俺も少し心配だったが、評判は良いようだ
まだまだ練習は必要だが合格点だと思う
栄養もあるだろうから、食べないより良い
ただ、専務ならもっと上手く作れるかも
知識もあるだろうし
人間向き不向きもある、俺は自信無い
「とても美味しい。君も遠慮なく食べるといい」
専務はこう言ってくれるが、気を使ってくれているのだろうか
専務と向き合うように座って観察してみたが、文句一つ言わず口に運んでいる
やはりその食べ方はお上品そのもので、琴歌や星花たちとは違う、ビジネスライク···で鍛えられたものなのか、お嬢様たちとは一味違う所作だった
「響子が言うには、人参は火を通すことでその栄養価を高める···だとか何とか。あとは白米から食べると血糖値が上がってしまうから、食べる順番に気をつけて···とか。色々と教えてもらって、俺も見よう見まねなんですが」
「なるほど···それなら、五十嵐響子にはそういった方向性のアピールも視野に入れる必要があるな。それに合わせて、その食事が効果的な場面へのアプローチ···たとえば、スポーツに携わるものにはこういった食材が効果的など、話の幅を広げていけば、その分野に詳しいアイドルとの組み合わせも考えていくことができる」
···やはり専務は根っからの仕事人のようだ
俺が感心して見ていると、専務は食べている口元を押さえて一旦箸を置き、食べているものを飲み込んで言う
「すまない、ついつい仕事の事を考えてしまった。食事が美味しいのは間違いない、それに···話を聞いていると、何だか君のことを羨ましく思う」
「羨ましい···ですか?」
「君のほうがよっぽど、彼女たちに慕われているようだ。これらの事は本来、私がよく知っていないといけない筈なのに、どうも彼女たちは、私を前にすると襟を正して畏まるのだ。無理もない、彼女たちにとって私は···仕事上の上司なのだから。友達でも何でもない」
専務は寂しそうに、再び箸を進めた
今度は俺が箸を置いて答える
「俺は···専務が少し羨ましいです」
「何を言う、君のほうが彼女たちの事をよく知っている」
「違うんです、本来なら俺も彼女たちに対して、そういった態度で接しなければならない筈なのに、どこで間違えたんだか、何だか友達のようになってしまって」
「ふむ···確かに親しい様子は何度も目にしていたが。そうか···君にもそういった悩みがあるのか」
「ほんっっっっとに大変なんですよ。チビ共なんて殆どタメ口だし、あの志希なんていっっっっつも勝手にいなくなるし、美城プロの控え室にある冷蔵庫に入れたみかんゼリーはいつも勝手に梨沙に食べられるし、名前までちゃんと書いてるのにですよ?それにあのお嬢様ズは···」
思い出すだけでも次から次へと浮かんでくるあいつらとの記憶
それを俺は人差し指を上下に振りながら専務にぶちまける
頭に浮かんでくるのはそんなことをして俺が文句を言ってるときのあいつらの嬉しそうな顔
ああ今思い出してもまったく···
もうまったくまったく俺のことを何だと思ってるんだか
と、俺が一方的に文句を言っていると、専務は何と、クスッと笑っているのだ
何と何と、普段は全然笑わない専務が、次から次へとクスクス笑うのだ
何なんだ、お酒は入ってない筈だ
専務がついに仕事のしすぎで壊れたのか
「ふふふっ、すまない。どうも君のする話が···ふふっ、普段の彼女たちと···かけはなれていて、ふふふっ。そうか、それが今の君の悩みなんだな」
「専務ほど真面目な悩みではないですが」
「いやいや、随分と楽しそうな悩みで羨ましい限りだ。もっと教えてくれ、彼女たちは本来どういう存在なんだ」
それからは、俺がメインで話が進んでいく
俺が新しい話題を振る度に、専務は楽しそうに聞いている
料理の皿が空になるのに、今しばらく時間が掛かった
ーーーーーーーーーー
「続きがあるんだ。君を羨ましいと思っていた話に」
「続き?」
