鯖召喚から始まる人理修復RTAはーじまーるよー!
というわけで早速ですが今回はみんな大好きサーヴァント召喚のお時間です。
今回引くのはホモくん2回で立香ちゃんも2回となります。
本来ならホモくん一回でいいんですが、セプテムで色々とやらかしているので立香ちゃん達カルデア組からせめて2人は召喚しろとのお達しでした。
RTAの為まともに拾えていない石の貯蔵が消えていく……。
ちなみに特異点を隈なく探索したり、クリア後の特異点に残った微妙な歪みを修正する、などとサブクエストをクリアしても石は貰えるのでまともにやれば特異点で縁を結んだサーヴァントを全員呼び出せるくらいのことは出来るんですよ。
……まあ、フラグ管理がバチクソに面倒なので本RTAではやりません。
なお、サーヴァント全員召喚すると最後の座から全員集合の所がカルデアからやってくるとかいう面白ムービーに変わります。
リソースどうするの問題はありますが、特異点で獲得した8つの聖杯に加えてイベント特異点での+α、好感度次第ですけど古代王コンビやら発明家コンビが徒党を組んでくれることもあるので割と何とかなったりします。
そこまでやるとほぼ勝ち確……というか、どうやれば負けるのか分からないレベルの力量差になるので勝てないと嘆く人はちゃんと石を回収してガチャを回そうね!
……まあ、その時のホモくんはゲの字を倒したはいいけど、本人が色々とやらかしすぎて魔術協会に出向からの魔術協会爆破崩壊endになりました。
後にも先にも初めてですよ、あんな終わり方。
早速だがガチャのお時間だ!
>あなた達はロマニとダヴィンチに引き連れられて召喚ルームへとやってきた。
「それじゃあ今回も新しくサーヴァントを呼んでもらうけど……どっちから先にやる?」
ここは立香ちゃん一択です。
大体こういう時はホモくんにとっての地雷鯖は真っ先に来ますからね。
その点、立香ちゃんは地雷処理班として物凄く優秀なので是非とも先に立香ちゃんに引いてもらいましょう。
どんなサーヴァントだろうとこっちには人類最後のマスターである藤丸立香ちゃんがいるんだぞ!
そりゃもう完璧で究極のコミュ力でイチコロですよ。
それにほら、余り物には福があるとも言いますし、最後に引けば良いサーヴァントが引けるかもしれない……ッ!
フラグ管理が面倒なサーヴァントは本当に嫌なんですよ〜!
そういうサーヴァントに限って滅茶苦茶強かったりしますし。
文字通りの
>あなたは立香と話し合った結果、立香から召喚することになった。
「立香ちゃんが先に召喚するんだね? 良し、それじゃあ早速だけど召喚サークルの方へ進んでくれ」
>ロマニの誘導に従い、立香は召喚サークルの方へ進み緊張した面持ちで合計6つの聖晶石を投げ入れた。
>聖晶石が召喚サークルに飲み込まれ、3つの円環を描く。
>多大な魔力を吹き荒らしながら3つの円環は高速で回転する。
ローマ組の誰かは必ず来そうですよね。
特異点で結構な縁の結び方してましたし、それこそロムルスとか来てもおかしくないです。
個人的にローマ組の中で立香ちゃんに来て欲しいのはネロですかね。
……いやほら、立香ちゃんがネロを呼んだ場合は絶対面倒なことにはなりませんし。
ホモくんはちょっと、というかかなりビースト三銃士を引いた前科がデカすぎるので。
しかもネロは、なぁ……?
アルターエゴならまだしも最悪の場合ビースト霊基で召喚されることが判明してますからね。
ビーストでビーストを倒すとはこれ如何に。
勝った方が我々の敵になるだけだとかになったりしません?
なので立香ちゃんがネロを召喚してくれれば、ホモくんが事故る原因が減るんです……ッ! (切実)
>3つの円環は一瞬大きく膨張し、その後一気に収縮する。
>そして光の柱が立ち上がりその中に人影が現れる。
「ブーディカだよ、よろしくね。ふふ、気軽にブーディカさんでもいいよ? ……ううん、むしろ君達にはもっと気安く呼んで欲しいかな」
>光の中から現れたのはセプテムでも大変お世話になったブーディカだった。
お、ブーディカですか。
セプテムクリアの確定召喚枠ですね。
初手でエミヤを引けなかった人達もここで確実にブーディカを引けるので、食事事情で困っていた人はキッチンにブーディカを配属させることで職員のストレス緩和を狙いましょうね。
……じゃあ、オルレアンの確定枠である清姫が来なかったのはマジで何なんだよ。
>ブーディカはニコニコと笑顔を浮かべながらマスターである立香の下へ駆け寄り、そっと手を伸ばす。
「これからよろしくね、ブーディカ!」
「うん、いい返事だ。お姉さん頑張っちゃうぞー!」
「……お姉さん?」
おう、そこの目を輝かせてる聖女、まだ水着にジョブチェンジするのは早いですよ。
ジャンヌ・オルタもギョッとした目で見てんじゃん。
やめろっ……本当に姉なる者になるのはやめろっ!
