子どものようだと聞いてはいた
零次さん零次さんとみんなに慕われていて
まるで兄貴分のように扱われている
でも、やはり納得がいかない
飲み物を飲みながら窓から下を覗く
これからの事を考えるとやはり検討すべきだ
遠かれ近かれ悪影響が出るに決まっている
大人の態度で接するべきなのだ
「私は、プロデューサーさんの考えていることは間違ってないと思いますよ」
会議室を片付けている千川さんが、後ろから声を掛けてくる
一瞬それに振り向くと、そう言う割には千川さんは変わらない笑顔で俺の事を見るのだった
そしてまた窓から下を見ると、バスの横で彼は彼女たちに向かって乱暴な言葉を投げ掛けている
「あんな風に言う人は、彼以外にいませんから」
「···そうなんです」
俺は窓から離れて、自分が会議で座っていた席へと再び腰を下ろした
「もっと、紳士に接してあげるべきなんです。ただでさえ彼女たちの年頃は複雑なんです、そんな多感な時期にアレでは、先の将来に悪影響が出る気がしてならないんです!」
そうだ、彼女たちはまだ子どもなのだ
いくら世間に出ているといってもまだまだ学ぶこと、知らないことが沢山ある
それが間違った方向へ進んでしまっては···考えただけでもゾッとする
我々''大人''は、子どもの前では誰だって教育者なのだ
「···でも」
千川さんは俺の言葉を遮り返事をする
俺は話すのをやめて、目の前に置いたコーヒーのペットボトルを少し握りしめ、次の言葉を待った
「確かに私たちと言い方は違いますが、彼が言っていることは間違ってはいないと思います。今までも、そういうことがありましたから」
再び窓の外から彼女たちと彼が言い争う声が聞こえる
それはまるで友達と喧嘩をするような、とても大人と子どもというような感じではない
「···きっと、そんな人だからこそ、アイドルのみんなも気兼ねなく話せるのだと思いますよ?何だか思い詰めたような顔をした子も、零次さんと話した後にはスッキリしたような感じになってましたから」
「···しかし」
やはり俺は、まだ認めるわけにはいかない
大人としての紳士な対応、それが理想なのだ
ルールを守り、秩序を重んじて、常識を持って彼女たちと接する
それが大人なのだと
「そうだ。明日、みんなで歓迎会をやるんですよ。まだ入社するって決まったわけじゃないのに、みんながどんどん話を進めていってしまって。''それなら歓迎会で私たちのことを知ってもらおう!''って、普通逆ですよね、ふふふっ。プロデューサーさんも来ますよね?」
「俺はその···まとめなければならない資料がたまっていまして」
「プロデューサーさん、何事も''お勉強''ですよ。そういう場でこそ、普段とは違う彼女たちが見れるかもしれないんですからっ」
はいっ、と千川さんは手に持っていた資料の中から一枚の紙を取り出して、俺に見せてくる
それは女の子らしいかわいい文字で描かれた歓迎会の招待状だった
よく見ると、ところどころ筆跡が違う
「最近は忙しいので来れる人たちだけですが、それでもみんな久しぶりの集まりということで楽しそうにそれを書いていましたよ?」
「···そうですか」
「それでは、お疲れ様でした」
俺は千川さんからそのA4の紙を一枚受け取ると、彼女はそれに満足したのか一つ笑顔を浮かべて部屋を出ていってしまう
その手紙を片手に再度窓際へ行って下を覗くと、先程から変わらずに言い争う声が聞こえてくる
やはり俺にはまだ、アレが彼女たちにとって良いとは思えない
ーーーーーーーーーー
「あぁもうまったく中びしょ濡れだし、こんな時に限って替えの着替えはないし、これも全部零次さんのせいだ!」
「まぁまぁ、奈緒。もう少しで家だからいいじゃん」
あんなことがあったのに、凛はいつもの調子を崩さずレッスン着が入ってるカバンをお尻の後ろで両手で持ちながら前をトコトコ歩いている
大きな交差点を越え、女子寮へと続いていく道を夕陽をバックに二人で歩いていた
「どうせなら送ってってもらいたかったよなー、加蓮はしょうがなかったとしてさ」
「定員オーバーだったから仕方ないよ。それに、今日は私の家とは反対方向だったし」
「そうだけどせめて近くまでさー」
「はい、これも」
「とっとっと、おぉ」
途中入ったスーパーで、凛は携帯のメモ帳を片手に持ったままあたしが持っている買い物かごに次から次へと物を入れていく
パンにお菓子にアイスに食材、そして調味料と様々な物が放り込まれ、そこそこの重さになっていった
「···それに」
