ヘイ!タクシー!   作:4m

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雪かぶり10

「そうか・・・じゃあくれぐれも失礼のないように」

『大丈夫よひなちゃん!私のオムライスも大盛況だったもの!そっちはどう?上手くいったの?』

「ああ、こっちは・・・」

「いや〜、それにしても帰ってきたらまさかあのアナスタシアちゃんがいるなんてね!」

「いやホントそうだって!ホラ食べな食べな!ここの肉めっちゃウマいから!」

「スパシーバ。ありがとうございます。とっても美味しいです」

「みんなちがうよ、アルトリアちゃんだよ」

「ユイちゃんどういうこと?」

「あー、それについては追々」

 

家で焼肉が始まる頃になると、朝出て行った他のメンバーたちが帰ってきて、アーニャたち特別ゲストを混じえた夕食が始まった

廊下に出てもリビングでの楽しそうな会話が聞こえてくる

アーニャを中心に皆よってたかって構おうとするもんだから、アーニャもとても楽しそうだ

 

『というわけで、こっちは大丈夫!アーニャちゃんによろしくね!』

「うん、わかった。そっちもあまりハメを外さないように。戸締りと、あと食器もちゃんと洗って乾燥機に」

『わかってるわかってる!んじゃ帰ってくるときは気をつけて帰ってくるのよ!あ、次私?今行くから待って美波ちゃ』

 

そう言ってあっちから慌ただしく電話が切れてしまった

本当に大丈夫なんだろうか?

放っておくとキッチンによく食器がたまっている

いつもマメに片付けていればそういうことにならないのにまったく

少し不満を抱きながらも、私はリビングへと戻っていった

 

「あ、ひなこママ戻ってきた」

「ちょっとひなこ、劇団やるなら呼んでくれよ。そしたら俺たち戻ってきたのに」

「車ハマらしたのはどこのどいつよ」

「あんなに積もってるとは思わなかったんだよ!」

 

食事を進めながら、楽しそうに談笑する''卒業生''たち

その様子を楽しそうに見守る、今いる子どもたちとアーニャ

たとえその過去がどんなものだったとしても、今は笑顔で食卓を囲んでいることには変わりない

それは今も昔も、ずっとずっと同じだった

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「なるほど、今日はそういう日だったのですね」

「ええ。今日この日だけは、ここを旅立っていった卒業生たちが戻ってくるんです。特に誰が決めたってわけではないんですが、自然とそういう流れになっていきまして。なかなか全員というのは難しいので、来れるものだけという形で」

 

蘭道さんのお父様がそう言うように、老人福祉施設からここに帰ってくるや否や、たくさんの方々に迎えられた

仕事の都合などで帰ってしまった方もいたが、みんな揃って同じだったのは、蘭道さんを見つけると笑顔で取り囲み、お互い懐かしむように優しく接しているところだった

 

「雛子にも無理しなくていいって言ってるのに、この日は帰ってくるんです。それも毎回沢山おもちゃを持ってくるんですよ。私に出来ることは今はこれくらいしかないって。優しい子なんです。はい、スミちゃん。あーんして」

 

蘭道さんのお母様もそう言いながら、みんなに囲まれている蘭道さんを見て笑顔を浮かべる

 

「そういう子だから、あの子の周りには親のように慕って人が集まってくるのかもしれません。結構言い方キツイでしょう?あの子」

 

蘭道さんのお父様が少し苦笑いになる

 

「いえ、そんなことは。逆に適切に指導していただくこともあるみたいで、助かっています」

「本当ですか?それならいいんですが・・・。確かに、ズバズバ言うことが多いので、昔から助かるところがうちでも結構あったり。それがあの子の良いところなんですがね」

 

うちのアイドルたちも、困ったり、何か悩み事があったりしたら、蘭道さんを頼っていたりするところをたまに見かける

北崎さん然り、海道さん然り、青葉自動車の方々には何かとお世話になっているようだ

 

「そして、そうやってあの子に教えられてきた子どもたちが将来、本当に誰かにとっての''ヒーロー''のような存在になってくれれば、私たちはもう何も言うことはありません」

 

夕食を食べ終えた子どもたちが、蘭道さんが持ち帰ってきたおもちゃで遊んでいるのを見ながら、お父様はそう呟いた

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「一旦休憩にしよう、な?いいだろ?やめるわけじゃないし、シャワーでも浴びてスッキリしてこい。な?」

