もこたん→青ニート←その他大勢   作:へか帝

18 / 20
たとえ久しぶりの更新だったしても、もこたんは出てきません
でも再登場のビジョンは見えてるので、ちゃんといつか出てきますよ



神社の宴会

 

「ちょっとアンタ。せっかくの宴会だっつうのに何をそんなヘコんでんの?」

「ねえ霊夢。知ってる? 現実は、時として運命以上に受け入れ難い時があるのよ……」

「はあ?」

 

 紅霧異変の首謀者にして紅魔館の主、レミリア・スカーレットは大いに凹んでいた。

 理由は一つ。宴のさなか、なんとも残酷な認めがたい現実を突き付けられたからである。

 

「一応聞きましょうか。──あなた、その姿はどうしたの」

 

 吸血鬼が真紅の双眸を怒りや失望ともとれぬ情念交じりに向けた視線の先には──

 

「……ん。私?」

 

 肉料理をのんきにつまんでいるルーミアの姿があった。

 呆けたような返事だった。吸血鬼の怒気交じりの注目を浴びようと、毛ほども緊張していない。 

 余談だが遠慮なく頬張っている肉料理は紅魔館のメイド長が手ずから調理を行い、特別な手段で"できたて"の状態で博麗神社に持ち込まれたご馳走である。

 

「あのねぇ……。あんた以外に誰がいるのよ」

 

 憂い交じりの覇気のない声で、レミリアが小さくボヤく。

 

 遡ること数十年。我らこそ妖の支配者に相応しいと不遜にも幻想郷に攻め入った吸血鬼たちから、この妖怪は無情にも夜の世界を奪った。

 不運なのは吸血鬼だ。まさかこんな遥か東の辺境の島国に、天上の星さえ喰らい尽くす百世不磨の怪物が待ち構えていたなど誰が予想できようか。

 それこそ、御伽噺に語られる存在。それがのんきに宴で肉を頬張っていた。

 それも、レミリアの記憶にある姿とは似ても似つかない童女の姿でだ。

 

「空の色さえ無に帰す化け物が、なんでそんな……」

 

 力を失くした闇の妖怪に、露骨にしょげたレミリアが力なく声を掛ける。

 理由は明白。レミリアは、相対しただけで、かつて恐れた闇の妖怪の力が著しく衰えていることが手に取るように分かってしまったのだ。

 かつての強者の威風、絶対者の気品。夜の貴族が仰ぎ見た絶望は、もはや見る影も無い。 

 加えてその事実をルーミア自身が毛ほども気にしていないのが、これまたレミリアのやるせなさを加速させていた。

 たとえ敗者とて、勝者に誇り高く高潔であれと願うくらいは許されるはずだ。

 でなくては、惨めに敗れた我々が尚更に哀れではないか。

 強さに矜持を持つ吸血鬼ならではの考え方だが、残念ながらそれに対してルーミアからの忖度などあるはずもない。

 一方で意外に感じるのは霊夢だ。異変の序盤でぶっ飛ばした雑魚妖怪と異変の首謀者との間に深い繋がりがあったとは。

 

「なに、あんたら知り合いだったわけ?」

「人探しのついでに、昔ちょっとね」

 

 霊夢の問いにルーミアがさらりと答える。事情を知らない霊夢からしてみれば、近所の木っ端妖怪と湖の吸血鬼との接点など意外そのもの。

 しかも吸血側の方が向けている感情が露骨に大きいときた。

 レミリアなど、センチになりすぎて日も浴びてないのにそのまま灰となってサラサラと崩れていきそうな様子である。

 

「それでなんでレミリアがしょげてんのよ」 

「挑み、そして敗れた。それが全てよ。私たち吸血鬼がこの幻想郷に来た当時の話だけど」

「ええ? 吸血鬼のあんたがこれに負けたの?」

 

 レミリアの実力は弾幕ごっこを通じて対峙した霊夢が一番よく知っている。それにルーミアの妖怪としての弱さは折り紙つきだ。それこそ妖精と大差ないくらいよわっちい。

 吸血鬼ともあろうものがこんなのに負けるなんて、という同情の視線を霊夢はレミリアに送った。

 