レジへと向かい、凛は財布からお金を取り出して、レジの受け皿に置く
会計が済むと、そのまま近くの台の上にかごを乗せて、カバンから出したエコバッグへと品物を入れていくのだった
「あんまり頼りすぎっていうのも、あの人疲れちゃうかなって。今日だって、休日なのにわざわざ来てくれたんだよ?」
台の中央にある小箱からアイス用のスプーンと、デザート用のプラスチックのスプーンをそれぞれ何個か取り出すと、あたしはそのエコバッグに入れた
凛は''ありがと''と一言返事をすると、そのまま二人スーパーを出て、再び路地を歩きだす
「···だから、少しは零次に頼らないで自分たちで解決するのもどうかなって思い始めたんだ」
「そりゃそうだけど···、って凛、いま''零次''って」
「うん?、うん」
凛はその発言を気にすることなく、女子寮の前を通りすぎた
「たまに、呼び捨てで呼ぶよ。''零次''って」
「零次さん怒りそー。ただでさえその呼び方で小さい子たちに振り回されてるのに」
「···たまに生意気だって怒られるけど」
「ダメじゃんかよ!」
でも凛は子どもたちもそう呼んでるんだから私も別にいいじゃんと押しきると、零次さんもしぶしぶ黙認する形で認めたらしい
段々とあの人も染められてきてる気がするな···
そんなことを気にする素振りもなく、エコバッグを片手に凛は歩いていく
やっぱり、あの人はまだよくわからない
子どもっぽいし···でも車はバンバン運転するし
体だけ大きい子ども?みたいな、でも話しやすいし···
あぁもう!わからない!考えるのをやめよう!
そうこうしているうちに凛はいつもの場所の、いつもの駐車場に、いつものように入っていった
「後輩も入ってくるみたいだし、自分たちで何とかできることは増やしていかないとね」
「···」
駐車場の一つのスペース、地面に番号が書かれた場所のアパート側に設置されている物置の扉を開けて、中に置いてあった工具の沢山入った工具箱の上の蓋を開ける
それから二番目の引き出しを引いて開けると、凛はそこに入っていた鍵を取り出した
「今度は逆に、私たちが助けられるようになったら···なんて考えてたり。あ、でもダメだよ。響子から''あの人は甘やかし過ぎたらダメ''って言われてるから程々にしないと私が怒られちゃうし」
「···」
工具箱を元の状態に戻し、物置の扉を閉めると、あたしたちはエレベーターへと乗り込み三階へと向かう
そして奥の方にある一室の扉を凛がさっき取ってきた鍵で開けると中へと入っていった
「ただいまー。···って今日は誰もいないんだ。あ、奈緒、そのエコバッグ、キッチンに置いてくれない?」
「って説得力ねーよ!!」
玄関で壁に手をつきながら靴を脱いで何も気にすることなく中へと入っていく凛を追いかけながらあたしはこの一連の流れに我慢できずツッコんだ
「これは別に甘やかしてるわけじゃないし、それに響子から''あまり冷蔵庫を空にしないで''って言われてるから。そうじゃないとあの人適当なモノで済ませちゃうから、奈緒だって来たことあるじゃん」
「いやそうだけども!ここまでしなくていいんじゃないか?」
「私は忘れ物取りに来たついでだし、いつもやってるわけじゃないよ。私の他にも···響子もそうだしゆかりとか、千枝とか···裕美とか」
指折り数える凛に、あたしは考えた
それって···かわるがわるいつも誰かしら来てたら毎日来てるのと変わらないんじゃないかなと
「別にみんなそこまで何かしてるわけじゃないし、いいんじゃない?日頃お世話になってるんだし」
「いや、そりゃそうだけど···」
あたしは凛に言われた通りにキッチンにエコバッグを置いて、中の物を冷蔵庫に入れる
その間に凛は寝室にあるクローゼットの中から自分の着替えを取り出して着替えていた
濡れてしまった下着も取り替えて、下着姿のまま脇に置いてある洗濯かごに入れて洗面所へと持っていく
あたしはその間に食材を片付け、リビングに散らばっている小物も片付ける
ほとんどがあたしたちの持ち物だ
これは···和久井さんのボールペンだし
···知らない間にまた来るメンバーが増えてるな
「あ、奈緒ありがと。で、んーと···どこにいったかな」
「そこで間違いないのか?」
「うん、たぶん。ここで使ったし」
凛は忘れ物を探して寝室のベッドに向かう
枕元辺りに手を突っ込んであたしにお尻を向けながらベッドの上に四つん這いになって探していた
っていうかまず服着ろよ、下着姿のままじゃ寒くないか?
