雪乃「パパにいってらっしゃいは?」
千雪「ぱぱいってらっしゃい」
八幡「おう。ちゃんといってらっしゃい言えた千雪には特大パンさんを買ってきてあげよう」
千雪「やた~」
雪乃「ダメよ」
八幡「え~」
千雪「え~」
雪乃「ママにも買ってきなさい」
八幡「はぁ…わかったよ」
彼は今日から一週間ほど出張だ。
娘の千雪(ちゆき)がグズるのではないかと心配していた。
雪乃「千雪、パパにちゃんといってらっしゃい出来てエライわね」
千雪「さみしいけどこまちおばちゃんがいってらっしゃいできたらぽいんとたかいっていってた」
もう小町さんたら…。
雪乃「じゃあ、今日はママとなにしようか?」
千雪「ぱんさんみる~」
さすが私の娘ね。
陽乃「ひゃっはろー!」
雪乃「何、姉さん。来るなら連絡ちょうだい…。千雪、どうしたの?」
千雪「はるのおばちゃんこわい」
雪乃「姉さん、千雪に何をしたのかしら?」
陽乃「いやぁ、この前可愛がり過ぎちゃって」
雪乃「どうりで八幡の目にそっくりになってた訳だわ」
陽乃「もうしないから、千雪ちゃんおいで」
千雪「ほんと?」
陽乃「本当だよ。おばちゃんとパンさんの絵本見ようか?」
千雪「みる~」
我が娘ながらチョロいわね。
雪乃「お昼は食べていくのかしら?」
陽乃「ん?実家に行く前に寄っただけだから」
姉は八幡の先輩・大塚さんと結婚した。
雪乃「義兄弟で出張なのよね?」
陽乃「あの二人が動くってことは、そうとう大きな話になるわね」
雪乃「そうね」
去年のことだ。八幡の昇進を妬む数人が彼を陥れようと画策していたのだ。彼はそれを『ボッチの観察眼』で見抜いたのだ。
以前なら一人で解決しようとしただろう。それを私に、そして雪ノ下の家族に報告したのだ。
家族会議の中で、八幡が提案したの策をお母さんが承認し、八幡を陥れようとしていた人達は懲戒解雇となった。その後は、実力で周囲の声をねじ伏せていった。
私は彼のその変化がとても嬉しかった。
嬉しかったことはもうひとつ。その観察眼を見込んで、お母さんが社内の査察を八幡に任せようと依頼をしたら断ったらしい。その理由が『雪乃と千雪といる時間を減らしたくない』と、いうものだったのだ。
千雪「ままもこっちきて。はるのおばちゃんつぎ~」
陽乃「ごめんね」
雪乃「姉さん、お腹大きいのに大丈夫?」
陽乃「大丈夫よ、しっかり予行練習させてもらうから」
姉ももうすぐ母になる。
千雪「あかちゃんもうすぐなの?」
陽乃「そうだよ。千雪ちゃん仲良くしてあげてね」
千雪「わかった~なかよくする~」
姉さんが帰り、昼食を済ませる。
雪乃「もうすぐ結衣ちゃんと吉宗君が来るからね」
千雪「わ~い」
吉宗君とは…。材木座家の息子です。安易だわ。
千雪「よしむねくんがわれはあばれんぼうしょうぐんだっていったからわたしはひかりのししゃきゅあほわいとっていったの~」
雪乃「あら、そうなの」
八幡…、初代プリキュア見せてるのね…。
結衣「やっはろ~!」
吉宗「たのもう!」
結衣「吉宗、やめなさい」
吉宗「ごめんなさい」
千雪「ゆいちゃんたすけてままぐあいわるいの」
結衣「え?」
結衣「ゆきのん!」
雪乃「結衣さん、大丈夫よ」
結衣「本当に?」
雪乃「ちょっと吐き気が…」
結衣「ゆきのんそれって…」
雪乃「まだ病院に行ってないけど、たぶん…」
千雪「ままだいじょうぶ?」
雪乃「ごめんなさい、心配かけて。大丈夫よ」
結衣「千雪ちゃん、吉宗と遊んでて」
千雪「わかった」
結衣「ゆきのん…」
雪乃「まだ内緒よ。彼に一番に言いたいから」
結衣「わかった。ヒッキー喜ぶよ」
