戦姫とカリピスト 【シンフォギア×MHXX&W】   作:クソツヨ狩猟笛

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今話は少し急ぎで書いたので後で修正が入るかもしれません。ガバい作者ですまない……。


よろしくハンターさん!

 白い繭状のナニかへと姿を変えたネフィリムを一同が眺めていると、背後から大きな物音がした。

 

「二人共、無事ですか!?」

 

『ナスターシャ教授!』

 

 その物音に釣られてハンターらが振り返ると、そこには閉じ切った鉄の扉をバールでこじ開ける中年程の女性の姿が目に入る。

 

 マリアとセレナは満面の喜色を浮かべながら、その女性に抱きついた。

 

 それはまるで、自分達が生きていると言う事実を噛み締める様な、万感の想いを込めたものにハンターは思えた。

 

 ただ、少女達はネフィリムと言う名の絶望に潰されそうになり、直後現れたハンターと言う名の希望が都合良く転がり込んで来た事が余りにも出来過ぎていて、どうにも現実感が湧かないでもいた。

 

「二人を助けてくれた事にはまず礼を。しかし貴女方は、一体……?」

 

 二人を抱き止めるナスターシャは、首だけを動かしてハンターと白いドレスの少女にやや訝しげな視線を飛ばす。

 

 無理もない。ハンター達こそ出所の分からない乱入者、その素性が善であれ悪であれ、不思議がる事は必然だった。

 

「……」

 

 ハンターは喋らない、彼女は極度の人見知りだ。しかしながら、艶やかな菫色をした髪と整った顔立ちが人見知りと合わさり却って奥ゆかしさを演出している。しかしもう一度言うが、中身は久しぶりの人との会話で挙動不審(拘束状態)になっているポンコツだった。

 

 やがて言葉に窮してか、オロオロと白いドレスの少女に視線をしきりに飛ばし出す。白いドレスの少女はにんまりと意地悪な笑みを浮かべていた。

 

「うふふっ! 仕方がないわね。こっちのハンターは駄目そうだから、私が代わりに説明してあげるわ」

 

「ええ、分かりました」

 

「私達は恐らく、次元を超えて此処にやって来た。謂わば次元の漂流者みたいなもの、かしら」

 

「次元を、超えて……?! 言葉が通じる事も謎ですが……」

 

「次元を超えるなんて私達の世界からすれば日常茶飯事な事よ。日本語や英語は既にこっちの世界に持ち込まれ理解もされている言葉なの。次元を超えてやって来た人達がこのハンターに仕事を頼む事も良くあったらしいわ」

 

「……なるほど。今はその言葉、信じさせてもらいましょう」

 

ナスターシャの目の前の二人は間違いなく規格外の存在であった。故に此方はその荒唐無稽とも言える言葉を飲み込む他ない。それとは別に、マリアとセレナの恩人に手を出す気など無いと言う親心もまた彼女の選択を後押しした。

 

「物分かりが良くて助かるわ。後、この世界がどんな世界か教えて下さるかしら?」

 

「可能な限り、で良ければ。一先ず今は、人目を避ける為に空き部屋で話の続きを」

 

 繭と化したネフィリムをどこからか取り出した金庫に収め、台車で運ぶナスターシャと白いドレスの少女を先頭に、マリアとセレナ、そしてその後をハンターが進んでいく……

 

 ──✳︎──

 

「今私達が居るのはアメリカ合衆国が秘密裏に運営するF.I.S.と言う名の実験施設。……やっぱり別世界らしいわね」

 

 ハンターと白いドレスの少女にF.I.S.と言う固有名詞は聞き馴染みは無かったが、アメリカ合衆国と言う言葉は幾らかの来訪者達が口にしていた記憶があった。

 

 ナスターシャは二人の正体を警戒し、F.I.S.の情報を与えるかどうかを考えていたが、もしスパイならああも簡単に施設に乗り込まれた時点で隠せる情報もほぼ無いものと考え、情報を提供する事に決めた。

 

 ── 認定特異災害・ノイズに対抗する為に生み出されたシンフォギアなる存在。

 