「・・・じゃあ一旦休憩ですよ」

 

やっっっとコントローラーから手を離した新田ちゃんは、節々に不満を漏らしつつも、用意した姉さんの寝巻きを持ってシャワー室へと向かっていった

一方姉さんはというと、連続しての新田ちゃんの相手に疲れ切ったのか、ソファーの端の肘置きに頭を預けて放心状態になっていた

 

「まさか・・・美波ちゃんがあんなに負けず嫌いだったなんて・・・」

「ゲーセンから連れて帰ってくるの本当に大変だったんですよ。子どもみたいに駄々こねるから」

 

新田ちゃんが階段を降り、バスルームへと入っていく、と思ったがその手前で俺に向かって''電源切らないでくださいよ!''と念を押されたあたりやはりアレは筋金入りだ

 

「ああ〜、ひなちゃんが居てくれればまだ変わりの相手がいたのに・・・」

 

ふと、ひな先輩のスペースを見ると、棚にあったおもちゃがいくつか消えているのに気づく

 

「え?うん、ひなちゃんおもちゃ実家に持って帰ったよ。一生懸命毎晩説明書と睨めっこしてたから、子どもたちと遊んであげるんだと思うけど。ひなちゃんやっぱりお母さんね〜」

 

ひな先輩はやっぱり凄い

アイドルの年少組の相手だけでも毎回俺は大変なのに、それよりも小さい子を何人も相手するとは、ほんとにあの子どもたちの無限のパワーはいったいどこから来るのだろうか?

 

「さて、新田ちゃんもお風呂に入っちゃったし、やっと二人っきりねレイジ君」

「そーですねー、だからなんだって話ですが」

 

俺が嫌味全開で返事をすると、''や〜ん''なんて返事にならない返事を返し、ズリズリと肘掛けに預けていた頭を、今度は隣に座っていた俺の膝の上に預ける

 

「ひなちゃんいないから今日はレイジ君が変わり」

 

ひな先輩がよく姉さんの相手をしているのは見かけていたが、ここまで面倒くさかったのか

そして乗せてる頭が結構重い

 

「ん、しょっと」

 

今度は俺の膝の上に乗り、俺を背もたれとサンドイッチにするかのように胸にもたれかかってくる

 

「重いんですけど」

「つれないわね。ん〜、抱き心地はひなちゃんの方が上。ここはマイナスポイントね〜」

「いや知りませんて」

「でも挿れるものついてる分プラスにしとくね」

 

姉さんがそう言うと、しばらく二人の間に微妙な空気が流れる

 

「あー・・・うん、なんかヤバい、んー、ふー・・・」

 

姉さんは自分を抑えるように俺の背中に手を回し、肩あたりで口元を俺の服に押し当てながら呼吸をし始めた

何かを我慢するように、俺の背中に痕ができるほど強く指を立てている

 

「ほんっとヤバ、あー・・・ふぅ〜・・・すっごい子宮うずくんだけど・・・お腹ゴロゴロいってるし、ごめっ・・・レイジ君、ちょっとスイッチ入った・・・かも。ちょっとこのままにして・・・」

 

すると姉さんはまた口元を俺の肩に押し当てながら、また呼吸をし始める

口と肩の間からふーふーと息が漏れ始め、姉さんの下半身が時折強張り、俺の膝を挟み込むようにしている太ももがキュッとたまに締め付けてくる

 

「あー・・・ほんっともう、あ゛ー・・・」

 

そして俺の肩から首、額へと、這うように姉さんは自分の顔を動かすと、俺の額と自分の額をくっつけ、そのまま俺に話しかける

 

「ね・・・レイジく、ん・・・コレ・・・なんとかして」

「酒抜けるまで酔い覚ましてたらいいんじゃないですかね」

「今、ゴム・・・無いから・・・ヤるんだったらもう交b・・・じゃダメか・・・、遺伝子情報の交換と結合・・・?になっちゃう・・・なんとかして」

 

息も絶え絶えに、ほぼゼロ距離の口元から吐息と共に何とか言い方を変えながらそう言う姉さんだった

普段のおちゃらけた態度とは裏腹に、そのうっすら赤く染まった頬とトロンとした瞳が、見た目の良さも相まって妙に色っぽくなっていた

 

