ!とみりあちゃんにも後押しされながら撮影が続いた

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「···やっぱりあいつら有名なんだな」

 

と、ため息をつきながら、俺は街中の書店でひな先輩に頼まれた事務所用の雑誌を探していた

本棚に並ぶファッション雑誌を見ると必ずといってもいいほどに、いつものメンバーの誰かしらが写っていた

新人···、あのピンク髪の···りあむって言ってたか

変に絡んでくる割には、割りとメンタルが弱いのかギャーギャー叫びながらシートにしがみついていて、車から降りた途端に愚痴と共に色々と吐き出しながら建物へと入っていった

現代っぽい、いわゆるギャルとかそういう部類に分類されるのか、学生なのかどうかはわからないが

 

一方で、マスクをした制服姿のJKは比較的落ち着いていて、乗り物に乗るのは慣れているのか、全くケロッとした様子でりあむのサポートにまわっていた

あきら··とかいったかな

とにかく性質がほぼ真逆の二人がどうなっていくのか面白そうではある

 

ふと手に取った雑誌に美嘉姉ちゃんが写っていた

···あのりあむはギャルではないな、天然モノはすでに何人かいるし

目的の雑誌を見つけると、俺は一冊手に取りついでに漫画のコーナーへと赴く

ああ、これ新刊が出てるのか、未央が読んでいたな

こっちも、前に本屋ちゃんが食いついてたやつだ、買って置いといてやるか···ダメだ、頭の中があいつら中心に回り始めてる

ファンとは違うベクトルで頭の片隅にアイドルが在中しているような状態になってる

違う違う、いつもの自分を取り戻すんだ

そう簡単にポンポンとアイドルに会ってたまるか

 

まぁ、これは買っておいてやろう

俺はとりあえず棚から漫画の本を一冊抜き取ると、丁度その本が抜けた隙間から反対側にいた人と目が合った

 

···珍しい、紫色の瞳に、バッサリ切っているおかっぱのような前髪、そして頭の両サイドについているわたあめのような髪の毛の纏まり、それらも全部紫色で、丁度本を取ろうとしていた指先のマニキュアまで紫色だった

女の子···年齢的に、高校生くらいだろうか

 

目が合うこと数秒、その女の子は何かに気づいたのか目元がつり上がっていき、口元に手を当てて''むふふ~···''といやらしく笑みを浮かべ始めた

こんな知り合いいたかな?

 

「···っす」

 

と、俺はその場を去るのと同時に軽く頭を下げてレジへと向かう

···筈なのだが

 

反対側にいたその女の子は、俺の動きに合わせて移動を始める

俺が左へ行けば同じように動き、右に行けばまた同じように移動する

タイミングも歩数も距離も同じ、これじゃあ本棚の終わりで鉢合わせになってしまう

相手の女の子の様子を見てみるが、イタズラっぽく笑みを浮かべこの一連の流れを楽しんでいるかのようだ

なんだ?本当にどっかで会ったことあるか?

しかしレジは女の子側の背後にある

何とかして突破しないと

 

「マミミー、何やっとるーん?探し物見つかったとー?」

 

シメたっ、知り合いと来ていたようで助かった

連れに話し掛けられてる隙に突破すればこっちのものだ

そうして俺は話している女の子たちの横を通りすぎ、レジへと向かうことができt

「えーんえーん」

「マミミ?どうしたと?どこか痛いとこあると!?」

 

···突然その紫髪の女の子が泣き出し、というかどこからどう見ても嘘泣きだけど下をうつむいてわざとらしく両手で顔を隠す

その一連の流れに思わず足を止めた

 

「あの人にナンパされたー、えーんえーん」

「なっ···!なっ!?」

 

突然そんなことをその紫髪の女の子に指差されて言われたものだから俺も驚いていると、その方言混じりの、頭につけた大きなリボンが特徴的な女の子と目が合う

相手も驚いた表情からみるみるうちに目がつり上がっていき、両手に握り拳を作りながらこちらに向かってスタスタ歩いてくるのだった

 

「ちょっとお兄さん!マミミをナンパしよったって!?なんばしよっと!!」

「おいおいおい、待て待て待て。マジで俺はなんにもしてないって」

「あんたみたいな兄ちゃんはみんなそう言う!!みてくれだけで騙されんたい!ウチは詳しいんよ!!」

 

そう息巻いてくる女の子に俺は後ずさりすると、いつの間にか背後にいる誰かに背中が当たる

謝ろうと振り向くと、そこにはそこそこ背の高い···俺と同じくらいあるんじゃないか?

ポニーテールの良く似合う制服姿の女の子が腕を組んで立っていた

 

「おや、君がうちのプリンセスにイタズラした狼さんかな?その話、私にも詳しく聞かせてくれないかい?」

 

どちらかというとカッコいい、王子さま系とでもいうのだろうか、そんな女の子が威圧的な背後と、プリプリ怒りながら正面から迫ってくるリボンの女の子

万事休すかと思い立ちすくんでいると、リボンの女の子の表情が徐々に和らいでくる

 

そしたら今度は顎に手を当てて、俺に見覚えがあるのか観察を始めた

 

「···あぁぁー!!お兄さん、あの時の!」

「ん?なんだい?コガネの知り合いかい?」

「···なんだ?」

 

どこかで会ったか?この子

そのやり取りを見ていた俺の背後のポニーテールの女の子も不思議そうな表情を浮かべる

 

「···マミミ~?」

「ヤバッ」

 

完全に蚊帳の外になって面白そうに俺たちのやり取りを見ていた紫髪の女の子は、その振り返ったリボンの女の子と目が合うとバツが悪そうな表情になる

 

「騙したとね~!?」

「ごめんなさーい」

 

そう言いながらリボンの女の子に両肩に手を置かれて前後に揺らされていた

一体何なんだこの集団は

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