「えーと···あったあった。これこれ」
そしてベッドの枕のほう、横に置いてある引き出しがついているテーブルとの間の狭い隙間に凛は手を突っ込んで引き抜くと、その手には凛の写真と名前、そして学校名が入っているカードが表紙の透明な窓がついているポケットに入っている二つ織りの学生証があった
「やっぱりここだったんだ。まぁ、ここでカバンから取り出したのは覚えてたから」
「···なぁ、何で学生証がこんなところにあるんだよ」
「···あ、知りたい?知りたいんだ奈緒」
「いや、まぁ、何となく気になっただけだけど、っていうかまず服来たら?」
すると凛は何だか、恥ずかしそうな顔をしてはにかんで、その四つん這いになっていた体勢を変えて、あたしのほうに向き直る
次にその枕元の壁際に背中をつけると、そのままそこに寄りかかって枕の上に座り込み、凛はそのまま足を開いた
「り、り、凛?」
「で、この学生証を···」
そして開いた足の間、大切な部分を隠すようパンツに寄りかかるように学生証をそっと立て掛けて、右手をパーに開いて目元を隠し、左手をパーに開いて私に顔の横で手のひらを向ける
「な、な、な、なっ···!」
「記念に写真、撮りたいって言われたから」
「あの男ぉぉぉぉぉ!!!」
みるみるうちにあたしの顔が赤くなり、頭の中に色々な考えが浮かんでくる
自分の想像力がフルに発揮され、色々な体i···じゃない、そうじゃない!
ああ!色んな考えが浮かんでくる!
ダメだダメだ!まだ決めつけちゃだめだ!
「な、な、何のことかさっ···!さっぱりわからないな!?全然もう!さっぱりわからないからな!」
「ちなみにその時は何も着てなかったから、ちょっと見えちゃってるかも。学生証横にして置いたから、隠しきれてないし」
「···」
「それにこの両手の開いてる指の本数、指一本一万円。遊びが二万。本番四万。ゴム無しで八万。そのまま最後までが十万」
そういうと凛は再びポーズをとる
目元をパーで隠し、その顔の横にもパーを持ってきてる
「あ、そうだ。その時制服のスカートだけ履いてたんだった」
あたしの視線がその凛の顔辺りから、学生証が立て掛けられてる股の辺りへと移動した
それに気づいた凛が両手でそこを隠す
「奈緒のエッチ」
「あ、あが、な、そ、な、な、なぁー!!!?な、な、なん···!?なっ!」
「奈緒、顔真っ赤だよ」
「う、うるさい!なんでっ!?そんな凛!!それはダメだろ!?」
「同意の上だったもん」
「でもダメだろ!!だって···!そんなことしたら···!」
「気持ちよかったよ。零次さん···ふふっ、結構上手。叫んじゃったもん、女ってあんな···動物みたいな声、出せるんだなって。自分でもびっくり」
「ひっ、ひっ!ふっ、ふんぐんんん···!」
あたしはもう溢れる感情が抑えきれず、口元を抑えながら狭い寝室のうろうろしていた
そんな、凛が、そんな!
そんなに大人の階段を登っていたなんて!
あたしは、あたしは一体どうしたら!?