「・・・わかりました。少し我慢してください」

「・・・?」

 

そのまま少し首を横に傾けて、不思議そうな表情をする姉さん

 

「・・・」

 

俺は無言で姉さんの額から頭を離すと、思いっきり後ろに反り返る。そして

 

「ふんっ!」

「いっっったぁぁぁぁ〜!!おっとっと、ぐへっ!」

 

おでことおでこをごっつんこさせた

 

「え?ちょっえええ!?美空さん大丈夫ですか!?」

「・・・ふんっ」

 

ちょうどバスルームから帰ってきた新田ちゃんが、俺の膝上から床に転げ落ちてのたうち回る姉さんを心配そうに見ていた

 

「一体何があったんですか?」

「別に、マウント取られそうだったからブレイクしただけ」

「おお・・・星が見えた・・・」

 

はっ、俺はそんな変な流れではヤらないって決めてるんですわ

 

「さっ、零次さん!」

 

首からタオルをかけた新田ちゃんは、その少し湿った髪を振りながら、俺の隣へと腰掛けた

 

「零次さんに勝つ方法を思いついたんです!きっと次はいけますから!」

 

なんだかデジャヴを感じた

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ワーオ・・・これはなんと、素敵な眺めです!」

 

焼肉パーティーが終わったあと、私はアーニャを連れてある場所へとやってきた

田舎だから、連れてこれる場所なんて限られている

ゲーセンがあるわけでもないし、カラオケもない。本屋すらないんだ

だが一つだけ、そんな今時のものが無いからこそ、見えるものがある

 

「ヒナコ、見てください。あれが冬の大三角といいます。あれがペテルギウス、あれが天の川です。それから・・・」

 

嬉しそうに夜空を指さしながら、私も同じように空を見上げ、アーニャの解説を聴いていた

正直言って、指をさされてもどれがどれだかわからないが、綺麗なことは確かだった

町から少し外れた山間の細道に車を停め、車のライトを消して、外に出て女二人で空を見上げる

都会のようなネオンなど、ましてや街灯すら存在しないその空間は、どこを見上げても天然のプラネタリウムと化す

これは田舎の魅力の一つだと、私は思う

 

「ヒナコ、今日はありがとうございます」

「んー?」

 

車に寄りかかりながら、片手に持っていた缶コーヒーに口をつけていると、アーニャが唐突にそう言い出した

 

「アーニャ、最近ずっと考えていました。そのせいでミナミとも、あまり上手くお話できませんでした。でもそんな私の悩み事は、とてもちっぽけなものだったのですね。この空を見ていても、アーニャ思います」

 

アーニャは空を見上げながら話を続ける

 

「同じ星でも、その輝き方は全て違います。それがたくさんの人の心を掴んできたように、アーニャも自分にしかできない輝きを、たくさんの人に届けたいと、思いました。それが、今の私に出来る、アー・・・全てのこと、です。星のように違った輝きをする・・・それはアイドルも同じだとアーニャ思います。これからは、たくさん前を向いていこうと、思います」

「・・・そうか」

 

私は車に戻り、中にあった缶コーヒーをアーニャに渡す

 

「走り始めたら前だけ見ろ、後ろを向いてばかりじゃ、事故るのは自分だ。お前のその恐怖や緊張感は、''その舞台''にたどり着いた者にしか味わえないものだ。お前はそれだけのことをやってみせた。そんな自分に胸を張ってやれ」

「・・・ありがとうございます、ヒナコ」

 

そう言ってアーニャは缶コーヒーの蓋を開けて口をつけるがすぐに離し、うぇっという小さな呟きと共に少し前屈みになる

顔をしかめている様子が、何も見えない暗がりでも容易に想像できた

私は思わず小さく笑ってしまう

 

「ニェット・・・酷いですヒナコ。レイジもプロデューサーも、よくこんなものが飲めますね」

「悪いな、私のは少し甘いんだ」

「・・・やっぱりヒナコは少しイジワルです」

「いいだろ?世の中苦いことばかりなんだから、コーヒーくらい甘くたって」

 

ちょっとアーニャがかわいそうだったので、私のを差し出す

するとアーニャはそれを素直に受け取り、口をつけた

私も試しにアーニャのを飲んでみたが、確かにこれは苦かった、悪いことしたな

 