食事が終わると、俺はあのメチャクチャデカいテレビの前のソファーに恐れ多くも専務と並んで座り、テーブルに置いたお茶をすする
食器はすぐ片付けるのかと思いきや、専務が''後で私がやる''と言って、まずは二人でゆっくりすることにしたのだった
「車に乗っている時にも話したが···私は学生の頃から、父が育て上げたこの会社に貢献することだけを目標に見据えて、学んできた。周りの人間たちは、今の君と彼女たちのように交遊を深めて仲間を作っていたが、私は逆の思想の人間で、いずれは競い合うライバルだと思い、出し抜くための努力ばかりしてきた。その結果が···''コレ''だ」
専務は自分の姿を見せるように、目の前の画面が消えている大きなテレビに、俺に見えるように一瞬手を広げる
「学んだことは十分に役に立った、それは間違いない。順当に経験を積み、自分のキャリアを育て、ここまで登り詰めた。しかしそれは全部、独りよがりの塊だと言われても···何も言い返せない。自分の信念を信じて突き進んでそして···彼女たちから笑顔を奪ってしまいかけたのだ」
「でもそれが、専務は正しいことだと思っていたんですね」
「彼女たちは違った。それぞれが団結し、グループの枠を越えて、私が提案したアイデアを超越してみせた。トップアイドルの階段を、一人ではなく皆で登っていこうとするのだ。誰一人掛けることなく、まるでおとぎ話のように、新たなシンデレラストーリーを作っている。これまでの私には、想像もつかなかった方法だった」
専務は語るのだった
自分とは全く別の方法で登り詰めていく''同業者''たちの姿を、寂しそうな表情で、自慢するわけでもなく、まるで別世界の生き物のように言う
「私も、あの時···この世界を目指そうと思ったあの時に、もっとまわりの声に耳を傾けていれば、違う未来が待っていたのかもしれない」
専務はそれ以上は詳しく語らずに、静かに自分のお茶を飲む
昔のことを思い出しているのだろうか、気にはなったが、それ以上俺から聞くようなことはしなかった
「···でも俺は、アイドル部門の専務は···専務でよかったと思ってます」
「なぜだ、君のような人間のほうがきっと向いている」
「なぜかって?それは専務が真面目だからですよ」
「なんだそれは、全くわからない」
専務はキッと鋭い目でこちらを見てくる
「専務が専務だったから、アイドル部門はここまで成長できたんだと思います。そういういざこざみたいな···嫌なことを考えなくちゃいけない人間は必ず必要になります。それを専務は真面目に考えて解決まで持っていってくれようと動いてくれるから、下の人間は安心して働けるんですよ。専務がしようとしてることは正しいことだと思います」
「···そうか」
「ええ、そういうことをしてくれる人は偉いと思います。専務みたいな人の事を、本当の意味で''偉い人''だと俺は思います」
そういう人がいないと、やはり会社はまわらない
ウチの社長も、会社の中では一番偉いはずなのに、一番頭を下げてまわっている
「だけどそういう人ほど、悩みは尽きないというのも聞きます。専務にしかわからないことも沢山あると思いますが、抱え込みすぎてしまう前に、誰かに相談するのもアリだと思います。誰でもいいんです、それこそお父さんとか···お母さんとか」
「北崎君···そう、簡単な話ではない。父から教えられたのは、人の上に立つ者として、決して部下の前では弱音を吐かないこと、そしていつも、堂々としていること。そうでなければその不安はそのまま部下に伝わってしまう。そう教えられてきた。だからこそ私は、私であってこれたのだ。それに今更になって···そんなことを打ち明けられる同業者など思いつかない」
「それだったら、そうですよ。またウチに来てください。コーヒーくらいしか出せませんが、俺たちは美城プロの人間ではないので話聞きますから。俺なんてどうせ暇ですし···あ、懐石料理もないですよ、それに考えてみればコーヒーも専務がいつも飲んでるような高級なものじゃ···あ、いつものコーヒー凄く美味しいです。いつかお礼を言おうと···」