 ──ネフィリムを始めとした聖遺物と、ハンターの狩猟笛との関連性。

 

 一先ず現段階でハンター達が遭遇した事象に関する物のみの説明に留めては居たが、それでもかなりの情報量となっている。

 

 暫くは会話ばかりとなり、狩りと狩猟笛の事以外は耳をすり抜けるハンターは棒立ちでマリアとセレナに絡まれていた。

 

「私はマリア・カデンツァヴナ・イヴ。セレナの姉よ」

 

「私の名前はセレナ・カデンツァヴナ・イヴです。マリア姉さんの妹です」

 

「……」

 

「さっきは妹のセレナを助けてくれて……本当にありがとう、感謝しかないわ」

 

「私からも、姉さんを助けて頂きありがとうございました」

 

 ハンターは二人の感謝にお辞儀を一つ。意味合いはどういたしまして、と言った所か。

 

「その、貴女の名前を聞いても良いかしら?」

 

 上目遣いに尋ねるマリア。

 

「……って、何なの、その手、ちょ、ひゃあ!? ふぁぁっ! あぁ……ッあ……」

 

 猫耳の様な独特の髪型からハンターはアイルーを思い出し、無意識の内に喉をくすぐってしまっていた。

 

 マリアはなす術もなくハンターの撫でテクに腰を砕かれ、15歳の少女が見せてはならない恍惚とした表情を見せてしまう。

 

「ああっ、姉さん、凄くすごく可愛いです」

 

 セレナは心のアルバムに姉のあられもない姿をそっと収めた。姉の尊厳はもはやどこにも無い。

 

 このまま、空気がピンク色になろうとした時。

 

「あああああ! 英雄! かの英雄は何処へぇぇぇッ!?」

 

 男の歓喜の声がドアを貫通して響いてきた。どころか部屋に飛び込んできた。

 

「……ああ、失礼。此処に居ましたか」

 

 ハンターを目視した瞬間、スッと表情を怜悧なものに切り替えた男は、ハンターの前に跪き、深く礼をする。

 

「貴女は正しく英雄だ。助けを望む者達の前に突然現れ強大な力を前に怯む事なく踏み出し完全無欠の勝ちを取る。そして貴女はその行いの先に純粋な夢を見据えているロマンチストでもある、違いますか?」

 

「……」

 

 ハンターは職業だ、決して英雄ではない。しかし、単なる狩人と言う訳でもない。龍暦院と呼ばれる研究機関の専属ハンターである彼女は基本的に命題とも呼べる個人的な探求の側面をもって狩猟を行っていた。

 その探求とは、彼女の背にそそり立つ狩猟笛にある。

 

 ──最高のカリピスト。

 

 狩猟笛の道を極めし者がたどり着く果ての果て。

 

 放つ旋律千里を超え、幾万の竜を薙ぎ倒す。その手練の操手は正に人知を逸した神の御技そのもの。

 

 これこそが彼女の目指す夢だ。

 

「おっと私とした事が。そちらのレディもいらっしゃると言うのに名を名乗らないのは不躾でしたね。私の名はジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。気軽にウェル博士とお呼び下さい」

 

「……」

 

「よろしくさせてもらおうかしら。ウェル博士」

 

「ふふ、こちらこそ。そして貴女は……やはり英雄とは寡黙なもの、と言う事ですか。ならばこれ以上の言葉は無粋でしょう、貴女は行動で示してくれましたから」

 

 ハンターは唐突に現れた変人にまたも拘束状態にされていた。それどころか天下無双のハンターがこれまであまり感じた事の無い恐怖すら感じていた。ある意味で偉業である。

 

「Dr.ウェル、どうして此処に来たのですか」

 

「どうして? つれないですね、私と博士の仲ではないですか。霹靂が如く現れた英雄を独り占めなんてノンノン、ご法度ですよ。僕だって実験の失敗を聞き付けた時、急いでここ戻って来たんですから」

 

「この惨状は、貴方の差し金では無いと?」

 

「いえ、高々一介の研究者でしかない私にその様な権限はありませんよ。……もしそんな事実があるとすれば、私だって許せません。リスクヘッジも成さずに他人を巻き込むなど、研究者としても、人としても」