「はい、君も」
>立香やマシュ達と一通り挨拶を済ませたブーディカは今度はあなたの方へ手を差し出した。
えぇ……ホモくんも?
マスターである立香ちゃんに挨拶したんだからホモくんにはいらなくなぁい??
ま、抵抗する意味はないので素直に握手に応じますけど。
>あなたは差し出された手を掴んで握手をした。
「……本当に沢山苦労してきたんだなぁ」
な、何か手つきがねっちょりしてる!
どうしてホモくんの手を撫で回す必要があるんですか??
「うん、それじゃあ今日からよろしくね! マスターも君もお姉さんがいっぱい甘やかしちゃうぞー?」
「姉、甘やかす……」
「な、なんでこっち見るわけ?」
おっと不味い、こっちのジャンヌがワープ進化して姉なる者になってしまう。
……まあ、姉なる者にワープ進化しても立香ちゃんとジャンヌ・オルタを生贄に捧げれば大丈夫やろ。
今回のホモくんは別にジャンヌのマスターでも何でもない訳ですし。
必要な犠牲でした、分かりますね? (陳宮並感)。
分かりたくないかなぁ……。
>ブーディカが立香の後ろに移動すると同時にまた3つの円環が回転を始める。
>凄まじい勢いで回転する召喚サークルは膨大な魔力と共に虹色に輝き始める。
激アツ演出!
流石立香ちゃん持ってるねぇ!
ん、あれ? でもネロって金回転じゃなかったっけ?
……スゥ─────ッ。
ま、まだそうと決まったわけじゃないし。
ブライトか水着の可能性だって十分あるし。
なんだったらアルターエゴの可能性だって……いや、特殊演出なかったし、それはないか。
……まだだっ! まだ諦めないぞ!
それでも、それでも俺達の立香ちゃんならきっと──ッ!
>爆発的に跳ね上がる魔力は最高潮に達し、まるで噴火の如く光の柱が立ち上がる。
>光の柱の中から現れたのは──
「……アルテラ。フンヌの裔たる軍神の戦士、だ。私の力が必要ならばいくらでも貸そう」
だめだね、だめよ、だめなのよ。
アルテラ、アルテラかぁ。
運用に癖はあるけど火力はピカイチで大当たりの部類だけども……!
今は、今だけはネロが来て欲しかった……!
まあ、ここでゴネてもしゃーないので切り替えていきましょう。
ホモくんが絶対引くとは決まってませんからねっ!
……あの、ところで何でアルテラさんはやたらと挙動不審なんでしょうか。
視線があっちこっちいってるってはっきり分かんだね。
なんで? (困惑)
>アルテラは何処か落ち着かない様子で忙しなく視線をあちこちに向けたり、指先を弄っている。
>……何かあったのだろうか?
「──アルテラ」
「な、何だ立……いや、マスター」
「んっ」
>落ち着かない様子を見せているアルテラに対して立香はブーディカにして貰ったようにアルテラに向けて手を差し出した。
>差し出された手を見てアルテラは目を丸くする。
>そしてほんの少しだけ迷ったように手を空にさ迷わせて恐る恐る立香の手を握った。
「これからよろしくね、アルテラ。私は無力だけど、それでも皆で前に進む為に君の力を貸してほしい」
「……あぁ。そうか、そうだな。皆で前に進むためか。うん、分かった。どうか私の力を存分に使って欲しい。きっとマスターならそれが出来るだろうから」
ク、クリティカル引いてる……(ドン引き)。
会話一発目からクリティカル引いて絆Lv上昇してるのやべえよ。
ホモくんはさ、今までの経験があるからそれが出来てもおかしくないけど、立香ちゃんそういうの何もないよね?
これが主人公力……!
