遠く離れて   作:おたふみ

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4話

マジで幽霊とか勘弁してくれよ。

 

???「比企谷君?」

八幡「へ?」

???「比企谷君!」

うわー!幽霊に抱きつかれた!

…て、違う!雪女だった!

八幡「お前…、雪ノ下か?」

雪乃「比企谷君…、会いたかったわ」

八幡「どうしたんだよ」

雪乃「比企谷君、比企谷君、比企谷君」

うわ~、話にならないな。

八幡「と、とりあえず、ウチに入るか?あ~、やましいことはしない!約束する」

なんで、そんな恨みがましい目で見るんですかね?しませんよ。

八幡、嘘嫌い…。

雪乃「…わかったわ」

 

なんかデカイスーツケースだな。旅行のついでか?

 

八幡「雪ノ下、麦茶しかないけどいいか?」

雪乃「いただくわ」

 

しかし、抱きつかれるとは思わなかったな。久しぶりに会って感情が昂ったのね。

 

八幡「ほい、お待たせ」

雪乃「ありがとう」

 

自分の部屋に雪ノ下と二人きりなんてな。

 

雪乃「暑かったから、美味しいわ」

八幡「それは良かった」

 

しかし、変わらねぇな。あの頃のまんまだ。いや、あの頃より綺麗になったかな。

 

雪乃「ひ、比企谷君、そんなに見つめられらと…」

八幡「す、すまん。キモイよな」

雪乃「あ、違うの…」

 

なんか様子が変だな?本当に雪ノ下か?

 

八幡「んで、どうしたんだ、急に」

 

ん?綺麗な正座ですね。三つ指ついて…。

 

雪乃「私を比企谷君のお嫁さんにしてください」

 

今日は暑かったからなぁ。きっと俺は暑さと残業にやられてるんだ。目の前で三つ指ついて深々と頭をさげて『嫁にしてくれ』とか言ってる雪ノ下は夢だ。きっと木ノ下さんに出会ったからだ。

 

雪乃「…君!…谷君!」

 

あれ?呼ばれてる?

 

雪乃「比企谷君!」

八幡「はっ!夢から覚めたのに、雪ノ下が居る」

雪乃「夢じゃないわよ」

八幡「スーツケースの中に由比ヶ浜か一色あたりが隠れて…」

雪乃「居ないわよ」

八幡「録音して…」

雪乃「してないわ」

八幡「じゃ、じゃあ…」

雪乃「嘘偽りない、雪ノ下雪乃の比企谷八幡君への一成一代のプロポーズよ」

八幡「待て!落ち着け!」

雪乃「私は落ち着いているわ。貴方が落ち着きなさい」

八幡「…はい」

 

ダメだ、パニックだ。ワニワニパニックだ。ゲーセンでよくやったなぁ。

 

雪乃「現実逃避しないで」

八幡「思考を読むな。悪い、タバコ吸っていいか?」

雪乃「それで落ち着くなら、どうぞ」

八幡「すまん」

雪乃「でも、控えてね」

 

可愛いな、この野郎。ウィンクとかすんなよ。

 

雪ノ下が俺の誕生日に現れて、プロポーズしてきた。何故?why?罵倒が酷くて貰い手がなくなった?

 

雪乃「比企谷君。今、失礼なこと考えなかったかしら?」

八幡「俺の頭の中を読むな」

雪乃「ふふふっ」

八幡「なんだよ」

雪乃「貴方、自分が思ってるより考えが顔に出てるわよ」

八幡「マジで?」

雪乃「私が嘘をついたことある?」

八幡「ねぇな」

雪乃「そうよ。だから、プロポーズも本当よ」

八幡「はぁ、どうしてこうなるかなぁ…。とりあえず、今日は遅いから、ホテルとってあるんだろ?送るよ」

雪乃「ないわ」

八幡「はい?」

雪乃「ホテルなんて取ってないわ」

八幡「じゃあ、駅まで…」

雪乃「電車もないわ」

八幡「じゃあ、どうするんだよ」

雪乃「ここに住むわ」

八幡「は?え?住む?」

雪乃「えぇ、そうよ」

八幡「待て。『泊まる』の間違いでは?『泊まる』も間違いなんだが…」

雪乃「マンションも引き払ったし、母にももう戻らないと言ってきたわ」

八幡「何やってんだよ…」

 

このお嬢様は何を考えてるんだ。

 

八幡「はぁぁぁぁぁ。今夜は泊めてやる。明日は帰れよ」

雪乃「嫌よ」

八幡「あのなぁ…」

雪乃「…重いって思われるかもしれないけど、それぐらいの覚悟でここに来たの…。だから、お願い…」

 

そんな顔すんなよ…。

 

八幡「とりあえず、シャワー浴びて寝ろ。一晩寝て冷静になれ」

雪乃「私は冷静よ」

八幡「親だって、すぐに謝れば許してくれる」

雪乃「帰るお金がないわ。全部、姉さんに渡してきたから」

八幡「金なら出す。俺はしばらくコンビニに行ってるから、その間にシャワー浴びとけ」

 

俺が冷静になれねぇよ。雪ノ下に似たひとに出会って、気持ちを乱されたと思ったら本人登場。しかもプロポーズまで…。

あのまま向こう居たら、もしかしたらなんで考えたこともあった…。雪ノ下と結ばれるなんて、夢物語だと思っていた。

それが…。どうすりゃいいんだよ、小町。

 

八幡「ただいまっと」

雪乃「ううん…Zzz」

 

人の気も知らないで寝てやがる。

なんとか追い出さないとなぁ。雪ノ下には、俺なんかは似合わない…。もっといいヤツが現れる。こんなところに居ちゃいけないんだ。

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