 

「……分かりました。失礼な事を聞きましたね、Dr.ウェル」

 

「悪い意味でタイミングが良過ぎたのは事実ですし、貴女が彼女達を大切に思う心は知っています。全てが終わった後でノコノコと姿を現した私にも責任はありますよ」

 

 ハンターは内心、この不審者の評価を改めた。

 

 こうして一先ず誤解を解いた面々はこれからの動向について会議する……その前に。

 

 

 

「……シース」

 

『……?』

 

「それが……私の名前だ」

 

『!』

 

 今まで意味のある言葉を喋らなかったハンターは名を語る。

 

 それは少なくとも、モンスターより警戒心の強いシースが信を置くに足る存在であると認めたからに他ならない。

 

 そして彼女がそうした理由の一片にはナスターシャと白いドレスの少女がやり取りした会話の中にもあった。

 

 

 

 ──『ノイズ』

 

 

 

 人間に組み付き自身の消滅と道連れに塵へと変える、神出鬼没の歩く災害の様な存在。

 そこには炭素の塵しか残らない。叫びも骸も、血の一滴すらも残さず奪い去る。

 

 それを聞いた彼女は無意識にかつての獲物にその姿を重ねていた。

 

 

 

 シースには消えぬ痛みがある。

 

 それは例えどれだけ狩人としての名声を高めようとも、幾度モンスターを狩ろうとも帰らぬもの。

 

 ──『骸龍(がいりゅう)オストガロア』

 

 かのモンスターは伝承や噂話程度にしか語られていなかった伝説の存在だった。

 

 ──シースの元へ一つのクエストが届くまでは。

 

 無尽蔵に全てを飲み込む龍であるオストガロアは龍暦院やギルドがその存在に気付くまでに無数の村を襲い全てを食い尽くしたが故に誰も目撃情報を上げる事が出来なかったのだ。

 

 そんな惨事の中、唯一の生き残りが託した依頼の内容は、凄絶たる物だった。

 

 

 

 『あの日、村は一夜にして消えた。海の傍で共に暮らした仲間たちも、生まれたばかりの幼子も、みんな奪われてしまった。何の因果か残されたわしは、ただ一つの望みを抱いて生きてきた。オストガロア…奴を文字通り骸に変えてくれ。』

 

 

 

 オストガロアは斃された。この言葉(呪い)を受け取ったシースの手によって。

 しかしシースは哭いた。幾ら力があっても、知らなければ何も出来なかったからだ。

 

 だが、これ(ノイズ)は違う。

 ()知る事が出来た。出来うる限り、可能な限り最も早く知る事が出来たのだ。

 ここで無視してしまえば、また悲劇は繰り返される。いや、現在進行形で悲劇は生まれているはず。

 

 その日心に刻み込んだ傷を未だシースは忘れていなかった。

 

(──ならば、狩る)

 

 狩るには武器が必要だが、可能性はある。

 

(ナスターシャは言っていた……と思う。祖龍(ルーツ)との会話の中で)

 

 『彼女が背負うあの武器は先程説明したシンフォギアにも使用される聖遺物、その内ごく僅かにのみ存在する完全聖遺物の一種である可能性があります』

 

 何やら、聖遺物とはノイズを倒す一つの可能性らしい。

 

 シースは確信した。きっと自身がここに居る理由はここにある、と。

 

 シースは決断した。彼女達に力を貸そう、と。

 

 シースは覚悟する。ノイズを狩り尽くす、と。

 

 なんの事はない、何せ彼女は歩く災害(古龍)との戦いなど飽きるほど経験して来たのだから。

 

 

「その、これから……宜しく、頼む」

 

 

 これは彼女の、ほんの決意表明だった。

 

──✳︎──

 

 ──そして、再び彼女達の存在が世界に表出するのは、これから数年後の事。

 

 ──狩人は、獲物(モンスター)と出会う。




ハンターの装備言えなかったゾ(無能)

と言うか下手したらXXハンター(ゆうたの方ではない)の出番は少しお休みになるかも。
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