ホモくんとの格の違いってのを教えられちゃったね。
うう、だからこそ立香ちゃんにはネロ引いて欲しかったな(地雷を押し付ける屑)。
>握手を終えたアルテラを立香は背中を押してあなたの前まで連れてくる。
「ほらっ、望幸も」
これいる?
……まあ、今後の円滑なコミュの為にいるか。
>あなたは簡易的な自己紹介をして手を差し出した。
>差し出された手をアルテラは暫しの間、ジッと眺めてそして壊れ物を扱うように優しい手つきで恐る恐る握り返した。
「よ、よろしく頼む」
マジで何でホモくんに対してオドオドしてるの。
ホモくん何もしてないと思うんですがそれは……。
あ、いやあれか? ホモくん封印されてるとはいえ今遊星の力あるからな。
それを感じ取って警戒してる──感じではなさそうだし……ああ、ファラオ的なアレか。
もしかして遊星の力を感じ取って急に生えてきた弟とか思ってたりする?
ファラオも太陽に縁があったりすると弟妹認定してくる時あるからね。
似たようなもんなのかなぁ?
姉なる者に妹を名乗る不審者、加えて母を名乗る者、果てはおばあちゃん名乗ってくる奴とかいるし、サーヴァントが急にファミパン()してきても驚かないぞ。
>あなたはアルテラとの握手を終えると立香に代わり、召喚サークルの前に立った。
こんなにもガチャしたくないと思ったのは初めて。
割と見えてる地雷がある上に、その地雷が核地雷だからね、怖ぇよ。
どうにかしてネロを引かない方法がないものか。
いや、普通のね? ネロなら全然構わないんだけど、アルターエゴとかビーストが来たら色々とまずいというか、今敵対してるゲの字がビーストである以上、別種のビーストをカルデアに引き入れるとか激ヤバ案件というか……。
どうにかしてやばい方のネロを回避する方法は──
──瞬間、脳裏に過ぎるセプテムでの出来事。
せや、そういえばホモくんステンノから褒美として服の一部貰っとったやんけ。
それ触媒にして回せば一先ず初手は回避出来るはずだ。
>あなたはかつてステンノから貰った服の装飾の一部を影から取り出して召喚サークルに聖晶石と一緒に放り込む。
そして連続で回すことによって連鎖召喚でネロをスルーする!
完璧な作戦ですね、触媒を存分に擦り散らかしていきましょう。
>聖晶石が召喚サークルに飲み込まれ、3つの円環を描く。
>多大な魔力を吹き荒らしながら3つの円環は高速で回転する。
>3つの円環は金色に光り輝き、膨れ上がった魔力が一点に収束し、光の柱を立ち上げる。
計算通り、かんぺき〜!
ま、これがRTA走者ってものですよ。
リスク回避に長けてるっていうの?
見えてる地雷は避けりゃあ関係ねえんだよ!
>光の柱から現れたのは息を飲むほどの完成された美である少女──ステンノだった。
「ふふ。私を現界させるだなんて、本当に見てて飽きない面白い子ね。私を呼んだのだからこれからも私を飽きさせないでくださいね、マスター?」
よっ、顔面宝具!
肩車して爆走すると広範囲に即死ばら撒く兵器に変わる女神様サイキョー!
でもあれって魅了由来のものだから魅力が効きにくい敵に対しては刺さりにくいんだよな。
……でも安心して欲しい。
何とうちには魅了のスペシャリストであるキアラ&カーマがいる!
組み合わせればどんな奴だって魅了してみせるぜ!
最悪の組み合わせかな?
今ならゲの字にもハニトラ出来るかも……!
>ステンノは無垢であどけない──されど何処か妖艶で獲物に対して舌なめずりをしている姿を幻視させる笑みを浮かべてあなたに近寄ってきた。
まあ、今のホモくんほど面白生命体いないからね。
女神様の目を引くのもしゃーなしな珍獣やってる。
でもさあ、そんなに気に入らなくてもいいよ。
オリオンも言ってるけど、マジで、女神は、やばい!
……所持サーヴァントの半数以上女神なホモくんは今更かぁ。
それじゃあ握手しましょうね。
はいはい、握手握手!
>あなたはステンノの手を取り、どうかこれからよろしく頼むと頭を下げた。
「……ええ、はい。どうかこれから末永くよろしく、ね?」
言い方ァ!
見ろよ、カーマがとんでもねえ目でこっち見てるぜ!
