ヘイ!タクシー!   作:4m

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クローバー10

『容疑者によりますと、''数回やった''などと供述しており、そのカメラの転送先である携帯電話を確認すると、女性のスカートの中を撮影した画像が複数確認され・・・』

「こんな奴が本当にいるんスね〜」

 

事情聴取が無事に終わり、私たちは一旦青葉自動車さんの事務所へお邪魔していた

事務所には零次さん、ひなさん、美空さん、早苗さんそしてあの三人の男性が集まり、奥の休憩スペースに私、美空さん、早苗さん、三人の男性がテレビをつけてソファーで話している

 

「それにしても悪かったな智絵里の嬢ちゃん。恐がらせちまって・・・」

「ホントよ!私の後ろでビックビク震えてたんだから!優しくしなさいって言ったじゃない」

「いえ、あの、私が勝手に勘違いしてしまっただけなので・・・!」

「智絵里ちゃんは何も悪くないよ、あのおっかないグラサンのおじさんが悪いだけ」

「おいおい、これでも姉さんより歳下だぜ・・・」

 

パーカーの男性からそう言われたあと、サングラスの男性は困ったように頭に手を当てる

 

「それにしても姉さんよくわかったっスね〜、どうしてあの男が怪しいってわかったんスか?」

「ああ、それはね・・・」

 

それは、初日のイベントの帰り際

あの男性が車から離れたあと、ナビに携帯を繋ごうと無線接続の設定画面にすると、奇妙な接続先の名前が表示されたそうだ

どう見ても携帯電話の名称ではない

周りに歩いていた社員の方々のパソコンとも考えにくい

そもそも名称にmicro cameraと入っている時点で何やら怪しい空気を感じたそうだ

表示されたのは数秒だったので離れていった男性が怪しい

 

社員の方々にしてもマイクロカメラを持つ意味がわからないと、その男性にターゲットを絞り、数日同じことをして確かめたところ確信したそうだ

 

「いつも帰り際に見送ってくれてよかったわ。あれがなかったら調べられなかった」

「だからあの日の夜すぐに僕たちに電話してきたんだね。なんか工場に残って色々調べたらしいけど」

「ホントだホント」

 

声のした方にはひなさんが人数分の飲み物をおぼんに乗せて、こちらに運んでくる姿があった

 

「最終日に仕掛けるって言って、仕事も片付けてたんだから。まぁ、おかげで大分仕事は片付いたんだが・・・」

 

そのままひなさんが見た方向に目を向けると、フロントのパソコンと必死ににらめっこしながら仕事をしている零次さんがいた

 

「私も少し姉さんを手伝ってたから、その分零次に仕事を任せてしまって、あんなんになってる」

「・・・零次先輩ってちゃんと仕事するんスね」

「おい、お前たちといいアイツらといい俺のことを何だと思ってんだ!」

 

パソコンから身を乗り出して零次さんはこちらへと文句をぶつけてくるが、ひなさんが後で手伝ってやるからと伝えると渋々身体を引っ込めた

 

「とりあえず、ほれ。コーヒーでも飲んでゆっくりしろ」

 

そう言って飲み物を渡してくれたひなさんにそれぞれお礼を言って受け取ると、ひなさんも奥のソファーに早苗さんと向かいあって座る

 

「はい、早苗さん。飲み物」

「・・・ねぇ、何で私だけオレンジジュースなわけ?」

 

私たちは受け取ったコーヒーを飲んでいたが、隣からそんな声が聞こえた

うっ・・・やっぱり苦いなぁ

なんでみんなブラックで飲めるんだろう・・・

私は砂糖を二本続けて入れる

 

「あら、たまに飲んだら美味しいですよオレンジジュース」

「あんた・・・私のこと完全子供扱いしてるでしょ。これでもね、あなたより歳上なのよ、と・し・う・え」

「あ、ごめんなさい。私ママ活したことないんで」

「だれがママよ、一歳しか違わないって言ったじゃない」

「ごめんなさい、ババ活だった」

「あ・ん・た・ねぇ!!」

 

またまたヒートアップしていく二人を、私たちは苦笑いしながら眺めていた

 

「あの二人は今でもあんななんスね」

「あ、あの・・・美空さん」

「うん?」

「この・・・方々とは、お知り合いなんですか?」

「ええ、仕事してると変な知り合いが増えるのよ。この三バカトリオみたいに」

「ちょっ!姉さんひどくない!?」

 

パーカーの男性がそう反論する

 

「まぁ確かに、智絵里の嬢ちゃんのほうがきっと頭はいいわな」

「智絵里ちゃんも好きに呼んだらいいわ、こっちから90、100系、110」

 

美空さんは順番にサングラスの男性、帽子の男性、パーカーの男性と指差していった

・・・きゅーまる、ひゃっけい、ひゃくとー?

 

「車で呼ぶんスか!」

「今も変わらず乗ってんでしょ?黒いマークⅡ」

「そうだけどさぁ・・・」

「そう言う姉さんも長いこと乗ってるよなぁ、あのV35」

 

事務所の扉から見える美空さんの車を見る

 

「いいじゃない、好きなのよあのスカイライン。何だか放っておけない気がしてさ」

 

美空さんがコーヒーを一杯飲む

 

「それに、今回はあの子がいなかったら気付けなかったわけだし」

 

確かに、そう言えばそうだ

車にそんな機能があるなんて知らなかったし、それに・・・

 

「私も・・・何だか好きですよ、まるっとしててカワイイです」

「智絵里ちゃんマジ!?」

「今度俺も90持ってくるかぁ」

 

その後も四人は思い出話に花を咲かせ、私はそれを楽しく眺めていた

だって、とっても楽しそうに話してるんだもん

三人の男の人達、そして美空さん

普段は中々仕事が忙しくて会わないって言ってたけど、その四人揃った姿はまるで・・・

 

「・・・?どうしたの智絵里ちゃん」

「いえ!何でも・・・」

 

私はやっぱり・・・幸せ者かも・・・しれない

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

三人と早苗さんが帰ったあと(ひな先輩に食ってかかる早苗さんを強引に引き剥がし)、俺とひな先輩は少し仕事を片付けていた

姉さんと智絵里は奥の休憩スペースにいる

三人は''帰るときにCD買って帰る!''と意気揚々と出ていき、今度落ち着いたらサインが欲しいと伝えてくれと伝言まで頼まれた

 

「そろそろ晩ご飯の時間だし、後は明日にするぞ」

「そうですね」

 

ひな先輩の指示でパソコンの電源を落とし、帰りの支度をする

ひな先輩は出入り口に貼っていた''臨時休業''の張り紙を剥がしていた

 

「さて・・・おーい、二人とも。そろそろ帰・・・ふむ」

 

姉さんと智絵里を呼ぶために奥の休憩スペースへと向かうと、その光景に言葉が止まる

 

「どうした・・・おやおや」

 

そこには、ソファーにもたれかかりながらお互いに頭を預けあい、スヤスヤと寝息を立てている姉さんと智絵里の姿があった

 

「・・・私が美城に連絡して、遅くなりそうだからまた一日預かれないか聞いてみる。智絵里ちゃんの両親も今日は家に帰らないみたいだし」

「そうですね、このままガレージで面倒みましょう」

 

俺はそう伝えると、自分の車を持ってくるため、事務所から外へと出ていった

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