とりあえず病院!いや、その前にまずは凛の''アレ''をコーラで洗い流さないと!
待って、それって都市伝説だったっけ?
あぁんもうどうしたらいいんだ!?
どうしたら···!んっ、んふっ!
「ちょ、奈緒。あぁ~、もう奈緒たら」
あたしは堪えきれずにベッドの上に手をついてしゃがみこむと、とたんに鼻が熱くなり次の瞬間には顔を抑えていた手の指の隙間から赤い液体がベッドに滴り落ちてきた
「ほら奈緒顔あげて。はい、ティッシュ」
「あ、ありがと」
言われた通りに顔を上げると、抑えてるのとは逆の方の手にティッシュが置かれ、手を拭き、鼻に詰めるのだった
「もう、冗談に決まってるじゃん」
「じ、冗談って。わりかしリアルだったじゃんか!」
「へぇ~、奈緒。私そんなに細かく言ったわけでもないのに全部わかったんだ」
「だ、だから!こんなの一般論だろ一般論!!」
「結構マニアックな内容だと思うけど」
「も、もう!だーかーらー!!」
恥ずかしさと悔しさと鼻血を出したパニックでごちゃごちゃになりながら反論するがそれを凛は右から左へ受け流しなして着替えを終える
終わった凛に対して不満そうな顔をするが、凛はいつもと変わらない涼しい顔ではにかみながら、あたしを連れて玄関へと向かう
くそ···、やられてばっかりだ
「学生証は、ただ中に書いてあった予定を確認するのに使っただけ。寝ながら見てたからもしかしたらあそこかなって」
「それならそう言えよ~。変なことしやがって」
あたしはとりあえず鼻が見えないようにマスクをして外へと出た
外へ出てもあたしは反論するが、凛はまたそれを聞き流して玄関の鍵をしめる
「あ、やっぱり誰かいた!」
「ん?あ、響子じゃないか。お疲れ」
「お疲れ様!いつものところに鍵がなかったから、誰かいるんだな~って」
「はい、鍵」
凛が響子に鍵を渡すと、響子はそのまま部屋へと入っていった
まったく、やっぱり甘やかしてると思うんだけどあたしは
それを見送ったあと、あたしたちはエレベーターへと向かおうとしたその時、部屋から飛び出てきた響子に肩を掴まれる
「誰?」
「な、何がだ?」
「ベッドの上のあの血って、誰?」
「奈緒」
「おぉぉぉい!!」
響子の鋭い眼光があたしに向けられる
「じゃ、私は先に行ってるから」
「ちょっ!凛!あいつ!あいつが主犯なんだ!あたしは何も悪くないんだ!」
「大丈夫、DNA鑑定してもいいよ。絶対奈緒だから」
「いや、そりゃ間違ってないけどさ!」
ガシッと今度は両肩に手を置かれる
「わ、悪いな響子。いつもお前が洗ってるんだろ?いやちょっと鼻血がさ」
「···ったんですか?」
「な、なに?」
あたしの声は聞こえてない様子だった
「その、だから···!や、ヤったんですか?」
「はぁ?」
「だって、あそこに血の跡があるってことは···そういうことじゃないですか!」
「いや違う違う!!そうじゃない!」
「私たちの中で一番最初じゃないですか!それで、最後は外ですか?中ですか!?ああもう外で話すのはなんですから中に行きましょう!」
「ちょっと待って響子!ちょっ!凛!おい凛ー!!」
そんなあたしに目もくれず、凛の乗せたエレベーターは静かに下へと降りていった
ーーーーーーーーーー
「こ、ここであってるのかな?」
「駅からそこそこの距離、近くに駄菓子屋。アクセスも悪くない。広い敷地に、大きな半月状の建物、怪しさ満載です。でもそこにロマンがある。地下へは謎のスロープ、きっとその先には彼女たちのビックリドッキリメカが隠してあるに違いありません」
「確かに、大きいデスね」
次の日の夕方、職場見学が終わった後に指示された場所に到着したが、そこにあったのは大きな体育館のような建物
広い敷地にポツンと一つ、凪ちゃんの言うように怪しさ満点である
「んご。久しぶりにこんなの見たよ。都会にもあるんだね···」
「あ、見て見てなー!屋上があるよ!後で行ってみようよー!」