玉藻に関しては感情という感情が抜け落ちたかのような無表情だ、ありゃもうダメみたいですね。
キアラは……まあ、いつも通り微笑をうかべてるね。
>あなたと握手を終えたステンノはあなたの隣に当たり前のように居座るとあなたの手を握った。
楽しんでるね、この女神様。
まあいいか、これからよろしくなぁ!
……さて、それじゃあここでガチャは終わりということで──って言いたいけど駄目だよね。
>……3つの円環が廻った。
あ、もう不穏。
>その瞬間、召喚サークルが焼き切れたように光が消えた。
>3つの円環は弾け飛び、サークルの中央から血の塊にも似た赤黒い球体が浮かび上がる。
だめだね(2回目)。
「なぁっ……!? この反応は……!」
「不味いっ! 管制室聞こえるッ!? 今すぐ召喚ルームの電源を落として! 魔力供給を断つんだ!」
『や、やっています! 既にやっていますが……! 反応が消えません! むしろどんどん膨れ上がって……!』
>赤黒い球体から今までに感じたことのない程の魔力が吹き荒れる。
>燃え盛る焔のように轟々と勢いを増し──
「っ、ご主人様ッ!!」
>──
>目を胸に向けてみれば血のように赤い糸があなたの胸を貫き心臓に直接絡みつくように中身を弄られていた。
>あっ、とあなたの口から声が零れた。
>未だに正体を現さないサーヴァントと深く、誰よりも深く縁を結ばれている感覚がする。
>ドグンッと心臓が力強く脈動する。
はー……おわおわり。
よりにもよってだろ、マジでさぁ!
>玉藻が、キアラが、カーマが、あなたのサーヴァント達が赤い糸を切断せんと肉薄する。
「それを斬っては駄目!」
>それを制止したのは他の誰でもないステンノだった。
「その糸はもうこの子に深く絡みついているわ。そんな状況でそれを破壊すればこの子にどんな影響があるか分かったものじゃない」
「なら、妾が解呪する。要は縁を確固たるものにする為に絡めとっているのだろう。であれば──!」
>玉藻があなたに絡みつく赤い糸に触れ、呪術を起動させる。
>しかしそれは──。
「此奴ッ……ご主人様の聖杯に直接干渉を!」
>絡まった糸を解くように慎重に呪術によって解呪を行うが、糸が絡まっている先はマスターであるあなたの心臓。
>即ちブラックボックスと化した聖杯だった。
>糸が絡まる速度以上で下手に解呪を行えば封印が緩む可能性が高い。
>そうなった場合のあなたの末路を想像して玉藻は躊躇した。
>……してしまった。
「は、はは」
>赤い糸が溶けるように消えていく。
>力強く脈動する心臓を抑え、荒い息を吐いた。
>あなたは全身の力が抜けてしまって床へと座り込んでしまった。
「ハハハハハハハハ!」
>血の塊のような赤黒い球体が弾け飛び、洪水のように吹きこぼれた魔力が人の形を取った。
>次瞬、吹き荒れる魔力の嵐にあなた達はどうしようもないと直感的に理解してしまった。
>これは無理だと、理解してしまったのだ。
「ああ、ああ! ようやくだ! ようやく……!」
>暗闇の中に浮かぶ深紅の双眸があなたを見下ろしていた。
>その視線を受けてあなたの心臓が一際強く跳ねたのを感じた。
>親愛、情愛、友愛、仁愛……あらゆる愛がごちゃ混ぜになったような混沌とした瞳があなたを捉えて離さない。
獣の
やめてよね、本当に。
人理くんちょっとガバガバすぎますよ。
もうちょっと仕事してどうぞ。
あーマジでどうすんだよこれェ……。
多分ホモくんはドラコーにカルデアを通した契約じゃなくて直接契約をされたせいで気絶するだろうし……目が覚めたら勝手にフラグ進行してどうにかなってないかな。
どうにかなれーっ!
>視界が霞む。
>自分の胸に宿る聖杯から魔力を搾り取って顕現した其れはいつの間にかあなたの顔に手を添えていた。
>浮かぶ感情は喜悦か、或いは愉悦か。
>セプテムで会ったネロを幼くしたような少女の笑みが消えゆくあなたの意識の中でも鮮明にこびりついていた。
「ようやく、手に入れたぞ」
これだからガチャは悪い文明。
やはり破壊すべき。
……はー、まあいらっしゃいドラコーちゃん。
君でビーストは4体目だ。
いっそのことビーストマスター目指してみます?
まあ、冗談ですけど。
冗談ですけど!!!