「アー、ヒナコ。キス・・・してしまいましたね」

「あ?そういうの気にするタチかお前、これはいくらなんでもしょうがないだろう」

「ニェット、アーニャも女の子です。少し気になります。でも、ヒナコだから許します」

 

アーニャはそのまま、私の缶コーヒーを飲み続ける

やっぱり、この子はまだわからないことが多い

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「へぇ〜、そんなに綺麗に見えたんだ。私も行けば良かったかも」

「サヤは見に行かないのですか?」

「行かないよー。ひなこ姉さんよくドライブに行くから、そういうスポットたくさん知ってると思うけど」

 

ヒナコのお家に帰ると、すでに夕食の時に来ていた他の人たちはいなくなっていました

なんでも、明日は仕事だからと帰っていったようです

大人とは、大変なのですね

今はお風呂から上がり、サヤの部屋で一緒に布団を敷いたりと寝る準備をしていました

隅っこで座っているスミレが手を叩いて応援してくれています

 

「それにしても、アーニャちゃんの肌すっごいスベスベなんだね。私羨ましくて」

「サヤ・・・アーニャ少し恥ずかしかったです」

 

なんと、お風呂に入ろうとしたら、先にサヤとスミレが入っていたのです

私は遠慮したのですが、サヤがスミレと一緒に入ってやってと言っていたのでご一緒することになりました

スミレがいけないのです、可愛く手を振って私を誘ってくるから

 

「でもスミよかったねー、アーニャちゃんと仲良くできて。ねー?」

 

大体の準備が終わり、少し落ち着いたところで、サヤはスミレを抱き抱え、話し始めます

 

「でもスミレ、ごめんなさい。アーニャ、まだおっぱい出ません」

「あー、ごめんねアーニャちゃん。まさかあーなるとは」

「いえ、でも少しくすぐったかったです」

 

そういうと、二人でクスクス笑います

お母さんが子どもにミルクをあげるときは、あんな感覚なのでしょうか

まだアーニャにはわかりません

 

「それにしてもスミ、あんた''アレ''は大胆だねー?わかってるのかー?んー?このこのこの〜」

「アーニャも少しチクッとしました。この〜この〜です」

 

サヤがスミレをくすぐると、私も少しだけ同じように脇に指を伸ばしました

 

スミレ、けっして下のお毛々を引っ張ったりしてはいけません

 

「アルトリアちゃーん!」

「アルトリアちゃん」

 

サヤとスミレと話していると、下からドタドタと駆け上がってくる小さな足音が複数聞こえてきました

足音が止まると、入り口にはイオとルリが立っていました

 

「こらこらお前たち、夜なんだから騒がしくしない」

 

その後に、白の可愛らしいパジャマを着たヒナコと、それに連れられてコウがやってきました

 

「おやすみなさい!」

「おやすみなさい」

「悪いな、それだけ伝えに来たんだ。サヤ、スミレを頼む」

「うん、わかったよ。皆おやすみ」

「ヒナコ、プロデューサーは?」

「今風呂に入ってるけど。そういえば、お前たち」

 

そう言ってヒナコはイオとルリを見ます

 

「あれはプロデューサーに伝えたんだよな?」

「伝えたよ!」

「温かいお湯になるまでシャワー浴びない方がいいよって」

「ああ、最初温かいの出たら勘違いするかもね」

 

サヤが言うように、ヒナコの家のシャワーは温かいお湯が出るまで少し時間をおきます

最初は少し温かいのが出ますがすぐに冷たいのが出てきます

ということはその時、この真冬の水道管を通ってきたとてもとても冷たい水を体に浴びるということになるので

 

『あびぃぃぃぃぃ!!!』

 

すると数秒後にプロデューサーの声がお風呂場から聞こえてきました

 

「やっぱし!」

「やっぱし」

「北海道へようこそ」

 

無情にも、響き渡ったプロデューサーの声を子どもたちは比較的冷静に受け止めていました

北国の子どもはたくましく成長します

 

「アルトリアちゃん」

「ユイ!」

 

私たちが話している間にひょこっと、出入り口の扉の陰からユイが顔を出してこちらの様子を伺っていました

しかしその表情はまるで、私の様子を探るかのような、そんな疑問を含んだ視線を送ってきます

 

「・・・おやすみなさい」

「はい、おやすみなさい」

 

ですが私は変わらずそれに笑顔で答えると、ユイはヒナコの手をギュッと握ります

 