慎重に観察するあかりサンやりあむサンとは対象的に、興味深く観察する久川姉妹であった
「それにこのシャッター···どうやったら開くのk、ギャー!!ごめんなさいごめんなさい!!」
シャッターの近づいたりあむサンに反応するように、大きな音を立てて正面のシャッターが自動で開いていく
「な、なになに?何が出てくるの?」
「ラスボスです。装備の確認をお忘れなく」
「ボールペンしか持ってないよぅ···」
みるみるシャッターが開いていき、そこには一人の女の子の姿が足から見えてくる
そして完全にシャッターが上がりきるとそこには
「ふっふっふ···ようこそここまでたどり着いた我が眷属よ!この神崎蘭子、しかと祝福してしんぜよう!」
「やっぱりラスボスでしたね」
「いや、これは神崎蘭子ちゃんんご···」
そこには···いつもテレビで見ているようなゴスロリの服に身を包んだ蘭子ちゃんが立ちすくんでいた
ポーズをばっちりキメ、独特な形で手を顔に当てている
「せーのっ!」
『346プロへようこそー!!』
蘭子ちゃんがそう号令した次の瞬間、上のバルコニーのようなところから沢山のアイドルが顔を出して揃ってそう言ってくれた
「わぁー!ありがとー!なー、すごいねー!」
「まさにアイドルの祭典、思わず凪の心もドゥンドゥンしてしまいます」
「あ、あ、あわわ···有名なアイドルが1、2、3、あ、あ、あんなにぃ···」
「ささ、どうぞ。どうぞどうぞー」
蘭子ちゃんに背中を押される形で案内されるりあむサンを先頭に二階へ案内される自分たち
螺旋階段を上り、奥のリビングのような場所へ案内されると、そこにはテーブルの上に沢山の料理と、それを取り囲んでアイドルの人たちがいた
「ではでは、主役の方々も揃ったところですので、ちひろさんお願いします!」
自分たちがそこに到着すると、未央さんの言葉に、その場にいた事務員のちひろさんが一歩前に出る
「はい、では。皆さんお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まだ四人は正確には入社が決まったわけではありませんが、最後の日、せっかくの機会ですので、今夜は色々なアイドルの方々にお話を聞いたりして、楽しく夕食を召し上がってください。では、かんぱーい」
「ちょっちょっちひろさん。まだ四人とも何も飲み物もらってないよ~」
「あ、そうでした!ごめんなさい、私ったら」
そんなお茶目なちひろさんに笑いが起こる中、自分たちはまた唯さんから飲み物をもらってしまった
「ではでは取り直しまして、かんぱーい」
『かんぱーい!!』
そして私たちはグラスをぶつける
「あ、りあむちゃん。これ美味しいんだよー!みりあがとってあげるねっ!」
「み、みりあちゃん!そんな、逆にぼくが取ってあげるぅ!」
「海···そこはとても素晴らしい場所よ。生命の神秘を感じ、息吹を感じる···。あなたも今度私と一緒にどうかしら?」
「奇遇ですね、凪もいずれはマリンポートを一つと思っていた次第であり。この最終回を乗り切った後ならばどんな妄想も自由ですので」
それぞれがそれぞれ会話が弾むなか、自分はコップを片手に、このガレージを見回していた
「すごいでしょ~、ダーリンたちこんな面白そうな場所持ってるんだよ~」
「はい、確かにすごいデス。あの方々···ですか?」
「うん、ダーリンと、その先輩の人たち!」
唯さんが指差した先には、この前の運転手のお兄さんと、同僚の人達なのだろうか?見知らぬお姉さんが二人
「あのお兄さんたちは、一体?」
「そうだね~、346プロに入ったら教えてあげる。説明すると長いの」
そう言うと、唯さんは自分の手を引いて、みんなの輪の中へと連れていくのだった
これから何が起こるのかはわからない
だけど自分は、ここで働いたら楽しそうだなとは、この三日間で感じたのだった
自分たちは、その大きな舞台の扉の前と、まだ立ったばかり
次章予告
進展、結婚、撮影、悩み、食事、お食事、二日酔い