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
「余の黄昏を照らす星よ」
ネロに似た幼い少女は自身の胸の中で眠りについた彼を見て歓喜に打ち震えていた。
あの日からずっとずっと、追いかけ続けてようやくこの手に触れることが出来た。
「契約の破棄は許さぬぞ、我がマスター」
だが、まだだ。
まだ、足りていない、まだこれじゃあ物足りない。
本当に欲しいのはその先の先。
或いは果てと呼ばれるもの。
余は知っている、余は覚えている。
果てに座するお前を。
今は、それだけが欲しいのだ。
欲しくて欲しくて堪らないのだ。
赤子の癇癪にも似た暴れ狂う獣の欲望がたった一人に向けられている。
その異常性を正しく理解しながらもそれでいいと不遜に笑う。
だが──
「今は此方が先か」
──ちらりと周りに視線を向けてみれば何奴も此奴も戦闘態勢になっていた。
くだらない、どうでもいい、食指すら動かぬ。
「……ネロ、だよね?」
立香が震える声でそう尋ねる。
だが、尋ねている立香自身でもこの退廃的な雰囲気を醸し出す少女とあの天真爛漫で太陽のような輝きを放つネロとはまるで一致しない。
「ふはっ……ああ、そうだとも藤丸立香。余はネロでもある。だが今はドラコーとでも呼ぶが良い。ソドムの獣、ドラコーと」
自身の魔力に当てられ、子鹿のように震える立香を見てドラコーはせせら笑う。
かつて我がマスターと共にあれほど勇ましい姿を魅せた此奴も今はまだ幼さがある。
それが勇者へと育つ姿も見ものではあるが、今はそれはいいだろう。
「ソドムの獣……」
「ああ、そうだとも。もっと分かりやすく言えば……ソドムズビースト、人理を喰らう堕落と繁栄の獣──貴様ら人理の防人の不倶戴天の敵よな?」
「……っ」
「喜べ、カルデア。お前達はとんでもない当たりを引き当てたのだ」
そう、ビーストのまま余は此処に顕現している。
「はっ、随分と殺気立っているなぁブーディカ? だが、良い。今の余はお前が憎むローマそのもの故その殺意も正しかろうよ」
「その子から離れなさい」
深い、深い焦げ付くような憎悪を孕んだ殺気と共にブーディカから剣を向けられる。
本当は今すぐにでも斬りかかりたいだろうに。
それをしないのは今も余の胸の中で眠っているマスターがいるからか?
……藤丸立香も大概だが、余のマスターも大概人たらしよな。
仕出かしている事の酷さは圧倒的にマスターに軍配が上がるが。
「ま、良かろう──と言いたいところだが、やはり駄目だ。此奴は既に余のものであるが故にな。誰にも渡すつもりはないぞ?」
ようやくだ、ようやく手に入れたのだ。
それを如何して易々と手を離すことが出来ようか。
「盗人猛々しいな、そもご主人様が貴様のような輩に靡くとでも?」
「……ああ、貴様もいるのか駄狐。ふむ、我がマスターながら人付き合い、いや獣付き合いももう少し考えて欲しいものだな」
玉藻とドラコーの間に一触即発の不穏な空気が流れる。
ピリつくような殺意と魔力が両者の間で鬩ぎ合い、そしてあっさりとそれは霧散した。
「まあ、ここで殺し合う必要もなかろう。ご主人様はそれを決して望まぬ」
「余波で死なれても迷惑よな。……仕方あるまい。そら、藤丸立香」
そう言ってドラコーは名残惜しそうに胸に抱えていた彼を立香へと手渡した。
立香が彼を受け取るとドラコーから隔離するようにサーヴァント達がドラコーの前に立ちはだかった。
「随分と警戒されたものだな」
ドラコーはそう言いつつも何処か興味がなさげであった。
事実、あまり興味がないのだろう。
立ちはだかるサーヴァント達には目もくれず、その視線の先にあるのはやはりというべきか。
「ソドムズビースト……この人理焼却には君が関わっているのか?」
「余が? まさか。すでに幾度となく貪り尽くしたのだ。今更人理をどうこうしようという気など欠片も存在せぬ」
「何……?」
「この世界の人理に手を出すつもりはないと言っているのだ。……ああ、獣の戯言故信じられぬか?」
ロマニの問いにドラコーは揶揄うように喉を鳴らして笑う。
だがまあ、信じられぬのも仕方がないだろう。
ビーストは人理を滅ぼす者、これは絶対だ。
そんな存在がビーストクラスのまま顕現したというのに、人理に欠片も興味がないと言う。
これを嘘と言わずに何と言うのか。
しかし、それでもドラコーにとってはそれは事実だ。
今のドラコーはこの世界の人理をどうこうしようという気はない。
喰らえというのなら喰らってもいいが、別に進んで喰らおうとは思わない。
「ふむ、ならば
「……本気で言っているのかい?」
「無論だ、余は今それほどまでに人理に興味がない」
「なら、ならどうして──ビーストクラスで顕現したんだ」
それは当然の疑問と言えた。
人理を喰らうビーストクラスで顕現しながらも人理に敵対することはないという。
むしろドラコーの様子からして人理側に付いてもいいとすら思っている節さえ見える。
だと言うのに肝心のドラコーは驚いたように目を丸くしていた。
「む? おい、まさか気がついておらんかったのか? それとも目を逸らしていたのか? 余がビーストクラスで顕現できたのは──」
「今の人理は
「……はぁ?」
誰かが震えた声でそう言葉を漏らした。
人理が、人理の天敵であるビーストにすら助けを求めねばならないほどの異常事態が起きているからだと?