「シルヴィア、眠い」

「・・・はいはい、わかったわかった。それじゃ、また明日」

「はい、おやすみなさいです」

 

目元を手で眠そうに擦る子どもたちを連れて、ヒナコは奥の部屋へと行ってしまいました

 

「そういえばアーニャちゃん。ユイが言ってたよ、アーニャちゃんは''ニセモノ''じゃなかったって」

 

私の想いが通じたのでしょうか、ついにユイの誤解を解くことに成功し

「''すっごくアーニャちゃんのモノマネが上手な人''だって」

 

まだまだ道のりは長そうでした

きっといつか、ユイもわかってくれるはずです

 

「んじゃ、寝よっか。スミももうお眠みたいだしさ」

 

気がつくと、サヤの腕の中でスミレはすでにスヤスヤと寝息を立てていました

ごめんなさい、少し騒がしかったかもしれませんね

 

「電気消すよー」

「あ、はい」

 

そうしてサヤは電気のリモコンを手に取ると豆電球にして、抱えていたスミレをそっと布団へ降ろし、毛布を掛けます

そんなサヤを中心に、私も横になりました

ぽんぽんとスミレをあやすように毛布の上から手を添えているサヤの背中を見て、私はお風呂での出来事を思い出します

体を洗っているサヤの背中にも、腕と同じような無数のあざが見え、中には火傷のような痕もありました

それを私が見ていると、サヤはそれを隠すようにスポンジでボディソープを泡立てて隠します

そしてまたあの、申し訳なさそうな顔

 

「ひゃっ、ちょっとアーニャちゃん?」

 

気がつくと、私はそんなサヤの背中を抱きしめていました

 

「大丈夫ですサヤ。余計なお世話だったらごめんなさい、どんな姿でもサヤはサヤです。だからアーニャ何も思いません。だからどうか、あんな顔をしないでください」

「アーニャちゃん・・・」

「今日は、アーニャがママです」

 

すると、サヤはくるっと体勢を変え、こちらに向き直りました

 

「私、アーニャちゃんより年上なんだけどなぁ」

「関係ありません。母を愛する気持ちは皆同じです。ミナミもたまに私に甘えてきます」

「ふーん・・・」

 

サヤは大人しく、私に抱きしめられながら胸の中に収まりました

 

「言っとくけど」

「?」

「こんなに傷あるけど、私、まだ、処女だからね」

 

ハッキリ私にいい聞かせるように言いましたが、よく意味がわかりません

今度ミナミに聞いてみましょう

 

「で、せっかくだから少しお話しよっ。アイドル事務所ってどんな感じなの?」

「はい、面白い人たちばかりです。まずミナミというのはですね・・・」

 

それからしばらくサヤとのお話が続きました

皆の話をしたり、ヒナコの昔の話をしたり、たくさんたくさんお話しました

少し夜更かしです、ミナミに怒られてしまいますね

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「もう・・・限界だ」

「すぴー・・・」

 

朝日が差し込む、それはもう刺さるように差し込む

俺に倒れ込むように眠る姉さんが重い

 

「ほら!勝ちましたよ!どうですか!見ましたか!?見ましたよね!」

「そっか・・・そうだな、嬉しそうだなお前・・・」

 

うん、多分新田ちゃんは喜んでるんだろうな

そんな風に見えるけどもう瞼が重すぎて何もわからない

若いってすごい

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「それじゃあ、気をつけて」

「はい、色々お世話になりました!」

 

玄関先で、プロデューサーとアーニャが荷物を持ち、私たちに向かって頭を下げる

 

「またね、アルトリアちゃん!」

「またね」

 

イオとルリ、そして続いてコウとユイも挨拶をする

 

「アルトリアちゃん、また遊ぼ」

「はい、ユイも元気で。またいつか遊びましょう」

 

そう言い、続いてアーニャは私たちにも笑顔を向ける

それに私とサヤは手を上げて応え、パパとママは頭を少し下げた

 

「あ、そうだプロデューサー。今朝は結構しばれたからリモスタでエンジン掛けておいた」

「しばれる・・・ですか?それは一体どういう意味なんでしょう?アーニャ?」

 

プロデューサーにそう言うと、頭にクエスチョンマークを浮かべながら私たちを見比べるプロデューサーに、私とアーニャはクスクス笑うのだった

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