戦姫とカリピスト 【シンフォギア×MHXX&W】 作:クソツヨ狩猟笛
「遅刻遅刻〜っ!」
私、立花響は呪われているとつくづく思う。
学校が始まって早々に遅刻しちゃうし、この前は変な服を着てノイズと戦ったら映画みたいな場所に手錠掛けて連れて行かれちゃうし……厄除けの御守り買い足した方が良いのかな? あ、でも猫さんや女の子は助けれた訳だし、就職先が決まったのも、
「いや、でも今日は目覚まし時計が壊れた所為で遅刻してる! やっぱり私、呪われてるんだぁ〜!」
今日から学校に
──✳︎──
「立花さん、また遅刻ですか。人助けも良いですが、それは自分の事がちゃんと出来るようになってから……」
「あのう、普通に寝坊しちゃいました……」
「……」
「ひぇっ!!」
「立花さん、昼休み、職員室です」
「は、はいっ!」
うう、先生からの死刑宣告で目の前が真っ暗だよう。……そう言えば、教室に入る前に扉の近くでそわそわしてる綺麗な人を見たけど、あの人がもしかして教育実習生なのかな?
「もう、響ったら」
「ごめん、未来。折角起こしに来てくれたのに」
「次からは気を付けようね?」
「うん、分かったよ未来」
今隣の席に居る未来は私の大事な人だ。いつも私の事を気にかけてくれる。ちょっと所じゃない位申し訳ないって思う時もあるから、いつか未来に一杯恩返し出来たら良いな。
なんて考えていると、壇上の先生がパチンと手を叩く。
「それでは皆さん。このクラスに教育実習でやって来る新しい先生を紹介するわ。マリア先生よ。どうぞ此方に」
ガラガラピシャ。
そんな音を立てて教室に入って来たのは、まるで先程見た時とは別人の凛としたオーラを放つ、あの綺麗な人だった。
「ありがとうございます、先生。……これからひと月間教育実習生として皆さんのお世話になる、マリア・カデンツヴァナ・イヴです。皆さんは気軽にマリア先生と呼んでくれると嬉しいわ。よろしくお願いします」
チョークを取って名前を書くその立ち振る舞いも綺麗で、まるでどこかの国のお姫様みたいだった。だから未来も私も目を釘付けにされて、クラス中がしんとしている事にも気付かなかった。
そのしんとした空気が張り詰めた瞬間。
『──わぁぁぁぁっ!』
教室は皆の歓喜に包まれていた。
──✳︎──
「立花さん、今日で何度目の遅刻ですか?」
「えっと……1、2、さ」
「そう言う事を言っているんじゃありません!!」
「た、沢山です!!」
「立花さぁっん!!」
「はいっ!!」
「はぁ……。貴女にも事情はあるのかもしれません、でも学生の本分である勉学を蔑ろにしても良い物なんですか?」
「それは……」
「……今回は多めに見ます」
「先生……」
「ですが! 私の言葉を忘れない様に。良いですね?」
「はい! この立花響、胸に刻み込みました!」
こうは言ったけど、今後あの映画みたいな場所──
「立花さんたら、全く、調子が良いんですから」
──✳︎──
「ご飯っ、ご飯っ……あ、今日は遅れそうだからって未来には先に食べて貰ってたんだった! じゃあ、どこで食べようかなぁ?」
教室? 食堂? グラウンド? 屋上? どこも捨てがたし……。
「貴女、立花さんね?」
この声、今日来たばかりのマリア先生だ!
「マリア先生ー! どうして此処に? 後自己紹介してましたっけ?」
「どうしても何も、ここ職員室前の廊下でしょう。名前は、廊下にまであのやり取りが聞こえて来たから。それにしても凄い大ボリュームだったわね」
「いやあ、照れますよ」
私、声が大きいって良く言われるんですよ、えへへ。
「褒めてないわよ……?」
「そ、そんなぁっ!?」
嘘ぉっ!? もしかして未来にもそう思われてたり……。
「ぷっ! 愉快な子ね、立花さんは」
あ、マリア先生が笑った。翼さんや奏さん位顔が整ってるから笑った顔も絵になるなぁ。
「あ、そう言えば一体何の用事で? ……まさか2度目のお説教!?」
「貴女先生の前でその物言い……中々に怖いもの知らずね。別に説教じゃないから安心なさい、貴女と一緒にお昼ご飯でもと思ってね。エスコートしてもらえるかしら?」
ご飯のお誘い。ふっふっふ、こうなればご飯&ご飯が大好きな私が乗らない訳にはいきませんなぁ。
「はい、喜んで!」
──✳︎──
そうして選んだ場所は──屋上! 山際に建っているリディアンの校舎の屋上には港から気持ちの良い海風が入ってくるのがグッドポイント。
「良い風ね」
マリア先生も両手を広げて気持ち良さそうに風を浴びている。美人さんはどんな事してても絵になるんだなぁ。
「はい、お気に入りの場所なんです」
「中々良いセンスしてるわよ、立花さんは」
「えへへ、ありがとうございます」
今度こそ褒められた。でもこの場所を見つけたのは未来なんだけどね。
星のよく見える展望台を教えてくれたのも未来だった。未来は綺麗な物を見つける天才だと思う。
──あのライブの日、
本当、皆私の心配ばかりで……あの時は自分が申し訳なさすぎて、少し嫌になった時があったんだ。
でも未来は違う言葉をくれた。
『退院したら、一緒に星がよく見える展望台に行こう』って。
嬉しかった。未来は私の欲しい言葉をくれたんだ。
だから、未来は私にとって大切な人。
「……立花さん? どうしたの?」
「あ、マリア先生、ちょっと考え事してただけです。ご飯食べちゃいましょう!」
「あ、それで立花さん、今までの遅刻の事だけど」
「え"?」
ま、まさかの不意打ち!?