ありえない、ありえてたまるかそんなことが。
「まずだな、そもそもいくらでも作れる聖杯程度で巨神──セファールを呼び出せるのか?」
「劣化コピーの個体ならば呼べたか? 馬鹿を抜かせ、それこそセファールが呼び出されればその時点で劣化の有無に関係なく地上に存在する全てが滅び去るだろう。かつての神々すらも喰らい尽くした真性の化け物だぞ」
「それを高々特異点を発生させる聖杯程度で召喚する? 土台無理に決まっておろう。セファールを召喚するだけでもキャパオーバーで壊れてもおかしくなかろうに剰えサーヴァントを呼び出し、無制限に魔力を吐き続けられるものか」
「そもそも仮に、そう仮にセファールを呼び出すことが出来るほどの聖杯だったのだとしても不安定な状況にあるとは言え抑止が、ガイアがそれを許容するか? いいや、するわけが無い。その恐怖を知っているからこそ確実に阻止する。セファールの完全顕現など許すはずがない」
「なら何故──」
「簡単な事だ。それどころではないからだ」
それどころでは、ない?
「ああ、そうだ。セファールに構っていられるほどの余裕がない。それ以上の何かがあったからこそ、劣化コピーとは言えセファールの召喚を許した。……お前達にも何か思いつくことはあるのではないか?」
その言葉を最後にカルデアの全員は押し黙った。
特にロマニやダヴィンチは思い当たる節が多すぎた。
例えばオルレアン──人理修復難易度で言えば最低値に当たるはずだった。
けれど蓋を開けてみればどうだ?
邪竜を喰らい、剰え自我を残して莫大な魔力と暴威を振り翳したジャンヌ・オルタというイレギュラーが存在した。
あの場で全滅したとしても何らおかしくはなかった。
そうならなかったのは現地にいたサーヴァント達が手伝ってくれたということと幾重にも重なった幸運、そして彼の自爆じみた狂った行動のおかげだった。
セプテムだってそう。
無制限に湧き続けるヴォイドセルに侵略され凶暴化した化け物達、連合帝国軍を名乗るかつてのローマの皇帝達、セファールの顕現、レフ・ライノール……72の魔神の名を騙る魔神柱の顕現。
どれか一つでも苦しい戦いになったであろうそれが全て同じ特異点内で発生した。
これらがたった一つの聖杯で成し遂げられるのだろうか?
「まさか、今回までだと楽観的な考えはしていまい? 余がビーストとして顕現出来てしまった以上、終末は──破局は必ずやってくる。お前達が望むにせよ、望まないにせよな」
堕落と繁栄を謳う獣は心の内でほくそ笑む。
滅びに向かう人理──或いは、
どちらにせよどうしようもない絶望と苦難の連続が続くのを知っている。
けれども黄昏を照らす星は足掻き続けるのだろう。
他ならぬ星見の天文台を照らし、進むべき道へと導く為に。
その旅の終着点で、その果てにこそ──
──共に終わりを看取ろう。
堕落の獣は果てを見た。
届かぬ星に手を伸ばし、夢は醒めた。
時は経ち、かつて夢で手を伸ばした星は今、この手の中に。
つまり大概拗らせてるってこと。
ホモくんの過去パート
-
いる
-
いらない