マジで幽霊とか勘弁してくれよ。
???「比企谷君?」
八幡「へ?」
???「比企谷君!」
うわー!幽霊に抱きつかれた!
…て、違う!雪女だった!
八幡「お前…、雪ノ下か?」
雪乃「比企谷君…、会いたかったわ」
八幡「どうしたんだよ」
雪乃「比企谷君、比企谷君、比企谷君」
うわ~、話にならないな。
八幡「と、とりあえず、ウチに入るか?あ~、やましいことはしない!約束する」
なんで、そんな恨みがましい目で見るんですかね?しませんよ。
八幡、嘘嫌い…。
雪乃「…わかったわ」
なんかデカイスーツケースだな。旅行のついでか?
八幡「雪ノ下、麦茶しかないけどいいか?」
雪乃「いただくわ」
しかし、抱きつかれるとは思わなかったな。久しぶりに会って感情が昂ったのね。
八幡「ほい、お待たせ」
雪乃「ありがとう」
自分の部屋に雪ノ下と二人きりなんてな。
雪乃「暑かったから、美味しいわ」
八幡「それは良かった」
しかし、変わらねぇな。あの頃のまんまだ。いや、あの頃より綺麗になったかな。
雪乃「ひ、比企谷君、そんなに見つめられらと…」
八幡「す、すまん。キモイよな」
雪乃「あ、違うの…」
なんか様子が変だな?本当に雪ノ下か?
八幡「んで、どうしたんだ、急に」
ん?綺麗な正座ですね。三つ指ついて…。
雪乃「私を比企谷君のお嫁さんにしてください」
今日は暑かったからなぁ。きっと俺は暑さと残業にやられてるんだ。目の前で三つ指ついて深々と頭をさげて『嫁にしてくれ』とか言ってる雪ノ下は夢だ。きっと木ノ下さんに出会ったからだ。
雪乃「…君!…谷君!」
あれ?呼ばれてる?
雪乃「比企谷君!」
八幡「はっ!夢から覚めたのに、雪ノ下が居る」
雪乃「夢じゃないわよ」
八幡「スーツケースの中に由比ヶ浜か一色あたりが隠れて…」
雪乃「居ないわよ」
八幡「録音して…」
雪乃「してないわ」
八幡「じゃ、じゃあ…」
雪乃「嘘偽りない、雪ノ下雪乃の比企谷八幡君への一成一代のプロポーズよ」
八幡「待て!落ち着け!」
雪乃「私は落ち着いているわ。貴方が落ち着きなさい」
八幡「…はい」
ダメだ、パニックだ。ワニワニパニックだ。ゲーセンでよくやったなぁ。
雪乃「現実逃避しないで」
八幡「思考を読むな。悪い、タバコ吸っていいか?」
雪乃「それで落ち着くなら、どうぞ」
八幡「すまん」
雪乃「でも、控えてね」
可愛いな、この野郎。ウィンクとかすんなよ。
雪ノ下が俺の誕生日に現れて、プロポーズしてきた。何故?why?罵倒が酷くて貰い手がなくなった?
雪乃「比企谷君。今、失礼なこと考えなかったかしら?」
八幡「俺の頭の中を読むな」
雪乃「ふふふっ」
八幡「なんだよ」
雪乃「貴方、自分が思ってるより考えが顔に出てるわよ」
八幡「マジで?」
雪乃「私が嘘をついたことある?」
八幡「ねぇな」
雪乃「そうよ。だから、プロポーズも本当よ」
八幡「はぁ、どうしてこうなるかなぁ…。とりあえず、今日は遅いから、ホテルとってあるんだろ?送るよ」
雪乃「ないわ」
八幡「はい?」
雪乃「ホテルなんて取ってないわ」
八幡「じゃあ、駅まで…」
雪乃「電車もないわ」
八幡「じゃあ、どうするんだよ」
雪乃「ここに住むわ」
八幡「は?え?住む?」
雪乃「えぇ、そうよ」
八幡「待て。『泊まる』の間違いでは?『泊まる』も間違いなんだが…」
雪乃「マンションも引き払ったし、母にももう戻らないと言ってきたわ」
八幡「何やってんだよ…」
このお嬢様は何を考えてるんだ。
八幡「はぁぁぁぁぁ。今夜は泊めてやる。明日は帰れよ」
雪乃「嫌よ」
八幡「あのなぁ…」
雪乃「…重いって思われるかもしれないけど、それぐらいの覚悟でここに来たの…。だから、お願い…」
そんな顔すんなよ…。
八幡「とりあえず、シャワー浴びて寝ろ。一晩寝て冷静になれ」
雪乃「私は冷静よ」
八幡「親だって、すぐに謝れば許してくれる」
雪乃「帰るお金がないわ。全部、姉さんに渡してきたから」
八幡「金なら出す。俺はしばらくコンビニに行ってるから、その間にシャワー浴びとけ」
俺が冷静になれねぇよ。雪ノ下に似たひとに出会って、気持ちを乱されたと思ったら本人登場。しかもプロポーズまで…。
あのまま向こう居たら、もしかしたらなんで考えたこともあった…。雪ノ下と結ばれるなんて、夢物語だと思っていた。
それが…。どうすりゃいいんだよ、小町。
八幡「ただいまっと」
雪乃「ううん…Zzz」
人の気も知らないで寝てやがる。
なんとか追い出さないとなぁ。雪ノ下には、俺なんかは似合わない…。もっといいヤツが現れる。こんなところに居ちゃいけないんだ。