ガチャを回して最強ステータスを目指せ! カードで作る異世界ハーレム!! 作:ブランチ
青年村長、エルフ妻。
村に来てから、2人にはかなり世話になった。
彼らの身に何かあったら……。
そう思うと、オレも平静ではいられない。
いや、悪い方向に考えるな。
F級の魔物なら、一般人だって抵抗したり、逃げ切れる可能性はある。
村長夫妻も無事に違いない。
「お姉ちゃん、義兄さん、大丈夫!?」
村長宅の扉を、アンナが押し開ける。
そこで出迎えたのは、
「――村長ッ!」
血まみれで床に横たる、村長だった。
「駄目だ死んでいる」
確かめたが、彼は息絶えていた。
「お、お姉ちゃんは!」
アンナが奥の部屋に向かう。
続いてオレも。
そこには何かの気配があった。
「……グルルル」
大きな体をしたオオカミだった。
「し、
ランクE級の魔物。
グレーウルフは、クチャクチャと何かを咀嚼している。
「うグッ!?」
見たアンナが吐きそうになった。
クチャクチャしている、ピンク色の物。
それは内臓だった。
オオカミの傍らに、女が横たわっている。
「奥さん……」
衣服を剥がされ、半裸になったエルフ妻。
その腹は食い破られ、臓物が引きずり出されている。
「う、うあああああ!」
アンナは錯乱した叫びを上げる。
「――ッ」
そのとき、シルバーウルフが跳び上がった。
が……こちらに向かってではない。
ガシャンと窓ガラスに体当たりし、破ったのだ。
奴は家の外に逃げ出したのだ。
「逃がすか!」
オレは後を追いかける。
しかし――、
「「ガルルル!」」
行く手に数体の
「どけえッ!」
オレは邪魔者たちをすぐ始末した。
しかし、そのわずかな時間が致命的。
「……くそ、見失った」
シルバーウルフは、とっくに姿を消していた。
アンナの家族を殺した仇を、逃がしてしまったのだ。
「そういやアンナは?」
彼女は付いて来ていない。
まだ家の中に残っていたのだ。
「あ……ああああ!」
そして家族の死体の前で、狂ったようにむせび泣いていた。
オレは、なんと声をかけたらいいか分からない。
あまりにも悲惨すぎて……。
◆ ◇ ◆
その後、村に入り込んだ魔物を、何体か駆除した。
騒動は収束する。
「なぜ村に魔物が入った?」
「こんなの今までなかっただよ!」
事件の調査が行われる。
ほどなくして、魔物が入ってきた原因は判明した。
「『魔防柵』に、穴が開いてるだ!」
「見たところ、劣化していたようだな……」
いくら魔法で強化しても、経年劣化は避けられない。
柵は長い年月を経て、モロくなっていた。
そして穴を開けられ、外敵の出入りを許してしまったのだ。
「こんな、こんなことで……」
たった1つの点検の見落とし。
それが取り返しのつかない事態になった。
「……とりあえず、穴を塞ぐだよ」
応急処置で、バリケードを作ることになった。
あとは村人に任せていいよな。
オレは村長宅に向かった。
中に入ると、布をかけた2つの遺体が並べられている。
村長と、奥さんだ。
「……うぅぐ」
傍らで、アンナが泣いている。
「アンナ……」
オレは彼女を抱きしめた。
かける言葉がない以上、触れ合いで慰めるしかない。
オレとエルフ娘は口づけを交わす。
そして寝室へ行き、気が済むまで愛し合った。
「冒険者になろう、なんて思うんじゃなかった」
ベッドの中。
裸で横になったアンナがつぶやいた。
「お姉ちゃんの言いつけを聞いてればよかった。そしたら、あたしは家にいて、2人を助けられたのに……」
いや無理だろう。
冒険者の修業をしなかったら、アンナはF級のままだ。
それでE級の魔物を相手に何ができる。
彼女は冷静な判断を失っていた。
「やり直したい……。今朝に戻って、お姉ちゃんと義兄さんを助けたいよ……」
オレも同じ気持ちだ。
10日暮らして、村長夫妻が信頼してくれているのは分かった。
大事な妹が、男と2人きりでいても何も言わないのだから。