「何か言えない事情があるのは分かってるわ」
「それは、どう言う……」
「だから、人生の先輩である私から一つアドバイスよ」
マリア先生は、優しく微笑んで息を継いだ。
「後悔しない生き方をしなさい」
「……後悔」
「人生は少し歩けば後悔の連続、私も幾度となく後悔して来た。でも運良く一生ものの後悔はしないで生きて行けてる。でも貴女はまだ多感な時期なの、一時の感情の昂りで取り返しのつかない過ちを犯すかもしれない」
思うのは、未来に黙ってトッキブツで働いている事。
ノイズと戦う危険なお仕事なのは分かってる。でも私は、皆の事を助けられる人になりたいから戦う事を選んだ。
生死の境で聞こえた声は、今だって鼓動と共に蘇る。
『生きるのを諦めるな』
私は、生きるのを諦めかけている人も助けられる、
でも未来に言ってしまったら、きっと優しい未来の事だから心配をかけてしまう。
それは怒られるとか、呆れられるのが嫌なんじゃなくて、私はただ……未来が私の心配で毎日を楽しく過ごせなくなるのが怖いんだ。
「心当たりがあるみたいね。でも私がするのはアドバイスだけ。悩むのは若者の特権よ」
凄い、これが大人。私の心を見透かしてるみたい。
ああ、未来……こんな時、未来ならどうしてるのかな。
「辛気臭い雰囲気にしちゃって御免なさい。ご飯にしましょうか」
マリア先生は空気を切り替える為か弁当の蓋を開いた。可愛らしいピンク色の弁当箱? いや重箱だ。勿論量は可愛くない。
「でも凄く美味しそう……」
「ふふ、私の
え〜と、1段目さ豚バラ肉の醤油炒めと、里芋の煮っ転がしと、きんぴらごぼう、正統派に美味しそう。
2段目は一面真っ白なご飯……凄い量。
3段目は一面プリンの乗ったパンケーキにたっぷりの
「後は……」
「えっ……まだあるんですか?」
「カップラーメンと、ポットが二つ」
この量にカップラーメンとポット二つ──片方はシチュー、もう片方はお味噌汁──って、実はマリアさん、凄く沢山食べる人?
「まずカップラーメンにこっちの沸騰した味噌汁をザバーっとするわ」
「まさかの味噌ラーメン?!」
「そして白米にはシチューをザバーッ!!」
「更にライス on the シチュー、だとッ!?」
「でもこれを食い切るには時間が足りないわね……立花さん、殿は任せても良いかしら!?」
「この立花響、よく分かりませんけど任されました!!」
……昼休みのご飯って、こんなに張り切って食べる物だったっけ?
──✳︎──
「初めまして皆さん。私は一年生の音楽、その中の吹奏楽を担当する外部講師のダブ・リーオです。ダブ先生でもリーオ先生でも特に気にしませんよ〜! じゃんじゃん呼んでくださいね!」
やって来ました午後の授業の時間。今日からいつもの先生だけでやってるピアノの授業だけじゃなく、吹奏楽の授業も始まるらしい。
焦げ茶色の髪を短く揃えたダブ先生は凄く溌溂とした感じで、見てるだけでも元気が貰えそうだ。
「楽しみだね、響!」
未来はピアノを専攻したいみたいだからどうだろうと思ったけど、普段手を出してなかった吹奏楽にも触れられるからか凄くワクワクしてる。優しい未来も好きだけど、真剣な未来も好きだなあ。
「マリア先生みたいに海外の人なのかな? でもあの声、どっかで聞いた気がするんだよなあ? どこでだろう?」
この声には間違いなく聞き覚えがある、でも思い出せない。ああ〜モヤモヤするう〜!
「さて、今日は初顔合わせって事だし、ここで一曲奏でて進ぜよう」
そう言ってダブ先生はピッカピカのトランペットを取り出した。
「曲のタイトルはそうだなぁ……
── 『星に駆られて』……かな」
ダブ先生がトランペットに息を吹き込んだ瞬間、私達はどこまでも続く広い大地の姿を見た……ような気がした。
次はライブだ!→ 勢いで書く→ 今話
あるぇ?