彼はある日、一人の少女と出会う。不死とは何か?赤結晶の力とは?そして自分を殺す方法を見つける為、彼は問い、能力を持った者達への戦いへと発展する。
ー13年前、一晩で一つの都市が消滅した。
それは自分が6つの時だった。既に亡くなっていた父親と母親の間に生まれた子で、決して裕福な家庭ではなかったがそれでも一家は幸せに生活していた。
ーそれもこの惨劇が起こるまでは。
突如、都市の中心部から凄まじい爆発が起き、あらゆる物を破壊し、吹き飛ばし、焼き尽くした。
一家は中心部からは離れた町に住んでいた為、直撃は免れたものの衝撃波で硝子は割れ、近隣の民家からは火の手が上がり、それは次々に燃え移って行き周辺は焦土と化した。
その光景は地獄と言っても大差無いだろう。一家の家も勿論例外では無く、就寝中だった母親と自分に逃げる暇など無かった。家は延々と燃え盛る炎で包み込まれ、ゆっくりと部屋を侵食していく。
母親は決して騒いだり、パニックに陥る事は無かった。
ただ、静かに自分を炎から守るように優しく抱きしめていた。だが、子供を抱きしめている腕には微かに震えがあった。それが死への恐怖だったのか、悲しみだったのか、その両方だったのかはわからない。
ただ最後まで子を守る。彼女はそれだけだった。
ー初めて死んだ時の感覚は今でも忘れられない。
迫り来る炎は母親の背をゆっくりと焼き、じわじわと身体中に広がっていく。それでも子を抱く腕は離すことは無かった。
「........ジル、ごめんね。」
目の前で母親が焼かれていくのを見て、多大なる絶望を幼いながらにも味わった。そして迫り来る死の恐怖。
炎は遂に自分に届いて、容赦なく身体を焼いた。
考える暇も無く意識は一瞬で消えた。
ー死んで終わり。それで良かったのに。
次に目を覚ました時、目に映った物は真っ黒に焼け落ちた町の道路だった。
自分は何が起こっているのか理解できなかった。確かに焼かれた感覚があったのに。
自分はそのまま何かに取り憑かれた様に自分の母親を探し続けた。
そして見覚えのある壁や屋根が焼け落ちた家だった物を見つける事ができた。
そして寝室だった場所に足を運ぶと、部屋の中央に屈んだ体制の黒焦げの人間がー
全てを理解し、自分は泣いた。ただ泣いた。だが、どれだけ泣いても人は生き返らない。
泣いても失われた命は戻らない。
そう分かっていても泣くしか無かった。
何故、自分が生きてる?皆焼け死んだ筈なのに自分だけが何故か生き返って。
6歳だった自分にはあまりに残酷過ぎた。
「ひでぇ有様だな....これじゃ生存者は居ないだろう」
「おい、何か泣き声みたいなのが聞こえないか?」
救助に来ていた救助隊の二人組の男が泣き声を頼りにこちらへやって来る。
「おいこっちだ!」
「子供だ!子供がいるぞ!」
それから俺は保護施設へ輸送された。そして、13年の時が経った。
この十三年間、ただひたすらに考えて考え尽くした。そして考えついた2つの目的。
一つ目は、この大爆発の原因を探る事。
そして二つ目は、自分の不死の理由と自分を殺せる方法を探る事だ。
俺の名前はジル。不死という最も不幸で最も残酷な力を持ってしまった人間だ。