「こんなんに負けるわけないでしょ!? 昔はもっとデタラメな妖怪だったの!」

「あいたっ」

 

 バシィン! とルーミアの頭をはたきながら憤慨したレミリアが吠える。私怨の混じった一撃だった。

 霊夢の憐れむような視線は気位が高いレミリアをして相当堪えたらしい。

 

「よしてよ。このリボンも結構デリケートなんだ」

「リボン? そんなもの──あら? それってもしかして」

 

 はたかれたルーミアは怒りもせず、髪に結んだリボンの方を気にしていた。

 ルーミアの奇妙な反応に、二人の注目がリボンに集まる。それはかつて紅魔館の上空を支配していたときには無かったものだ。

 赤地に走る白い紋は、レミリアも見慣れたもの。隣の霊夢はそれ以上に馴染みのある模様だ。

 

「ウチの封印じゃない。母さんが結んだのかしら」

「え、ウソ、実はあなたも博麗の巫女に敗れた感じ? それなら全然歓迎なんだけど」 

 

 レミリアはリボンの模様を見て目に光が戻り、次いで霊夢の言葉を聞いた途端、表情が露骨に明るくなった。

 

「え? そこんとこどうなのよ、教えなさいよ」 

 

 途端に調子を取り戻したレミリアがにやにやと嫌らしい笑みを浮かべ、肘でルーミアを小突きだす。

 力を失い身をやつしたルーミアの姿はレミリアにとって悲愴感を与えるのに十分すぎるものであったが、それが博麗の巫女によるものとなれば話は別。

 先の弾幕ごっこでレミリアは全力を賭して博麗の巫女に戦いを挑んで、敗北を喫した。

 過去に吸血鬼としての勢力の全てを費やして敗れたのもまた、代は違えど同じ博麗の巫女である。

 この闇の妖怪が敗北を喫した相手が博麗の巫女だというなら、それはレミリア的に大いに"アリ"だった。

 

「いや、全然違うけど」

 

 だが、ルーミアはレミリアが思い描いた都合のいい展開を一言で切って捨てた。

 

「あっ、嫌な予感がする。私その話の続き聞きたくないんだけど」

「これはね、私から先代の巫女に頼んで封印してもらった時のリボン」

「聞きたくないって言ったのに!」

 

 ルーミアのマイペースさは、レミリアにとってとことん無慈悲だった。かの闇の帝王が弱体化している事実ひとつでレミリアは相当堪える案件だというのに、ルーミアはこともあろうか自ら望んで力を手放したという。レミリアのやるせなさは更に加速した。

 

「普通に考えて、田舎巫女風情が私を封印できるわけないじゃん」

「確かに」

 

 バシィン!

 

「しばくぞ」

「「もうしばいてるじゃん……」」

 

 幻想郷の管理者として、巫女を侮るような発言は絶許である。ルーミアとレミリアは光の速さでしばかれた。

 退魔の札による容赦ないビンタが二人の柔肌をぶったのだ。

 他人事のように成り行きを見守っていた霊夢だが、ディスられてからの反応の速さは見事なものである。もちろん巫女sageに賛同したレミリアもターゲット。

 天衣無縫な霊夢とて、代々の役職を"田舎巫女"呼ばわりされて聞き流しては沽券に関わるのだ。

 

「で、霊夢は? 封印の経緯とかおじ様から何か聞いてないのかしら」

「おじ様ぁ? 誰の話してんのよ」

「霊夢が知らないはずないでしょ。おじ様は博麗神社に住んだって聞いてるんだけど」

 

 神社にいる人物といえば、霊夢が思い当たる人物は一人しかいない。

 

「……ひょっとしてあの枯れ木みたいな居候のこと言ってんの?」

「知らないけど特徴的にたぶんそう。姿を見かけないけど、今日はいないのかしら」

 