俺は自分で何を言っているのか言葉が迷子になっていると、専務はまた笑うのだ
それは、ここに来てからずっと思っていたが、初めて見たかもしれない、専務の人間らしい感情だった
ーーーーーーーーーー
「って専務、標準アプリしか入ってないじゃないですか。あいつらがやってるのはコレとコレとコレと···あとこのアプリがシュガーハートとか、りあむとか、あきらとかが配信してる動画のやつで」
「これか?これを押せばいいんだな?」
もっとアイドルのことが知りたいと言った専務の為に色々と今の流行について教えようとしたがそれ以前の問題だった
せっかくそのハイエンドな携帯を持っているのに仕事にしか使わないとは実に勿体ない
なのでそこそこ有名なアプリをいくつか入れて上げようとしたが、パスワードを引っ張り出して来ることから始まった
「これは···いいのか?端末の情報にアクセスする権限だとか何だとか」
「変なものに許可を求めてない限り大丈夫です。これは無料なのでこのボタンをタップすればインストールされます」
「インストール···」
これは重症だ
もう後々の勉強の為に今レクチャーしておいたほうがいい
俺が説明してもまだ専務は頭を少し捻っている様子だった
「ほう···少し薄暗い色からアプリがハッキリ見えるようになった。これで使えるようになったということか」
「そうです、後は他のアプリと同じで開けば動画が見れます」
専務はおぼつかない手付きでアプリを開いていく
ハイエンド機に恥じないサクサク感で画面に表示されている動画を指でスクロールしながら珍しそうに眺めているのだ
これなら仕事に使うなら支障は全くないけど、宝の持ち腐れ感が凄い
俺の携帯と取り替えてほしいくらいだ、あいつらから一気にトークが届きまくるとたまに固まる時がある
「あ、そのサブスクというのは···」
「それは知っている。アイドルたちの楽曲も既に配信されていて、評判も上々だ。もう少し楽曲数を増やしてほしいというユーザーからの意見を反映しようと今は努力している。···私が何も知らないと思うなよ」
「はぁ···すいません」
やっぱり専務は専務だった
仕事に必要な部分の教養はあるようだ
逆に今度は俺が教えられてしまっていた
なるほど···、著作権だとか他のストリーミングサービスとの兼ね合いもあって難しいのか
ライブ映像の配信についても同じようだ
無料配信にしてしまってCDやDVDなどの売り上げが落ちてしまっては元も子もない
メディア部門とのバランスの取り合いが難しいのだそうだ
「今は電子化の波に乗らなければ時代に置いていかれるが、CDという媒体も捨ててはならない。人というのは、手元に残る形の物も大事だからだ。それは他に替えがたい財産になる」
「なるほど···そこは難しいので専務におまかせします」
「無論だ」
話すと長くなりそうなので俺は逃げるようにそう言うと、専務は満足そうに首を縦に振った
妙に生き生きしてるようだった
やっぱり専務は仕事人だ
「···ところで」
すると専務は俺に画面を見せてくる
「ここからはどうすればいいんだ?」
またさっきと立場が逆になった
試しにライブ配信している動画を開いてみる
丁度りあむが配信していたようだった
とりあえずゲストとして、ランダムに設定された名前のまま動画を見てみる
ーーーーーーーーーー
「はぁ~いありがと~!もっともっとぼくを好これよオタクどもー!!そうすれば次のライブのお得情報も配信すっかもしれないからなー!」
「りあむサン、それは私たちが起こられマス」
「無人島から生きて帰ってきたぼくに恐いものなんかないよあきらちゃん。わかるでしょ?''サービス''がないと生きていけない時代なんだから流行に乗らないとぉ~、ね?ん···?あ、コメサンキュ、えっ···と、なんとかかんとかエックスさん!これネームデフォのままじゃね?内容は···''真面目にやれ''···だってー!ひっさびさのアンチコメ!みんなあきらちゃんゲストだからっていい子すぎたからね!これくらいしてくれないといつもみたいに''盛り上がんない''ないからさ~、頼むよ~?」