吉宗「おれはびんぼうはたもとのさんなんぼう」
千雪「げっかにさえるいちりんのはな」
結衣「もう少し静かに遊ぼうね」
雪乃「あの子たちは、父親に影響されすぎね」
結衣「この前、小町ちゃんも『重なる二つの花・キュアグレース』って教えてたよ」
雪乃「小町さんまで…」
週末、八幡が出張から帰ってきた。
八幡「たで~ま」
玄関には二つの大きなパンさんが…。
雪乃「パンさん!!」
パンさんに抱きついてみる。
八幡「おい」
雪乃「あ、お帰りなさい」
八幡「俺はついでかよ」
雪乃「冗談よ」
八幡「千雪は?」
雪乃「寝てしまったわ」
八幡「そっか、残念だな」
雪乃「明日の朝、喜ぶわよ」
八幡「だな」
リビングへ戻り八幡に声をかける。
雪乃「何か飲むかしら?ビール?コーヒー?」
八幡「雪乃が淹れた紅茶が飲みたいな」
雪乃「はいはい」
紅茶を淹れ椅子に座る。
雪乃「話があるんだけど…」
八幡「どうした?」
雪乃「…出来たの」
八幡「は?何が?」
雪乃「もう!なんでわからないのニブ谷君!」
八幡「久しぶりに聞いたわ。んで、なんだよ」
雪乃「二人目…」
八幡「ほ、本当か…」
雪乃「病院も行ってきたわ」
八幡「った~!!でかした、雪乃!」
雪乃「安定期に入ったら、また報告に行きましょう」
八幡「そうだな。また大騒ぎだ」
雪乃「そうね」
八幡「昔の俺なら、騒ぎは苦手だったかもしれないかど、今は素直に喜べるよ」
雪乃「そうね。八幡、だいぶ変わったもの」
八幡「雪乃のお陰だよ」
雪乃「違うわ。二人で頑張ったからよ」
八幡「今は三人。今度は四人になるんだな」
雪乃「八幡」
話が「ん?」
雪乃「私、とても幸せよ」
八幡「俺もだよ」
千雪「ん~、ぱぱおかえり」
八幡「ただいま。ごめんな、起こしちゃって」
千雪「だいじょうぶぱんさんありがとう」
八幡「どういたしまして。今夜はパンさんと寝るか?」
千雪「ぱぱとままとねる」
八幡「そうか。先に布団で待っててくれ」
千雪「わかった~」
雪乃「素直でいい娘ね」
八幡「まったくだ」
三人で『川』の字になって横になる。
千雪「きょうねわたしとままとゆいちゃんとよしてるくんでおふろにはいったの」
八幡「そうかそうか」
千雪「ゆいちゃんはままよりおっぱいおおきいの~」
八幡「お、おう、そうか」
雪乃「八幡…」
八幡「ひゃい!」
千雪「でもままのほうがおっぱいきれいだった」
ふふん。私は美乳なのよ。決して微乳ではないわ。
八幡「何、そのドヤ顔…」
千雪「それでね…」
八幡「ん?千雪?」
雪乃「寝ちゃったみたいね」
八幡「そうだな」
雪乃「今回の出張はどうだったの?」
八幡「いい仕事になりそうだ」
雪乃「無理しちゃダメよ」
八幡「しねぇよ。雪乃と一緒になってからしたことねぇよ」
雪乃「そう。部下にもさせちゃダメよ」
八幡「わかってるよ。それを見るのも俺の仕事だ」
雪乃「ふふふっ」
八幡「どうした?」
雪乃「専業主夫希望だった貴方がバリバリ仕事して、私が専業主婦なんて…」
八幡「そうだな。すっかり変わっちまったな」
雪乃「でも、そんな貴方も好きよ」
八幡「お、おう、ありがとな。俺も雪乃のこと、あ、愛してるぞ」
千雪「あいしてる…ムニャムニャ」
八幡「ふふっ。寝るか?」
雪乃「そうね」
本当に幸せ…。
八幡、貴方のラブコメは間違ってなかったわよ。
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完結になります。
感想コメントを参考にさせていただいたりもしました。
ありがとうございました。
では、珈琲・書記ちゃん・新作で…。