 二人が想定するのは、あの顔さえ正確に思い出せないくらい特徴のない男。だがあのへし折れた志は彼を象徴するのに十分なものだった。

 

「宴会を嫌ってどっかに逃げたわよ。で、なんで紅魔館に引きこもってたアンタがあいつを知ってるのかしら」

「吸血鬼異変は知っているでしょ? 当時の吸血鬼をブッ潰したメンバーの一人だよ」

「……ちょっと、冗談でしょ」

 

 横から端的に説明したのはレミリアではなくルーミアだった。事実を述べたのみといった様子で、そこに自慢げな色は含まれていない。

 それこそ、あの男ならその程度は出来て当然と言っている風だ。レミリアもそれに異を唱える様子はない。

 だが、霊夢からしてみればまるで信じられなかった。それもそのはずで、なにせ彼女が知っている男は、あの何の意欲もない石みたいな姿だけなのだ。

 見栄えの悪い置物じみた空虚な男が、母が『経験した中でもっとも苛烈な異変』と評する吸血鬼異変に関わっていた? それが本当ならばよくぞ生きて帰れたものだ。

 順当にいけば抱く感想その程度のもの。彼女の知りうる情報からしてみれば当然そうなる。

 だが二人の言い方は、まるであの男が吸血鬼異変解決の立役者のような口ぶり。だからこそ霊夢には冗談としか思えなかった。

 見かねたレミリアが更に口を挟む。 

 

「まあ、あの場で最も見くびられていたのは彼で間違いないけどね。ていうか霊夢、先代の巫女の腕を灼いたのもおじ様なんだけど、もしかしてそれも知らない?」

「……マジ?」

 

 唖然。霊夢の様子はこう表現するのが最も正しいだろう。

 霊夢が母と慕う先代の博麗の巫女は、霊夢にとって無敵の象徴である。実際血生臭い幻想郷を制した歴史も鑑みてもその評価は的を射ている。

 そんな先代の巫女が自慢するのが、あの焼け焦げた腕。先代の巫女が受けた傷は数あれど、再起不能なほど強いものは、あの片腕のみだ。

 霊夢はかつてその傷を『太陽を掴んだ証』だと誇るように言って聞かされたが、その力を振るった存在を想像しなかったわけではない。

 あの無敵の母が傷を負い、そして誇るほどの力の持ち主。きっとさぞかし強力な存在だったのだろう。その全容は、はっきり言って全く想像がつかなかった。

 ……それが、その正体があの萎びた男?

 

「信じられない」

「そりゃあの当時私だって思ったわよ。月さえ、星空さえも食い散らかされた闇の中で、一人の男が突如太陽の雷霆を掲げだしたのだから」

 

 確かにあの場で一番驚いたのは当時の吸血鬼サイドで間違いないだろう。ましてや直後その槍を巫女が素手でキャッチするのだから、その瞬間の驚愕は想像もつかない。

 

「闇の中にああも容易く光を灯されちゃあ、こっちも商売あがったりだよ」

 

 続けてルーミアが皮肉気に笑う。ルーミアもまた、あの場で驚かされたうちの一人だ。

 当時あの場で展開した闇は深淵そのものではなかったが、光を吸い込む性質に違いはない。霊夢も弱体化した後のものとはいえ、ルーミアの闇の完全性はよく知っている。霊夢の知るルーミアの力はただ闇を生み出すだけのものだったが、その闇は絶対だった。

 太陽さえ拒む暗闇の中では如何なる光も存在しえない。どのような種類の力であれば、あの闇を突破できるというのか。

 その答えを知る男は、今この場にはいない。

 

「あいつ、何者?」

 

 それは今までも霊夢の片隅にあった疑問だった。幼少のころから神社に居座っていて、あの不器用な母がべったり寄り添ってはそれとなくイチャつきにかかる謎の人物。

 如何にしてあの修行マシーンで難攻不落の母をでれでれ(霊夢視点)にしたのかも気になるが、彼の秘めた力と普段の振る舞いのギャップが、霊夢の希少な知的好奇心を刺激した。