「あんまりやり過ぎたら事務所から起こられませんかねそれ」
「大丈夫だよぉ~、部長とか専務とか見てるならまだしも」
ーーーーーーーーーー
「···あいつはいつもこんな感じなのか」
「えっ···と、まぁ、新しい方向性ですよね。いいんじゃないですか?こんな時代ですし」
「頭が悪くなりそうだ、見るのはやめておこう。それと、後日指導が必要だな」
それだけ言うと、専務はまた画面を戻し、動画を探していた
俺はそんな専務を見ながらお茶を少し飲む
気がつくと、結構な時間専務の部屋にお邪魔してしまっていた
専務との会話に夢中になるのもいいが、もう夜も結構更けてきてそろそろお暇しないといけない時間帯だ
どこか泊まるところを探さないと、カオルにでも連絡してみるか
「ん···どうしたんですか?何かわからないですか?」
専務が再び画面を見せてきた
何かと思ってと覗いてみたが、そこには猫が二本足で立って手をこ招いている動画が映っているのだった
「···いや、可愛いなと思ったんだが···」
それだけ言って画面を見せてくる専務と、画面の中で必死に手をこ招いている猫
それが何だか面白くて予想外すぎて、今度は俺が吹き出してしまった
「可愛くなかったか···」
「いえいえ違うんです。凄くなんていうか···予想外で。専務もそういうのが好きなんだなぁと」
「私だって癒されたい時はある。特に···今回のような場合はな。私も人間だ」
普段は見せない専務の女性っぽいところが見え隠れする
よくよく見たら、専務は態度こそ厳しいところもあるが、美人だしスタイルはいいし、カッコいい大人の女性だ
「···何だか失礼なことを考えてはいないか?君は」
「いやいやそんなこと。専務の女性らしいところを初めて見たというか···」
「あまりプライベートなことを話したりする相手もいなかったからな。そう言われたのは···初めてだ。特に、男性からは」
仕事の話しかしないからなと専務は言う
なんだ、てっきりイケメンでバリバリ仕事の出来るやり手の社長の彼氏でもいるのかと思ったけど、どうなんだろう
まさか専務とこんな会話をすることになるとは
「専務ほどの人なら、モテモテでカッコいい彼氏でもいるのかと思ったんですが···」
「そんなものいない。男たちは私が恐いのか全く近寄ってこない。職場と家を往復する毎日だよ。君くらいだ、私とこんな話をするのは。この家に男性を招いたのも···初めてだ」
「その···良いお相手がいたこととかは···」
「随分昔の話だ。それも···親に紹介されただけで、必要以上に関係が発展することはなかった。だから君が初めてなのだ、こんなに和気あいあい···男性と二人っきりで話すのは」
何だか妙な雰囲気になってきた
夜も更け、辺りが静かになる時間帯
窓から見える景色も、まわりに建っている高層マンションの窓の光の数も減り、カーテン越しに中の人が動いている様子が見える
二人分の影は家族なのか、それとも恋人同士なのかはわからない
一つまた明かりが消えると、カーテンが少し揺れて二人はどこかへ消えていく
映画でも見るのだろうか、ボヤッと小さく明かりが点いているところもある
防音対策は折り紙つきだから、多少の音なら漏れることはないだろう
外を眺めていると、この部屋のカーテンも自動で閉まっていく
「時間を設定して、自動で閉まるようになっているんだ。今の時代は便利なものだ」
「携帯にももっと便利な機能は沢山あるんですが···」
「それとこれとは別だ」
言い切られてしまった
専務は立ち上がり、閉まったカーテンに近付いていって、左右合わさった端の部分を綺麗に直していた
「すいません、専務。こんな遅い時間まで」