 

「正確かはわからないけど……心当たりはあるわ」

「ふうん」

 

 答えたレミリアに、興味深そうな反応を返したのはルーミアの方だった。レミリアが彼について知っていることが意外だったらしい。

 霊夢も黙って続きを促す。

 

「まず私の家系に関わりがあってね。まず吸血鬼っていうのは元を辿ると"竜"の──」

「その話、長そうだから適当に短くまとめて」 

 

 意気揚々とスカーレット家の歴史を語りだしたレミリアだったが、無慈悲な霊夢の言葉に口を開けたまま数秒間停止した。

 これは滅多に振る舞う機会のない家の由緒をいざ語ろうとした瞬間霊夢に梯子を外されたショックと、言われた通りに律儀に概要を短くまとめるため頭を回転させていたためのフリーズだった。

 

「……。ウチは代々、先祖返りを──つまりは竜になることを目的にしていたの」

「龍に?」

「貴女の想像する龍は胴の細長い方でしょう? 私の言う竜は東洋のそれとは違う」

 

 音は同じくとも、竜と龍は姿からしておよそ異なる存在。レミリアは霊夢に厳重に言い含める。

 

「私の言う竜はね……もう滅んだの。もはや幻想の中にさえありえない、うつろな存在なのよ。だからこそ──憧れる」

「なんでもいいけど。でも、人間でもあるまいし、吸血鬼が別種の存在に成ろうっていうのは無理があるんじゃない?」

 

 竜と龍の差異も霊夢にとっては別段どうでも良かった。

 それより気になるのは吸血鬼が別種の存在を目指していたという点だ。吸血鬼など、自分が人間より上の完成された存在だとでも思っていそうなものだが、実際は少し異なっていたらしい。

 鯉でもあるまいし、まさか吸血鬼が竜になろうなどと。荒唐無稽な願いのように思えるが、果たして。

 

「それがそうでもないのよ。意外かもしれないけど、竜へ至る求道は世界各地で例があるの。紅魔館の地下には、その手がかりを得るために数多の収集品が眠っている」

「あんたのお家の竜願望はどうでもいいけどね。それがウチの唐変木と何の関係があるのかしら」

「それなのよ。彼の存在が竜にまつわる文献にちょくちょく出てくるの。最も竜に近い超越者、あるいは完全なノスフェラトゥ、不死の王として」

「どれも大げさすぎて似つかわしくないわね。あれが王の器には思えないけど」

 

 レミリアが羅列する大仰な肩書の数々に、霊夢は肩をすくめてみせた。霊夢が知る縁側の男の二つ名としては、どれも荷が勝ちすぎる。

 まして王などと。縁側で抜け殻のようにぼうっと空を眺めるだけの彼が君臨する姿など、どう想像しろというのか。

 

「かつて紅魔館を滅茶苦茶にした力はまさに王と呼ぶのに相応しい。少なくとも、玉座に座ろうとする彼を止められる者が存在するなんて、私には思えない」

 

 だが、レミリアにとってはそうではない。レミリアは霊夢とは逆で、あの不死の男が数々の伝説を手足の如く操る姿しか知らないのだ。

 吸血鬼は生まれつき強い。そして、強いことは偉い。だから数多の妖の上に立ち、支配してきた。

 強者を何よりも尊ぶ吸血鬼からしてみれば、力の権化たるあの男は、恐るべき深淵さえ踏みにじったあの男は、吸血鬼をして王と言わしめる程の人物であった。

 

「吸血鬼という不死の一族に生きる者としては、願うことなら彼を王として従いたい。まあ彼が玉座を望まない以上、彼を王と仰ぐこともないでしょうけど」

「なんだか本当に同一人物の話をしているのか不安になってきたわね」

 

 尊大な態度がスタンダードで異変を通じてようやく霊夢と対等であると認めたような、プライドの煮凝りみたいな存在のレミリアが、霊夢が毎日邪険に扱っているあの唐変木を自身の上に置こうとしている。それが霊夢からしてみれば兎角奇妙で仕方がない。ひょっとして実は別人の話をしているんじゃと疑ってしまうのも無理はないだろう。

 

「そこは私が保証する。吸血鬼に畏怖されている男と、よく理由もなく箒で尻を叩かれている男は確かに同一人物だよ」 

 

 霊夢の疑惑を晴らすべく、ルーミアが声を上げる。

 レミリアは『こいつマジ?』みたいな視線を一瞬だけ霊夢に向けたが、直後に『でも霊夢だしな……』と一瞬で自己解決して納得の視線を霊夢に送った。

 

「というか結局あんたが封印に甘んじている理由は?」

 

 霊夢は生暖かい目線を向けてくるレミリアに一瞥もくれず、当初の疑問に立ち戻ってルーミアに問いかけた。

 神社の居候が思っているよりよくわかんない奴というのはわかったが、そうなるとその影に棲みついているなんかスゴイらしいこの妖怪の事も気になる。

 

「力が強いと反動も強くって。彼に付き纏うのには不都合だから、リボンの封印で出力を絞ってるんだ」 

「ストーカーするために力を捨てたわけ?」

「人聞きが悪いなぁ」

 

 実をいうと、既に彼の影には私の闇を株分けしてある。だからもはや運命共同体といった方が正しいんじゃないかな?

 喜悦を滲ませながらルーミアはそう言った。

 

「寄生の間違いじゃないのかしら」

「否定はしないよ。こんな真似、他の有象無象にやったら存在強度が落ちるけど、不死の彼ならその心配はないしね。それにこうすればもう逃がす心配もない」

「逃げんの? あいつ」

「うん、追う人がいるからね」

  

 追跡者代表のルーミアがしみじみと言う。影の内から数々の追跡者たちを見てきたが故に、説得力のある言葉だった。

 

「ウチの妹と蜘蛛姉妹もそうよ。今日は顔だけ出して、彼がいないからすぐ帰っちゃったけど……」 

 

 溜息交じりにそう言うレミリアの顔には僅かに疲れの色が出ていた。

 あの吸血鬼異変の日を皮切りに、蜘蛛の下半身を持つエネルギッシュな妹が一人増えたのだ。例のしなびたミミズみたいな男に対して並々ならぬ情念を抱いているようで、地下で文献を読み漁って彼の厄介ファンと化した妹のフランドールとも打ち解けていた。

 魔法に慣れ親しんだフランドールは言わずもがなだが、件の蜘蛛姉妹もまた優れた魔女らしく、同じ妹同士何かと話が合うのだろう。

 また、意外にも二人は活発な性格とは裏腹にインテリな一面も有しており、紅魔館の大図書館の一角を占有しては日夜作戦会議に勤しんでいる。

 レミリアは一度大図書館を居城とする親友のパチュリーにそれとなくどんな内容の話をしているか尋ねたことがあるが、『近づかない方が良い』の一点張りだった。

 何やら二人で怪しげな魔法の研究に打ち込んでいるらしい。

 近い将来、その餌食となる不死の男には黙祷を捧げるばかりである。

 ちなみにレミリアは蜘蛛姉妹の姉の方と、姉特有の苦労話から打ち解け親交が深い。宴会に来たものの、すぐに妹たちを追って紅魔館に引き返してしまったのを残念に思っていた。

 

「ま、そのうち帰ってくるでしょ」

「もしも帰ってこなかったら?」

 

 楽観的に言う霊夢に対して、ルーミアが意地悪に水を差す。

 

「別にどうもしないけど」

 

 けれど霊夢は、それを意にも介さずにけろりと返した。

 

「そうかい。じゃあ帰ってくるだろうね。ここは居心地がいいみたいだし」

「何よ?」

 

 ──訳知り顔のルーミアを鬱陶しく思いつつも、霊夢はただ怪訝そうにしていた。

 




なんですかね。博麗の巫女には正妻ポジに居座れる謎のパワーでもあるんでしょうか

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。