「いいんだ。私もとても助かった、もしかして···帰るのか?今から」
「はい、夜遅いですし···これ以上居たら何だか悪いなって」
「もう遅い時間だ、私は構わないから、泊まっていくといい。それくらいしないと···割に合わん」
ネットカフェにでも泊まる、というかお酒を飲んでないから家に帰ってもいいと伝えるが、お世話になったのにこんな夜に外に放り出す訳にはいかないと専務は引かなかった
「それに、もっと教えてくれ。彼女たちのこと、コレの使い方、今夜は···私に付き合ってくれるのだろう?」
専務はもう俺を泊まらせる気満々みたいだ
壁のスイッチをスライドして、このリビングのライトを薄暗くする
こっちだ、と専務は俺をこ招くと、寝室へと繋がるドアを開け、廊下に出て俺を案内していった
寝室のドア、この廊下の奥には、玄関の廊下にあったものとは別のシャワー室もあって、シャワーを浴びてすぐに寝室へ行けるように配置されているようだ
「シャワーは、君が先に使ってくれて構わない。そのままでは君も気持ち悪いだろう、その間に私は色々準備しておく。客人を泊めるなんて初めてだからな」
専務はテキパキと普段の力量を発揮し、俺を寝室へ案内すると、部屋の電気を点ける
来たときにチラッと見えた寝室だったが、やっぱり広かった
というかこの寝室だけでも十分に俺なら暮らしていける
ベッドがまず広すぎる、俺の部屋にあるのも広いと思ったがそれよりも全然広い
ゴロゴロと寝返りをうっても全く問題ない
座った感じ布団も高そうでふわふわだし、寝心地が物凄く良さそう
一人ではこれは広くてもて余しそうだ
ベッドに横になると、足元の方向の壁にテレビが掛けられてるから、寝ながら見られる
これはいいな、俺の部屋でも検討したいけど部屋のど真ん中にこんな立派な壁はないし···壁を挟んで反対側はクローゼットになってる、必要な衣類はここに揃ってるようだった
バスタオルなどもあるみたい
「これを使うといい。それと、ここにある冷蔵庫のものは勝手に飲んでくれて構わない」
と専務は言ってくれたが、恐れ多くて勝手に使う勇気はなかった
何だかさっきから少々強引に、トントン拍子に話が進んでいっている気がするが、それは専務のやり方なのか、それともこうなることを予期して段取りを決めていたのか、そこはどうなんだろうと頭を悩ませていると、専務は髪を結んでいる髪止めを取って、その綺麗な黒髪をほどく
そうすると普段のイメージとは変わり、とても女性らしい、あいつらとは違う雰囲気が漂う
「···どうした?」
「いえ、そういう感じの専務を見たことがなかったので···その、髪をおろした姿っていうか···」
「変か?」
「すごく、綺麗だと思いますが···」
すると専務は俺の隣に腰掛けた
専務の着ているルームウェアと、俺の服が擦れ合うほど接近していて、専務の匂いがする
「そうか、そう言われたのは···初めてだ。···嫌じゃないか?」
「俺は···全然」
ベッドの上で二人、変な雰囲気になっていた
おかしいな、こんな感じになるとは思ってなかった
なんだか···そう、上手いこと誘導されたというか、求められている気がする
「専務、あの···もしかして、寂しかったりします?」
探るように聞いてみる
すると専務から普段とは違う、遠慮がちで小さく上ずった声が聞こえてきた
「今夜は···少し寂しい気がする」
ハッキリとは言わず、しおらしくなる専務
「全てを忘れてしまえたら···どれ程楽なのだろう」
姉さんの言葉がよみがえってくる
専務は少し···俺に体を預けてくるように寄り掛かってきた
こんなこと言ったら失礼だけど、専務が凄く女性らしい
「専務···大丈夫ですか?辛かったりしませんか?それだったら何でも言ってください、出来ることならしますから」
疲れているだけかもと思い、確認の為にそう聞いてみたが、専務は寄り掛かる姿勢を変えず、またボソッという
「···少し疲れた。今夜はこのまま何もかも···忘れてしまいたい」